目的があるオープンワールド



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PS4とXbox Oneのアクションゲーム。開発はUBI。

オープンワールドでサバイバルするアクションゲーム。
前作のプライマルはやってないので分からないが、ファークライ4は3と殆ど内容が同じで、手っ取り早く好評だった過去作から引っ張って新作を作りましたという量産型を作るのに定評があるUBIらしいゲームで失望したけど、今作は色々と変わってた。

まず、舞台が文明的。3は孤島、4はヒラヤマの山岳地帯、と、いずれも人が住むには適していない大自然の中のロケーションだったが、今回はアメリカのモンタナ州という開拓された文明社会が舞台。
と言うわけで、人口や街の発展具合は段違い。カルトの集団から街を解放すると、多くの人に感謝されるのでやる気が出る。前作までは敵だらけで孤独な感じが強かったけど、今作は街に活気があるから寂しくなくて良い。
しかも今作はバディシステムが搭載されている。助け出した特定の人間や動物は仲間にする事ができるのだ!
これが結構面白い。犬や熊のような動物を仲間に出来たり、航空支援を呼べたり。
自立AIにはイライラさせられるゲームも多いが、割と細かく指示を出せるし、プレイヤーが手を出すまではステルスに徹してくれるし、有能で使い勝手が良い。

次に、ゲームの進行の仕方が大きく変わっている。
所謂ストーリーミッションというものがない。今までは、メインのミッションをクリアーする事でストーリーが進んでゴールに向かっていく、という形だったが、今回はメインサブ問わずミッションをクリアーしたり人助けやオブジェクトを壊す事で貰えるレジスタンスポイントを一定数貯める事で、ボスのミッションがアンロックされる、という方式になっている。
このシステム、非常に印象が良い。オープンワールドの特性を良く活かしているから。
今までは結局、ストーリーミッションの目的地に向かって走るだけで、オープンワールドとはいえ感覚的には一本道だったもんな。俺が寄り道しないのが悪いんだけど、やる気でないんだよ。
そりゃ最初は、ストーリーとは関係ない事をしたり、好き勝手動き回って自由な雰囲気を楽しむよ?でも、途中で飽きる。
単純に面白くないんだよな。サブクエストの内容は作業じみてるし、どこに行ってもマップの見栄えは変わらない。探索という行為に対して、大きなアクションで応えてくれないから、結局もう良いやという気持ちになる。
そして、これが一番大きいが、寄り道に意味を感じない。狩りをして素材を集める。探索してガジェットや武器を手に入れる。サブクエストをクリアーしてレベルを上げる。
得るものはある。けど、魅力を感じない。別に必要なものではないから。それが無くてもゴールまで行けるから。

自由に遊んでくれ、というゲームは多くあるけど、やっぱりそこに意味が持てないとやる気が出ないよ俺は。
面白くなくても、作業でも良いから、せめて目的が欲しいよ、目的が。目的さえあればやる気が起こる。レベルを上げたい、お金が欲しい、そのアイテムをゲットしたい、とかね。
でも、アクション色が強いオープンワールドは、何よりもプレイヤーの自由な遊びを尊重するので、特定の戦術やアイテムのやりくりを求めて窮屈にするような事はしない。
特にファークライは大雑把。落ちてる銃を適当に拾ってそれなりにちゃんと撃っていればクリアーできる。決して簡単ではないが、あくまでアクションシューティングという攻略性で、戦略は必要ない。
オープンワールドの特性上、プレイヤーを窮屈にしないが、そのせいで寄り道の必要性は低くなる。結果、クリアーを目指すだけになりオープンワールドを堪能できない。このパターンがアクション型のオープンワールドに非常に多い。
ここら辺が、俺がファークライやアサシンクリードやGTAのゲーム性を好きになれない理由なんだよな。

しかし、今回のファークライは考えてきた。
先ほど言ったように、メインミッションだけでなく、サブクエストも、道中で発見したオブジェクトの破壊も、通りすがりの人助けも、オープンワールドの中で起こった出来事の全てがゴールに繋がる。すなわち、俺が渇望していた目的が生まれた。
これによって、自由に色んな場所に行こうという気持ちを持つことが出来た。メインミッションを追いかけるだけにならず、モンタナの地を気持ち良く駆け回っていた。
ただ自由に遊んで良いよとオープンワールドの空間を押し付けるのではなく、このゲームは如何にプレイヤーが自由に遊べるようにするか考え、誘導している。調整されている。非常に良い取り組みだ。
一部、強制的にやらなきゃいけないミッションもある。しかしこれも特定の目的地に行くのではなく、突然襲われて誘拐されるという形でミッションが始まる。このやり方も上手い。偶発的な出来事を装い、リアル感を出している。
この誘拐は、他のミッション中だろうが、なんだろうが、容赦なく起こる。何が起こるか分からないモンタナの地。予定調和ではない、リアリティ。これぞまさしくオープンワールドだ。

オープンワールドの意味とは何か。俺は、リアリティだと考える。
自分が主人公だと思える臨場感。自分がゲームの世界にいるという真実味。これを最大限に感じさせるための手法が、オープンワールドなのだろう。
だからこそ、ファークライ5のやり方は理にかなっていると言える。プレイヤーを能動的に動かせ、なおかつストーリーに必要なパートは偶然性を装ってリアリティを溶け込ませている。非常にオープンワールドゲームとしてよく考えられている。

一方で、単調さは増している。いつも以上にシームレス性が重視されているため、今までだったら特定のミッションのために演出して作られたシチュエーションという場面もあったが、今作はそれが弱く盛り上がりが薄い。
それをカバーするはずのストーリーミッションは、今回本当に内容がない。ちゃんと作られたやつもあるけど、大概はスコアアタックとお散歩だし、何だよこれ。
また、やっぱり戦略性のない大雑把なアクションなので、そういう意味でミッションに個性を感じにくい。ミッションによって色々とバリエーションを変えてはいるが、どれも同じ事の繰り返しに思えてしまう。

ストーリーは・・・まぁどうでも良いよね。
あるカルト団体の神父一家が悪玉で、アメリカの国旗と最後の晩餐をイメージしたボックスアートを見た時は、アメリカという国と宗教のナショナリズムに言及して割と踏み込んだ内容になるのかと思ったのに、蓋を開けたら単にカルトが電波を垂れ流しているだけだった。
なんか神父ファミリーは台本でもあるかのようにただ悪役の役割に沿って演じているだけだったな。悪役としての振る舞いではなく、宗教団体として彼らなりの正義ってやつを見せて欲しかった。
考え方が捻じ曲がっていても、一方的でも、どこか筋が通っていて、そこに居場所を見出せる何かを感じ取れるなら、宗教として価値があるけど、崩壊するだの、ファーザーだの、救いだの、典型的なテンプレートを吐いてるだけで彼らの正義に説得力を感じない。
だから、別に深い意味もなく、ただカルト教団の分かりやすいキャッチーな悪役キャラとして敵の組織や神父を描いてるだけかと思ったのに、あのオチだもんなー。そりゃないわー。テンプレートな悪役神父なんだから、テンプレートな勧善懲悪の終わり方にしとけば良いのに。
この終わり方もさー。ちょっと普通とは違う風にして見ました、ってだけだろ。浮いてるから。それをしたいなら、ちゃんとカルト教団と神父をもっと魅力的に描けよと思う。

いつも以上に単調で、淡々としているが、シームレスなリアル感とプレイヤーが能動的に動けるミッション構造のおかげで、オープンワールドの臨場感はいつも以上に感じ取れる。
今まではどうしてもメインミッションのルートを追いかけるだけになりがちだったので、やらされている感が強く、オープンワールドの空間もただの一本道に成り果てていたが、今作はカルト教団からモンタナの地を救っているという迫力が強く伝わってきた。オープンワールドゲームとして楽しませるための工夫がされているのはとても良いこと。
でも、悪役とシナリオがねぇ。ここに期待して買ったのに、ダメダメだったな。全く魅力がなかった。
結局のところいつものファークライだけど、安定した内容だから、オープンワールドゲームが好きなら買いだよね。