March 2011

March 24, 2011

日本のエイズ対策がよくわかる!!!

シリーズ企画 SEEDFOLKS
エイズはじめて物語ースペシャルー
〜エイズ予防指針における個別施策層〜
2011.3.26(土)
時間:18:00-20:30 入場無料
場所:コミュニティ・センターakta

差別的な内容を含んだエイズ予防法が廃止され感染症法制定から10年が経った。この間の治療の進展から医療者や行政関係者の中にはもっと強力な管理体制を気づくべきとする意見が台頭してる。また、エイズ予防指針は日本の法律で初めて同性愛者について言及されたものでもある。つまりゲイを初めて日本国民として認めた法律なのだ。

現在日本のエイズ対策の法的根拠となるエイズ予防指針の10年目の見直しが行われている。そこで今回のエイズはじめて物語はスペシャル版としてエイズ予防指針を取り上げる。ゲストの稲葉雅樹さんは制定当時アカー(動くゲイとレズビアンの会)のアドボカシー担当として個別施策層に男性同性愛者・両性愛者を入れることに尽力をした人物。彼の活動がなければ現在のゲイコミュニティにおける予防活動は大きく後退していただろう。

もう一人のゲスト、澤田貴志さんは在日外国人陽性者支援の立場から厚生労働省にとどまらず、外務省や各国大使館、外務省と幅広く陽性者の人権擁護に動いている現役の医師。北タイなどエイズ問題が深刻な地域で保健支援活動の現場に立っているNPOの副代表。2005年に開催されたアジア太平洋国際エイズ会議では若者とエイズ問題を考えるユースフォーラムを実現した。

さらに今回は現在進行中のエイズ予防指針作業班の進行状況を産経新聞特別記者であり、AIDS&Society研究会議の理事でもある宮田一雄氏にわかりやすく報告していただく。日本のエイズ対策のこれまでを振り返り、今後5年間のエイズ対策の方針を決定する作業班が示すべき方向性にについて考える。日本のエイズ対策について、とりわけゲイコミュニティの立場から考えるうえで見逃せない3時間。

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2011.3.26(土)
シリーズ企画 SEEDFOLKS
エイズはじめて物語ースペシャルー
〜エイズ予防指針における個別施策層〜
時間:18:00-20:30 入場無料
会場:場所:コミュニティ・センターakta
http://www.rainbowring.org/akta/

エイズがこの世界に登場して30年が経とうとしています。それでも感染の広がりは止まりません。そして新たにHIV/エイズに影響を受ける人たちがいます。新たにこの問題にかかわる人たちがいます。そんな中でいろいろな問題が議論され、実践され、成功し、あるいは失敗した。この経験は何より貴重です。こんな経験を振り返ることなく、闘いの中で勝ち取った知恵に学ぶことなく30年前、20年前と同じ議論を繰り返しても実りはありません。
「エイズはじめて物語」は、エイズにまつわる過去について知り、今のエイズ問題を理解するために、最高のゲストをお迎えして行うトークイベントです。
本年度は予防指針制定10年目の見直しの年にあたり、見直し検討委員会も行われています。立場の異なるゲストをお迎えしてその活動をおききすると共に、エイズ予防指針のこれまでとこれからについて考えたいと思います。
ゲスト:稲場雅紀さん[(特活)アフリカ日本協議会
国際保健部門ディレクター]:沢田貴志[(特活)シェア=国際保健協力市民の会副代表・港町診療所
所長・タイ大使館医療アドバイザー]:宮田一雄さん[産経新聞]
司会&コスプレ:ピンクベア・長谷川[Rainbow Ring・JaNP+]:ジャンジ♥/荒木順子[Rainbow Ring・エイズ予防財団流動研究員
企画・主催:Rainbow Ring
協力:日本陽性者ネットワーク・ジャンププラス、AIDS&Society研究会議、東京都福祉保健局
問合わせ:community center akta 03-3226-8998 info@rainbowring.org

March 02, 2011

もう一つの自由貿易問題〜薬は誰のものか?/板挟みの先進国のHIV陽性者〜

ここ数日、国際的なエイズ活動家のネットワークの中でインドとEU間のWTAに反対するメールが飛び交っている。昨日もまた3月2日にインドのニューデリーで3000人以上のHIV陽性者が抗議を行ったというニュースが流れた。そしてアジア・太平洋のHIV陽性者ネットワークからはそれぞれの国のインド政府関連機関にインド−EU間のWTA調印に反対する声明を出すように依頼のメールが来る。

この問題に関してはUNAIDSも声明を出している。
貿易協定はHIV予防、治療、ケア、支援のユニバーサルアクセスに向けた努力を妨げてはならない  (UNAIDSプレスステートメント)
http://bit.ly/hYuMLF

※この諸事情については国境なき医師団のHPが詳しい。
「ニューデリーでHIV陽性者2千人が抗議デモ」
http://bit.ly/gp7aEA
「開発途上国向け医薬品の普及における新たな進展と危機」
http://bit.ly/eQtZkS

先進国の陽性者としてはこのような活動に参加する時、実に微妙な立場に立たされる。私たちは豊かな国に生まれたおかげで命が保証され、発達した福祉制度のおかげで医療費の負担も極めて少額で済む。心情的には、無条件に彼らを支援したいという思いも強い。その幸運にただ甘んじていてい良いのかという思いがある。

現実に同じ会議に参加していた友人・知人の訃報を聞き続けた時代も体験している。だから安価な抗HIV薬が広く普及してほしいという願いは切実だ。
10年来の友人のネパールのラジフ・カフレは主張する。
「私たちは、生き延びるためにインド製の価格の安いジェネリック薬に頼っています。友人や大切な人たちが、必要な薬が手に届かない高い価格であるために命を落としていた時代に戻るのはごめんです。私たちは、インド政府に対して『インドとEUの自由貿易協定と私たちの命を引き換えにしないで』という簡潔な要求を行っているのです」

しかし、いっぽうで、自由経済の枠組みの中で製薬会社の知的所有権が制限されると、製薬会社の抗HIV薬開発の意欲は削がれ、新しい薬の開発が遅れてしまう。事実、患者数の少ない疾病ではそのような領域の薬剤も少なくないし、実際に抗HIV薬の開発スピードは1990年代に比較すると遅くなっている感がある。
 さらに先進諸国のHIV陽性者はこういった抗議活動によって引き下げられる薬価の損失利益をせっせと補てんしている側面も否めない。
 薬価は抗HIV薬導入時のAZTの設定に準じており、それを必要とする市場が数十倍、数百倍になったとしても見直されていない。もう一度市場規模に見合った価格設定を患者側が主張しようとしても、製薬会社は途上国の国民的健康問題にかかわるような薬剤は利益を無視して供給していることを強調する。ここでも先進国の陽性者は板挟みに合う。