2016年01月15日

今日はブロークンTVのリハーサル。
タマちゃんの体調は回復し本日メンバーが全員揃う。
やはり5人メンバーが揃うとなんだか安心するね。

というわけで来週のライブのための練習です。
新曲も含めてガンガン曲を演奏していくが、慣れた曲に関してはすでにフレーズ的にもできあがっているので、僕は新たな可能性を探すために違うフレーズを叩いてみたりする。
乗ってくると多少実験的ともいえるフレーズを混ぜてみたりする。うーん楽しい。

実は僕はそのようにして新しいフレーズやテクニックを練習しているようなところがある。
当然頭で考えたフレーズが実際にできないこともあるから、それは曲と曲の間で練習する。
その曲で使わないフレーズだったとしてもかまいやしない。別の曲でそのフレーズが採用されることもあるからだ。(しかし複雑なフレーズなどは何年も使えないでいるものもあるけど)

とにかくじゃんじゃん曲を演奏して本番への気運を高めていく。
メンバーもみんな盛り上がっておりました。

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2016年01月14日

毎日寒いけれど、スーパーには足繁く通います。
おいしいものを食べるのが大好きですが、それには自分で作った方が早いもんね。
というわけで今年もミキッチンは絶好調ですよ。

IMG_8139正月の玉子焼き。
今年はおせち料理的なものはなにも作らなかったんだけど、雰囲気はそれらしくやりたいとかね。







IMG_8135明太子と三つ葉。
これも正月。
完全に手抜きではありますがこういうのが妙にうまいのです。





IMG_8105新春パスタはジェノベーゼ風から。
バジルのさわやかさとナッツの香ばしさ、そしてパルメザンチーズのコク。
しょっぱなからなかなかの傑作を作っちゃいました。







IMG_8146インド的な料理も作ってみたり。
クミン、ターメリック、コリアンダー、ガラムマサラなどのスパイスを混ぜ込んで刺激的な香り。








IMG_8222まぐろ納豆。
納豆ってとてもおいしい。
最近はひきわり納豆がブームです。
料理に合わせるならくせがないのでとてもいい。




いやあ、料理って楽しいねぇ。











2016年01月11日

ニュースでデビッドボウイが亡くなったと聞いた。
これには僕も少なからずショックを受けた。

実のところ、僕はあまりデビッドボウイに夢中になったことはない。
彼のルックスやセンスは素晴らしいと思っていたが、曲は以外にも真っ向勝負できちんとしていて、思う以上に地味だ。
僕は少々ねじれた音楽が好きだったから(実際にちゃんと聴くとボウイもかなりねじれているのかもしれないが)嗜みとして何枚かのアルバムを持ってはいるが穴が空くほど聴いたというわけではない。
それでも音楽界に大きく斬新な足跡を残して来た人だということは重々承知していたし、やはり70年代からのムーヴメントを牽引し、支えてきた人には違いない。
それほど彼の音楽に傾倒していなかった僕としても、一抹のさみしさを感じるのである。

小さい頃、同じように有名な俳優さんや音楽家が亡くなるとニュースで報じられたが、僕が生きている世界とは全然違うところで起こっていることのようだった。僕は亡くなった人のことをさほど知らないし、それよりも僕の目の前には自分についての問題が山ほどあった。

しかしこうして同時代を共に進んで来た人が亡くなったとなると話は違う。僕とデビッドボウイはどこかでささやかに繋がっていたはずだし、それは絆というほど強いものではないかもしれないが、やはりリスペクトしていた人がこの世からいなくなるという現象は、まるであたりが無重力になったような気分にさせられる。

デビッドボウイは2日前にニューアルバム「ブラックスター」をリリースしたばかり。
まるで遺言のように音楽を残してこの世を去った。
あまりにも大きな「星」の喪失ではあるが、最後に作品を残せたというのはミュージシャンにとって、とても冥利に尽きることではあるまいかと思う。
ボウイさんはアルバムがみんなの元に届くことに安堵して、優しい笑顔と共にあの世に旅立ったと思いたい。

デビッドボウイさんに哀悼の意を捧げます。

2016年01月10日

なんとなく早起きしてみた。
それにしても新年明けてからいきなりリハーサルなどがたて続けに入っていてなかなか忙しい。
どのバンドも精力的に活動している。それはとてもいいことだ。

IMG_8198朝から力をつけるためにインスタントで「ちからラーメン」を作ってみた。
お餅入りのラーメンである。
そういえば正月といえば風邪をひいているのが例年の僕の習慣だったが、今年はうまい具合に調子がいい。やはり厄年を超えたからな。ラーメンうまい。

今日は午前中からのリハなのですばやく準備し新宿のスタジオへ。
空気がピリリと引き締まっていてとてもいい。

メンバーに挨拶。さわい君は今年お初ですな。明けましておめでとう。

IMG_8200さて、1/23のライブに向けて曲の練習である。
全員で音を出してみると新鮮な驚きあり。
午前中だからかシンバルが輝くようにいい音がする。
多分まだ耳がフレッシュなんだろうな。
普段は気づかないが、一日過ごしていると耳もやはり疲労するのだろう。
そういう「違い」がわかるというのはなんとなく自分のレベルが少し上がったような気がして嬉しい。
キラキラと響くシンバルの高音域に酔いしれながら楽曲を練習します。

沖野さんの曲はバラエティーに富んでいていろんなカラーがある。
それぞれの物語を享受しながらドラマーとして礎になるべく演奏するのが楽しい。

充実したリハーサルを終えてメンバーとお別れ。
まだ昼過ぎだもんな。
なにして遊ぼうかな。
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2016年01月09日

IMG_8189新年明けてから続々とバンドが活動を開始する。
今日は恥御殿バンドのリハーサル。

1/16に新宿ロフトで開催される「さるハゲロックフェスティバル2016」に参加するのです。
歌い手で恥御殿の主人である順子さんは現在妊娠9ヶ月め。
出産を間近に控え臨戦態勢であるのに、それでもステージに立とうという気合いがすごい。
表現するという欲求に素直な順子さん。それはもう頭が下がる思いなのです。

そんなわけで今回新曲はやらず、今までに演奏したことのある曲ばかりが選ばれた。
それでもいずれも骨のある難曲ばかり。毎度のことながら手応えあります。

あけましておめでとうございますと挨拶。
順子さんのお腹は大きく、元々痩せている人だからその姿は洋梨のようだ(笑)
とにかく気をつけてねといいながらセッティングする。

今回もメンバー全員は揃わない。
恥御殿にとってメンバーが全員揃うというのは奇跡的なことであり、最初の頃は「こんなので本番ちゃんとやれるのかしら?」と不安に思うこともあったが、何度もライブをやってきて今までにちゃんとやれなかったことが一度もないから、今はみんな安心と共にそれが当たり前のようになってきている。

一度やったことのある曲なので我々バンドメンバーはある程度完成形を想定してやっているが、ダンサーの女子たちは新しい振り付けで踊りを踊るようで、スタジオの隅でちょこちょこと身体を動かしていた。相変わらずみんな愉快で可愛らしいのである。

リハーサルを終え解散。
スタジオの前でみんなとお別れしたのだが、そうか順子さんは転ぶことさえ許されないのか。
ダンサーのみんなが、
「絶対にこけないでくださね!!」
と心底心配そうにいっているのを聞いて初めて気がついた。
移動するだけでも一大事だというのに、この人はステージでショウタイムをやろうとしてるんだもんな。
すごいことだよ。
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2016年01月08日

本日は沖野さんのレコーディングです。
リミックスの曲を一曲録音します。
ベースの島田さんのプライベートスタジオで行われるのです。

ところで僕はじっとりと汗をかいている。
レコーディングするにあたって自分のシンバルを使いたいと思い、持って出かけたはいいがあまりにも量が多すぎた。ライドシンバルなんて1枚でいいのに3枚入っている。たかだか数100m歩くだけなのに何度も休まなければならない。腕がビリビリしびれている。こりゃドラム叩けるんだろうか。

息つきながら島スタに到着。
あけましておめでとうございますと挨拶。
メンバーはみな揃い踏みであったが、ギターのさわい君はお休みとのこと。
まあレコーディングだから日をずらしても録音はできる。

まずはみんなでお弁当をいただきます。
なんだかのんびりしていて非常によい。

お弁当を食べたらドラムの音作りから始める。
この音作りというのが最近とても面白い。
シンバルを選んで、それぞれのドラムをチューニングしていく。
シマスタのドラムセットは少し小さめなので、ちょっと高めに設定して自然な鳴りを大事にしたい。
シンバルは口径の大きめなサイズをチョイス。シャーンというよりはゴワーンとなる感じの方がノイジーで曲に合うのではないか。
イメージしている音に近づくととても気持ちがいいし、ぴたりとハマるととにかく嬉しい。

今日は島田さんと一緒にバンドをやっているドラマーの「ちょこ君」も来ていて、一緒にチューニングをしたのだが、さすがドラムの持ち主だけあってとてもスムーズに作業ができた。
僕が慣らしでドラムを叩いていると、なにか面白いフレーズを教えてほしいというので、クライフの「ハネムーンホテル」のパターンを伝授しました。難しいパターンだからすぐにはできないだろうけどね。叩けるようになるととても楽しいし他のパターンに発展させることもできるので、是非練習してみることをお勧めする。

ベース、ギター、キーボードもセッティング完了し、早速録音していきます。

沖野さんは録った音を聴いて的確なアドバイスをしてくれる。
音楽というのはイメージを喚起させるツールなのであって、ただ上手に演奏できればいいというものではない。しかし演奏する側はそういった具体的なイメージと実際に演奏しているテクニックに誤差が生まれることがあるから、いわゆる「ダメ出し」をしてくれる方が手っ取り早く「正解」に近づける。

沖野さんの指示を聞きながら、少々の修正を加え、何度めかのテイクでオーケーをいただく。
いやあ、重かったけどシンバルを持参してよかった。
ライブもだけど特にレコーディングはできるだけ自分の楽器で演奏したいからね。

IMG_8180パーカッションなどをオーバーダビングし、みんなでコーラスもして今日のレコーディングは終了。

今回もいろいろと勉強になりました。
できあがりを聴くのが楽しみなのである。

あ、シンバルは島田さんの家に置かせてもらうことにしました。
もうスティックより重いものは持てません。


2016年01月06日

今年の音初めはブロークンTVから。


IMG_8159スタジオに向かう前に100円ショップに寄ったら、色とりどりの腕時計を発見。
ブロークンTVはメンバーがそれぞれのカラーを担当しているのだが(僕はグリーンです)ちょうどその色が揃っていたのでなんとなくノリで買ってみた。

スタジオに到着すると続々とメンバーがやってくる。
あけましておめでとうと挨拶。
今日はギターのたまちゃんが体調不良でお休みらしい。
毎日寒いから体調管理は大事なのである。
腕時計をプレゼントしたらみんな喜んでくれた。
まあ100円だからね。喜び方もそれぐらいでしたが。

IMG_8164新年から新曲を作っています。
1月22日にはライブがあるので、演奏する曲も練習しなくてはならないが、タマちゃんがいないから少し寂しい。

ということでリハーサル後の写真にタマちゃんの姿はなし。
ブルーの腕時計は僕が預かっておきましょう。





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2016年01月03日

IMG_8131お正月で東京には人が少ないので空気がとても澄んでいる。
今日は街でちょっとした所用を済ませた。昼を過ぎると俄然お腹が空いてくるわけで、なんか食べたいなぁと思いながら商店街を歩く。
まだ飲食店などは営業していないところが多く、たいしたものは食べられそうにないようだが、それでもお腹は空いているしおうちに帰ってから作るのも面倒くさい。
「日高屋」が開いていたので入ってみることにした。ラーメンが390円ととても安いお店である。

メニューを見るとなぜか「餃子定食」が僕の心を鷲掴みにした。
しかし「餃子定食」というのはなんとも不思議なのである。
餃子の皮は小麦粉であり、具は肉と野菜なので、いわば完全食である。
つまりはそれそのもので充分な食事と言えるのである。
例えば総菜パンとか、お好み焼きと同じ。
それなのに「餃子定食」はご飯と一緒に餃子を食べる。
なんというか、「パン定食」とか「ピザ定食」なるものはあまりみかけないのに、「餃子定食」は立派に定食として成り立っているというのは僕にとっては不思議なのである。
ちなみに同じような例として「コロッケ定食」というのがある。
あれもパン粉で揚げてあるわけで、カレーパンと同じような感じなのに。ねぇ。

いつもそのように思うため、今まであまり食べたことがなかったが今日はやけに餃子が旨そうに見える。
頼んでみようと思ったが、メニューには「w餃子定食」しか載っていない。
つまり餃子が10個ぐらいあるのだ。
いくらお腹が空いているといってもそんなに食べられはしない。
悩んだ挙げ句、店員さんを呼んだ。

「すいません、餃子単品とライス単品ってできます?」

中国人の店員さんはそっけない顔で、
「できますよー。」
といった。
じゃあそれをと注文したが、計算すると400円にも満たない。
なんだか申し訳ないような気がしたので「キムチ」も追加注文した。

別に嫌な顔もせず店員さんは注文を通してくれる。
待っている間店内を何気なく見回してみるがお客さんは結構入っている。
正月とはいえ、いや正月だからこそこのようにして外食している人は結構いるのかもしれない。
さすがに3日ともなるとおせち料理を食べるのも飽きているのかもしれない。
ほどなくして「餃子定食」がやってきた。
うーん。ルックスとしてはとてもいい。
ザ!男飯!って感じではないか。
ふと見るとスープがついていた。
安い定食を自分で組み合わせて作ったのにスープまでつけてくれたのか。いいお店だな。

さて、醤油と酢とラー油でタレを作り、それに餃子を浸してご飯の上に乗せる。
では、いただきます。
うーん。餃子の皮とご飯というのは合うのだろうか?
具の方は問題なくおいしいのだが、やはり僕の疑問は晴れない。
キムチはあっさりとしておいしかったし、スープもよい塩気でよかった。

結局、疑問は疑問のまま餃子定食完食。
量はちょうど良かったが、悩みながら食べたのでなんだかよくわからなくなってしまった(苦笑)
こういうのも慣れというのが必要なのですかね。





2016年01月02日

お正月なのでダメモトで友人にメールを送ってみたらわりとすぐに返信が来た。
先日病気で入院しているとメールをもらった友人である。
慌てて内容を確認してみると、お正月なので自宅に戻っているとのこと。
これから行われる手術の準備も含めて家で静養するよういわれたらしい。
それでは会いに行くとメールした。
本当ならどこか外で落ち合うべきなのかもしれないが、彼女を寒い中歩かせるわけにはいかない。

電車に飛び乗り板橋区へと向かう。
彼女のうちを訪れるのは実に9年ぶりである。
別々に暮らすことになった時に引っ越しを手伝って以来だ。
東武東上線の電車に乗るのなんて何年ぶりだろう。
なつかしいような、しかしここにはたいした思い出もないので不思議な気分でがらんと空いた正月の電車の座席に座る。

駅に着いた。
駅前に降り立ってみるがやはり特にこの場所にまつわる記憶はない。
居酒屋があり、メガネ屋があり、タバコ屋がある。
暮らしていくにはまずまず便利そうだ。なんといってもまあまあ大きなスーパーがあるのがいい。
とりあえずそのスーパーに入り食材などを買ってみた。
いってみればお見舞いにいくような感じなのだが、どういうものを買えばいいのかわからない。
なんにしても普通にしているのが一番いいよなと思いながら買い物を終え、彼女の住んでいるマンションを目指す。

あまりにも久しぶりに来た街なのでどこをどう行けばいいか忘れた。
彼女にメールをして道を教えてもらいながら歩く。
どうせなら住所を教えてくれれば「みち子」に入力してすぐに辿り着けるのに、なぜか住所を教えるのは嫌なようだ。
「次を右にいったらまたすぐ右」
といった具合に不安なナビを頼りになんとか彼女のおうちに辿り着く。

彼女はこれといって変わっていなかった。
少し痩せたような気もしたが、元々痩せているからあまりわからない。
顔色は多少悪く見えるが、ひどい病気に冒されているようにはとても見えなかった。
「いらっしゃい。」
とそっけない顔でドアを開けた彼女はとことこと歩き、居間にあるこたつに入って僕を見上げた。
8畳ぐらいある居間の端っこにこたつを置き、その正面にテレビがある。
居間の中央はがらんとなにもない。
彼女は目が悪いので裸眼ではテレビに接近しないとうまく見えないのだ。
だからこたつごとテレビに寄る必要があるので、中央ががらんとしているのだ。
反対側の壁には一面の本棚がある。
昔から本が大好きだった彼女にとってこの本棚は自慢だった。
上の方を見ると新しいものもあるが、ほとんどは昔から持っているものばかりのようだ。
背表紙をみれば古い本も大事にしていることがわかる。
僕は腕組みしてそれを眺め、うんと頷いてから振り向く。

「こたつにあたれば?冷蔵庫にビールがあるよ。」
彼女は僕にいう。
「うん。ビールは買って来たよ。」
といって僕は袋の中からビールを取り出す。
こたつにあたって、しばし黙ってテレビのニュースなどをぼんやり見ていた。

「あ、明けましておめでとう。」
と僕はいう。
「おめでとう。」
と彼女は言う。
するとこたつの中から何かがもぞもぞと出て来た。
猫の「ズズ」である。
かつてはハナと一緒に暮らしていた白黒の猫。
おー!ひさしぶり!と僕は再会を喜ぶ。
ズズはハナよりひとつ年下なのだがハナより一回り大きい。しかしとてもスマートで毛はハナよりやわらかい。くしゃくしゃと身体を撫でてやると、抵抗もせずにされるがままになった。

彼女に病状を伺う。
彼女はのんびりとした口調で自分の状態を話す。
メールで読んだとおり、決して楽観できるような状況ではないのだが、当の本人は照れたような口調で淡々と説明するから一体誰の病気の話をしているのだかわからなくなる。

僕としてはもっとひどい状況を想定し、ある程度覚悟してきたようなところがあるから、
「とにかく、元気そうでよかった。」
と笑顔を送った。
本当にそうなのだ。身体が辛い状況だとうまく笑うことも難しくなると思うのだが、彼女は今のところ苦痛を感じているようでもなかった。
特に今までと変わった様子はなく、時に憎まれ口を叩くところも昔と同じだった。

一安心してもう一度テレビを見る。
別に見たい番組ではないのだが、なんとなく保留のような時間が流れる。
今のところ食事制限があるわけでもなく、激しい運動さえしなければ普通に生活しても問題ないとのこと。
「スパゲッティを買って来たけど食べる?」
と聞くと、食べたいという。

よかった。実際僕にできることなんて料理を作ることぐらいだ。
食べてはいけないとか、食べられないという話になると僕にやれることはなかった。
キッチンに行き湯を沸かす。
台所に必要最低限の調味料は揃っていたし、冷蔵庫をチェックしてみると白菜が入っていた。
買って来た豚肉と白菜でシンプルなペペロンチーノを作る。
これでも気を使ってオイルは少なめ、塩分は控えめ、パスタはやわらかく茹でた。
お店で食べるようなものとは違うが、それでも病院で食べる料理よりはうまいだろう。
パスタは一人前100gにしたが、ちょっと多すぎたかもしれない。普通ならぺろりとたいらげられる量ではあるが。

そうしたら彼女はあっという間にぺろりとたいらげてしまった。
それを見て僕はますます嬉しくなった。
「さすが、みきやのスパゲッティはあいかわらずおいしいね。」
と彼女はいって皿を洗いに立とうとした。

いい、いい、と僕はいい、皿を持ってキッチンに行って洗い物をする。
食欲も随分あるようだ。とてもいいことだ。

洗い物が済んだらもう少しだけお話をする。
お互いの家族の話や猫の話。
ズズは最近目の病気にかかり、ほとんど目が見えないようだ。
確かにズズの目を覗き込むと、瞳が小刻みに震えておりこちらを見返している感じではない。

彼女が入院している間、ズズの世話はペットキーパーさんが行っているとのこと。
僕が面倒を見てあげたいものだと思うが、彼女はみきやにそれをする義理はないという。
まあ、そりゃそうなんだけどね。

こたつは暖かいし、ビールはおいしいし、もう少しこのままお話していたいような気分にかられたが、それはいけないことだ。
また遊びにくるよといって僕はそろそろおいとますることにした。
彼女は、
「あー、みきやよりもハナちゃんがお見舞いに来てくれればいいのに。」
とまた憎まれ口を叩いていた(笑)

寒いからあったかくして寝るように、ちゃんとおいしいものを食べるようにと、僕はまるで口うるさいお父さんのように彼女にいい、さよならをいって家路を辿る。

これから入院して本格的な処置が始まれば、彼女にとって辛い日になるに違いない。
我慢強い彼女といえどしんどいこともあるはずだ。
しかし今日の彼女の笑顔を見れば、多分大丈夫じゃないかなとも思う。

おうちに返ったら今日の出来事をハナに報告しようと思う。

2016年01月01日

明けましておめでとうございます。
2016年です。
目覚めは心地よく気分もとてもいい。
一年の始まりとしては上々なのである。
ハナも落ち着いた顔をして起き出してきた。
(先に一度ひどく起こされたのではあるが…)
明けましておめでとうと挨拶。

とりあえず、とりもなおさず外出の支度をする。
もちろん向かうのは近所の神社である。

IMG_8089多くの人は大きな神社に行ってお参りをするようだが、僕は昔から近所の神社が好きである。
地産地消じゃないけれど、地元の神様に挨拶をしたい。結局一年無事ですごせるかは自分の生活圏内での話になるのだから。
ちなみに、かつて新宿に住んでいた頃も家の近所の神社にお参りしていたが、後にその神社は水子霊の供養をする神社だと知った。何か大事なことがあるたびその神社に通っていたが、周りの人は僕のことをどういう目で見ていたんでしょうね(苦笑)

コートを着て神社に参拝する。
小さいとはいえ、立派に神社なのだから人はちらほらと集まっている。
厳かにお参りを済ませ、おみくじでも引くかと歩いていると途中設置されているテーブルの上に、お屠蘇のセットを発見する。
酒が入った瓶と鈍い金色の酒器。傍らには紙コップが用意されている。
「そうだった。毎年ここでお屠蘇を飲むんだった。」
と僕はほくほくした気分でテーブルに近づく。

しかしその瞬間、衝撃が走った。

なんと!今年のお屠蘇を見るとほんのり黄色く色づいており、瓶の中にはなにやら香草のようなものが舞っているではないか。
ちなみに今までここでいただいていた「お屠蘇」はただの日本酒だった。まちがいなく。
つまりこれは先日スーパーで見た「屠蘇散」というやつではないのか。液体の色が黄色いのは上等な味醂を使っているからだろう。
うう、、、一体なんなんだ。
去年まではこんなお屠蘇じゃなかったぞ。

僕は脳内フォルダを検索し、いわゆる「屠蘇散」のデータがどこかにないか確認する。
やはり、僕の記憶の中にそのようなものはないようだ。
例えば僕がどこかでそのデータを取り込んでいてすっかり忘れてしまっていると仮定してもそれはおかしな話なのである。
僕は以前「お屠蘇」というものに興味を持ったことがあるわけだし、こと「食文化」については興味のある範疇なのだから。
ではなぜ、2016年になってこの「屠蘇散」なるものが僕の目の前に忽然と現れたのか。
それについては「不明」としかいいようがない。まったく、おっさんになってもわからないことはたくさんある。
ひとつだけ思い当たる節があるとするなら、かつて「節分」といえば節分豆くらいのものだったのが、いつのまにか「恵方巻き」なるものが席巻しているという現象である。
あれはコンビニが紹介し全国的なブームになったのだが、つまりはそれと同じように誰かが「屠蘇散」というしきたりを見いだし、復活させようと暗躍しているのではあるまいか。
しかしそれにしてはインフォメーションが少なすぎる。
僕はたまたまスーパーで「屠蘇散」の存在を知って衝撃を受けた。そして今、それが目の前に現れて改めて衝撃を受けている。だが結局のところそれだけなのだ。例えば雑誌で特集を組んでいたり、TVでコーナーが設けられていれば、なんとなく誰かの異図を感じるが、そういったものはまったく感じられない。スーパーにしても神社にしても、
「昔からそうでしたよ。」
とでも言わんばかりにそれを置いており、衝撃を受けているのは僕ばかりのように思える。

事実は小説より奇なりとはいうが、この件に関してはまったくもって謎が多い。
誰か知っている人がいたら教えてください。

とにかく悩んでいてもしょうがないので、お屠蘇を一杯いただいてみた。
小児用の風邪薬のような甘さと漢方のようなお腹に染みる香り。
確かにお酒というよりは優しいお薬といった感じである。
しかしもちろんアルコールは入っているから、寒風吹きすさぶ中、身体の芯がジワジワと暖まってくる。ん、おいしい。

立ち飲み屋のように思わずお代わりしたくなったが、これもまた厳かなる儀式なのだ。目が据わるほど飲んでいたのでは日本の神様に申し訳がたたない。

後ろ髪ひかれるような気持ちで紙コップをゴミ袋に捨て、おみくじを引きにいく。

100円を支払って引いたおみくじは「末吉」であった。

「冬ながら空より花のちりくるは
雲のあなたは春にやあるらん」

おみくじにはそう書いてあった。
末吉というのがどこらへんの吉なのか知らないが、なんだか近いうちにいいことがありそうないい文章だ。僕は大中小の吉はもちろん「半吉」というのも引いたことがあるので、ここら辺で吉関係は全部網羅したんじゃないだろうか。
なんにしても厄年が過ぎ去ったのが嬉しい。
20代の頃は厄年とかまったく気にしていなかったが、昨年はゾンビになったりもしたので、後厄が過ぎ去った今年はすでに、末吉であったとしてもさわやかな幸運が待っているような気しかしないのである(笑)

おうちに返って雑煮を作った。
実家広島のお雑煮は醤油仕立てなのだが、以前みきっちんで使った赤みそが残っていたので、赤みそ仕立ての雑煮を作ってみた。
全国各地で雑煮の様式は違うようで、よく地方同士で結婚をしたのはよかったものの雑煮の味付けで揉めるという話を聞くが、僕はそのようなこだわりはない。うまければそれで問題ないのである。

赤みそ仕立ての雑煮は甘みが優しく人なつこいとてもいいお味だった。
しかし、醤油仕立ての雑煮じゃないとやはり正月が来たような気がしないな。
つまりはそれがこだわりというやつなのか(笑)

正月からいろいろと考えあぐねる日ではあったが、空に浮かぶ雲と時間はあくまでもゆっくりと流れるのであった。

今年もよろしくお願いします。