氷菓 第22話
遠まわりする雛 (角川文庫)
<あらすじ>
 えるに「生き雛祭り」の「傘持ち」役を頼まれた奉太郎。祭りの会場に行ってみると…、そこは戦場さながらの様子。男衆の気迫に圧倒される奉太郎。

生き雛祭り

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 奉太郎の家の電話が鳴る。奉太郎の省エネライフを邪魔する悪い招き猫が招いた吉報だ。それは、えるからの電話だった。「生き雛祭りの傘持ち役が怪我をしてしまった。その代理をしてほしい」えるは奉太郎に頼む。えるは生き雛の雛役をやるらしい。
 生き雛祭り当日、トラブルが発生する。生き雛の行列の通るはずだった橋が工事で使えなくなってしまったのだ。
 えるに呼ばれて、えるの着付け部屋にいく奉太郎。部屋は几帳で仕切られていて、えるの姿は見えない。えるはどこかしら高貴な女性を思わせる口調で奉太郎に話しかける。いつもとは少し様子が違う。「(千反田・・・だよな・・・?)」
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 平安時代中期以降、貴族の女性は親兄弟といえどもみだりに異性に顔を見せてはいけないという習慣が定着し、簾や几帳を隔てて人に面会した。えるの姿が見えないことはお雛様らしくて良い。姿を見せないことが後の伏線にもなっている。
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 緊張しているのか、奉太郎は畳に正座する。さっきまでストーブの側で胡坐をかいていたのに、相手はえるなのに、このギャップは面白い。
 えるが「何があったか教えてください」というので、起きているトラブルについて話す奉太郎。几帳の横木の左右に『始まり』と『終わり』の意味を与えて、ばっさり話をカットしている。こういうことができるからアニメは面白い。
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 几帳の"アオリ"。几帳の奥のえるが奉太郎よりも強く描かれている。豪農千反田家のご令嬢、千反田えるの権力の強さがこのカットからよくわかる。える姫から奉太郎は伝言を賜る。
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 伝言を伝えると、一斉に皆が動き出す。えるの一言で混乱が治まったことに奉太郎は驚く。


省エネ主義崩壊

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 生き雛祭りが始まる。建物からお化粧したえるが出てきて、奉太郎は見とれてしまう。
「ああ、しまった。良くない。これは良くない。たぶん、何としても俺はココに来るべきではなかった。俺の省エネ主義が致命的に脅かされている」
 人に恋をすること。それは省エネ主義から最も遠いところにあるもの。
「千反田が見えない。千反田が見えない。気になる気になる。今もし紅を差し、目を伏せている千反田を正面から見られたら、それはどんなにか・・・」
 奉太郎はえるへの恋を自覚する。
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 無事生き雛祭りが終わる。2人で帰るえると奉太郎。奉太郎に夢を語るえる。
 季節は春。舞い散る桜と夕日の光に照らされながら、物語は幕を閉じるのだった。

 私にとっての「氷菓」は、千反田えるを愛でるアニメだった。えるの一喜一憂の表情に癒された。ストーリーについてはあまり誉めた記憶がないが、演出について考えるのが楽しかった。
 1番印象に残っている回は14話。摩耶花が箸でかき揚げを掬い上げたシーンが、このアニメで一番心躍った瞬間だったように思う。
 来期の京アニ新作は中二病。はたしてどんな作品になるのか。私、気になります。