2018年01月29日

昼頃起き出してぼんやりとする。
ミムラスとティムのライブは万事うまく行き、無事終わった。
よかった。
さて、今日は特に何もない日なので昨日の続きを思い出してみよう。

群馬から無事東京に戻ってきた我々は首尾よく打ち上げの準備に入った。
ライブ自体が早く始まって夕方には終わったから、東京に着いたのは20時ごろだったか。
ミムラスが企画したのか、ティムが行きたいといったのか定かではないが、打ち上げ会場はカラオケと決まっていた。
オランダにもカラオケはあってティムはとても好きらしい。
みんなが会場の段取りをつけている間に僕はレンタカーを返しに行く。
いやぁ。運転お疲れ様でした僕。
今回もなかなか快適なドライブであった。

メールのやり取りをしながらカラオケ屋に向かう。
すでに部屋は予約済みとのこと。
指定された部屋に入ってみると、メンバー5人で使うには少々広すぎるんじゃないかというほど立派で、持ち込みオーケーなのでそれぞれが色々とおつまみや飲み物を買ってきていたが(僕も買って行った)結構あるのにもかかわらずテーブルが大きいのでちょびっとに見える(苦笑)
まあそんなことは差し置いて、派手に打ち上げを始めましょう。

賑やかに乾杯して、ツアーの健闘を讃え合う。
いやぁ今回も運転、演奏共に事故がなくてよかった。
何よりも安全が第一なのですよね。

そういうわけで、カラオケパーティーの始まりなのであります。
先陣を切ったのはティム。
もちろん洋楽を歌います。
我々日本人メンバーもまずは洋楽のナンバーを歌う。
とはいえ、みんなはライブ終了後少し飲んだようだが、僕はこれから始まるところだ。
お酒を飲んでないのに歌うなんて恥ずかしくてできないよ。
ミムラス歌い、ジュンヤが歌い、ユウヤが歌い、次は?となるが、
「いや、曲が決まらないからティム歌って。」
と僕はパス。
うーむ、、、どうするか、、、ここはいきなり得意技のビリージョエル「オネスティ」でもかますか、いや、しかし冒頭から大バラードを歌うというのもどうだろう。そうなるとワム!の「ウキウキウェイクミーアップ」で場を盛り上げるか。

コピリとビールを喉に流し込みながら、ものすごく難解なパズルに挑戦しているような気分で唸っていると、おなじみ「オネスティ」のイントロが流れてきた。

「はい!僕歌います!」

ユウヤ氏、、いきなりわしの18番を取りやがったな、、、

うーむ、最後のあたりで満を辞して「オネスティ」を歌うという作戦が崩れ去ったとなると、別の作戦を考えねばならん。A- HAの「テイクオンミー」を歌いたいけどあれは後半声が高くなりすぎて自信がないし、パワーステーションの「ゲットイットオン」はかっこいいけど今度は声が低すぎて雰囲気に入らないと歌っていてつまんない。困ったぞー、、、これは困った。

「ねえ、ミキヤさんそろそろ歌ってくださいよ。何ひとりで深刻な顔してるんですか。」
とミムラスが僕を急かす。

ちょっと待ってくれ!(ビールごくり)まだ心の準備というものが、それに作品というのは構築することが大切なのであって、上り詰めて行くその高揚感の中にこそ感動が生まれるって、さっき我々はそれを群馬県で体験してきたばかりじゃないか(そういえばなんでライブ後にカラオケなのだ)

僕の苦悩を知らずメンバーはどんどん盛り上がって行く。
うー、、どうするどうする?!
悩みに悩んだ結果、僕は一つの結論を出した。

「ユウヤ君!ビリージョエルの「ピアノマン」を選曲してくれないか。ちょっと僕は久しぶりにカラオケに来たからコントローラーのやり方がわからないのだよ。」

よし決めた!始まりは「ピアノマン」だ。爽やかだし、リズミカルだし、少々遅れたが僕がスタートを切るにはなかなか悪くない選択だと思う。

「いいですよ。ぽちぽち、はい入れました。」

ユウヤ氏はスムーズに楽曲を選択してくれた。ありがたい。
すると、みんなが注目している画面に「NEXT>PIANO MAN」と表示された。
一同僕らの方を振り向き、ユウヤ氏に、
「ナイス選曲!」
とエールを送る。

しまったー!これで僕がしゃしゃり出て来て歌ったら、ユウヤ氏の歌う曲を強引に奪った悪い先輩みたいじゃないか!
かといってみんなに改まって「いや、実はこの曲は僕が歌う予定だったんです」と説明しても意味がわからないよ。
どうしよう!?どうしよう!?

「ユウヤ君、僕はまだウォーミングアップがたりてないようだから、やはり「ピアノマン」は君が歌ってくれたまえ。(グビグビ)」

「えー!?ミキヤさんずるいですよ!?自分が選曲したんじゃないですか。」

「この曲を知らないのかね?知らないはずないだろう、さっき「オネスティ」を歌ってたんだから(僕の18番の)ブツブツ」

「まあ、知ってますけど、、、」

「じゃあ問題ない。健闘を祈るよ。」

ハア、ハア、、ユウヤ君には悪いが、これが僕のベストな選択だ。
そうだ、今日のユウヤ君はビリージョエル担当なのだ。ビリーといえばユウヤ君なのだ。

「グッドラック!ミスタービリーユウヤ!」

ところで僕はなんでたかだか打ち上げのカラオケでこんなに緊張しているのか。
多分まだまだ構築力が足りないのだ。パズルのピースが欠けているのだ。

わなわなとしながらゴブゴブとビールを飲む。
ユウヤ氏の「ピアノマン」を聞きながら考える。
次の作戦はえーと、、マイケルは歌えないし、プリンス歌うほどまだ興が乗ってないし、ジャスティンビーバーは曲を知らないしな、、大体僕、歌なんて歌えるのだろうか。声なんて出るのだろうか。

「ピアノマン」が間奏になり、ユウヤ氏が僕にマイクを手渡した。

「続き、歌ってくださいよ。ミキヤさんが選曲したんですから。」

あーそうね。なるほどね。チャゲアス方式だね。今風に言うならコブクロ方式だね。あるいは野球で言うなら北別府方式だね。

というわけで、僕はまるでユウヤ氏の相方のように、あるいは勝ちが決まった試合のリリーフピッチャーのように続きを歌った。
あれ?歌って気持ちいいねぇ。
さっきまであれこれ考えていたことなんてどうでもよくなってしまった。

お酒も程よく回って来たのかも。
なんだか楽しい気分になって来た。

その後ジュンヤ氏が予想通り日本の演歌を披露し、打ち上げはさらに盛り上がって行く。
僕もその頃にはすでに構築とかパズルとか難しいことは考えず、その時考えついた曲を歌う。
ワム!の「ウキウキウェイクミーアップ」にA-HAの「テイクオンミー」。
あれ?これらって最初に考えてた選曲だね。
驚いたことに僕はある程度パズルを完成させていたのだ。

終わりの時間が来る頃には広い部屋が狭くなったんじゃないかというくらい僕らは自由に踊り、歌い、楽しんでいた。

そして最後の曲は僕が選曲した。
USA for Africaの「ウィーアーザワールド」である。
なんだかそれで僕のパズルは完成する気がしたのだ。

でも僕はおじさんで皆は若い。パズルが完成するというのは僕の勝手な妄想で、みんなこの曲知らないかなと思ったが、やはり名曲というのはすごい。
みんな歌ってた。なんか感動した。

以下覚え書き。

ティムはこの後日光、京都を両親と観光するそうだ。
彼とはしばしの別れとなる。
カラオケが終わった後、歓談の中で今回のツアーの感想を語り合おうという話になった。
僕はこの3日間のティムとの交流を最大限賞賛したいと思い、酔った頭で必死に印象的な言葉を探した結果、彼の目を見つめながら、
「I love you」
といった。
ティムは非常に照れていた(笑)
そりゃそうだ。こうして今思い出すとなんでそんなこと言ったんだろうと僕も思う。
でもその時はそう思ったんだね。
ティムは若く無邪気だ。僕にはとても可愛く愛おしく映るんだよ。

ジュンヤ氏とユウヤ氏とはより緊密な演奏ができるようになって来た。
できれば次はドラムでやりたいと思う。

そしてミムラスである。彼女の無謀ともいえる企画に今回も飛び乗ったおかげで数々の貴重な経験をさせてもらった。
移動中の車の中では英会話への取り組み方も教えてもらって非常に参考になったし、各地でおいしい食べ物もいただけたし、毎度のことだが感謝している。

さらに僕が一番印象に残っていることがひとつ。
僕が車を運転し、ブレーキを踏んで停車した時、
「ミキヤさんって、車の運転がすごくうまいですね。」
とミムラスが言った。
多分お世辞などではなく、心からいってくれているように思えた。

それはとても嬉しい言葉だったんです。

だって僕はメンバーを乗せて運転する時、いつだって宝物を乗せて運んでいると思っているから。
だからブーンとアクセルを踏まないし、キーとブレーキを踏まない。
できれば移動していることを忘れるくらいくつろいで欲しいと思っているから何も無かったかのようにアクセルやブレーキを踏むのが良いと思っている。
ミムラスがそのことをいったのかどうかはわからないけれど、なんだかとても嬉しかったんです。

ほら、おじさんになるとというか、みんな上級者ばかりの中で音楽やってると、今さら改めて「ドラムうまいね」とか「カホンうまいね」とかもいわれないしね(笑)
やっぱり何歳になっても褒められるのは嬉しいね。

ミムラス、またよろしく。

閑話休題。
今日はもやしを炒めて食べたが、まあまあだった。
もやしってどうやって食べるのが一番うまいのだ?


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