2005年06月15日

「がんばっていきまっしょい」敷村良子

がんばっていきまっしょい 篠村悦子が入学した松山東高校には女子ボート部がなかった。悦子は女子部を設立するが、最低5人は必要なメンバーが集まらない。しばらくは男子部と一緒に練習することになった。
 高校入学から高2の新人戦までを描いた表題作と、その後の悦子の卒業までを描いた「イージーオール」の2編収載。「がんばっていきまっしょい」は第4回坊ちゃん文学賞受賞作。

 7月から放映されるTVドラマにあわせての文庫化。再読です。
 舞台は昭和50年代の四国松山。高校時代の劣等感や挫折感、やり遂げた達成感、部活動の仲間ならではの友情、ほのかな恋愛……そんなものが詰まっていて、自分の高校時代が懐かしく思い出されます。

 以下は個人的な思い出話中心になります。

 読みたくない、読まない方がいいと判断された方は
 ここよりお引き返しください。



 興居島、梅津寺、勝山町、大街道、堀江海岸、高浜港、道後温泉、伊佐爾波神社、石手寺、堀之内……松山市内の地名です。(ちなみに梅津寺はお寺の名前ではありません)
 知っている土地が舞台だと、こういうのが全部わかってイメージできるのが嬉しい。普段は小説の中に「池袋」や「渋谷」がでてきても漠然としたイメージしかなくてもどかしい思いをしているだけに、行ったことのある地名が出ると嬉しいのです。ましてや松山は私が生まれ育った土地。
 食べ物も然り。じゃこ天、労研饅頭、日切焼き、醤油餅……どれも食べたことあり、その味や食感を思い浮かべることができます。

 でも「分かる」のは地名や食べ物だけじゃない。
 「トイレスリッパの方が似合う学校指定の上履き」「校庭の柳の大木」「がんばっていきまっしょい!」の掛け声も、学校名も地名も出てこない「日本一、美しい校歌」の歌詞もメロディも分かります。私が通った高校だから。
 さらに「刑事コロンボに似たモシャモシャ頭」の数学の先生も、「君たちは受験のプロなんだ」が口癖の化学の先生も、「西郷隆盛くらいでかい目」の3年の担任も、「北陸中部台風付き修学旅行」も知っています。著者の敷村さんと同じ時期に3年間を過ごしたから。
 この小説はフィクションではあるけれど、私が過ごした「あの頃の空気」がいっぱい詰まっていて、記憶の底にあった思い出を引き上げてくれます。

 文化部だった私は、著者と接する機会はあまりありませんでした。ボート部のこともほとんど知りません。でも自分の小さな影をこの小説の中に見つけることができます。たとえば修学旅行の夜「消灯時間にきちんと電気を消し」寝息を立てている同級生だったり、運動会の準備期間に「炊き出しのおにぎり」を握っていたり、そして「ショイ!」と叫んでいる……。

 文庫化に際して「加筆修正」したとのことで、マガジンハウス版のものとざっと見比べてみました。
 「がんばっていきまっしょい」はちょっとした表現が変わっていたり、短い文が追加されたり削除されていたり…という程度で大きな変更はなかったように思いました。
 「イージー・オール」の方にたくさん修正があったかな。削られているエピソードや加わった場面もありました。うん、文庫の方が流れがよくなっているように思うし、好きです。


「がんばっていきまっしょい」は1998年に映画化もされました。がんばっていきまっしょい

pleiades91 at 10:27│Comments(5)TrackBack(1):し 

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1. 「がんばっていきまっしょい」敷村良子  [ Ciel Bleu ]   2005年07月22日 16:15
 [amazon] [bk1] 高校ボート部に女子部を作ろうと、先生に働きかけ、部員集めに走り回る悦子の3年間の物語。以前映画にもなっていますし、今も確かドラマ...

この記事へのコメント

1. Posted by CHAKO   2005年06月15日 19:26
本当に,懐かしいよねぇ・・・。
私なんて,彼女とは,1年生のとき同じクラスで
最初は席が前後ろでしたからね,主人公と名字似てるし(笑)(^^;

だから,あのクラスの雰囲気は,まるで1年6組でしたわ。
2年のときあった100周年記念ボートレースは剣道部の試合で,
実は出てないのですよ。
心残りは,ボートレースに出たかったなぁ・・というのが
あるかなぁ・・・。
2. Posted by CHAKO   2005年06月15日 19:28
そうそう。
港山のボートの艇庫にも行きましたわ。
駅の近くにお好み焼きやもね。
ボート部のS君についていったんですわ。
昔々・・・。
3. Posted by 小葉   2005年06月16日 08:31
>CHAKOちゃん
実はボートレースの記憶はあまりありません。
ボートレースは暑い、日焼けする・・・レベル。
ボート部…というか、運動部の人とはあまり交流なかったからなぁ。
あの緊張感のある数学の授業の雰囲気はよ〜くわかります。
でも怖かったけど、嫌いじゃなかったな、コロンボ先生。

地元の新聞に写真入りでドラマロケの記事がでてましたが、
女優さんの制服のスカート短すぎ。ちと垢抜けすぎ。(^_^;)
ドラマはジャニーズの人も出るとのことで、
原作のイメージが壊れちゃうのではと不安もありますが、
「別のモノ」として松山の町並みを楽しみたいと思ってます。
4. Posted by 四季   2005年07月22日 16:35
知ってる土地が舞台になってると、嬉しいですよね!
分かります〜。
私の場合は大阪なので、有栖川さんとか東野さんとか近藤史恵さんとか高村薫さんとか
地元を書いてくれる作家さんに事欠かないのですが、
それでもやっぱり、ごく身近な場所が登場すると凄く嬉しいですもん。
逆に、どこかで聞きかじったような、妙な関西弁が登場することも多いのが困り物ですが…(^^;
(これがほんと気持ち悪くて、それ以上読めなくなっちゃう)

今度ぜひドラマを見てみたいです!
でもさっき公式サイトを見てきたんですけど、
この面々が本当にプエルトリコ人役をふられるほどに
真っ黒に日焼けするのか…? と思ってしまいました。(笑)
女優さんにはなかなかキツイ役かもしれないですねー。
5. Posted by 小葉   2005年07月24日 08:50
>四季さん
妙な関西弁が気持ち悪いとのこと、
ドラマの伊予言葉を聞くときも、そんな気分です。
東北や九州の方言なんかも、
地元の人は「違う!」と思いながら見ているんだろうなって
あらためて思いました。

この季節に海での撮影、本当に大変だろうと思います。
日焼け止めを塗っていてもやはり日焼けするだろうし、
マメができたり、筋肉もりもりになったり。
女優さん達はほんとうに体をはって…って感じですね。
このドラマがステップアップになってくれるといいなと思います。

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