好素材のピッチャーを多く獲得できた今年のドラフト。
今回からは指名選手を振り返りつつ、他にどんな指名ができたのかを考察しながら私なりの意見を書いていきたいと思います。
その1回目はドラフト1位の鈴木博志について。
ドラフト1位 鈴木博志(ヤマハ) 右投手
広島との競合で中村奨成(広陵)との交渉権を獲得できず、ハズレ1位でいの一番で指名したのがこの鈴木博志。
ハズレ1位では清宮への入札に7球団が集中したこともあって思いがけず残っていた安田尚憲(履正社)や、強打の高校生キャッチャー村上宗隆(九州学院)の指名も考えられましたが、球団としてはどうしても鈴木が欲しかったようで中日は彼らをスルーするという戦略を取りました。
ドラフト直前の記事でも書いたように、私は安田>鈴木>村上という評価をしていたので安田を見送るという選択は残念に感じていましたが、事前の報道を見るかぎり中日は安田よりも鈴木を評価していたこと、そして今冷静に考えると安田を外してハズレハズレ1位でも鈴木を外して……という最悪とも言える想定が避けられたことを踏まえると悪くない指名だったのかもしれません。
中日の2位にまで石川が残っていたのでくじを外し続けた最悪のケースでも1位で石川を指名することはできましたが、それは結果論と言うべきでしょう。
指名に関する感想はこのくらいにして鈴木がどういうピッチャーなのかを見ていくと、やはり最も際立って目立つのは最速157キロというストレートのスピード。
力み倒した上で無理矢理球速を出していタイプという訳でも無く、ゆったりとしたフォームから常に7割から8割くらいの力加減で150キロを越えてくるところが本人も言っていたように鈴木の最大の武器なのだと思います。
トラックマンの計測によるストレートの回転数は平均2400回転。この数字はあのダルビッシュに近い数字ということなので、数字上は速さだけの棒球とは違って質もともなったストレートということになりますね。
ただ、それだけのストレートを社会人相手にも割と当てられてしまっているのはやや不安なところ。
フォーム的にリリースポイントが特別見やすいという感じは受けませんし、質も問題無いとなると、「ストレート以外のボールが怖くないからストレートに絞って振られてしまっているから」というのが最も可能性が高そうな当てられる原因なんだと思います。
鈴木の球種別の投球割合は私が知る限りでは誇張でも無くストレートが9割。
これだけストレートに偏ればどんなバッターでもストレートに絞りますし、いくら質とスピードがあっても社会人レベルの選手が100%ストレートに絞った対応をされれば当てられても不思議はありません。
先日のアジア大会でもストレートの割合に変化があったようには見えなかったので、むしろ、それだけストレートに偏った投球をしているのに今年の公式戦の奪三振率が7を超えているのは驚異的と言ってもいいかもしれませんね。
とはいっても、プロを相手にすればこの奪三振率がガクッと下がるのは間違いないでしょう。
鈴木がプロで活躍する為には必殺の決め球の習得が必須。
現状、彼の持ち球としてはカットボールや縦スラ、カーブ、チェンジアップ、そしてフォークがあるようですが、どれも早く曲がりすぎたりと決め手に欠け決め球とは言えないボール。
近々日本選手権が控えているので今すぐには難しいとしても大会終了後から来年の開幕までに空振りが取れる変化球を1つ(縦スラかフォークが理想でしょうか)マスターできるか否かが即戦力になれるか否かに大きく関わってくるでしょう。
身体もできているようでできていないようにも見えます。
鈴木の身長181センチ、体重95キロというのは身長180センチ、体重95キロの小笠原に非常に似ていますが、鈴木と小笠原を見比べると下半身の太さに違いがあるのかなと。
鈴木のフォームは上半身にはさほど大きな問題があるとは思いませんでしたが、下半身はイマイチ踏み込めていない感じに見えたところが気になりました。
コントロールの乱れは上半身のパワーを下半身が支えきれていないところにも原因があるような感じがしますし、逆に言えば下半身に力を付けて身体全体をもっとブラシュアップしていけば制球難はある程度克服できるかもしれません。
変化球の習得と身体作りの両方が求められそうなあたり、やはり即戦力として計算するべきピッチャーではないでしょう。
フィールディングはよく分かりませんがクイックは速いとは言えませんし、バッターとの駆け引きもあまり上手くできているようには見えず(これはストレート一本槍の投球スタイルゆえなのかもしれませんが)細かいところを詰めていく必要も感じます。
しかし、社会人とは言っても高卒3年目の年齢で150キロを連発できる馬力は素材として破格。
もちろん最も大切なのは本人の意識ですが、コーチなどが変化球を中心としたピッチャーとしての基礎をうまく仕込みつつ身体作りの手助けをしてあげられたらメジャークラスのクローザーに成長してもまったくおかしくありません。
あと、これは鈴木がどうこうという話ではありませんが、同じようなタイプともいえる福谷が鈴木の加入に刺激を受けて競争意識が高まればいいなと淡い期待を寄せています。
最後に私の思う鈴木の長所や課題、不安、そして将来的な期待などを書かせていただくと
【長所】
スピードだけでなく質のいいストレート
そのストレートを8割ほどの力で投げられる馬力
ゆったりとした腕の振り
高卒3年目という若さ
【課題】
ボールの精度や変化球の質
下半身の強さ
ピッチャーとしての細かい動き
【不安】
自分に合った変化球を見つけられるのか
身体のブラシュアップの為の自己管理ができるのか
高校時代の故障歴
【将来的な期待】
元横浜の佐々木主浩さんのようなメジャーでも通用する骨太なクローザー
このような感じになりました。
社会人からのドラフト1位なので鈴木も周りから即戦力として期待されるかもしれませんが、私は来年の1年は大学4年生をやるつもりで二軍に漬けこんでもいいと思っています。
それだけに中日スポーツを始めとした報道機関には温かく見守ってもらいたいですし、本当に二軍で育成することになった際には鈴木本人に焦らせないようにコーチ陣にもメンタルケアをしてもらいたいところ。
12球団で平均球速が最も遅かったという中日にとって鈴木の加入は大きなプラスになるはず。
それだけに、まずは一軍で通用するようにしっかりと決め球を仕込んで、その後も使い潰したりすることのないよう大切に育てていってもらいたいですね。

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今回からは指名選手を振り返りつつ、他にどんな指名ができたのかを考察しながら私なりの意見を書いていきたいと思います。
その1回目はドラフト1位の鈴木博志について。
ドラフト1位 鈴木博志(ヤマハ) 右投手
広島との競合で中村奨成(広陵)との交渉権を獲得できず、ハズレ1位でいの一番で指名したのがこの鈴木博志。
ハズレ1位では清宮への入札に7球団が集中したこともあって思いがけず残っていた安田尚憲(履正社)や、強打の高校生キャッチャー村上宗隆(九州学院)の指名も考えられましたが、球団としてはどうしても鈴木が欲しかったようで中日は彼らをスルーするという戦略を取りました。
ドラフト直前の記事でも書いたように、私は安田>鈴木>村上という評価をしていたので安田を見送るという選択は残念に感じていましたが、事前の報道を見るかぎり中日は安田よりも鈴木を評価していたこと、そして今冷静に考えると安田を外してハズレハズレ1位でも鈴木を外して……という最悪とも言える想定が避けられたことを踏まえると悪くない指名だったのかもしれません。
中日の2位にまで石川が残っていたのでくじを外し続けた最悪のケースでも1位で石川を指名することはできましたが、それは結果論と言うべきでしょう。
指名に関する感想はこのくらいにして鈴木がどういうピッチャーなのかを見ていくと、やはり最も際立って目立つのは最速157キロというストレートのスピード。
力み倒した上で無理矢理球速を出していタイプという訳でも無く、ゆったりとしたフォームから常に7割から8割くらいの力加減で150キロを越えてくるところが本人も言っていたように鈴木の最大の武器なのだと思います。
トラックマンの計測によるストレートの回転数は平均2400回転。この数字はあのダルビッシュに近い数字ということなので、数字上は速さだけの棒球とは違って質もともなったストレートということになりますね。
ただ、それだけのストレートを社会人相手にも割と当てられてしまっているのはやや不安なところ。
フォーム的にリリースポイントが特別見やすいという感じは受けませんし、質も問題無いとなると、「ストレート以外のボールが怖くないからストレートに絞って振られてしまっているから」というのが最も可能性が高そうな当てられる原因なんだと思います。
鈴木の球種別の投球割合は私が知る限りでは誇張でも無くストレートが9割。
これだけストレートに偏ればどんなバッターでもストレートに絞りますし、いくら質とスピードがあっても社会人レベルの選手が100%ストレートに絞った対応をされれば当てられても不思議はありません。
先日のアジア大会でもストレートの割合に変化があったようには見えなかったので、むしろ、それだけストレートに偏った投球をしているのに今年の公式戦の奪三振率が7を超えているのは驚異的と言ってもいいかもしれませんね。
とはいっても、プロを相手にすればこの奪三振率がガクッと下がるのは間違いないでしょう。
鈴木がプロで活躍する為には必殺の決め球の習得が必須。
現状、彼の持ち球としてはカットボールや縦スラ、カーブ、チェンジアップ、そしてフォークがあるようですが、どれも早く曲がりすぎたりと決め手に欠け決め球とは言えないボール。
近々日本選手権が控えているので今すぐには難しいとしても大会終了後から来年の開幕までに空振りが取れる変化球を1つ(縦スラかフォークが理想でしょうか)マスターできるか否かが即戦力になれるか否かに大きく関わってくるでしょう。
身体もできているようでできていないようにも見えます。
鈴木の身長181センチ、体重95キロというのは身長180センチ、体重95キロの小笠原に非常に似ていますが、鈴木と小笠原を見比べると下半身の太さに違いがあるのかなと。
鈴木のフォームは上半身にはさほど大きな問題があるとは思いませんでしたが、下半身はイマイチ踏み込めていない感じに見えたところが気になりました。
コントロールの乱れは上半身のパワーを下半身が支えきれていないところにも原因があるような感じがしますし、逆に言えば下半身に力を付けて身体全体をもっとブラシュアップしていけば制球難はある程度克服できるかもしれません。
変化球の習得と身体作りの両方が求められそうなあたり、やはり即戦力として計算するべきピッチャーではないでしょう。
フィールディングはよく分かりませんがクイックは速いとは言えませんし、バッターとの駆け引きもあまり上手くできているようには見えず(これはストレート一本槍の投球スタイルゆえなのかもしれませんが)細かいところを詰めていく必要も感じます。
しかし、社会人とは言っても高卒3年目の年齢で150キロを連発できる馬力は素材として破格。
もちろん最も大切なのは本人の意識ですが、コーチなどが変化球を中心としたピッチャーとしての基礎をうまく仕込みつつ身体作りの手助けをしてあげられたらメジャークラスのクローザーに成長してもまったくおかしくありません。
あと、これは鈴木がどうこうという話ではありませんが、同じようなタイプともいえる福谷が鈴木の加入に刺激を受けて競争意識が高まればいいなと淡い期待を寄せています。
最後に私の思う鈴木の長所や課題、不安、そして将来的な期待などを書かせていただくと
【長所】
スピードだけでなく質のいいストレート
そのストレートを8割ほどの力で投げられる馬力
ゆったりとした腕の振り
高卒3年目という若さ
【課題】
ボールの精度や変化球の質
下半身の強さ
ピッチャーとしての細かい動き
【不安】
自分に合った変化球を見つけられるのか
身体のブラシュアップの為の自己管理ができるのか
高校時代の故障歴
【将来的な期待】
元横浜の佐々木主浩さんのようなメジャーでも通用する骨太なクローザー
このような感じになりました。
社会人からのドラフト1位なので鈴木も周りから即戦力として期待されるかもしれませんが、私は来年の1年は大学4年生をやるつもりで二軍に漬けこんでもいいと思っています。
それだけに中日スポーツを始めとした報道機関には温かく見守ってもらいたいですし、本当に二軍で育成することになった際には鈴木本人に焦らせないようにコーチ陣にもメンタルケアをしてもらいたいところ。
12球団で平均球速が最も遅かったという中日にとって鈴木の加入は大きなプラスになるはず。
それだけに、まずは一軍で通用するようにしっかりと決め球を仕込んで、その後も使い潰したりすることのないよう大切に育てていってもらいたいですね。

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コメント
コメント一覧 (4)
確かに、福谷とダブりますが、福谷は優等生的で打者からは怖さを感じません。
鈴木は野武士的な感じもありこの点は福谷より上かと感じます。
いずれにしても、力強いストレートを活かす変化球の取得と、自滅に至らないようコントロールを磨くことが肝要。あとは故障が無いようケアできるかでしょう。
1位鈴木を98点と評価しています。
鈴木君は入団すると中日で一、二を争う速い投手になりますし速球で押せる投手も少ないので、育っていただきたいです。と同時に福谷はもう少し頑張ってほしい。
コメントありがとうございます。
プロに入ってどうなるのかは未知数ですが、細かいことを考えずに力で押せそうな性格なのはクローザー向きかもしれませんね。
あとはその力で押す投球がどこまで通用するのか、そして失敗したときどれだけ早く立ち直れるのかがポイントになるのかなと。
鈴木を見て福谷が得るもの、福谷を見て鈴木が得るもの、その両方がお互いを高めてくれるといいですね。
コメントありがとうございます。
平均球速に関しては今年はバルデスが規定に乗ったのでその分遅くなったとも言えますが、吉見、柳、若松、鈴木など速球派とは言えない先発が多かったことや、先発又吉の球速がさほどでもなかったことも影響しているのかなと。
私は鈴木はあまり即戦力と考えすぎずに長い目で見たい素材だと思っているので、数年後に福谷と鈴木の速球派の2人で中日のブルペンを支えてもらいたいと考えています。
どちらかが先発になっているかもしれませんが、それはそれでありでしょう。