2017年09月12日

雨の香りと共に目覚める。
エアコンで室温を管理された部屋の中にいると、今がいったい何時で外の景色がどうなっているのかわからないが、なんとなく雨が降っていることはわかる。
朝。
体調はなかなか好調。夜中に汗をかいて2度ほどTシャツを着替えたけど。

僕はキャンディをひとつ口に放り込む。
そういえば入院してからさりげなくキャンディにハマってしまって、フルーツ飴をたいらげてからもチェルシーやら甘露飴やらいろんな種類を買って来ては楽しんでいる。この数日で飴さんともかなり仲良くなった。もうそろそろ「飴ちゃん」と呼んでもいいかもしれない。

外はやっぱり雨が降っていたので、散歩は中止。
小説の続きを読んでいると、朝ごはんが到着。
そうだった。ご飯を食べられるようになったんだった。
メニューは味付けいわしとほうれん草の胡麻和え、みそ汁と牛乳。
五分粥じゃなかったら給食の献立のようだ。
モクモクと食べる。鰯は缶詰みたいな味がするが、よく噛んでいるとなかなかおいしい。

洗面所に行って歯を磨き、顔を洗う。
そういえばと僕は思う。
高校生ぐらいまで、僕はかなりの潔癖性だった。
トイレの取っ手や電車のつり革に触れられなかったり、人が飲んでいるジュースを回し飲みするのがためらわれたりしていた。(今は女の子に触れたりキスするくらいのことはできるけど(笑))
一日に何度も風呂に入り、何度も歯を磨いていた。
多分お酒を飲むようになってから、そういうことがばからしくなって、あまり神経質にならなくなったのだと思う。
しかし入院中の今は当然お酒を飲んでいないから、なんとなくあの頃の潔癖性の自分が戻って来ているような気がする。
何度も歯を磨き、顔を洗う。2日に一度しかお風呂に入れないから、入れない日はなんとなく気持ちが悪い。採血した時にシーツに落ちた血の染みがひどく汚く見える。

鏡に映った自分の顔を見つめる。
1週間経って、僕は少し痩せていた。体重は2kgほど減っていた。
「悪くない」
と思う。痩せたとはいっても不健康そうな印象はない。
顎の肉が削れ、肩が少し細くなった。中年独特のお腹のお肉は少々あるが、入院する前よりも今の方が身体が軽い。
ただし、痩せることによって体力もそれなりに落ちているだろう。
9/17にはブロークンTVのライブがあるから、退院したら少し体力をつけなければと思う。

ベッドの中で小説を読んでいると、頭がぼんやりとして来てうとうとしそうになるから、談話室に行って続きを読む。
談話室にはアメリカンな社長さんがいて、やっぱりテレビを見ていた。
一応会釈はするが、お話はしない。
彼の腕には点滴がつながれているから、多分まだご飯は食べられないのだろう。
どんな病気で入院しているのか聞いてみたかったが、なかなか話しかけるタイミングはやってこない。

お昼ご飯ができたそうなので病室に戻る。
白身魚のムニエルとマカロニと人参のクリーム煮。インゲンの炒め煮、なし。
『野菜チームと果物チームが野球の試合をしました。9回の裏果物チームの攻撃、2アウトでランナーなし。メロン選手がヒットを打って、果物チームがサヨナラ勝ちしました。さてなんででしょう?」
というクイズを思い出す。
なんとなく、うふふと笑ってしまう。

伊坂幸太郎の「砂漠」はまあ、面白かったというところ。
初期の作品はいくつか読んで、なかなか面白いと思ったが、完全にシンクロするところまでは行かないというか、文章にぎこちない部分があったり、力が入り過ぎたりする部分が目についたりしていた(偉そうでごめんなさい)その点「砂漠」はスムーズで自然に読めたが、多作が災いしたかいまいち内容が薄い。人気作家だし読み応えはあったけど、なんというか「大衆作家になっちゃったなぁ」というイメージ。ちょっと石田衣良の作品とかぶって来たなぁというのが正直な感想でした(苦笑)
次はカートヴォネガットの「猫のゆりかご」を読んでみよう。

そういえば、入院していることをあまり人にいわないようにしていたんだけど、何人かの親しい人がお見舞いに来てくれた。こちらは暇をしているから来てくれてとても嬉しいのである。ありがたいことなのである。

夜ごはんは八宝菜と大根のサラダ、小松菜煮浸し、豆腐と葱のすまし汁。
優しい味が身体に染みる。
モクモクとよく噛んで食べる。

顔を洗って歯を磨く。
雨を感じながら夜を過ごす。


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