微妙な最終作



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PSVITAと3DSのアドベンチャーゲーム。開発はチャイムとスパイクチュンソフト。

足掛け7年。9人9時間9の扉、善人シボウデスと続いた極限脱出シリーズもついに最終章!
前作、前々作共に、新しい視点からタイムリープの題材を切り込んだ傑作!どんでん返しに次ぐどんでん返し。加速度的にスケールが広がっていく壮大なドラマ。かなりご都合主義で大袈裟だったのは否めないが、ハッタリが効いていて実にハラハラするSFミステリーだった。
更に、ゲームならではの仕様、例えば分岐やフローチャートの選択などを物語のルールとして結び付け、読み物ゲーでありながら臨場感のある仕上がりで、ストーリーの熱が伝わってきた。どんなにご都合主義でハッタリめいた設定や展開でも、キャラの感情と繋がれば、それはリアリティになると分かる、感動的な物語でもあった。
しかし、そんな前2作も壮大なサーガの仕込みに過ぎない。全ては最後のゼロエスケープに繋がり、この物語をもって終止符が打たれるのだ。
ゼロとは何者なのか?何故、60億もの人間を殺さなければならなかったのか?そして何故、13人が選ばれたのか?今、全ての謎が明かされる!

び、びんみょー・・・いやー微妙すぎる最終作だなこれ・・・
まず、黒幕であるゼロの動機が弱い。いやぁ、ここ大事でしょ。人類60億も殺してるんだから。プレイヤーに3作も脱出謎解きさせてるんだから。全てはゼロのその考えが引き起こした結果であり、それがなければこのサーガは始まらなかった。つまり、物語の核であり、根幹を握る部分だ。
なのに、これはない。説得力がなさすぎるし、普通すぎる。どうしても60億もの人間を殺さざるをえなかった、と思わせるものがない。お前の能力を駆使すればそこまでしなくても解決できるだろと思ってしまう。

次に、演出が安っぽい。その場その場のシーンありきでキャラを動かしているのが一発で分かってしまう。
今作のストーリーはフルムービー・フルボイスというかなりリッチな作りで、ドラマチックな仕上がりとなっているが、見せ方が下手くそなせいで逆に冷めてしまった。早送り以外でボイスを飛ばせないのもテンポが悪い。

ゼロの正体に関しては・・・予想の範疇で驚きはなかった。ただ、正体を見せるところでサプライズがあったので、上手くカバーしていたと思う。
恣意的に編集されてる感じがしてあんまり納得できないやり方だったけどね。言われてみれば確かにそうかと思える部分もあったけど、それなら誰も疑いをかけないのはおかしいでしょ。どう考えても一番怪しいし。

そして、ゲームとしてのメインであるパズルが面倒くさすぎる。いや、これを面倒だと言っては元も子もないんだけど、とにかくストーリーを先に進めたかった俺としては非常に煩わしかった。
前作は物語を楽しみたい人向けにほぼほぼ答えを教えてくれるイージーモードがあったが、今作はそれがなくなってるんだよな。
パズルが面倒に感じる大きな理由は、頭の悪い俺には難しいからというのが一番だけど、インターフェースがよろしくなくてイライラする。メモや資料を見ながら謎解きできなかったり、感度が悪かったり。
ただ、これはハードによる部分も大きい。俺はVITA版を買ったけど、あのハードの画面タッチは感圧式じゃないから指でなぞるしかないのね。だけど謎解きやメモなど細かいタッチ操作を求められる事が多くて、それを指でやるのがかなり不便だった。

もちろん、良いところもある。
シリーズ最終作として、謎をほとんど回収して物語をまとめてくれたのは良かった。まだ残ってる伏線もあるけど。
物語として、自分の選択肢が積み重なっていると感じさせてくれる作りも良い。これは極限脱出シリーズの伝統だけど、フローチャートで特定の場面に飛んだり、分岐で選択肢を選んだり、バットエンドだったり、というゲームならではの要素が、主人公の能力として設定されていて、物語に関わってくるんだよな。だからキャラとの一体感があって、物語に入り込みやすい。
故に、今作のムービーオンリーの進め方は相性が悪いんだよね。ムービーはプレイヤーを傍観者にするから。せっかくの一体感が台無し。今までのように、一人称で淡々と進めていく形式の方が臨場感があったと思う。
終わり方は凄く良かった。引き伸ばしにも感じるが、何度も何度も過去をやり直してより良い未来を作っていくという、シリーズの精神性をとても現した見事な決着のつけ方だった。

ストーリーは中々だったが、ここまで引っ張ってきた真実が大した事なくてガッカリ。演出はドラマ性を重視しすぎで安っぽいし、シリーズの性質と合ってないしで、フルムービーはお世辞にも成功してるとは言い難い。
でも、シリーズ全体として見れば、とても骨太でスケールのある本格SFアドベンチャーだったと思う。
人気が出たから続編を作りました、という付け焼き刃ではなく、ちゃんと一点のゴールを目指して作られた、芯の通った3部作だった。

しかし今作はギャグが滑りまくってたな・・・シボウデスはキレキレだったのに。