女神の絵日記 : pitibo2000のブログ
  小倉遊亀展  
             2010年に兵庫県立美術館で開催された小倉遊亀展ポスター

 大切にしている一冊の古いノートがある。
 「洋画の技法」というタイトルをつけ、制作に必要な基礎知識や技法を書き連
ねたもので、私の半世紀にわたる活動の記録でもある。

 その中に、「芸術家の名言集」という項目があり、展覧会・書籍・新聞・テレビ
等から得た名言を書きとめているが、いつの間にか増えに増えて、10ページ
を超えてしまった。
 今も折にふれてノートを開き、先達の名言を反芻し、怠惰に流れがちな生活
にカツを入れてもらっている。

安田ゆきひこ安田靫彦先生

 最も好きな言葉。安田靫彦が弟子の小倉遊亀に贈ったもので、私も借用し、
技術講習の折によく使わせてもらっている。

 「自分を出そうとしなくても、見た感じを逃がさぬように心掛けてゆけば、その
都度違う表現になって、いつの間にか一枚の葉っぱが手に入りますよ。一枚の
葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入ります」

 何と含蓄のある言葉だろう! 雑念を捨て感じたままに、一心不乱に対象物
に迫っていけば、いつしか宇宙全体が手に入るという。
 
 小倉遊亀が、60歳を過ぎて独特の造形美にあふれた作品を生み出すことが
できたのも、血のにじむような努力を重ねて古典的な技法を身に付けた結果で
あろう。まさに、自分の宇宙を手中にしたのである。

平山郁夫
   平山郁夫のデッサン  (著書「ふるさとガンダーラ」より)

 余談ながら、小倉遊亀は西暦2000年、105歳にてこの世を去ったが、平
山郁夫が、その逝去を悼み作品をたたえる文章の中で次のような言葉を残し
ている。

 「透明な感覚」・・・長年の修練もあるが、遊亀生来の「上等さ」によるものだ。

 「とらわれぬ感覚・平然たる感覚・直観的発想」
    モチーフに対しては、こだわりながら、思考を深めている。

 「平衡感覚」・・・濁りのない色彩。独特な気品。

 「風通しのいい軽み」・・・過度の精神性に陥ることなく、自分にとって心楽しいこ
                とに徹した結果である。

 平山にして言い得た言葉である。その先生も、すでにこの世にない。
 お盆は、いろいろと想念がめぐる。現実に戻って、県展の絵を描かねば・・・。