雰囲気パズルゲー





“しがない町に住む男、ヴィンセントは何処にでもいる平凡な会社員。
しかし、そんな彼にも悩みがあった。
付き合い始めて5年になる彼女の結婚願望。
ある日、バーに突然現れた少女との浮気。
毎晩うなされる悪夢。同時に聞こえる「夢で死ぬと本当に死ぬ」という噂。
何が現実で、何が夢なのか。
彼にとって悪夢の8日間が始まる。”


PS3とXbox360で出てるアドベンチャー兼パズルゲーム。開発はアトラス。

大人のジュブナイルと銘打ってるだけあって、雰囲気や登場人物のキャラ立ちは凄く良い。このオシャレなセンスは流石アトラス。
その雰囲気を出すのに一役買っているのが映像。
アトラスにとって初のHDタイトルなのだが、そうとは思えないほど映像のクオリティが高い。トゥーンモデリングに関しては、キャサリンがトップレベルなんじゃないか? この映像でペルソナか女神転生がやりたい。
特にキャラの表情の細かい動きには感心してしまった。アニメ部分よりよっぽど生き生きしてるように見える。カメラワーク、セリフ回し、音楽の使い方も上手いため、物語に引き込まれる。

しかし肝心なシナリオが、残念なことにイマイチ。
パッケージの絵がエロティックな割りにエロな要素がそれほどあるわけでもないし、期待していたほど不倫のドロドロとした関係が描かれるわけでもない。
話が短いわりに展開に山がなく、ダラダラと引き伸ばしているだけで段々とどうでも良くなってくる。
黒幕のオチも結局そっち方面でガッカリだったし、特にキャサリンの正体に関しては拍子抜けでズッコケざるを得なかった。
雰囲気で誤魔化せているが、シナリオ自体は本当に薄っぺらい。バーでの会話は面白いけど。

このゲームの肝として、主人公は悪夢に囚われて、毎晩バベルのようなブロックタワーを登るという設定がある。これがパズルパートであり、プレイヤーが操作することになる。
パズル自体は、そこそこ面白い。
難しいから燃えるし、ある一線を超えると脳汁出まくりでハイテンションになること間違いなし。何より、クリアーした時の達成感は凄まじい物がある。友達とやると確実に盛り上がる。
あ、難しいとサラっと言ったけど、数回死んだくらいでどうにかなるレベルじゃありません。難易度ノーマルなら300回はリトライする羽目になります。はっきり言って、めちゃくちゃ難しいです(やったことないけど、イージーですら難しいらしい)。
しかも操作性が酷い。早い入力が求められるのに、暴発が頻繁し非常にイライラする。
ただ、まぁ難易度が高いのは別に構わない。この設定で温かったら拍子抜けだ。第一、アトラスが一筋縄で行けるゲームを作るわけがない。操作性が酷いのもまだ我慢出来る。これも慣れればどうにでもなる。
だが、リトライの仕様。これだけは納得出来ない。

このゲーム、パズルでゲームオーバーになると、何故かメニュー画面にまで戻され、セーブした場所からのやり直しとなる。
先ほども言ったが、このパズルはめちゃくちゃ難しい。当然、何回もリトライし、何回もゲームオーバーすることになるのだが、
そのたびに毎回2分ほどのインターバルがあるため、実にやる気が削がれる。
リトライ回数自体は別にあっても良いと思うが、あくまでゲームオーバーになったらチェックポイントからやり直せなくなるという緊張感を生むための物であって、
直ぐにステージの最初からやり直しさせるくらいの配慮はしろと言いたい。声を大にして言いたい。
そもそもチェックポイントも少ないし、残機数を増やす枕の配置も中途半端だし、リトライ回数の必要性をあまり感じない。
せっかくのマルチエンディングも、この鬼畜難易度と酷い仕様のせいで、何周もやろうという気になれない。

公式はアドベンチャー要素を全面に押しているが、実体はパズル要素がほとんどを占めている上に、
パズルの難易度が高くてストーリーが進まないということも大いにあり得るので、気になっている人はそれを念頭に置く必要がある。
パズル自体も、かなりのアクションスキルが求められるので、純粋なパズルがしたい人は注意。

この異常とも言える難易度は、ボリューム不足を誤魔化すためなんだろうな。
ただ、パズルの苦行を乗り越えるだけの価値があるシナリオとは到底思えなかった。
アトラスが難易度簡易化パッチの用意をしてるので、ストーリーが気になるだけの人や、アトラスのオシャレデザインに惹かれただけの人は、それを待った方が良いかもしれない。