2006年12月21日

「太陽の塔」森見登美彦

おぞましきかなGキューブ。安藤兄弟風に言うならば、せせらぎキューブ。(by 『魔王』伊坂幸太郎)想像なんてしたくないし、その名前を書きたくもないのだけれど、気になってならないのです。京都にはそれが「実在」するのかどうか。どうぞ筆者の妄想の中のものでありますように。私にとって、いしいしんじさんの『ぶらんこ乗り』にでてきた「ローリング」と同格におぞましく、「ほんとうのことではありませんように」と願うものであります。固まっているものはおぞましい。かといって、それが解き放たれるのは更に恐ろしい。

ある意味、クリスマス前のこの季節にぴったりのお話でした。なにやら切なくて。学園祭からクリスマスに至る考察は、我が身に思い当たることはあらねども、周囲にはそういう気配があったようななかったような。
そしてプレゼントを贈るということはとても難しい。

太陽の塔 ★★★__
内容(「BOOK」データベースより)
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無闇に疾走する。失恋を経験したすべての男たちとこれから失恋する予定の人に捧ぐ、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。


水尾さんは、背が低くて、髪を短く切りそろえていて、歩行ロボットの真似をして、猫舌で、古本市に夢中になるという・・・もしかしてこれは『夜は短し歩けよ乙女』の「彼女」? そう考えると、さらに切なくなる。哀しくなる。
それでも別れてなお、思い出は明るく暖かい場所にあるのです。太陽の塔とともに。

pleiades91 at 16:50│Comments(10)TrackBack(8)森見登美彦 

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1. 太陽の塔 [森見登美彦]  [ + ChiekoaLibrary + ]   2007年01月03日 19:52
太陽の塔森見 登美彦 新潮社 2006-05 京大を休学中の森本。華のない生活を送っている彼だが、一度だけ女性と付き合ったことがある。彼女の名前は水尾さん。水尾さんに振られた森本はそれ以来、長きにわたり「水尾さん研究」を続けていたのだが…。 第15回日本ファンタジ...
2. 『太陽の塔』森見登美彦  [ ひなたでゆるり ]   2007年01月21日 22:38
太陽の塔森見 登美彦新潮社2003-12-19by G-Tools 私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大...
3. 「太陽の塔」森見登美彦  [ 本のある生活 ]   2007年02月16日 23:35
太陽の塔 日本ファンタジーノベル大賞受賞作を読もう!企画も、もう第7弾です。これだけ読んでまたまた当たりです!それにしてもこれを大賞に選ぶとは、日本ファンタジーノベル大賞恐るべしです。器が大きいです。これはやっぱりファンタジーなんですよね。アンソロジー....
4. 森見登美彦  夜は短し歩けよ乙女  [ マロンカフェ 〜のんびり読書〜 ]   2007年02月28日 10:02
夜は短し歩けよ乙女 森見 登美彦 クラブの後輩である黒髪の乙女に恋をした先輩は、偶然を装って出会ってみたりと自分をアピールしようと外堀を埋め続けるも、空回りばかりで結局、本丸を攻め込めないでいる。春は三階建ての電車が走る先斗町界隈での飲み会。夏は古本市...
5. 太陽の塔 森見登美彦  [ 粋な提案 ]   2007年04月03日 04:12
装画は影山徹。装幀は新潮社装幀室。 2003年「太陽の塔」で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。主な作品「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「きつねのはなし」「新釈走れメロス他四篇」など。 主人兀????H
6. 太陽の塔 森見登美彦  [ "やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!! ]   2007年04月10日 23:59
3 太陽の塔 ■やぎっちょ書評 昨日juneさんの記事「夜は短し歩けよ乙女」にコメントを残しに行ったら、「太陽の塔」は「夜は短し〜」の後日談説、ということが書かれていたので、慌てて読んでみました。 しかるに。。。 どうでしょ。結局は後日談じゃないと思います。最初....
7. 森見登美彦【太陽の塔】  [ ぱんどら日記 ]   2007年07月09日 15:01
京大農学部で遺伝子工学を研究していた男が、研究対象を「水尾さん」に変更した。研究停止の宣告を受けつつも決然として己の意志を貫く「森本」の華麗なる妄想と男汁にあふれた日々。 太陽の塔森見 登美彦 (2006/05)新潮社 この商哀 'Q
8. デビュー作から妄想  [ 笑う学生の生活 ]   2011年07月26日 10:32
小説「太陽の塔」を読みました。 著者は 森見 登美彦 森見さんのデビュー作となる本書 まさに といった感じ 大学生の青春物語なのですが・・・ そこは 妄想とストーカーちっく(笑) あの「四畳半神話大系」を彷佛とさせますね 森見さんらしい、独特の古風な台詞 ユ...

この記事へのコメント

1. Posted by 木曽   2007年01月01日 19:13
こんにちは。はじめまして。
やはり「太陽の塔」は「夜は短し」の前日譚なのでしょうね。
せつないですね・・・。
一体ふたりに何が起こってしまったのでしょう?
2. Posted by 小葉   2007年01月01日 21:56
>木曽さん
「千年の黙」や「バッテリー」にコメントをいただいているので、はじめまして、ではないみたいです。
読書ブロガーさんがたくさんいらっしゃるので、私もはじめましてなのかどうか分からなくなることが、よくあります。

恋に夢をみたいお年頃の長女は、「太陽の塔」と「夜は短し…」は別物だと主張します。
3. Posted by リサ   2007年01月21日 22:41
こちらも大いにゲラゲラ笑いました。
そして『夜は短し〜』を先に読んだ者としてはこのお話しがどうしても信じられず終始落ち着きませんでした。私も信じたくありません…。
でも、たぶん、きっとそうなのかもしれませんね。

今私の頭の中では「ええじゃないか」がぐるぐるしていてなかなか離れてくれません(笑)
4. Posted by 小葉   2007年01月22日 08:25
>リサさん
男子学生達があまりに哀れをさそうので、ゲラゲラとまでは笑えませんでした。キューブが怖かったし。(森見さんのブログを読むと、サイン会で「Gキューブは実在するのか?」と質問した人がいたそうです。でもその答えがない!)
「四畳半…」やはり買おうかな。
5. Posted by june   2007年02月16日 23:36
小葉さん、こんばんわ。
リサさんのところで、小葉さん&娘さんのイブのええじゃないかを読んで、すごくうれしくなってしまいました。素敵な家族です!うちもかくありたいです。
それにしても、Gキューブは強烈でした。実在するのならば、一生見ないですませたいものです。
6. Posted by 小葉   2007年02月18日 08:18
>juneさん
森見さんの本は、みんなで読んでいます。
作品間のちょっとした関連や相似もあって
話題の多い本たちです。
「太陽の塔」と「きつねのはなし」を読み、
京都への憧れが畏怖になりつつある娘たちです。
7. Posted by 板栗香   2007年02月28日 10:08
親子で同じ本を読んで感想を言い合えるのってうらやましいなぁって思います♪
私は『夜は短し〜』と『太陽の塔』って別物だと思ってるのですが、どうなんでしょうね〜?私の中では、どうも乙女と水尾さんが重ならないんです・・・
8. Posted by 小葉   2007年02月28日 22:57
>板栗香さん
小学校高学年からは母娘で同じような本を読んできたので、読書の好みが似ています。

『夜は短し〜』を前日譚と考えるかどうかは、読者で判断していいのではないでしょうか?
9. Posted by 藍色   2007年04月03日 03:25
小葉さん、こんばんは。
いつのまにか妄想に巻き込まれて、
笑って読み終えていました。
タイトルの意味が、いまひとつわからなかったのですが、小葉さんのレビューの末尾でなんとなく繋がった気がしています。
10. Posted by 小葉   2007年04月07日 11:19
>藍色さん
Gキューブが妄想の中だけにあることを切に願っています。(^^;)
舞台は京都なのに、太陽の塔とはこれいかにって感じですよね。

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