2007年01月25日

「厭世フレーバー」三羽省吾

えんせい 【厭世】 世の中をうとましく思うこと。生きていることがつらいと思うこと。
フレーバー 【flavor】 風味。香り。おもむき。

須藤家家族構成…ケイ(圭一:次男)14歳。カナ(長女)17歳。リュウ(隆一:長男)27歳、薫(母)42歳、新造(祖父)73歳。宗之(父)46歳。そして猫の部長代理。

失職した父が失踪。母は酒浸りになって家事を放棄、一人暮らしをしていた長男が戻ってくるが、長女の帰宅は遅くなり、次男は陸上部を辞め、祖父のボケは進行……ほとんど崩壊しかけている家庭。
章ごとに語り手が替わり、家族の秘密が次々に明るみに出ます。そして姿を見せない宗之という人間像が徐々に浮かび上がってきます。
バラバラな家族は互いに心の内を見せ合うことなく、でもそれぞれ自分の中で折り合いを付け、少しずつ家族が再生されてゆく。そんな過程がとても心地よかったです。

厭世フレーバー ★★★★☆
出版社 / 著者からの内容紹介
新しい時代の家族を描く新鋭登場
突然、父親が失踪。没頭していた陸上をやめ、14歳のケイは新聞を配り始めるが──。家族という不可思議な関係を描くポップな一冊

以下、少々ネタばれ有り。

家庭の中の一つの出来事を、別の家族が語るシーンにニヤリとさせられます。また、家庭の外での人間関係の絡み(榎田家やおでん屋の店長など)が、ちょっとばかし世間狭すぎ御都合主義…とも思われましたが、こういった種明かしはやはり嬉しいです。


ボケかけたお爺ちゃんがとてもいいです。そんなお爺ちゃんの、心に残った言葉を。
今日日どいつもこいつも簡単に「殺したい」「死にたい」「逃げ出したい」などと口にするが、そんなもの儂に言わせれば厭世ごっこだ。喰うにも困らず寝る場所もあり、何が不足なのか。
そして
タコウィンナー忘れるな
タコウィンナー入りのお弁当って、暖かい家庭の象徴かな?

タイトルと表紙からの印象が暗そうで怖そうで、ちょっと読むのをためらっていたのですが、「イレギュラー」が楽しかったのでこちらも読んでみました。大当たりでした。


<2007.1.28追記>
娘たちも読み終わったので、ちょこっと感想交換。二人とも面白かったようです。
野球用語がよく分からなかった「イレギュラー」よりもこっちが好きとのこと。
でも榎田親子のことは分かったけれど、おでん屋の店長のことは気づいていなかったみたい。
宗之たちが地上げ屋に乗り込み、マメゾーが振り下ろしたドスは猪野郎の左手の前腕を抉り、刃先が顎を掠めました。これはカナのバイト先のおでん屋店長の傷跡と一致。
この他にも気づいていない登場人物の繋がりってあるのかなぁ。

pleiades91 at 00:38│Comments(4)TrackBack(2):み 

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1. 『厭世フレーバー』 三羽省吾  [ ついてる日記?? ]   2007年01月27日 20:34
厭世フレーバーposted with amazlet on 06.10.05
2. 厭世フレーバー  三羽 省吾  [ モンガの独り言 読書日記通信 ]   2007年01月27日 21:16
厭世フレーバー 三羽 省吾 174 ★★★☆☆ 【厭世フレーバー】 三羽省吾 著  文藝春秋 《家族って、何でしょうか。つながり…》 出版社 / 著者からの内容紹介より 新しい時代の家族を描く新鋭登場 突然、父親が失踪。没頭していた陸上をやめ、14歳の...

この記事へのコメント

1. Posted by Roko   2007年01月27日 20:39
小葉さん☆こんばんは
家族って分かり合っているようで、ちっとも分かってないんだなぁって所にニヤニヤしちゃいました。
わたしもお爺ちゃんの所が好きでした。(*^_^*)
2. Posted by 小葉   2007年01月28日 08:57
>Rokoさん
お爺ちゃんが孫たちに言う「ただいまくらい言え」に対するそれぞれの反応も面白いですね。
こういう言葉が「家族」を繋いでいるのかな…なんて思いました。
3. Posted by june   2007年01月30日 12:58
小葉さん、こんにちわ!
おでん屋の店長の傷跡、気づきませんでした!こんなところもリンクしてたんですね。
それにしてもこの本、表紙で損をしてますよね。私はなぜか任侠の時代物だと思い込んでましたから・・。
4. Posted by 小葉   2007年01月31日 13:02
>juneさん
表紙…もうちょっとポップな感じがいいですよね。
三羽さんは昨年末まで全然知らなくて、
「イレギュラー」が評判になっていたときに、
この本もいったん手に取ったのですが、
表紙を見て戻してしまったということがありました。

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