2017年09月07日

病院の中には「けやき図書」という小さな図書室がある。
患者さんはそこで無料で自由に本を借りられるのである。
前回入院した時は退院ぎりぎりまでその存在を知らなかったから、ほとんど利用しなかったが、今回は本を借りまくってやろうと思っていた。
食事もないし病院の外に出る自由もないが、なにしろ時間だけは有り余るほどある。

図書室が開く前に村上春樹の本を読み終えた。
相変わらず面白い。
「騎士団長殺し」については後に詳しく感想を書きたいと思うが、今のところ上巻しか読んでいないので、とにかく面白いとだけいっておこう。
僕はよく人から性格について「少し変わっている」と言われるが、思えば村上春樹の本をたくさん読むから考え方が少しひねくれてしまったのかもしれない。そういうと村上さんに失礼なのかしら(笑)

図書室で本をたくさん借りて来た。
ベッドの枕元にそれらを山積みにして上から順番に手に取り、ぼりぼりと読み漁る。

「街に顔があった頃」吉行淳之介/開高健:浅草、銀座、新宿を巡る街の姿をふたりの作家が語り合う対談形式の本なのだが、これがとてもおもしろかった。お二人の性格上、話は常にエロに行くのだが(ブルーフィルムやキャバレーや風俗など)非常に下品でコミカルで、最終的には哲学的な話に昇華されるという実に読み応えのある対談であった。

「点と線」松本清張:あまりにも有名過ぎるが故にちゃんと読んだことがなかった。現代の推理小説からすると状況設定的に多少強引な部分もあったが、それを凌駕する人間劇、そして昭和のある種牧歌的な雰囲気がとても素敵なのであった。携帯電話やパソコンがない時代の警察って犯人を捜査するのも大変だったんだなぁと思う。

「キングダム」原泰久:言わずと知れた大人気マンガである。とても面白かったが、図書室には2巻までしかなかった。これって40何巻出てるんですよね。退院したら漫画喫茶に行くか。

「美味しんぼ」雁屋哲/花咲アキラ:前回もそうだったが、いざ食べられないとなると旨そうな本や雑誌をやたらと見たくなる。人は「それって拷問じゃないか」というが、なに、僕は食べるというよりは「作る」という観点から見ているからさして苦痛ではないのである。

夜までに一気に読んだ。

あいかわらず、熱は下がらずお腹は痛い。

看護師さんはみんな若い女性で、なんだか可愛らしい感じなのだが、ほぼ全員がマスクをつけているので、どんな顔をしているのか全貌を見ることはできない。とても気になるのである。
まあ仮にめちゃくちゃ可愛い子がいたとして、なんかあるわけでもないんだけれど(苦笑)

そしてまた眠れぬ夜が始まる。
点滴は音もなく僕の体内へと滑り込んでくる。

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