北村薫

2007年06月18日

「玻璃の天」北村薫

「幻の橋」「想夫恋」「玻璃の天」の3編。
令嬢花村英子と運転手のベッキーさん(別宮みつ子)の周囲で起こった出来事たち。

昭和初期の上流階級のゆったりとした、そしてキラキラとした雰囲気を楽しむことができました。そんな雰囲気の中にも、少しずつ戦争へと向かっている重苦しい空気が感じられました。その空気がどことなく「今」と重なるように感じてしまったのは、私だけでしょうか?

前作の「街の灯」から3年ちょっと。ところどころに前作の内容を思わせる箇所があり、それをきちんと思い出せないのが、もどかしかったです。でも忘れていても、そんなに差し支えはなかったかな。

玻璃の天 ★★★☆_
(2007.6.12 読了)

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2006年11月20日

「ひとがた流し」北村薫

さばの歌が出てくるまで気づかなかったとはなんたる不覚。
水沢さきは、「月の砂漠をさばさばと」に出てくるさきちゃんだったのですね。そういえば、この本の装画&題字も、「月の砂漠…」と同じおーなり由子さん。9歳だったさきちゃんはもう高校3年生から大学生になろうとしていました。こんなふうに別のお話の中の登場人物に再会できるのは嬉しいものです。

40歳を過ぎた石川千波、日高美々、水沢牧子は高校時代からの友人。べったりなわけでなく、でも互いに必要とするときには傍にいてくれる、羨ましいような関係です。そんな三人とその家族であるさきや玲や類が織りなす、ゆったりと流れる川のような穏やかでやさしい物語。
何かが手渡させると、物語の視点が変わります。それぞれの「思い」がその「モノ」とともに引き継がれていくように感じました。

四国が登場したのも嬉しかったです。祖谷のかずら橋、渡ったことあります。でも長く四国に住みながら、実はこんぴらさんには行ったことがありません。

それにしてもいつも思うことだけど、北村薫さんはロマンティストだなぁ。

ひとがた流し ★★★★

amazonの紹介文は好きでないので省略。

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2001年01月19日

「リセット」北村薫

 わたし:水原真澄の最初の記憶は流れる星、獅子座流星群。小学3年生の時に保土ヶ谷から神戸の芦屋に引っ越し。その地で少女期を過ごす。戦争の始まる穏やかな時代、開戦、学徒動員。そして同い年の結城修一との出会い。時は流れてゆく…。
 <時>を超えたラヴ・ストーリー。恩田陸さんの 「■■■■■■■」と重なり合うようなところも。第二部はわたし自身の幼い頃の思い出と重なり、郷愁を覚えました。麦の黒穂とか、手動脱水の洗濯機とか。真澄が子供の本について語るシーンが好き。国語教師をしていたという北村さんの思いが伝わってくるようです。
リセット
北村 薫
新潮社 2003-06


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1999年11月15日

「盤上の敵」北村薫

 TV・ディレクターの末永純一はその日の仕事から帰ると、自宅が警官隊に包囲されていた。散弾銃を持った強盗の逃亡犯が末永の家に立てこもっているという。物語は「白のクイーン」友貴子の語りと、彼女の夫である「白のキング」の行動とが交錯して進んでゆく。
盤上の敵
北村 薫
講談社 2002-10


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1999年10月09日

「月の砂漠をさばさばと」北村薫

 小学3年生のさきちゃんと、小説家のおかあさんとの会話が軸になっている、12の短編集。おーなり由子さんのイラストがかわいい。
 榛野ななえさんのマンガ「Papa told me」の母子家庭版とでもいいましょうか。ほのぼのとしたお話。
月の砂漠をさばさばと
北村 薫
新潮社 2002-06


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参考:Papa told me?完全版 (1)

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