November 02, 2016

ポエトリーカフェin京都の旅 【その2】〜ポエトリーカフェ《少年・少女 篇》〜

ポエトリーカフェin京都の旅 【その1】〜「ポエカフェ」まで」の続き

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◆10/29(土)第87回 ポエトリーカフェ《少年・少女篇》 @左京区吉田 croixille

13:00すこし過ぎにcroixilleさんへ、到着。
『心に太陽を〜』も持参くださった、Mさんもいらっしゃる。
中村さんとの初対面! 翆廉堂さん、緑の小舟さん、などがすでに、イベントのご準備してくださっていて、ご挨拶。

ここが、「白亜荘」…
古びた、あじわいのある、そぼくで凛としたたたずまいの洋風の建物。
中へ入ると、かわいい居間があり、やさしい気配。木造のしっかりとした建築、みがかれて、うつくしい柱や廊下。
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とても大切につかわれてきたことが感じとれて、むねにあたたかいものが灯った。

おくのへや、croixilleさんへ、足をふみいれると、なんとまあ。
「少年・少女篇」にぴったりの可憐なテーブルセッテイング!
美味しいコーヒー・紅茶と、当たりくじつきのお菓子セットまで、ご用意してくださっていて感激…

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14時〜のポエカフェ前に、関東圏からわざわざおこしくださったかたがた(Kさん、Mさん、Uさん、番頭さん…)や、初めてお顔を拝見する方々に、お声をかけたり。
とおもえば、Twitter上にて、ときどき遠隔ポエカフェを開催されていた、三重県のtomiさん!(ポエカフェご常連Kさんとも親交深く、初のお目もじに喜び…)。中本速さん詩集『照らす』(←最近、ひじょうに感銘をうけた一冊)版元の大隈書店のご夫妻、「croixilleさんが好きで通ってます〜」という、京都の大学生男子。
「croixille読書会」に参加されているという方々や、古いお着物がお好きでお店をやりたいと仰っておられたライターの女性、croixilleにゆかりの、翻訳をなさってるという女性、(ポエカフェ京都のことも応援くださってた)「京都・大阪市民読書会」 に参加してます〜という読書好きのかた。そして、ことしの春に開催の、御殿場ポエカフェにいらっしてた、京都のzakka3355のTさんや、二年前の奈良ポエカフェに参加くださってたKさんとKさんのお二人とも、うれしい再会!

秋も深まる10月の「詩の読書会」という、このひとときに集まってくださったみなさん、なのですが。
ひとりつお話しするたびに、好きなものをとても大切にしておられるんだなあ、と感じるかたばかり…
そんなこんなで、16名のみなさまと、croixille中村さん、翆廉堂さん、わたしのおよそ20名。

思いのあふれたcroixilleさんの小さな部屋にて――
「Pippoのポエトリーカフェ in京都 《少年・少女 篇》」はじまり〜

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《はい、チーズ♪ 終了後、ご参加のみなさんと…》

14:00開始〜
◆10/29(土)「ポエトリーカフェ 《少年・少女篇》」

【自己紹介タイム】 まずは、かんたんな自己紹介をかね& 今回のポエカフェテーマにちなんで、「ご自分の少年/少女時代の楽しかった、かなしかった、うれしかった思いで・記憶など…なんでもお話いただけたら」と、お一人ずつ、お名前や自己紹介、幼い日々の思いで、などをお話をきかせていただきました。

・好きなことに熱中するという意味では、いまでも少年かなあ
・一人っ子だったもんで、一人遊びがすきで得意になり、いまでも集団行動はにがてです…
・幼少期のあるできごとをきっかけに、植物・昆虫図鑑などに熱中し、とても好きに(くわしく)なった
・「昆虫がすきで、ある日ひろってきた、かまきりの卵を忘れて放置→気付いたら、子カマキリがわらわらと出てきていて、びっくり仰天!!という、虫好きあるあるがあります」(←いや、虫好きでもそんなにないと笑)…
・「五人兄妹の末っ子として、大変かわいがられたため、甘ったれの感がいなめません!」(←場内・あたたかい笑いでみたされた)
・本好きになるにいたった道のり

かききれませんが。 この30分ほどの時間が、今のそのかたと、そのかたのなかにある遠い記憶を呼び寄せて、少年・少女を映しだしてみせてもらっているようで… 無性にわくわくしました。

いまは、もうここには居ないのに、ここにたしかにいる――いつかの少年・少女達。

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さて、【本編 《ポエトリーカフェ 「少年・少女」》 】開始!

※《少年少女篇》テキストは、以下。 くじびきにて、ご参加のみなさんがひいた、くじ(詩)をその場で朗読していただいて…質問、鑑賞、その詩にまつわるご自身の記憶、自由なご感想などの意見交換をしました。(適宜ぴっぽが、その詩人の生涯の紹介や、歴史・時代背景などをすこしお話ししたりも…)

★テキスト内容 (A4、5枚)/24人、42篇
 (内、くじ引き詩)=16人、17篇(=緑文字)

●北原白秋 短歌 「仏蘭西のみやび少女がさしかざす〜」
吉井勇 短歌五首  「くれなゐの薔薇(そうび)のなかに〜」「泣く少女(をとめ)笑ふ少女〜」他 (歌集『酒ほがひ』より)
石川啄木 短歌三首 「愁(うれ)ひある少年の〜」他( 『一握の砂』)
●村山槐多 短歌三首 「紫の孔雀の毛より〜〜」

●三好達治 「少年」(『測量船』) ●高橋元吉 「十五の少年」(『草裡』)
●中野重治 「わかれ」 
 ●立原道造 「風のうたつた歌」  ●杉山平一 「卒業に」「わからない」  
●岸田衿子 「迷い子の道」「汽車は おとなの中の子供が」
●茨木のり子 「みずうみ」 「答」  ●吉原幸子 「喪失ではなく」 「あのひと」 「少女は…機
寺山修司 短歌五首 「列車にて遠くを見ている向日葵は〜」他  
●吉行理恵 「十七歳の弟がいう」  ●菅原克己 「光子」  ●高田敏子 「露の玉」
●金井雄二「花冠」 ●高階杞一「答は空」 ●詩(うた)村あかね 「かみひこうき」 「(少年の視線は)」
西尾勝彦「独り占め」   ●河野裕子、永田和宏 一首ずつ 《付録》 P& tomi (即興短歌)




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トップバッターは、croixille中村さん

●「くれなゐの薔薇(そうび)のなかに倒れ伏すごとくに君は砂にまろびぬ /吉井勇」

「薔薇を、そうびとよむことをしらなくって、きれいだなあ、というのと。
情景のうかんでくるよい短歌だなあと」など、感想をお話しされました。
砂のなかに、薔薇にたおれこむようにまろぶ、少女の可憐さ、無垢なしどけなさ…
会のはじまり、さいしょの短歌が、うわっとイメージの広がるこのうたで。なんだか嬉しくなる。

おつぎは、石川啄木の
●「愁ある少年の眼に羨みき 小鳥の飛ぶを 飛びてうたふを」
これをひいた、大学生のS君。
「お父さんが、石川啄木学会に参加する啄木好きなんだけど、啄木のわるいとこようくしってるし、
母とぼくにとっては、敵!なのに、なんで引いちゃったか…」 とのお話に、また場内爆笑。
鑑賞にうつって、闊達な意見をのべてくれた。引き合う、運命なのでしょうねー。
(やあ、でも良い歌です…!)

●高橋元吉 「十五の少年」(tomiさん)に、むなぐらをゆりうごかされた心持ちになり…

●中野重治「わかれ」
● 「わかれ」

あなたは黒髪をむすんで
やさしい日本の着物を着ていた
あなたはわたしの膝の上に
その大きな眼を花のようにひらき
またしずかに閉じた
あなたのやさしいからだを
わたしは両手に高くさしあげた
あなたはあなたのからだの悲しい重量を知っていますか
それはわたしの両手をつたって
したたりのようにひびいて来たのです
両手をさしのべ眼をつむって
わたしはその沁みてゆくのを聞いていたのです
したたりのように沁みてゆくのを

ではHさんが、「あなた」「わたし」のくりかえし、詩の韻律のうつくしさ。
お好きだというリルケとの相似に言及されたあとで、ある方のそぼくなご質問より、ガツン!と目をさまされる。
「そもそも、この詩が、なんで《少年・少女》テキストに入っているの?」

わたし(ぴっぽ)は、この「あなた」を、ちいさな少女だと思い込んでいたのです。
23歳、結婚の前、若い頃にかかれたものだし…
けれど、ご参加の方々より、多様な意見/解釈がつぎつぎに――

「これは、恋人でしょう? 小さい女の子とは、思いもしなかった!」 「いや、小さい姪っ子じゃないかな?」
「でも、タイトルは《わかれ》だよ? 亡くなった女性をだいているのだと思う」 「黒髪をむすんで、って、この時代なら、女の子なら短いおかっぱ頭が多いはずだから、大人の女性じゃないのかな…」
「柩をもった、その軽さ―― 私は、亡くなったお母さんをだきあげているのでは?と」
(亡くなったお母さん、その悲しい重み…!この解釈には、なるほどと思いいたる)

この短い詩、のなかの「あなた」に、ここまで解釈の幅があるとは!!
それぞれの皆さんのお話を伺いながら、(この感受の違いをかたりあうことこそ、ポエトリーカフェのほんとの楽しさなんだよなあ)など、実感し、かんじいってしまう一幕も。
(会ののちに、中野重治好きな、山本善行さんに伺うと 「うーん、恋人やと思ってんけどなあ。若いころは、恋人をうたった詩を、ようけかいてるし。でも、そんなに解釈のはばがあるとは、面白いなあ。ほんとはね、自分だって背景をしらんかったらよかったなあ、と。前知識なしに、その人が考えた、感じたままでいいと思うねんな、ぼくは」と…)
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●杉山平一さんの二篇 「卒業に」「わからない」。
読んでくださった方々のご感想も多様でさまざまな解釈が出て、この二篇も、議論が活発にもりあがりました。

「卒業に」の、雑記帳がさししめすもの、また
「わからない」のさいごの一行の魅力・よさ、解釈についても、多様な意見が出て。
(奈良ポエカフェでこの詩を、とりあげた際の、ご意見と全く違っていて驚いてもいました)
「シンプル・イズ・ザ・ベスト!」 工場を営んでおられたお父上の教えをまもる、平一さんの詩の大きさ、内包する深みに改めてふれたような気もしていました。

●茨木のり子「答」。
14歳の少女であった、娘(わたし)が、祖母にぶつけた質問 「今までで、ばばさまが一番幸せだったのはいつだった?」
即座に、返答した祖母の、答えとは――。朗読された、Kさんのご感想もむねあたたまりましたが、
この解釈で、Uさんが、「これは、孫と祖母だから、距離感が良いのだと思う。これが、お母さんに聞いていたら、そんな人生でいいの、って思ってしまうかも…」と仰っておられたのが印象的でした。
たしかに、これが母と娘だったら、もうすこしウエットな、ちがった印象をもたらしていたでしょう。

●岸田衿子 「迷い子の道」

Uさんが、明るいお声でお読みになられたこの詩。
迷い子の道、道に迷うことのゆたかさ、みたいなものをふっと想いおこしたりもしていました。
また、この花はなんだろう、との話題の広がりも。

●吉原幸子 「喪失ではなく」
お読みになった、Hさん(しみいるお声)が、とてもこの詩にかんじいっておられたようすで、
なんだか、わたしまで初めてよんだように、ドキドキとしていました。
幼年期の記憶、それを、思い起こすことで、またはじめて、その時間を生きられる――。

●寺山修司の「列車にて遠くを見ている向日葵は〜」では、朗読されたMさんが、かさなって思い出されたという、幼年期のわくわくする思い出をはなしてくださって、ぽかぽかとぬくもります。

●吉行理恵 「十七歳の少年が〜」 この詩を、よまれたMさんの、少女期の衝撃的な記憶――
 この告白をきいて、むねがゆさぶられるような思いで、場内もしんと静まりかえっていました。
 「それ以来、どんな死に方がよい? なんていう、話は、友達の間でも出なくなった」 とも仰っていて。
 (いまも、このお話は、むねに刺さったままでいます…)

●菅原克己 「光子」 (苦しい生活の中でのひとすじの光り。あかるい、光子さん像に、感じた率直なご感想がたくさん!)
●高田敏子 「露の玉」 (朗読くださったMさんが、ご自身の来し方をゆっくり振り返ってかたってくださったのが印象的でした)
この二篇を、よんでゆくうちに、自分のお母さんは「光子タイプ?」「高田敏子さんタイプ?」など、また話題が広がっていたのも楽しく。

●金井雄二 「花冠」。 幼少期のこれも、たいせつな記憶。
 解釈で、「今は部屋を花で飾りたい、とは思わないけれど、幼い頃に姉がつくってかかげていた花冠を、むねのなかにそっと、大切にもちつづけているのかなあ」 というご意見があり。
 実際の花、というより、思いでの中の大切な、花なのかもしれないなあ、などとも。

●高階杞一「答は空」
 この詩も、たいへんに解釈が広がりました。 背景をしること、しらないこと、想像してかんじとることの、豊かさや、せつなさ。また、高階さんの詩集を最近読まれ、感銘をうけたという、Tさんがお好きだという 「蛍の光」を、暗誦してくださって、すこし涙ぐみそうにもなっていました。

●詩村あかね 「かみひこうき」「(少年の視線は)」。
 この詩のあたったNさん、どちらの詩がいいですか(読みますか)?と問うと、
 「あれ?これは、二篇がつづいていてセットなのだと思ったんだけど」とのことで、二篇を朗読いただきました。
 なつかしいなあ、など、こどものころやった遊び、などを皆さんが口々にお話しされたり、
 解釈として、「かみひこうき、では、視線が上に、次の詩では、視線が下になってゆく」や。
 「少年の繁らせる仄暗い森」の描写、のみごとさなどについても、お声が上がっていました。

●西尾勝彦 「独り占め」(詩集『フタを開ける』)
 おおとりは、植物をあいする、Kさんのご朗読。
 四つ葉のクローバーをとる名人の息子と、あらそい、やぶれるお父さん。
 「幸せを独り占めしたらあかんで」との、捨て台詞?がまたかわいい笑
 心ぬくもる愉快な、詩に場内は、またポカポカと。
 子供のころの純真な気持ち、自分への戒め、――など解釈もゆかいに広がります。

そんなかんじで、とうてい語りきれぬまま――。
「ポエトリーカフェ少年・少女 篇」は、和やかなムードのなか、終了。
「もし、このなかに気に入った詩や詩人がありましたら、ぜひ、これから読んでみてくださいね」
など、お声をかけながら――
この会のあとも、さまざまなお話がつきず…ほんとうに楽しかったです。

この会の一端でもおつたえできれば、と記憶をたどりながら、かきましたら。
またまた長編に。肝要でも書きのがしたことや、発言と微妙にちがう!など、きっと多々あるかと思われますが、すみません…、どうかご容赦を。
(お伝えいただけたら、訂正いたします!)

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ほぼ一年ちかく準備し、楽しみにしていた「ポエカフェ 《少年・少女篇》 in京都 croixille」。
2009年10月より開始の、ポエトリーカフェのちょうど7年めの 第87回..

はじまったら夢のように、あっというまに、おわってしまいましたが。

この心おどらせ、詩をかたりあった幸せな時間をむねに大切にしまって、
きっと折にふれて、思い出すのだろうなあ、と。

croixille中村さん、会の準備を手伝ってくださった方々、お集まりくださったご参加のみなさん、
そして、この小さな詩の集いの宣伝・応援にご協力をくださった方々、多くの方々の思いとお力をいただいたことを、あらためて感謝します。
また、拙著『心に太陽を〜』をお求めくださった方々にも。

こころより、ありがとうございました。

そして、ほんとにいたらぬものですが…
この先もどうぞ、よろしくおねがいいたします!

ポエトリーカフェ・主宰 ぴっぽ拝


pipponpippon at 00:10│Comments(0)TrackBack(0)

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