2018年02月05日

「爆風スランプ」の「バーベキュー和佐田」さんというベーシストがいる。
彼と4年前ぐらいの年末に話をしたときに、

「来年はな。これでもかっていうくらいライブをやりたいねん。段々年を取るとライブもしんどくなってくると思うからさ、今のうちにできるだけやれるだけやっとこうと思うてね。」

と笑いながらおっしゃっていたが、実際和佐田さんはその年が明けてから怒涛のライブを展開し、毎年一年の3分の2くらい(もっとかもしれない)ベースを持って演奏しているのである。
むろん自分のバンド(爆風スランプ、X.Y.Z.➝A、竹内藍さんなど)のライブもあるが、その他にセッションライブをこれでもかというくらい行い、とてつもないミュージシャンの方々と夜ごと演奏を繰り広げている。

実際僕も3年前に呼んでいただいて、セッションに参加させていただいた。
そして今年に入ってまた呼んでいただいたのである。
和佐田さんからのメールは実に軽快で丁寧だ。
「セッションのお誘いです。2/6に御徒町のお店なのですがいかがでしょうか?」
といった具合に。
軽快に思えるのは多分僕が関西弁のイントネーションに翻訳しながら読んでいるからだろう。
もちろん僕は、
「よろしくお願いします!」
と恭しくお返事を返す。
こんなすごい体験ができることなんてなかなかないではないか。
もちろん緊張はするが、興奮を禁じ得ないのである。

しかし本番の日が直前に迫ってくると、とたんに僕は悶々としてしまう。
果たして「セッション」というのはどういうものなのか。
もちろん長くドラムを叩いていれば「セッション的」な演奏を要求されることはある。
つまりはその場の雰囲気を読んで進行していくパターン。
ただそういう時、僕の場合は気の知れたメンバーとばかりやっていた。つまり僕が右足を出せば相手は左手を差し出してくるとわかっているようなメンバーとばかり演奏していたのである。
初対面で「よろしくお願いします」となり、譜面もなしに音を出すというステージはあまりやったことがない。
何しろ僕は人見知りするので、そういう誘いを受けても尻込みして参加してこなかったのだ。

3年前に一緒に演奏させていただいたときも、無我夢中で演奏した。
どんな音も逃さないよう耳をすまして、世界がどのようにして成り立っているかを感じながら。
それが一体よかったのか悪かったのかわからない。
和佐田さんや他のメンバーにとってはそれが日常の一部であって、それほど特別なことではないのだろう。
だからその時の演奏についてあれこれいわれることもなかった。

今回こうしてまた呼んでいただいたということは、おそらく前回のドラムでよかったのだろう。
それは僕をとてもホッとさせる。
しかしセッションというのは日頃の練習やセンスがものをいう。
作品があってそれを一生懸命練習しておけばいいというものではないのだ。
あらゆるジャンルの音楽に対応できなければならないし、当然聞いている人がいるのだからセンスが問われることになる。

つまりなにかを準備したくても特別準備できるものがなく、とにかくスティックを持って現場で対応するというのは作品を過不足なく表現するのとはまた違った緊張感があり、夜ごと悶々としているのである。

まあしかしこうなったら
「まな板の上の鯉」
ということでじたばたしても始まらないのである。

もうドラムのことを考えるのはやめて、魚のように眠ろう。



むーりーだー!!



2018年02月04日

焼きそばを食べて英気を取り戻した我々はさらに川越観光を続ける。

街の外れの方に有名な神社があるというので、ぶらぶらと歩いて行ってみた。
神社にたどり着くまでは民家ばかりで特に何もないのだが、サイタマは、
「いやー楽しい!こんなに楽しいことはない!」
とニコニコ顔で盛り上がっている。
普段どんだけつまらない生活を送っているのだ(苦笑)

「川越氷川神社」はひっそりとしながらも非常に立派な神社であった。
駅から結構離れているにも関わらず参拝客はかなりたくさんいた。
我々も列に並んでお参りし、おみくじを引く。
「中吉」か。
まあ「凶」が出なければ安泰なのである。
そういえば昔友達とおみくじを引いた時、
「区」が出た!といってたやつがいたが、横にして読んだのだろうねぇ。

小江戸へと戻り「火の見櫓」を写真に収め、「ソーセージ」や「味噌やきとん」を頬張り、気に入った雑貨を買い、ご満悦な女子二人。
よかったねぇ。
17時を過ぎると一気に気温が降下する。そろそろ潮時というやつなのだろう。
今回もかなり楽しい旅になった。

駅へとプラプラと歩く。
「しかし、こう寒いとあったかい風呂にでも入りたくなるねぇ。」
と僕は誰にいうでもなくいった。

そう、これが僕の悪い癖なのだ。
特別にものすごく風呂に入りたいという気もないのに、なんとなくいってしまう。
今までだってそれでディズニーランド(浦安の遊園地です)に行くはめになったり、ガリバーランド(琵琶湖のキャンプ場です)に行くはめになったりしたのだ。

「え!?お風呂入りたい!!」
女子二人が急に風呂に食いつく。
「いやいや、家に帰ってから入ろうよ。」
と僕は彼女たちをたしなめるが、すでにお風呂モードは彼女たちのマストになったようで、
「駅前に銭湯がある!そこに行こう!」
と速攻でアイフォンで調べて、すでに風呂に入ってから帰ることが確定モードになってしまった。
なんだかよくわからないが川越観光は続きます。


駅の近くにある銭湯とやらに行ってみるといわゆるスパのようなところで、ホテルのようなそこそこゴージャスなロビーで受付を行う。
残念ながら混浴ではないようなので(そりゃそうだ)40分ぐらいと時間を決めて彼女たちとお別れしひとり男湯へと向かう。
風呂はとても気持ちがよかった。人もそれほどいなかったし、風呂の種類もたくさんあってかなり満喫できた。
ただし男の風呂というのはどれだけ丁寧に頑張っても40分はちと長い。
サウナに入ってウンウンと汗を流し、水風呂に浸かってからさらにサウナに戻るというパターンを繰り返すとこんどは40分ではちと短い。
そういうわけで30分くらいお風呂を楽しんだらのぼせそうになってきたので敢え無く終了となる。

ロビーに戻ると地方のバーみたいな風情のくつろぐ場所があってそこでは生ビールを飲めるようなので迷うことなくいただくことにする。
テレビを見るともなく見ながら火照った肌を落ち着かせながら、黄金の酒をいただきます。
はぁー、何回飲んでもフレッシュにうまいなこの飲み物は。
それにしても女という生き物はどうしてこうも長風呂なのか。
ちんたらビールを飲んでいるうちに40分をとうに過ぎていたがいっこうに出てくる気配がない。
煙草を一服し、アイフォンと戯れ、再びテレビを眺めながら、ビールの最後の一口を飲もうかというところで、やっとお二人様が出ていらっしゃった。
「キャー最高だったー!!」
と盛り上がっている彼女たち。
満足していただけたようでよかった。僕もあたたまったし。

しかし、一杯やってしまった僕はもう少々楽しく飲みたい気持ちになってしまった。それになんとなく小腹がすいてきたような気もする。
彼女たちも風呂上がりで喉が渇いているようだ。
それでは、ということで駅の近所にある地元感あふれる焼き鳥屋に入る。
(駅の周辺にはリーズナブルな居酒屋がたくさんありました)
なんだか人のうちの座敷にいるような感覚になる良いお店だ。

改めてビールを注文し3人で乾杯。
本日のミュージカルの感想をお互いにいいあったり、川越の思い出について語り合ったり、彼女たちのほぼどうでもいい恋愛話を聞き流したりと(笑)楽しい夜は深まっていくのであった。


午前中から電車に揺られている。
池袋駅では朝ごはんとしてぶっかけうどんを食べた。おいしかった。

目指しているのは川越。
今日は尚美学園大学の学生が主催するミュージカルを鑑賞しにいくのだ。

昨年、恥御殿ダンサーのメグから依頼を受け、学生が歌い踊るためのカラオケを作った。
それで出来栄えを見に行ったのだが、とても面白かったので今年も鑑賞しに行こうというわけである。

若い頃はミュージカルなんてダンスを見ればいいのかストーリーを見ればいいのかわけわからなくてどちらかというとパスしたい芸能のジャンルだったが、まあ年を取れば多少の許容性というのは生まれるのです。
しかも去年楽曲を提供したことで、その音楽に合わせて歌い踊ってくれる学生たちのことが好きになってしまった(主に女子)
今年僕は別に何もしていないのだけれど、また一目だけでも会いたいのである。

川越に到着。
恥御殿ダンサーのメグとサイタマと合流。
今日はよろしくお願いします。

歩いているとザーッと雨が降ってきた。
降るか降らないかのところで、多分降らないだろうと思っていたがダメだったか。
誰も傘を持っていなかったので駅前のファッションビルに入って傘を購入。
よしと外に出てみたら、カラリと雨は上がっていた。
川越よ、なんと思わせぶりな街か。
川越よ、なんと買わせ上手な街か。

サイタマが「腹減った腹減った」とうるさいのでマクドナルドで適当に何かを食べさせ(まるでわがままな娘のようだ(笑))尚美学園大学行きのバスに乗り込む。

大学というのはいいところだねぇ。
広々としていてとても気持ちが良い。
僕が通っていた広島修道大学も随分と広々として素敵な学校だった。
夜は流れ星が束になって流れてた。
東京に来てしまったので最後まで通えませんでしたが。

会場に入ると割と前の席に通された。
うーんライブハウスでもなんでもあんまり演者と近いとこちらが緊張してしまうんですよね。
困ったけど、まあしょうがない。
というわけで多少こわばりながらミュージカルの始まり。

ミュージカルとはいえど、有名なシーンをダイジェストで紹介するような感じでショーは進んで行く。
みんなすごく一生懸命でおじさんな僕は涙がこぼれそうだ。
すごく踊りが上手な子もいるし、そうでもない子もいる。
歌にしてもそうだ。
でもみんなこの日のために頑張ってきたのだろう。
誰一人欠けてもこのステージは成立しない。
全てがひとつの高みに向かって進行する。

プロはもちろんできる人たちが集まっている。
でも学生だからそういうわけにもいかない。
やりたい人がやるのだ。やれなくてもやるのだ。
それがね、とてもいい。
個人的にはオグマさんという女の子が群を抜いてすごいと思ったが(踊り、歌、表情、全てが整っていた)他の人たちも精一杯素晴らしい演技をしていた。本当に素晴らしい。
涙腺が、、ダムみたいになっとるよ。

そして先生が演奏するピアノがとてもよかった。
自分の肉体や精神を駆使して何かを表現するというよりは、学生の表現を手助けしよりよき場所へと導く大事な地図のような演奏をしていらっしゃった。それはとても正確で親切で、決して荒ぶらず、包容力のある優しい演奏なのであった。
ある意味ではそのような演奏は薬にさえなる。
親切な演奏ができる人が親切でない演奏もできるかどうかはわからないが、親切でない演奏しかできない人は表現してもあまり面白みはないのかもしれない。
とにかく素晴らしいプレイだった。

実に感動的なステージを鑑賞して満足な我々。
公演はもう一度あるそうだが、1回目の感動を大事にしたいということでそそくさと退場する。

時計を見るとまだ昼の1時。
イエイ!
川越観光といきましょう。
実はこれも楽しみだったのよねー。

バスで駅前に移動して3人で小江戸を目指す。
川越といえば小さな江戸の風情が売りで、観光スポットとして有名なのだ。
あの雑貨かわいい!あの食器かわいい!とキャーキャーするサイタマ。
あの団子おいしそう!あのソーセージおいしそうとキャーキャーするメグ。
君たちは一体どうしてこの小粋な江戸の雰囲気を十全に感じ取ろうとしないのだ。

どうせなら裃でも着てくればよかったなと思いながら(持ってないけど)江戸の住民にでもなったつもりで悠然と歩く。
しかし道は狭く自動車もがんがん走っているのであんまり雰囲気は出ないね。

昨年は外れにある蕎麦屋に入って大変おいしい蕎麦をいただいたのだが、今日はもう終わっていた。
だいたい川越という観光地は観光地であるにもかかわらず飯屋が少ない。
もっとこう、粋な居酒屋なんかがあってもいいんじゃないかと思うのですが。
やたらと高級そうな寿司屋なんかはあるけれど、財布の中がセレブではないのでここは敬遠したい。
メインストリートからちょっと外れたらいいところがあるかなと路地裏を歩くが、路地裏はやはり路地裏なのである。何もない。

表の通りに出てすぐのところに鰻屋さんがあった。
庶民的な雰囲気が漂う良さそうな店だが、やはり安くはない。
でもここまで来たら少々贅沢をしてもいいかなという気になって来た。
うなぎなんて久しく食べてないしね。
それに辺りはだんだんと寒くなって来た。ちょっと休憩したい気分だ。

しかしふと隣を見るとひっそりと看板が出ている。
外から見る分には何屋なんだかわからない、というかお店であるのかどうかも定かではない。
看板には、
「川越名物!焼きそば!」
と書いてある。
値段はもちろんB級的にリーズナブル。
ビールも置いてあるようだ。
女子チームに相談すると焼きそばにしようということになった。
すでにゴール寸前までうなぎに心傾いていた僕としては多少後ろ髪引かれないでもなかったが、もちろん焼きそばも好きなのでそちらも楽しみなのです。僕らが探していたのは元々そういうお店だもんね。

カラカラとサッシのドアを開けて入店すると、
「いらっしゃいー!」
とやけに元気なおじさんが迎えてくれる。
なるほど入り口からしてお店らしくないと思っていたが、実際これはお店の作りではない。
元は農家だったと思われる広い土間にテーブルが二つばかり置いてある。
多分昔はここで野菜の処理をしたりしていたのだろう。
小上がりからは家の中の様子が垣間見られる。
広くてちょっと薄暗い昔の民家の居間だ。
大きなだるまストーブがあって、部屋の中は暖かかった。
おじさんは愛想よく僕らを大きなテーブルにつかせた。

「寒かったし疲れたでしょう。どうです?川越は?」
と気さくに声をかけ、川越のパンフレットや地図をくれる。
が、僕の方は全然見ず、女の子の方ばかり向いて喋るのね。
まあ男なんてそんなもんだよ。
さて、早速ビールでも注文しようとしたら、
「あれ?!ビール今切れているなぁ。」
という。奥にいる女性二人も冷蔵庫を開けたり閉めたりしているが、どうやらないようだ。
えー!そりゃ困るよ。と思ったら、
「向かいに酒屋があるからそこで買って来ていいですよ。もちろん店内で飲んで構いません。地ビールの「coedoビール」がおいしいですよ。」
とのこと。
本来なら彼らが買いに行くべきなんじゃないかと冷静な頭が考えたが、ビールの種類も選びたいし、ここはお祭り気分で行こうと酒屋に出かけることにした。

酒屋に入ってビールを選ぶ。
ここの酒屋のおばあちゃんがまた面白くて、
「いろんなビールがあるなぁ。」
というと、
「そうそう、人生と同じようにね。」
というように全て哲学のように言葉を切り返してくる。
酒屋には酒屋の哲学があるってことか。

彼女の名言を書いていたら日記が終わらないので、再び焼きそば屋に戻る。
とりあえずビールで乾杯。
おじさんも一緒に乾杯したそうだが、おじさんの分はないからね。
メニューを見せてくださいというと、焼きそばしかないとのこと。
なかなか潔いではないか。
じゃあそれで。

焼きそばはよく煮た大きな「たこ」が入っていてとてもおいしかった。
麺は極太で食感が面白い。
ソースは辛めでしっかりとした味わい。
なるほどこれなら名物といってもいいかもしれない。

ビールがあればもう一杯おかわりしたいところだが、自分で買いに行かなきゃならんのよね。
よし、では観光を続けますかということでおじさんにお会計をお願いする。
おじさんはすでに後から来た女性二人に夢中になっており、パンフレットや地図を駆使して熱く何かを語っていたが、僕が声をかけるとすでに我々には興味を失ったという顔で、
「はい、お会計ね。」
といった。
非常にわかりやすい人なのである(笑)

続く。







2018年02月03日

依存症というのは色々ある。
アルコールとかタバコとかコーヒーとか女とか男とか。
僕もそのうちのいくつかに依存したりしているわけだが、最近は「豆」依存症が顕著なのである。

ピーナッツとか花豆(とか鬼豆とかイカリ豆とかいう。そら豆を揚げたやつです)が好きすぎて毎日食べている。
前世はリスだったんじゃないかと思うくらい、もう狂おしいくらい木の実が大好きなのである。

思えば小学生の頃、朝ごはんがゴマと牛乳だけなんてこともあった。
家族はちゃんとご飯を食べているのだが、僕は小皿にゴマをザーッと入れて指を押し付けてそれを食べ、牛乳で流し込んでから学校に出かけていた。
ゴマって木の実のうちに入るのか知らないけれど。

リハーサルをやっている時にもピーナッツなどをぽりぽりと食べているからみんなに引かれる。
「それっておつまみじゃん。」
違うよ。主食だよ。
ちょっよあげようか?というと「いらない」と言われる。
まったく、このアタック感とグルーヴ感がわからないのかねぇ君たちは。

ところで、今日という日はいくらだって豆を食べてもいいという素敵な日なのである。
いわゆる「節分」というやつなのですな。

この日は鬼が家の中に入って来ないように豆を投げるのである。
なぜ投げる!?
勿体無いじゃないか。鬼にはもっとなんか違うものを投げればいいじゃないか。
そして年の数だけ豆を食べるのである。
なぜ制限を設ける!?
僕なんかいつまでたって食べていたいよ。

節分の大豆が嫌いな人もいるらしいが、僕はもちろんこれも大好きです。
カリリとしたアタック感、そして口の中が粉っぽくて湿っぽくて息苦しくなっていく感じ、それを牛乳(いや、今はビールだね)で流してスッキリする感覚。
全てが快感でしかない。

ボリボリ食べたいのでスーパーで2袋ほど買った。
鬼のお面がついていたので、一応かぶってみたりもした。
えらくかわいい鬼なので、鏡で見てみても何にも怖くないじゃん(苦笑)

豆好きな人っていますか?
友達になりたいです。

ちなみに納豆も豆腐も味噌も醤油も大好きです。黒豆は甘いからちょっとでいい。


2018年02月02日

日が暮れてから動き始め、とある駅前のレストランへとやってきた。

オーガニックな雰囲気のおしゃれなレストランで、タイ料理を中心に食べさせてくれるお店だ。
渋谷や新宿とはちょっと違い、ある意味スノッブな空気が漂っている。
談笑するお客さんを眺めてみるが、駅の近所に住んでいる人なのか、わざわざここまで食べにきている人たちなのかいまいち判別がつかない。
店員さんに僕の名前を告げると、すでにメンバーは奥に集合しているらしい。

つかつかと円卓の間を歩き、奥の個室になっているような場所を覗いてみるとそこに懐かしいメンバーはいた。
スラップスティックスの雨奥と奥迫、そして事務所社長の小倉氏である。
小林と多田は諸事情により参加できなかった。残念である。

メンバー間で時々連絡を取り合うが、こうして実際に会うのは久しぶりだ。
もしかしたら1年ぶりかもしれない。去年もこのお店で同じように会を開いたから。

席に着いて皆さんに挨拶。
まずはシンハービールをいただきます。

では、献杯。

2016年1月に事務所のマネージャーだった大柴日登美が54歳という若さで亡くなった。
それで僕らは久しぶりに再会することになった。
その時はあまりにもバタバタしていて、何がどうなったのかあまり覚えていないが、2年も経てば少しゆっくりと彼女のことを話せる。

最近のメンバーの動向を聞いたり、大柴氏との思い出話をしたりしながらゆったりとした時間が流れる。
雨奥も奥さん(奥迫のニックネームです)も今は音楽をやってないらしい。
かつては「オーパーツ」や「イエローケース」として精力的に活動していた彼らも、なかなか音楽環境に身を置くのが大変なようだ。
ただし奥さんはユニコーンとスピッツの追っかけをやっていて、全国津々浦々のライブへと足を運んでいるらしい。いったいどうやって生計を立てているのか、昔からよくわからない人なのだ彼は。

もちろん話題の中心は音楽へと移っていく。
やはり皆、表現する場を求めているし、なんらかの形で音楽に携わっていたいと思っている。

最近はいろんなバンドが再結成して盛り上がっているのをよく目にする。
実は昨年この会をやった時にスラップスティックスも再結成するかという話でちょっとだけ盛り上がった。
でも結局1年経って特に目立った動きなどはなかった。

この場合は僕が牽引しないことには始まらないのだ。
一応僕がリーダーだったからね。
それはわかっている。
しかしスラップスティックスというバンドはすでに過ぎ去ったものであって、あれはひとつのライフスタイルの表れであったと思っている。
要するに自分たちは「バンドだ」とも思っていなかった。
簡単にいうと「ポップとは使い捨てなのだ」というのをラジカルに表現してみたというところ。
最初から普遍性など求めていない。まるで一過性の熱病のように僕らのステージは展開していたし、それでいいと思っていた。
だからね。いえばすでに手詰まりなのだ。
もしもこれから何かを始めるとするなら、まっさらなところから始めなければならない。
過去の楽曲をほじくり出してきても多分いいことはないのだ。

とはいえ、僕だって何かができるならやりたいと思っている。
今のところうまい落とし所を見つけられないんだけど。

それよりもう少し大柴さんの話をしよう。
彼女は実に有能できめ細やかで頼れるマネージャーであった。
用意周到すぎて多少思い込みの激しいところもあったが、何をやっても抜かりというものがなかった。
自分の中できちんと物事を分析し、それを過不足なく行動に移した。
怠惰な人たちからの誘いは見事なほどにシャットアウトした。
それで自分が不利な立場に立たされることもあったが、彼女は自分の生き方を変えなかった。
彼女は何事に対しても常に平等な視点を持っていた。
誰かが一方的に得をするシステムを好まなかった。
そしてその中に取り込まれることを本気で嫌がっていた。
そんな彼女を僕は尊敬していた。

もっともっと話したいことがたくさんあった。
しかしもうこの世に彼女はいない。
結局世の中というのはそのように不公平にできているのかと思うと少し悲しくなる。

そういえば彼女は大の猫好きなのであった。
何しろ僕が猫のハナちゃんを飼うかどうか悩んでいたとき、
「飼えるかどうかで考えるんじゃなくて、飼いたいかどうかで考えたほうがいいよ。」
といったのは他でもない彼女なのであった。

だから今頃は天国でハナと一緒に遊んでいるのだろう。






2018年02月01日

2月になりました。
本日はブロークンTVのリハーサル。
12日に豪徳寺で「花とポップス」主催のライブがあり、我々も参加するのです。
豪徳寺は割と近所なので時々遊びに行ったりすることがあるが、ライブハウスがあったなんて知らなかった。カフェみたいなところなのかな。「花とポップス」に所属している面々はバンドというよりはシンガーソングライター的な人が多いようだから、おしゃれなカフェでのライブも十分あり得る。

もしかしたら会場にドラムがないかもとのことなので(やっぱりね)カホンを背負ってスタジオにやってきた。
念のためドラムのセッティングを終えたらカホンのセッティングもする。
これでどちらで演奏することもできる。

本番で演奏するであろう曲をピックアップし練習する。
タイチャンネルはアコースティックな会場であることを想定してアコースティックギターで演奏するようだ。そうなると自然アレンジも少々変わって来る。
僕は基本的にカホンに座っていたが、曲によってはどうしてもドラムで叩きたくなったりするので、楽器の間を行ったり来たりしていた。

するとメンバーが、
「ミッキーなんだかYOSHIKIみたいだね。」
といった。
YOSHIKIがピアノを弾いてドラムへと駆け寄るシーンを彷彿とさせるらしい。

「うーんそれだったら、巨大な機材を自由自在に操る小室さんの方がいいなぁ。」
と僕はいった。
小室さんとはもちろんTM NETWORKのあの小室さんである。

ということは一人「V2」だなぁとニコニコしていってみたが、リカチャンネルにはなんのことだかわからなかっただろう。

無事にリハーサル終わり、カホンを片付ける。
「花とポップス」はVoicyというアプリでラジオの番組をやることになったそうだ。
そして我々ブロークンTVは日曜日の担当になったとのこと。
ラジオかー、久しぶりだなぁ。
とはいえ、他の曜日で喋るのはみんな女の子だから(花とポップスは基本的に女性アーティストが所属するレーベルなので、男のメンバーがいるバンドは珍しいみたい)うちもリカチャンネルとユカリチャンネルがメインで喋るのだろう。

突然日曜日だけおっさんが「スネークマンショー」みたいなことをやっても困るだろうしね(苦笑)



2018年01月31日

今更ながらではあるけれど村上春樹の「騎士団長殺し」について書いてみようかなと思う。
実際に読んだのは去年の話なので詳細を覚えているわけではないけれど、多分それくらいの方が良いと思ったのだ。

全体的な流れは春樹の好きなパターンである。
ある事情から生活パターンが変わり、少しづつおかしな世界に侵入していく。
そして色々すったもんだあって、意識の最深部のようなところに到達し生還する。
戻ってきたとき、確かに何かが変わっていたというお得意なパターン。

文章の流れは(当たり前だが)さすが春樹といった感じで非常に読ませる。
今回の主人公は絵描きなのだが、その主人公が絵を描くプロセスがすごい。
ぼんやりとしたところから立ち上げて具体的な物事が立ち上がっていくその様は、読んでいてゾクゾクするしとても楽しい。
ある意味では絵を描くことも小説を書くことも音楽を作ることも同じなのかもしれないと思わせてくれる。
もちろんストーリーもよく考えられている。
登場する人々もとても好ましいと感じる。

でもね。なんというか。なんというか。

僕としてはいまいちグッと来なかった。
ストーリーのエンディングは春樹にしてはスペシャルといっていいぐらいハッピーだろうと思う。
最上級のコミットメントを披露したといってもいいかもしれない。
しかし、残念ながら線が細く感じてしまうのは僕の読み込みが浅かったのだろうか。

ある意味の困難はある。
それを主人公は見事に回避していく。
回避するのはそれはそれでいい。
しかし、一大事に至らないことがなんとなくわかるのだ。
夢の中ではほっぺたをつねられても痛くないように、どこか他人事のように物事が進む。

不吉な予感はある。
主人公に(あるいは自意識の中で)つきまとうスバルフォレスターの男。
騎士団長を刺し殺した後の穴。
井戸にも似た雨田具彦の家の庭にあった祠の存在。
秋川まりえがクローゼットに隠れた時の邪悪な気配。

しかし、そのどれもが誰に対しても直接的に危害を加えることはない。
悪い予感は予感のまま。
差し込みが浅く感じるのだ。
会話の中に教訓はある。
しかし、小説の醍醐味は会話以外の中にある教訓(それは言葉で語られることはない)なのではないか。

十分に面白い作品ではありましたが、なんとなくフラストレーションが溜まったなというのも事実です。

僕は村上春樹という作家に対して高いハードルを設けすぎなのかしら。

細かく書くと3日後の朝が来るのでこの辺で。


2018年01月30日

結構自慢げにいつもいうことだが(全然自慢じゃないんですけどね)僕は比較的いろんな楽器を自由に弾くことができる。
だからギターもベースも鍵盤も持っているし、家ではそれらを持って遊んでいることも多い。
もちろんドラムも持っているが、さすがに家で演奏するのは無理なので、しょっちゅう使うパート以外は倉庫を借りて預けている。

たまにもしも僕がドラムだけを演奏する人だったとしたらどうだろうかと考えてみる。
ほら、ギターやベースを買わないで(ワークシンセサイザーなんて十数万円もする)ドラムばかりを買っていたらまた違った人生だったかもしれない。
思えばドラムを始めた高校生の頃から憧れたドラムセットというのがあるのだが、まだまだ実現に至っていないものがたくさんあるのである。

例えば「キャノンタム」というのがある。これはまるでうなぎを捕獲する時に使うような細長い筒状のタムで、非常にパーカッシブで高い音が出る。ポリスのスチュワートコープランドなどが使っていたのだが(ちなみに彼はTAMAユーザーなので、商品名は「オクタバン」といいます)これは今でもかなり憧れているし使ってみたい楽器のひとつである。
それから2フロアといってフロアタムを二つ並べて演奏するのにも憧れる。こちらはレッドツェッペリンのジョンボーナムやレッドホットチリペッパーズのチャドスミスなどヘビー系のドラマーがよくやるセッティングなのだが、これもすごく憧れる。

しかし問題なのはセットの数が増えるとその分だけセッティングに時間がかかってしまうのである。
ワンマンライブの時ならいいかもしれないが、イベントでややこしいセッティングをしようとすると、取り付けと取り外しに手間がかかり、他のバンドさんにも迷惑がかかってしまうわけだ。
それにドラムの点数が増えるとその分練習しなくてはならない。
それから僕がやっているバンドは「キャノンタム」を使うほどテクニカルさを要求されないし、2フロアをセッティングするほどヘビーネスを求められていないというのもある。
だから結局今まで憧れはするが購入には至っていないというわけなのである。

それに比べてギターやベースや鍵盤はお家でつらつらと遊べるからとても楽しいのである。
もちろん、ライブやレコーディングなどで実際に演奏することもある。

でも考えてみればスラップスティックスをやっていた頃は頻繁にキーボードを弾いていたし、プレクトラムでも数曲を演奏している。先日レコーディングしたブロークンTVの曲でも一曲オルガンを披露した。ベースは70/QVのアルバムで一曲録音しているし、カワイエイジ君のライブでベースを演奏したこともある。
ECOでピアノを弾いたり、下舘夏希ちゃんのライブでギターを弾いたり、岸上規男のライブでやりたい放題やったりと(笑)趣味とはいわずドラム以外も結構やっているのだ僕は。
そもそもソケットプランというバンドでギターボーカルとピアノボーカルもやっていたのだった。

そういう意味では欲しいギターやベースやキーボードのことを考えると眠れなくなるくらいたくさんあります。
ネットでグラビアの美少女の画像を見ているより、楽器を見ている方が俄然ときめきます。(たまにグラビアの美少女にビビッとくる時もあるけど)

ちなみに今一番欲しい楽器はなんですか?と問われたら、今はパソコンと答えてしまう。
パソコンがないと音楽生活に支障をきたしてしまうわけです。
エレクトリックな楽器がぜーんぶそこに繋がっているので、アコースティックギター以外は弾いていてもあまり楽しくない。

それにグラビアの美少女も見れないし。

困ったものなのです。


2018年01月29日

昼頃起き出してぼんやりとする。
ミムラスとティムのライブは万事うまく行き、無事終わった。
よかった。
さて、今日は特に何もない日なので昨日の続きを思い出してみよう。

群馬から無事東京に戻ってきた我々は首尾よく打ち上げの準備に入った。
ライブ自体が早く始まって夕方には終わったから、東京に着いたのは20時ごろだったか。
ミムラスが企画したのか、ティムが行きたいといったのか定かではないが、打ち上げ会場はカラオケと決まっていた。
オランダにもカラオケはあってティムはとても好きらしい。
みんなが会場の段取りをつけている間に僕はレンタカーを返しに行く。
いやぁ。運転お疲れ様でした僕。
今回もなかなか快適なドライブであった。

メールのやり取りをしながらカラオケ屋に向かう。
すでに部屋は予約済みとのこと。
指定された部屋に入ってみると、メンバー5人で使うには少々広すぎるんじゃないかというほど立派で、持ち込みオーケーなのでそれぞれが色々とおつまみや飲み物を買ってきていたが(僕も買って行った)結構あるのにもかかわらずテーブルが大きいのでちょびっとに見える(苦笑)
まあそんなことは差し置いて、派手に打ち上げを始めましょう。

賑やかに乾杯して、ツアーの健闘を讃え合う。
いやぁ今回も運転、演奏共に事故がなくてよかった。
何よりも安全が第一なのですよね。

そういうわけで、カラオケパーティーの始まりなのであります。
先陣を切ったのはティム。
もちろん洋楽を歌います。
我々日本人メンバーもまずは洋楽のナンバーを歌う。
とはいえ、みんなはライブ終了後少し飲んだようだが、僕はこれから始まるところだ。
お酒を飲んでないのに歌うなんて恥ずかしくてできないよ。
ミムラス歌い、ジュンヤが歌い、ユウヤが歌い、次は?となるが、
「いや、曲が決まらないからティム歌って。」
と僕はパス。
うーむ、、、どうするか、、、ここはいきなり得意技のビリージョエル「オネスティ」でもかますか、いや、しかし冒頭から大バラードを歌うというのもどうだろう。そうなるとワム!の「ウキウキウェイクミーアップ」で場を盛り上げるか。

コピリとビールを喉に流し込みながら、ものすごく難解なパズルに挑戦しているような気分で唸っていると、おなじみ「オネスティ」のイントロが流れてきた。

「はい!僕歌います!」

ユウヤ氏、、いきなりわしの18番を取りやがったな、、、

うーむ、最後のあたりで満を辞して「オネスティ」を歌うという作戦が崩れ去ったとなると、別の作戦を考えねばならん。A- HAの「テイクオンミー」を歌いたいけどあれは後半声が高くなりすぎて自信がないし、パワーステーションの「ゲットイットオン」はかっこいいけど今度は声が低すぎて雰囲気に入らないと歌っていてつまんない。困ったぞー、、、これは困った。

「ねえ、ミキヤさんそろそろ歌ってくださいよ。何ひとりで深刻な顔してるんですか。」
とミムラスが僕を急かす。

ちょっと待ってくれ!(ビールごくり)まだ心の準備というものが、それに作品というのは構築することが大切なのであって、上り詰めて行くその高揚感の中にこそ感動が生まれるって、さっき我々はそれを群馬県で体験してきたばかりじゃないか(そういえばなんでライブ後にカラオケなのだ)

僕の苦悩を知らずメンバーはどんどん盛り上がって行く。
うー、、どうするどうする?!
悩みに悩んだ結果、僕は一つの結論を出した。

「ユウヤ君!ビリージョエルの「ピアノマン」を選曲してくれないか。ちょっと僕は久しぶりにカラオケに来たからコントローラーのやり方がわからないのだよ。」

よし決めた!始まりは「ピアノマン」だ。爽やかだし、リズミカルだし、少々遅れたが僕がスタートを切るにはなかなか悪くない選択だと思う。

「いいですよ。ぽちぽち、はい入れました。」

ユウヤ氏はスムーズに楽曲を選択してくれた。ありがたい。
すると、みんなが注目している画面に「NEXT>PIANO MAN」と表示された。
一同僕らの方を振り向き、ユウヤ氏に、
「ナイス選曲!」
とエールを送る。

しまったー!これで僕がしゃしゃり出て来て歌ったら、ユウヤ氏の歌う曲を強引に奪った悪い先輩みたいじゃないか!
かといってみんなに改まって「いや、実はこの曲は僕が歌う予定だったんです」と説明しても意味がわからないよ。
どうしよう!?どうしよう!?

「ユウヤ君、僕はまだウォーミングアップがたりてないようだから、やはり「ピアノマン」は君が歌ってくれたまえ。(グビグビ)」

「えー!?ミキヤさんずるいですよ!?自分が選曲したんじゃないですか。」

「この曲を知らないのかね?知らないはずないだろう、さっき「オネスティ」を歌ってたんだから(僕の18番の)ブツブツ」

「まあ、知ってますけど、、、」

「じゃあ問題ない。健闘を祈るよ。」

ハア、ハア、、ユウヤ君には悪いが、これが僕のベストな選択だ。
そうだ、今日のユウヤ君はビリージョエル担当なのだ。ビリーといえばユウヤ君なのだ。

「グッドラック!ミスタービリーユウヤ!」

ところで僕はなんでたかだか打ち上げのカラオケでこんなに緊張しているのか。
多分まだまだ構築力が足りないのだ。パズルのピースが欠けているのだ。

わなわなとしながらゴブゴブとビールを飲む。
ユウヤ氏の「ピアノマン」を聞きながら考える。
次の作戦はえーと、、マイケルは歌えないし、プリンス歌うほどまだ興が乗ってないし、ジャスティンビーバーは曲を知らないしな、、大体僕、歌なんて歌えるのだろうか。声なんて出るのだろうか。

「ピアノマン」が間奏になり、ユウヤ氏が僕にマイクを手渡した。

「続き、歌ってくださいよ。ミキヤさんが選曲したんですから。」

あーそうね。なるほどね。チャゲアス方式だね。今風に言うならコブクロ方式だね。あるいは野球で言うなら北別府方式だね。

というわけで、僕はまるでユウヤ氏の相方のように、あるいは勝ちが決まった試合のリリーフピッチャーのように続きを歌った。
あれ?歌って気持ちいいねぇ。
さっきまであれこれ考えていたことなんてどうでもよくなってしまった。

お酒も程よく回って来たのかも。
なんだか楽しい気分になって来た。

その後ジュンヤ氏が予想通り日本の演歌を披露し、打ち上げはさらに盛り上がって行く。
僕もその頃にはすでに構築とかパズルとか難しいことは考えず、その時考えついた曲を歌う。
ワム!の「ウキウキウェイクミーアップ」にA-HAの「テイクオンミー」。
あれ?これらって最初に考えてた選曲だね。
驚いたことに僕はある程度パズルを完成させていたのだ。

終わりの時間が来る頃には広い部屋が狭くなったんじゃないかというくらい僕らは自由に踊り、歌い、楽しんでいた。

そして最後の曲は僕が選曲した。
USA for Africaの「ウィーアーザワールド」である。
なんだかそれで僕のパズルは完成する気がしたのだ。

でも僕はおじさんで皆は若い。パズルが完成するというのは僕の勝手な妄想で、みんなこの曲知らないかなと思ったが、やはり名曲というのはすごい。
みんな歌ってた。なんか感動した。

以下覚え書き。

ティムはこの後日光、京都を両親と観光するそうだ。
彼とはしばしの別れとなる。
カラオケが終わった後、歓談の中で今回のツアーの感想を語り合おうという話になった。
僕はこの3日間のティムとの交流を最大限賞賛したいと思い、酔った頭で必死に印象的な言葉を探した結果、彼の目を見つめながら、
「I love you」
といった。
ティムは非常に照れていた(笑)
そりゃそうだ。こうして今思い出すとなんでそんなこと言ったんだろうと僕も思う。
でもその時はそう思ったんだね。
ティムは若く無邪気だ。僕にはとても可愛く愛おしく映るんだよ。

ジュンヤ氏とユウヤ氏とはより緊密な演奏ができるようになって来た。
できれば次はドラムでやりたいと思う。

そしてミムラスである。彼女の無謀ともいえる企画に今回も飛び乗ったおかげで数々の貴重な経験をさせてもらった。
移動中の車の中では英会話への取り組み方も教えてもらって非常に参考になったし、各地でおいしい食べ物もいただけたし、毎度のことだが感謝している。

さらに僕が一番印象に残っていることがひとつ。
僕が車を運転し、ブレーキを踏んで停車した時、
「ミキヤさんって、車の運転がすごくうまいですね。」
とミムラスが言った。
多分お世辞などではなく、心からいってくれているように思えた。

それはとても嬉しい言葉だったんです。

だって僕はメンバーを乗せて運転する時、いつだって宝物を乗せて運んでいると思っているから。
だからブーンとアクセルを踏まないし、キーとブレーキを踏まない。
できれば移動していることを忘れるくらいくつろいで欲しいと思っているから何も無かったかのようにアクセルやブレーキを踏むのが良いと思っている。
ミムラスがそのことをいったのかどうかはわからないけれど、なんだかとても嬉しかったんです。

ほら、おじさんになるとというか、みんな上級者ばかりの中で音楽やってると、今さら改めて「ドラムうまいね」とか「カホンうまいね」とかもいわれないしね(笑)
やっぱり何歳になっても褒められるのは嬉しいね。

ミムラス、またよろしく。

閑話休題。
今日はもやしを炒めて食べたが、まあまあだった。
もやしってどうやって食べるのが一番うまいのだ?


2018年01月28日

そういうわけで東京で目覚める。

昨日はイレギュラーな事情のため二組に別れて移動したが、今日は大きい車を1台借りて移動することにした。高速道路の費用とかガソリン代を考えたらその方が断然得だ。それに全員一緒にいられるしね。
レンタカーの手配は僕が行いましたよ。
全員集合して車に乗り込む。
ハイエースだと車内が広すぎて逆にスペースが余るくらいだ。
後部に布団を敷けば一人くらいは寝ながら移動できるかもしれない。

群馬県館林市はミムラスの生まれ故郷である。
有名なのは「ひもかわうどん」という帯状のうどん。
前回ミムラスと館林に行った時は事情があって担々麺とカレーをいただいた。
つまりうどんにはありつけなかったが、お土産で「ひもかわうどん」を買ってみた。
あれはなんとも不思議な料理なのである。
つまりラザニアをつゆにつけて食べているような、なんともいえない食感と舌触りがあり、一瞬で満腹になる。どちらかというとびっくり料理なのだ(笑)

通常群馬に向かうとなると関越道に乗るが、それは前橋の話。
東側に位置する館林へ行くには東北道に乗る。
寄り道しなければ2時間弱で到着する。
あっという間なので、布団を敷いている暇もないのである。

というわけで今回の会場「西ノ洞」へ到着。
中に入って一同びっくり!
そこは天井が高く広々とした空間。レストランでありながらダンスホールのように円形になっており、中央1階のステージ部分には立派なコンサートピアノが鎮座している。そして2階部分(2階部分から入ります)には暖炉が設置されており、まるで燻製でも作っているかのような香ばしい木の香りが辺りに漂っている。
なんと素敵なところなのだろうか。
昨日のカフェもしっぽりとしてくつろげる感じだったが、今日のレストランもなんとも気持ちのよい場所なのである。
一体ミムラスはどこでこんな素敵な会場をみつけてくるんだろうねぇ。

とりあえず一通りのセッティングを済ませたら、近所のうどん屋さんに行ってみることにした。
館林うどんと看板にあるそこはいかにも歴史のありそうなお店。
昼間なのに若干薄暗い昔ながらの店内の一番奥に僕らメンバーは座る。
どうやらこのお店は件の「ひもかわうどん」ではなく、通常のうどんが売りのようだ。
それで結構。いやぁやっと館林の名物に対面できるというわけである。
ほとんどのメンバーが「天ざるうどん」を注文。ギターのユウヤ君は「鍋焼きうどん」を注文。そちらもいいね。
料理が揃いみんなでいただきます。
ティムが言う日本語の「いただきます」はまだまだ拙い。多分僕の英語と同じくらいなんだろうなと思う。
それに比べてティムは箸を使うのが上手だ。オランダで練習して来たのかな。
僕も日本で練習したのでナイフとフォークは割と上手に使えるが、今日のところは箸で食べるのである。

館林うどんは実にパワフルながら、「だし」が繊細で美しいうどんであった。
怖いもの見たさで注文してみた「ナマズの天ぷら」も上品な白身でフワフワとしており非常に美味であった。

メンバー全員満足。いやぁ美味しかった。
では会場に戻ります。

すでにお客さんはたくさん詰めかけている。
ミムラスのファンはもちろん、家族や親戚や友人達もいるようだ。
いわゆる凱旋ライブというやつだね。
1階部分と2階部分に客席が設けられ、お客さんはテーブルに座りかなり本格的なお食事を取りながらライブを見られるようになっている。(僕らは1階で演奏します)
雰囲気こそ全然違うけど、かつての日清パワーステーションを思い出す。
アラカルトを食べ、ワインでも飲みながら、粋な演奏を聴くというのはとてもいいね。

共演者は葉月さんというシンガーソングライター。
アコースティックギターを駆使し独特な歌唱を披露していた。
ギター奏法も独特で、ボディを叩いてリズムを出し、弦を引っ張るようにしてアクセントをつける。
ひとりで演奏するために培われたテクニックなのだろう。
ちょっと他でもあまり見たことのない演奏方法にしばし見惚れる。

そしてティムのライブ。
3度目となる演奏は実に今までで最高といえる出来栄えでした。
ティムの歌もMCもノリノリなのであった。
ちなみに僕はコンサートピアノを背負う形でカホンを演奏していたのだけど、やっぱりピアノのサウンドって好きだなぁと思いました。
ヤマハのピアノなんだけど、なんと鍵盤が象牙で(狩猟禁止になる直前のものらしい)ヤマハの潔いシャープなサウンドにえも言われぬまろやかさと低音感がプラスされており、それを聞いているだけで恍惚となってしまいました。素晴らしい。

大盛況でティムのライブ終了。
そしてミムラスのライブへ。

ミムラスは最初少し緊張していたようだ。
今日がツアーの最終日であり、地元館林のライブだから気負うものがあったのかもしれない。
でもメンバーはそんなミムラスを愛しく思っておりました。
普段頼り甲斐があって、なんでも一人でやってしまうミムラスが、ちょっとだけだけど弱気になっているなんて可愛いじゃないか(笑)
もちろん終盤に向かって演奏は盛り上がり、素晴らしいラストを飾ることができた。
アンコールはひとつ前のアルバムから「ピアノ」という曲をミムラスがひとりで演奏した。
個人的に僕はこの曲がとても大好きです。

これにてツアー終了。
3本ともとてもよいライブだったと思う。
しかしやはり今日のライブが最高だったかな。
演奏の熟度は上がりながらも、自由でエモーショナルな表現ができたような気がする。

ミムラス、ティム、お疲れ様でした。

さて、僕はこれから運転があるのでまだまだ気を引き締めていかなければなりません。
もちろん、祝杯はお預けなのです。

くそー、、、みんなうまそうにビールを飲んでいるなぁ、、、