2011年02月25日

『レイチェル・カーソンの感性の森』26日から渋谷・アップリンクで

【PJニュース 2011年2月11日】「彼女がいなければ、環境運動は始まることがなかったかもしれない」と、アル・ゴア元アメリカ副大統領はいった。彼女とは、 1960年代に、農薬などの化学物質の危険性を告発した『沈黙の春』の著者、レイチェル・カーソンである。彼女の晩年を描いた映画、『レイチェル・カーソンの感性の森』が、渋谷・アップリンクで26日から始まる。

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映画は、レイチェルの死後刊行された遺作『センス・オブ・ワンダー』がベースになっている。センス・オブ・ワンダーとは、神秘さや不思議さに目をみはる感性のこと。同書は、1956年、彼女が49歳のときに書いた論文「あなたの子どもに驚異の眼をみはらせよう」を本にしたもので、1964年に出版された。

「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないのです。 ―レイチェル・カーソン
レイチェルを演じるのは、カイウラニ・リー。彼女は、レイチェルの最後の一年を描いた一人芝居『センス・オブ・ワンダー』の脚本を執筆、レイチェル役を演じてきた。スクリーンでは、レイチェルが甥のロジャーとメイン州の海辺の別荘で過ごした日々を中心にドキュメンタリータッチで再現している。カイウラニ演じるレイチェルは、インタビューに答えるように、ロジャーのこと、母親のこと、『沈黙の春』を出版するまでの経緯や、化学業界などから受けた攻撃について語る。

害虫駆除の効果は広く知られていました。でも誰もその危険を警告しませんでした。毒物の集中砲火が地球の生命に対して脅威を与えないことがあり得るでしょうか。
―レイチェル・カーソン


環境汚染の会議を風邪で欠席したレイチェルについて、ある新聞記事は“沈黙の春の著者が風邪で沈黙” と見出しをつけた。自分の風邪が新聞の見出しになるなんて大統領なみだと笑うレイチェルだが、誹謗中傷に傷ついていたことは間違いない。批判記事を目にした日は、一日中気分が重い。それでも、夜になれば、気持ちも落ち着くだろうと語る。

レイチェルは、末期ガンと闘っていたが、公にすることはなかった。自分のガンに関心が集まるより、『沈黙の春』への関心を高めたいと思ったからだという。

小さい頃から作家になるのが夢で、科学者になるつもりはありませんでした。でも、大学でしぶしぶ選択した生物学が人生を変えました。 ―レイチェル・カーソン

印象的だったのが、「作家が主題を選ぶのでなく、主題が作家を選ぶ」というレイチェルの言葉だ。大学時代、必須科目で受講した生物学に魅せられたレイチェルは、周囲の猛反対をふりきり、専攻を文学から生物学に変えている。当時、女性が生物学の分野で活躍するのは難しかった。海洋生物学で修士号取得。その後、「初級水産生物学者」採用試験にトップで合格し、唯一の女性合格者として漁業局に就職した。

在職中に『ボルティモア・サン』『アトランティック・マンスリー』に執筆。レイチェルの最初の著作『潮風の下で』(1941年 41歳)の出版の足がかりになった。その後、『われらをめぐる海』(1951年 44歳)がベストセラーになり、役所を辞めて執筆活動に集中することに。『海辺』(1955年 48 歳)とともに、これらは海の三部作といわれている。

大学で文学を専攻していたころに習得した作家としての技量と、海洋生物学の専門知識と、自然へのあくなき興味を持ち続けていたレイチェルは、『沈黙の春』を書くために選ばれた人物だったのかもしれない。

レイチェル・カーソンは雲の上の人か、身近な存在か―。
レイチェルの『沈黙の春』が引き金になって、後の米政府がDDT使用禁止の法律を制定させたように、クリストファー・マンガー監督は、映画をつうじて「一人の人間が、世界を変えられる」ということを伝えたかったといっている。

監督のこの思いと、レイチェルを18年間演じてきたカイウラニーの存在が、映画を見る私たちとレイチェルの距離を感じさせない作品になっている。



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2011年02月12日

「大手メディアに取り上げてもらえない映画」 鎌仲ひとみ監督に聞く

PJニュース 2011年2月12日この記事からのつづき

スウェーデン撮影中の鎌仲監督s

スウェーデンで撮影中の鎌仲監督。取材を受けているパー・レッヴィンさんの自宅の電気は風力発電だけで賄う選択をしている。自家用電気自動車も風力だけで充電しているそうだ。(写真提供:鎌仲ひとみ監督)

-地方から東京へ押し寄せてきた映画とは、どんな意味でしょうか。

「中央から地方に政策などをおろしていく流れの逆をいくという意味です。金沢や山口で自主上映会が行われ、東京のユーロスペースでの上映が決まった、この動きのことです。実は、『ミツバチの羽音と地球の回転』は、映画のテーマに壁があるので、大手メディアに取り上げてもらえないのです。電力会社という(大手メディアの)日本最大のスポンサーが、この映画を、多くの人に見てもらいたいと望んでいない現実があって、それが、 多かれ少なかれ、なんらかの障壁になっているので、祝島のことも伝えられていない。様々な壁があるので、口コミで宣伝しています。ブログに書いてもらったり、ツイートしてもらったり、アンダーグランドなメディアに載せてもらうことで、「こういう映画があるんだ」という発信を広げていき、上映の機会につなげています。そのほうがいいかもしれないです。なぜなら、(今日のように)試写会を行っても、大手メディアの方はいらしゃらないですし」

-試写状を大手メディアにだしても、誰も来ない?

「はい。なので、こんな閑散とした試写になってしまうんです」

-媒体に載せる・載せないは別にして、まず映画を見ようというのもないのですね。

「残念です。ネットをしない人も絶対数いますから、そうした層にも情報を届けたいのです。そこに障壁があると感じています」

-今まで地方でやってきた上映会では、ネットをやらない方々にも、アピールできたのでしょうか?

「地域のなかに自主上映をする主催者が入っていて、前売り券を一枚一枚 手売りするんで、草の根の上映運動が、地域社会の毛細血管にまで入っているという感じです。これまでに、65ヶ所くらいで、12,000〜13,000人くらいの方が見てくれました。最初のお披露目のときは、3回の上映で1200人。鎌倉の連続上映会では、3ヶ所で1000人でした。鎌倉での上映後、『天然生活』という雑誌が、上映会の特集記事を掲載してくれました。いわゆる「エコ」な雑誌のほうが感度が高いようです」

【了】

■映画に寄せられたコメント
「気付いた人達が確かな行動を起こしている。その事実に出会うとき、私達は知恵と勇気を分けてもらえる。そして、野花を小瓶に飾るユーモア。今、この国にとって最も重要な映画だと思います」UA(歌手)

「アソコガ ワカレメダッタ・・・と30年後に言われそうなキワドイところに僕たちは今いるような気がしてなりません。だから今この映画・・・なのだと思います」藤村靖之(発明家/非電化工房代表)

「ミツバチの羽音と地球の回転」公式サイト

■2011年2月19日より 渋谷・ユーロスペースにて、未来を作るロードショー!

毎週土日は12:40の回上映後にトークショーあり。

2月19日(土)ゲスト:鎌仲ひとみ監督
2月20日(日)ゲスト:Candle JUNEさん(キャンドルアーティスト)、鎌仲ひとみ監督
2月26日(土)ゲスト:中沢新一さん(人類学者)、鎌仲ひとみ監督
2月27日(日)ゲスト:鎌仲ひとみ監督
3月5日(土) ゲスト:堤未果さん(ジャーナリスト)、鎌仲ひとみ監督
3月6日(日) ゲスト:上杉隆さん(ジャーナリスト)、鎌仲ひとみ監督
3月12日(土)ゲスト:池田香代子さん(翻訳家)、鎌仲ひとみ監督
3月13日(日)ゲスト:飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所所長)、鎌仲ひとみ監督
(渋谷・ユーロスペースのサイトより転載)



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2011年02月11日

「エネルギー問題に当事者の声を」 鎌仲ひとみ監督に聞く

PJニュース 2011年2月11日】山口県・祝島(いわいしま)とスウェーデンで、エネルギーの自立に取り組む人々を追った映画『ミツバチの羽音と地球の回転』(鎌仲ひとみ監督)が、2月19日より、 渋谷・ユーロスペースで始まる。『ヒバクシャ―世界の終わりに』、『六ヶ所村ラプソディー』に続き、鎌仲ひとみ×グループ現代が世に問う<三部作>の、最後のピースだ。

カメラが追った先は瀬戸内海に浮かぶ祝島(いわいしま)と、スウェーデンのオーバートーネオ市。中国電力が進める上関原発予定地の約4キロ先に位置する祝島の島民は、28年間、海を埋め立てる原発建設を阻止しよう闘ってきた。島では海藻や鯛がとれ、昔ながらの無農薬のびわ栽培が営まれているが、原発の建設が進めば、こうした生活は一変させられてしまうかもしれない。一方、オーバートーネオ市は、風力や太陽光といった、地元にある資源で地域自立型のエネルギーづくりを目指す町の一つだ。

対照的な祝島とオーバートーネオ市。二つの地域が、同じ映画のなかに共存することで、問いかけるのは何か。鎌仲監督に聞いた。(インタビュー日2010年12月16日)

鎌仲ひとみ監督s

「40年以上も日本のエネルギー政策は原子力を推進し続けている。そのような大きな力にどう向き合うのか、私たちは今こそエネルギーを選択しなければならない」と語る鎌仲ひとみ監督(写真提供:鎌仲ひとみ監督)

スウェーデンのエネルギー政策
-オーバートーネオ市は、スウェーデンのエネルギー政策と、同じ方向を向いている町という理解でいいでしょうか。

「そうです。風力、バイオマスなどを使い、電力の半分を自然エネルギーでまかなっています」

-祝島は日本政府の原発推進の方向と違う方向に進もうとしているわけで、オーバー トーネオ市とスウェーデン政府の関係とは違います。それぞれのコミュニティは持続可能な方向を目指している点では同じですが、国家まで見ると、違った力学がそこにはありますね。

「はい。でもさらに上からみると、世界が未来に進んでいく方向と、二つのコミュニティは同じ方向を見ていると思うのです」

-なるほど。それが、タイトルの「地球の回転」という言葉に、つながるのでしょうか?

「そうです。地球の回転自体が、使ってもなくならない自然エネルギーの源になっていることもあります。単に、風がふいているだけだと思っていたことが、エネルギーの集積だということに気がつけば、それを利用する発想になっていくと思うのです」

-映画完成後、スェーデンの状況の変化は?

「基本的には、脱原発に向かっていますが変化がありました。現在、スウェーデンに原発は10基あるのですが、これ以上は増やさないというのが基本で、これは変わっていません。ただし、このうちの1基が廃炉になり、電力会社が建てたければ、政府は止めない、というように変わりました。しかし、エネルギー庁長官は、建てられないだろうといっています。建てることを無理矢理止めはしないけれど、その代わりに援助もしない。なにか問題が起きたときは、無制限の補償を電力会社がするというルールをつくってあるからだと。資本主義社会でもあり、民主主義の社会において、それを止めておくのが不自然だともいわれていました。日本は、原発で何かあっても、電力会社の補償は500億円だけなんですが、それで事故が補填できるはずはありません。日本はすごく甘いです」

-電力自由化の話で、映画にでてきたスウェーデンの男性が、日本では消費者が使いたい電力を選べないと聞いて、驚いてる表情が印象的でした。

「日本では、電力の選択肢に消費者の力が示せないわけで、原発がいやだと思っても、原発の電気を買い続けなければいけないというジレンマに陥ってしまうのです。10年前にもちあがった自由化の話は、なし崩しにさせられてしまって。海外からは、「ガラパゴス」といわれ、エネルギーの構造改革ができず、評価が下がっています」

「またスウェーデンは、国よりも県、県より市、市より町、町より村、当事者が決定権を持つようになっています。祝島の人たちは、当事者としての意思が尊重されるべきなのに、それが踏みにじられているのは、おかしいんです」

-祝島がもし自立できたとしても、海が続いている限り、常に近隣コミュニティの影響を受けてしまうのでは。となると、祝島が独立し、自治権をもつことが解決にはならないとも思うのですが。

「それはそうなんですが、自分たちの意思が尊重されるべきです。また、自立することによって、エネルギーの安全保障がうまれてくると思うのです。原発の問題がなくても、祝島が直面している過疎の問題、高齢化の問題、地域経済が破綻する不安など、そういう問題があって、上関町は原発をひっぱりこんだのですが、もし自分たちで発電できたら、電気代は払わなくてもいいし、その電気代の収入を地域おこしの参入にあてることもできます。今、日本のいくつかの地域は、このことに気づきはじめているのです。それを阻んでいるのが、エネルギーの独占なんです。【つづく

■関連情報
■映画に寄せられたコメント

「生存権の一つとして、何によって作られた電気を使うか、核なのか、風なのか、太陽の光なのか、選ぶ権利があるはず」坂本龍一さん(音楽家)

「祝島と原発建設予定地の距離は、死の街プリピャチとチェルノブイリ原発の距離とまったく同じ3.5キロ。この映画からは、島の人々が何を守ろうとしているのかが、静かな風のように伝わってくる」広河隆一( DAYS JAPAN編集長)

「ミツバチの羽音と地球の回転」公式サイト

■2011年2月19日より 渋谷・ユーロスペースにて、未来を作るロードショー!
毎週土日は12:40の回上映後にトークショーあり。

2月19日(土)ゲスト:鎌仲ひとみ監督
2月20日(日)ゲスト:Candle JUNEさん(キャンドルアーティスト)、鎌仲ひとみ監督
2月26日(土)ゲスト:中沢新一さん(人類学者)、鎌仲ひとみ監督
2月27日(日)ゲスト:鎌仲ひとみ監督
3月5日(土) ゲスト:堤未果さん(ジャーナリスト)、鎌仲ひとみ監督
3月6日(日) ゲスト:上杉隆さん(ジャーナリスト)、鎌仲ひとみ監督
3月12日(土)ゲスト:池田香代子さん(翻訳家)、鎌仲ひとみ監督
3月13日(日)ゲスト:飯田哲也さん(環境エネルギー政策研究所所長)、鎌仲ひとみ監督
(渋谷・ユーロスペースのサイトより転載)

■祝島で、エネルギー自給率100%をめざす「祝島自然エネルギー100%プロジェクト」が始まっています。



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2010年01月17日

映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』のサム・ボッゾ監督インタビュー(下)

ブルーゴールド

1月16日より、渋谷アップリンク、ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか、全国順次公開。配給:アップリンク


(上)からのつづき。

メキシコの国境近くでの撮影は、番人の買収などもしたと聞いていますが。

その通りです。メキシコのある地域では、川の番人を買収できれば、政府が下水を農業用水に使っているところを撮影できると教えてもらいました。撮影に反対しそうな番人を20分だけ、他のことに気を向けさせるから、その間に撮影をしろというのです。「もし20分を越えてしまったら?」とたずねると、私の体が川に浮かぶだろうと言われました。この瞬間が、私にとって、映画の転換点だったと思います。

メキシコのシーンは映画では4分だけですが、身の危険を感じながら、自分の息子のことを考え、これはちゃんと撮らなければならないと、覚悟を決めた瞬間でした。

他に大変だったシーンはありますか?

ジョアン・ルートというドキュメンタリー映画作家が殺害された現場の写真を、地元の警察から借りてくるようガイドに頼んだところ、青ざめた顔で戻ってきて、今すぐこの街を離れるべきだというのです。

ジョアンは、湖の水がヨーロッパに輸出されているバラの栽培に使われ、湖が枯渇してしまうことに危機感を募らせ、そのことを映画にしようとしていたのです。ガイドは、地元の警察は犯人から賄賂をもらっているから、すぐにここを離れたほうがいいというのです。

映画の公開後であれば、何が起きても、映画の宣伝になるのでいいのですが、撮影中に何かあれば、撮影を中断しなければなりません。私は殺害現場の写真をあきらめ、映画では、彼女が暮らしていた部屋のイメージを代わりに使いました。

ヨーロッパに輸出されるバラのシーンでは、フェアトレードのバラが使われていますが、その意図は?

あの映像は、ロンドンにいるカメラマンに花の映像をお願いしたところ、提供された映像の一つなのです。正直な話、特にフェアトレードを意識的に選択したわけではないのですが、観ている人には、何らかの意味をもたらしているようで、実に興味深い質問です。

「フェアトレード」と聞けば、生産者に公正な賃金が払われているといったことが頭に浮かぶと思いますが、輸入されるバラの背景には、生産地の水を搾取しているという、一種の皮肉があります。儲けるためにバラを輸出し、湖を涸らしてしまっていいのでしょうか。

「フェアトレード」と聞いただけで、思考停止に陥りやすいことに気づかされました。

これは、ペットボトルの水も同じで、健康にいいといったイメージの背景には、水がビジネスとして商品化されている皮肉があるのです。

日本企業の水ビジネスへの参入については

日本の素晴らしい技術を、水の浄化や、マネージメントの改善に提供するのはいいと思います。しかし、水の権利を取得し、巨大な権力を得てしまうと腐敗をまねくでしょう。ですので、技術の供給であれば、問題ないと思います。

水に関して言えば、排出より浄水コストが高いことから、利益追求を優先する企業の場合、浄水のコストカットをするかもしれません。となると、きれいでない水を流すという下降スパイラルを進むことになります。

これから映画を観る人に一言

石油紛争と水紛争の大きな違いは、石油には代替エネルギーという他の選択肢があるのに対して、水には、他に代わる代替品がないという点です。水の確保は生存の危機にかかわる問題ですから、こうした情報はもっと人々に知られるべきだと思います。映画を見た人は、ぜひ周りの人に伝えてほしいです。なぜなら、大衆の意識が、政治的な変化を起こしていくからです。【了】

■関連情報
『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』公式サイト



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2010年01月16日

映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』のサム・ボッゾ監督インタビュー(上)


サム・ボッゾ監督

サム・ボッゾ監督(撮影:奥田みのり、1月13日)


【PJニュース 2010年1月16日】きょう1月16日から渋谷アップリンクほかで公開中の映画『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』は、世界中で起きている様々な“水紛争”の現実に迫るドキュメンタリー映画だ。

日本は水に恵まれているから水不足とは関係ないと考える人は多いかもしれないが、年間降水量の多い日本における一人当たりの水資源量は、世界平均の4分の1でしかない。

森林伐採などにより地下水が減少する一方で、人口は増え続けている。そこに目をつけた企業や政治家は、水をめぐる略奪戦を繰り広げている。今や水は金になる「商品」なのだ。20世紀が“石油戦争”の時代だとしたら、21世紀は“水戦争”の時代になると言われるが、サム・ボッゾ監督は、「現実だが、必然ではない」と訴える。

4部から構成される本作品は、「淡水資源危機」から「政治の策略」「水戦争」そして最後の「進むべき道」まで、水が上流からか下流に勢いよく流れていくような一定のテンポを保ちながら、一気に流れていく。その先を描くのは我々に他ならない。

サム・ボッゾ監督インタビュー

水をテーマにしたのはなぜ?


当初、水がなくなった地球を舞台としたSF映画を撮ろうと考えていたのですが、書籍『「水」戦争の世紀』(モード・バーロウ、トニー・クラーク著)を読んで、今地球で起きていることを撮らなければという思いを強くしました。

水には政治的な力があります。映画では、軍が外国の帯水層や湖のそばに基地を作っていることや、大統領や市長が水会社と取引をし、自分らの権力を強めていることなどを追求しました。

アメリカ・ミシガン州では、五大湖は市民の財産だと主張した市民に対して、企業がスラップ訴訟(威圧的訴訟)を起こし、アフリカの飲み水がない地域では、企業はボトル水で利益を得ています。

国連は92年に、水を商品だと定義しているのです。「ミレニアム開発目標」には、水の汚染や地下水利用の抑制は含まれていません。

人類の生存に関することでありながら、あまりにもこうした情報が知らされていない。私はこの映画で、これは生死のかかった問題であるということを提起したかったのです。

様々な飲料水メーカーを取材していますが、各社の対応の違いは?

コカコーラ社は、取材の二カ月前に質問状を送り、直接担当者が取材に応じてくれました。

ベェオリア(Veolia)社とスエズ(Suez)社は、取材に応じると返事をもらっていましたが、取材先のパリに到着すると、キャンセルされてしまい、建物のみの撮影となりました。

ネスレ(Nestle)社は2時間の電話取材に応じてくれました。その後、「リリースフォーム」にサインをお願いしたのですが拒否されたので、映画では、音声を変えています。

私は、「アンチ腐敗」ですが、決して「アンチ企業」ではありません。企業の声を紹介したいと思っていました。ですから、発言内容はともかく、コカコーラ社が取材に応じてくれたことは嬉しかったです。

映画では、水をビジネスにしている企業が、クリーンなイメージを維持するため、社名を変えて活動していることが明らかにされています。ボッゾ監督は取材時、すでにこの事実をつかんでいたのでしょうか?

いいえ。リサーチを進めていくなかで知りました。

『「水」戦争の世紀』にビベンディ(Vivendi)という名前で登場していた会社が、後にベェオリアに社名変更をしたことを知りました。アトランタでは、ユナイテッド・ウォーター(United Water)社を取材する過程で、この会社は以前スエズと名乗っていたことに気付いたり。企業の評判が悪くなり社名を変えることは、珍しいことではないようです。

【つづく】

■関連情報
『ブルー・ゴールド 狙われた水の真実』公式サイト



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2009年11月03日

水俣病とむきあったチッソ第一労働組合 法政大で資料展示 8日まで

第一組合展示法政大


【PJニュース 2009年11月3日】水俣病の公害発生企業の労働者として「何もしなかったことを恥とし、水俣病と闘う」という有名な「恥宣言」を発表し、水俣病患者の支援を行ってきたチッソの第一労働組合。組合が解散した2005年3月30日までの59年の歴史を振り返る資料が、東京都千代田区の法政大市ケ谷キャンパスで8日まで展示されている。主催は熊本学園大学水俣学研究センター。

1946年に結成された第一組合は、62年に始まった安定賃金闘争中、安定賃金と引き換えに、争議を行わないと迫る会社に反発。会社の要求を受け入れる「第二組合」の誕生によって、第一組合員に対する差別的は配転などが行われ、組合の切り崩しに絶えてきた歴史を持つ。また、従業員の新規採用を第二組合系の人に限るという会社の方針によって、第一組合への新規加盟はなくなり、退職者数の増加とともに、組合員数は減少。2005年3月30日には、最後の組合員2名が退職をし、59年の歴史に幕を閉じた。

第一組合が「恥宣言」を採択した68年は、市民らが水俣病の被害者を支援する「水俣病市民会議」を発足した年でもあった。宣言以降、水俣病患者・家族が起こした水俣病訴訟において、訴訟活動や、法廷での証言などを組合は行ってきた。こうした一連の動きは、公害の原因企業の労組の活動としては、稀有な活動だという。

組合解散後、資料の保管先が熊本学園大学・水俣学研究センターに決まると、元組合員有志らも資料整理に参加。ゼッケンや鉢巻などの物品資料、写真のほか、チッソと水俣病患者の協定書、組合員を対象にした健康調査など資料総数は約10万点におよぶ見込みだという。このうち約100点が展示されている。

展示品のなかには、組合切り崩しのため、会社トレイのトイレットペーパーにはさまれた第一組合批判のメモや、恥宣言を掲載した組合の機関紙「さいれん」なども含まれている。

近年、企業による労働者の切り捨てといった問題がクローズアップされるなか、労働組合への関心は高まりつつある。
「労働者はどうあるべきか、展示から読み取ってもらいたい」と元第一組合委員長の山下善寛さんはいう。

3日には、水俣に関する報道を読み解く映像シンポジウムが、8日には熊本学園大学教授・水俣学研究センター長の原田正純氏と山下さんを講師に迎えたシンポジウムも予定されている。

なお、同展示は、大阪人権博物館(11月17日〜)、熊本学園大学(12月7日〜)、水俣学現地研究センター(2010年1月8日〜)でも開催される。【了】

■関連情報
窒素労働組合60年の軌跡-水俣病とむきあった労働者
●東京展 2009年10月30日(金)〜11月8日(日)
会場:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー14F 博物館展示室
詳細: 熊本学園大学水俣学研究センター

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2009年04月30日

環境大臣の動向をチェックしよう(下)

水俣国会座り込み

与党法案に反対の座り込みをする水俣病不知火患者会(衆議院第二議員会館前で、撮影:奥田みのり)


(中)からのつづき。斉藤環境相が退席している最中のやりとりはこうだ。

 支援者が、「患者とひざをまじえて話しませんか」と環境省側に呼び掛けると、先ほどの司会者が、「本日はどうもありがとうございました」と終わりを告げるあいさつをした。そこで、再び支援者が、「原さん、お願いしますよ」と直接、原環境保健部長に呼びかけた。「(患者は)みんな苦しんでいるだから」と、他の支援者からも、話し合いに応じるよう声があがった。それに応えたのか、大臣退席後、原部長と、西尾事務次官他が残り、患者との話し合いは続けられた。

 「早期解決といっても、すでに公式確認から53年になるんですよ。これまで何もしてこなくて、なにを今さら『早期解決』ですか。いま求められているのは『本質的な解決』でしょう」と、支援者。

 確かにそのとおりだ。環境省は再三「水俣病の早期解決を」という理由を免罪符のように繰り返すばかりで、法案に納得していない患者の意見を取り入れる考えがないようだ。一体、誰のための救済法案なのか。誰を救済したいのか。

 「現地から東京まで出てきて、話を聞いてほしいと言っているのは、(法案を進める前に)そういう期間をとってもらいたいということです。どう思われますか」と弘津氏。

 原部長は、歴代の環境大臣が、5月1日の慰霊式に参加していることに触れ、大臣は水俣に行く機会があり、その際、患者と会うことができると回答した。それに対して、水俣病不知火患者会会長の大石利生氏はこう訴えた。

「大臣は水俣で患者と会う機会はあると言いますが、(今回のように)30分で、1団体が限られた短い時間内で話せといわれ、最終的には、『皆さんの意見を真摯(しんし)に聞いて検討します』と言って帰ってしまうのが落ちなんです。それなのに、なぜ、私たちはわざわざ、東京まで出てきて、今の実情を訴え、この法案ではいけないということを言わなければならないのでしょうか。大臣にしろ、部長にしろ、本当にやる気があるなら、現地に、水俣に来るはずです。それをしないで、ただ机上の案でもって、『被害者救済』をします、ときれいなことを言いますが、実質は知らないんでしょう」

 「いいかげんな言い方で、私たち患者をごまかそうとすることは、やめてください」と、憤る思いを訴えた。与党の救済案で救済されるべき当事者たちが、「この法案では救済されない」と言っている、奇妙な法案であることは間違いない。

 この日、患者らは大臣に会う前に、国会議員に意見を聞いてもらうため、議員会館で意見交換の場を設定していた。事前に与野党の議員に知らせていたが、救済法案を提出した与党の議員は一人も現れなかった。患者の話を聞かずして、法案化を進める議員とは、一体誰のための議員なのだろうか。水俣を訪問する時間がないのなら、患者らが国会に出向いたこの機会を利用して、当事者の話に耳を傾けるのが、国会議員のあるべき姿ではないのか。

 民主党は4月17日、独自の救済法案を国会に提出した。患者らが反対するチッソの分社化や、地域指定解除は含まれていない。

 こうした状況を踏まえて、今後、与野党での協議が行われていく。明日に迫った水俣病慰霊式に、斉藤大臣は参加するのだろうか。そして、患者らと話をする「十分な」時間を取るのだろうか。

 アミン説の清浦氏から何を学んだのか、斉藤環境相の資質が問われている。【了】


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環境大臣の動向をチェックしよう(中)

水俣斉藤環境大臣

斉藤環境大臣に与党案の撤回を求める患者11団体(左)(撮影:田尻雅美)


(上)からのつづき。2004年の関西最高裁判決で明らかになった、水俣病事件に対する「国の責任」について(注4)、この法案は一切ふれていない。国の対応を見ていると、チッソと水俣病被害者をつなぐ「仲介者」「仕切り役」としての第三者的な関わり方にしか見えないのだ。取るべき責任をあいまいにしたまま、国は、水俣病事件を終わりにさせようとしているのだろうか。最高裁判決以降、衆議院、参議院、内閣総理大臣、環境大臣は謝罪のコメントを発表したが、その後に続く、国の対応が、大きく変わることはなかった。

 日本弁護士連合会会長・宮崎誠氏は、今回与党が国会に提出した法案について、「本来救済すべき水俣病被害者を取り残したまま、水俣病問題を収束しようとするものであって、むしろ加害企業を擁護するための法案である」と、反対の立場を明らかにしている。

 こうした状況のなか、斉藤環境相を前に患者支援者から「国の責任なんて、この与党案にでてこないじゃないか」と質問されると、タイミングよく環境省の司会者が「そろそろ時間がまいりましたので、ここで終了させてください」と、質疑を中断。すかさず、「話が終わってないでしょう」と支援者が待ったをかける展開となった。

 環境省側の答弁にしびれを切らした支援者の以下の発言が、この場の空気を一気に緊張感のあるものにした。

「大臣は東京工業大学出身ですよね。清浦雷作さんという方、ご存じですよね。彼がやったのはアミン説ですよ(注5)。これと匹敵するくらい、この法案は(水俣病事件を)ごまかしているんですよ。これは、本質をはぐらかしています。きちんと水俣病の本質を見て、解決策を考えてください」

 斉藤環境相はこう回答した。「私は(大学)卒業後、民間企業に入りましたけど、まさにそのときに、科学や技術は誰のためにあるのか、何のために学ぶのかということを、水俣病や、科学界の大御所だった方(清浦氏)が私の大学にいたということに対して、真剣に議論しました。そのことが、その後の私の技術者としての生き方に非常に大きく関係しているということだけは、お話をさせていただきたいと思います。皆さまからのお声を聞きましたので、しっかりと皆さまの声に対して、全面解決にむけて、最終解決にむけてがんばっていきたいということだけ、お話をさせていただきたいと思います」

 この発言の後、大臣は退室した。【つづく】

注4:最高裁判決では、国と熊本県の責任が確定している。

注5:清浦教授らが水俣病の原因としてアミン説を発表し、有機水銀説を否定。原因の解明に混乱をきたした。

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環境大臣の動向をチェックしよう(上)

水俣メモリアル
かつて「水俣病犠牲者慰霊式」の会場として使われていた水俣メモリアル(撮影:奥田みのり)


 水俣病が「公式」に確認されてから明日、5月1日で53年目となる。毎年1日には、水俣市で水俣病犠牲者慰霊式が行われおり、今年もその予定に変わりはない。

 注目されるのは、斉藤鉄夫環境大臣の動向だ。4月17日付けの熊本日日新聞には、「(国会の日程が許せば)ぜひ参加したい」と述べたとある。「参加する」と断言はしてはいないため、果たして1日、斉藤環境相が水俣入りするのか、注目されるところだ。

 現在、「公害・環境問題の原点」といわれる水俣病事件は、多くの人の関心にのぼらないまま、政府によって幕引きされる危機にある。だからこそ、多くの人に、明日の斉藤環境相の動向に関心を持ってもらいたいと思っている。

 水俣病被害者は今、与党が国会に提出した「水俣病特措法案」に大きな衝撃を受けている。なぜなら、同法案は、原因企業チッソの分社化(注1)や、公害指定地域の解除(注2)が、被害者救済と抱き合わせになっており、「まるでチッソ救済の法案ではないか」「水俣病患者の救済からはほど遠い」と、患者団体らが賛同しがたい内容であるからだ。

 この法案が患者関係者に与えた衝撃は大きかった。これまで立場や考えの違いで共に行動することのなかった患者団体が、「同時多発的に、これはまずいと思ってしまった」(水俣病患者連合事務局・弘津敏男氏)と表現するほど許しがたい内容だったのである。与党が国会に法案を提出したのが3月13日。25日には、水俣病事件史以来初めて、11団体が連名で分社化と地域指定解除の撤回を求める声明を発表した。

大臣 患者の話を聞いてください

 4月15日、患者団体らは斉藤環境相に陳情するために上京した。大臣が患者らに用意した時間は30分。環境省の西尾哲茂事務次官と原徳壽環境保健部長らが同席した。

 大臣に伝えたいことはたくさんあるが、時間は限られている。11団体の代表は、1分程度でそれぞれの思いをぶつけた。「現地調査も行わず、なぜ救済法案がでてくるのか」(注3) 「患者の切り捨てだ」「分社化には反対」といった訴えが続いた。

 斉藤環境相は患者らの意見を聞き、「皆さまの思いに対し、できる限りの努力をしていく」と発言をした。しかし、最後まで、患者らが望むような、法案の撤回や、現地調査を行うといった言葉は出てこなかった。

 この後、場面は一気に緊張感を増す。【つづく】

注1:チッソを親会社(水俣病事件補償問題担当)と子会社(水俣病事件とは無関係)に分社化し、利益を上げている液晶化合物の製造・販売部門を子会社に移行。そこで得た利益を、親会社は補償金に充てる。子会社の業績のいい時期を見計らい、親会社は子会社の株を売った利益を補償にまわし、自らは廃業する。加害企業の消滅で、チッソを被告として係争中の裁判の継続は不可能になる。

注2:水俣病患者の認定や補償を定めた公害健康被害補償法を根拠とする地域指定が解除されると、以後、患者の認定・補償が一切行えなくなる。

注3:患者団体らは、不知火(しらぬい)海沿岸住民の健康調査を希望しているが、国は応じていない。

pj_mokuda at 07:00|Permalinkclip!

2009年04月22日

『路上脱出ガイド』でホームレス支援=東京

http://news.livedoor.com/article/detail/4121083/

20090420bigissue guide small【PJ 2009年04月22日】− 路上生活から脱出するために必要な情報を集めた『路上脱出ガイド』東京23区編が完成し、20日、日比谷公園で配布が行われた。発行は、NPO法人「ビッグイシュー基金」とNPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」のほか、ホームレス支援団体や、市民が参加している「路上脱出ガイド作成委員会」が行った。ガイドは、「食べるものがないとき」「体調がわるいとき」「仕事を探したいとき」「生活保護の申請について」など、8項目からなる。5000部を都内各地で無料配布していく。

 もやい代表理事の稲葉剛さんは、「ガイドのタイトルに、『住まいがなくて困っているあなたへ』とあるように、路上生活者だけでなく、ネットカフェで寝泊まりをしている人など、広い範囲の人を対象にしています。こうした人が使える社会的なサービスをまとめました」と話す。

 1月、同ガイドの大阪編を配布したビッグイシュー基金によると、「当初、2000部で足りると思っていましたが、あっという間になくなってしまい、2000部増刷しました。半分は市民からの身近なホームレスに配りたいという問い合わせでした」(同基金理事長・佐野章二さん)

 「ホームレスが身近に増えつつあるなか、社会制度や企業の責任、支援団体などを通じた解決もありますが、市民を含む社会全体で、この問題を考えることが重要」と佐野さんは言う。

 稲葉さんは、「何かできることはないかという問い合わせは多く、中には、どうやって路上生活者に接していいかわからないという相談もあります。ガイドを寝ている人のそばに置くだけでも、助けになります。お寺や教会からも配布したいという問いあわせがあります」とガイドの普及に期待を寄せている。

 ガイドの配布や、相談活動にかかわりたいという人を対象にした、ボランティア講座も行われる。詳しい情報はビッグイシュー基金のウェブサイト「『路上脱出ガイド』ボランティア講座のお知らせ」に掲載されている。

 また、大阪でガイドを配布してから3カ月で、ホームレスだけが販売することができる雑誌『ビッグイシュー日本版』の販売者になりたいと、30〜40人が問い合わせてきたそうだ。現在、ビッグイシューでは、新しい販売場所の開拓も行っており、人通りの多い交差点など、販売ができそうな場所について情報を求めている。【了】


ビッグイシュー日本版
特定非営利活動法人 自立生活サポートセンター もやい



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