篠田節子

2001年02月25日

「百年の恋」篠田節子

 岸田真一30歳。マニュアルの翻訳や科学記事のライターなどの文筆活動で細々と生活している。人物取材で出会った、大林梨香子は東邦信託銀行で総合職として働く、非の打ち所のないようなイイ女。そんな梨香子と意気投合し、三低男と三高女とが結婚することになったが…。
 あとがきで「登場人物までもモンスターにしないと…」と書かれているとおり、梨香子さん、とんじゃってます。彼女の“内づら”に親近感を覚えてしまう私って…。でも梨香子さん、たしかに“モンスター”っぽくはあるけれど、これって男女を逆にしてしまうと、けっこうフツーなのよね。家の中での梨香子さんが、我が夫と重なってくる。楽しくジェンダーについて考えることのできる本かも。
百年の恋
篠田 節子
朝日新聞社 2003-10


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2000年03月04日

「ハルモニア」篠田節子

 音大卒業後、子供たちや音大受験生にチェロを教えることで生活を維持している東野秀行は、音楽療法の補助指導員として、精神障害者のための社会復帰施設「泉の里」に通っていた。ある日臨床心理士の深谷規子から、脳に障害を負い感情表出のない浅羽由希にチェロを教えるよう依頼される。
 音楽家の世界の難しさ、障害者社会復帰施設の欺瞞など、考えさせられる事柄もありましたが、TVドラマのイメージを引きずってしまい、素のままの物語に向き合うことができなかったという感じです。
ハルモニア
篠田 節子
文芸春秋 2001-02


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1999年11月06日

「レクイエム」篠田節子

 6つの短編が3部構成になっている。バブル期を経た現代のゆがみが垣間みえてくる。ホームレス・児童虐待・戦争の落とし物・・・。
レクイエム
篠田 節子
文芸春秋 2002-04


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1999年10月30日

「カノン」篠田節子

 小学校の音楽専科教員の瑞穂。同じく教員の夫と小学生の一人息子との平凡な生活を送る彼女のもとに、20年前に愛した男:香西康臣の自殺の知らせが届く。康臣は瑞穂に自らのヴァイオリン演奏を録音した一本のテープを残していた。
カノン
篠田 節子
文芸春秋 1999-04


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1999年06月20日

「青らむ空のうつろのなかに」篠田節子

 平凡な日常生活のちょっとしたひずみが、人を狂気へと導く。7つの短編小説。
 大都市を地震が襲う。田舎にいた人間は果たして安全か?田舎にいれば、食べ物の心配はないのか? 「幻の穀物危機」が特に怖く、印象的。
青らむ空のうつろのなかに
篠田 節子
新潮社 1999-03


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1999年03月11日

「女たちのジハード」篠田節子

 保険会社に勤めている残業仲間の5人のOL、康子、沙織、リサ、紀子、みどり。それぞれの会社からの旅立ちを軽快に描く。
 このところ、おどろおどろしいホラーとかミステリが続いていたので、楽しく読めた。テンポがいいし、女達が脱皮していく様が心地良い。
 職場仲間の女達というと、桐野夏生氏の「OUT」を思い出すが、「OUT」の堕ちていく女達と対照的。

女たちのジハード
篠田 節子
集英社 2000-01


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