江國香織

2000年08月03日

「神様のボート」江國香織

 野島葉子と娘の草子。二人は“神様のポート”に乗った旅がらす。草子のパパである“あのひと”がさがしだしてくれるのを待って、転々と居場所を変える二人。母と娘の交互の語りによって7年の歳月を描き出す。
 私はこれを、母親から巣立ってゆく娘の物語として読みました。今を生き、未来に向かっている草子と、時間を止めてしまって過去に生きる葉子。母娘二人がボートに乗っていたのではなく、乗っていたのは葉子だけで、草子は葉子と現実とをつなぐロープだったのかもしれません。
神様のボート
江國 香織
新潮社 2002-06


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2000年06月28日

「落下する夕方」江國香織

 8年間一緒に暮らした健吾が出ていった。私(梨果)よりも好きな女ができたのだという。私は今でも健吾に恋しているのに。一人だけになった部屋に、ある日女が訪ねてきた。根津華子。健吾の思い人だ。梨果と華子との奇妙な生活が始まる。 
 透明感のある文体が気持ちいい。男女の三角関係を描きながらも、ドロドロしないのは私好みです。
落下する夕方
江國 香織
角川書店 1999-06


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1999年10月29日

「なつのひかり」江國香織

 隣の家の子:薫平が、飼っているヤドカリが逃げたと、「私」のところにやってきた。二つの名を持つ「兄」とその妻の遥子、めぐみ、愛人の順子という奇妙な人間関係。「私」は「ヤドカリ」の後を追っていく。
 不思議な独特な世界が醸し出されている。
なつのひかり
江國 香織
集英社 1999-05


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1999年10月12日

「すいかの匂い」江國香織

 幼少年期を回想するような形で書かれた11の短編集。心の片隅にしまっていた幼い日の嘘や秘密。描かれている少女達はみな心の中に孤独を飼っている。
 「すいかの匂い」に登場する双子の男の子は、上半身を共有、つまり肩から腰までがくっ付いている。萩尾望都の「半神」とオーバーラップする。
すいかの匂い
江國 香織
新潮社 2000-06


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参考:半神

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