荻原浩

2006年09月29日

「押入れのちよ」荻原浩

9つの短編。「ホラー」という言葉で括られるのだろうけれど、それぞれ味わいは違います。
私の好みの味は表題作の「押入れのちよ」。
ちよが可愛くて可笑しくて哀しいです。
乙一さんの「小生物語」に出てくるソファーの男の子を思い出しました。
それから「しんちゃんの自転車」も優しい味わい。
「老猫」は子どもの頃に読んだホラー漫画を思わせます。
絵柄はやっぱり楳図かずおさんでしょうか。
全編を読んで思うことは、よく言われることではありますが、「幽霊よりも生きている人間の方が怖い」ってこと。

押入れのちよ ★★★☆
出版社からのコメント
今ならこの物件、かわいい女の子(14歳・明治生まれ)がついてきます……幽霊とサラリーマンの奇妙な同居を描いた表題作ほか、ぞくりと切ない9夜の物語。


pleiades91 at 13:24|この記事のURLComments(6)TrackBack(2)

2006年06月14日

「メリーゴーランド」荻原浩

遠野啓一の新しい職場は駒谷市が出資している第三セクターのペガサスリゾート開発。駒谷市が建設したテーマパーク「アテネ村」の運営会社である。大赤字を抱えたアテネ村を立て直すべく新設された「アテネ村リニューアル推進室 準備室」だったが…。
メリーゴーランド ★★★★続きを読む

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2005年06月04日

「神様からひと言」荻原浩

神様からひと言 大手広告代理店を首になった佐倉涼平が再就職したのは珠川食品。決裁会議の場で上司の末松を殴ってしまった涼平の新しい配属先は総務課のお客様相談室…リストラ要員の強制収容所だった。

 世知辛く不条理な「会社」がユーモアたっぷりに描かれています。上司の篠崎さんのクレームへの切り返しが最高でした。
 「会社に人質取られている」という言葉があるのだけれど、佐倉の「人質」度はあまり高くなさそうに感じました。養わなくちゃいけない家族がいたりするともっと深刻だろうな。
 それにしても「お客様相談室」って大変そう。毎日毎日クレームに付き合っていたら、本当にストレスたまりそうです。

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2005年04月27日

「なかよし小鳩組」荻原浩

なかよし小鳩組 杉山のもとに、離婚した幸子との一人娘:小学2年生の早苗が家出してきた。新しい父親:カビゴンとうまくいっていないらしい。一方、ユニバーサル広告社では頼みの綱だった鶴亀会館の仕事がボツになり意気消沈しているところに、小鳩組からのCI(企業イメージ統合戦略)の依頼があった。さて小鳩組とは…。

 「オロロ畑でつかまえて」のユニバーサル広告社の新しいお仕事です。前作同様、楽しく笑わせてくれました。お気に入りキャラ早苗ちゃんもたくさん出番がありました。笑いの中の小さな心の痛み、このさじ加減が絶妙です。前作よりも杉山の変化が顕著で、思わず彼を応援したくなります。父ちゃん、がんばれ!
 杉山が使っているパソコンがMacなのも、少数派マッカーには嬉しかったりします。

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2005年04月14日

「オロロ畑でつかまえて」荻原浩

オロロ畑でつかまえて 奥羽山脈の一角にある過疎の村、牛穴村。人口三百人、主な産物はカンピョウ、人参、オロロ豆、ヘラチョンペ、民芸品のゴゼワラシ。牛穴村青年会で会長の米田慎一が提案した。「村おこし、すべ」
 慎一と幼なじみの富山悟は東京の広告代理店に企画を依頼しに行くが…。
 第10回小説すばる新人賞受賞作。

 楽しく読めました。最近はシリアスなお話よりこういったコミカルなお話が好き。
 オロロ畑…タイトルからして「ライ麦畑でつかまえて」をもじってる(ふざけてる)。オロロ豆っていうのはおそらく作者の造語だと思いますが(ヘラチョンペやフタマタカズラやゴンベ鳥も)、“オロロ”の響きがこのお話を象徴しているようにさえ思えてきます。オロオロしてる人がたくさん出てきます。でもそれぞれに可愛いんです。牛穴の人々のあやしげな方言も楽しい。
 ユニバーサル広告社の杉山と娘の早苗のエピソードが、ドタバタのオンパレードの中の良いアクセントとなっていました。続きを読む

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2005年03月30日

「明日の記憶」荻原浩

明日の記憶
 佐伯雅行50才。広告代理店の営業部部長。趣味は学生時代に覚え2年前に再開した陶芸。妻の枝実子との二人暮らし。24才の一人娘:梨恵の結婚式を控えている。そんな彼が不眠と目眩で受診した大学病院で告げられた病名は若年性アルツハイマーだった。

 少しずつこぼれ落ちていく“記憶”。佐伯の焦燥感があまりにも痛々しかったです。そして、もし自分が…家族が…と考えたとき、言い知れない恐怖を感じました。物語の冒頭にある“固有名詞が出てこない”というのは、私の日常でもよくあることなので。
 ラストシーンが美しいだけに哀しいです。物語はここで終わっても、“現実の佐伯”とその家族の時間は続いていくのだから。続きを読む

pleiades91 at 10:52|この記事のURLComments(2)TrackBack(6)
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