2018年03月15日

最近ダンチューがはがゆいのである。
ダンチューとは「dancyu」のこと。
いわゆる料理雑誌である。

僕は昔からこの雑誌が好きでよく買っていたが、今と違ってもっと専門的な雑誌という印象だった。
卵1個で何リットルのマヨネーズを作れるかとか、居酒屋でもっとも効率のいい座席の配置方だとか、業務用の油だとか醤油だとか、いわゆる飲食業界の人が読むような本だった。

料理のレシピはあまり載っておらず、載っていたとしても「水10リットルに対して鶏肉2キロを投入し…」といったような、家庭ではまずできないような分量で紹介されていたので、とても実際に作ってみたいと思うような本ではなかった。

それでも僕はそんなマニアックな本を好んで買っていた。
それは多分「フライパンひとつで楽々料理」とか「初心者でも簡単にできるおもてなし料理」とかいったような素人向けの本より、ひと手間もふた手間もかける料理に対する興味があったからなのだろう。(まあ素人向けの本もたくさん買ったのだけれど)

それがいつ頃からだっただろう。
dancyuは専門書であることをやめた。
いや、料理の専門書であることには違いないが、素人でもちょっと背を伸ばせば手が届くような内容になった。
しかもいろんな料理をランダムに載せるのではなく、ひとつの料理、ひとつの食材にフォーカスを絞ってそれを徹底的に考察するという、他の料理本とは一線を画すやり方に移行したのである。

例えば「卵」なら一冊丸ごと卵料理を載せる。
「パスタ」ならスパゲティをはじめとした様々なパスタ料理を一冊の中で網羅する。

しかも以前の野暮ったい表紙からうって変わって、最近のdancyuは表紙もスタイリッシュで美しいときている。

もうね、料理本を買わなくてもネットでいろんな料理を検索できるし、本の情報は古くなるからこれ以上余計な荷物を増やす必要はないのだ。
それにdancyuは一冊買うと約千円もするのだ。
しかし買わないわけにはいかないじゃないか。
なんだこの魅力的な本は!

考えてみれば「ドラムマガジン」なんて久しく買っていない。
本当は「ドラムマガジン」とか「正しい老後の迎え方」とかを買ったほうがいいのだろうけれど、コンビニなどでdancyuを見てしまうとモヤモヤとしてしまって思わず手に取ってカウンターに向かってしまうのだ。

まったくもって、はがゆい本なのである。



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