宮部みゆき

2007年01月11日

「名もなき毒」宮部みゆき

青酸カリ入り紙パックの殺人事件、解雇した女子社員、「家」におけるそれぞれの「毒」が、私:杉村三郎を軸に編み込まれ、そしてほどけてゆきます。でも事件が解決したかに見えても、「毒」は完全に解毒されることなく、土地に家に人の心に染みこみ、影を落としているように思われました。

宮部さんの現代を舞台とした小説は、よくちょこっと「勉強になる」ことが含まれています。シックハウス症候群というのは聞いたことがあったけれど、宅地土壌汚染問題というのはこの小説で初めて知りました。

名もなき毒 ★★★☆_
内容(「BOOK」データベースより)
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。


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2002年07月16日

「ドリームバスター」宮部みゆき

 八歳のクリスマス・イブにみたシロタさんの家の火事。その時の記憶が夢の形をとって、大人になった道子に戻ってきた。おまけに道子の娘:真由も道子と同じような夢を見たという。真由はその夢の中で「知らないお兄ちゃん」に助けられる。彼こそがD・B=ドリームバスター。
 SF冒険小説といったところでしょうか。

ドリームバスター
宮部 みゆき
徳間書店 2001-11


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2002年07月06日

「あかんべえ」宮部みゆき

 海辺大工町に料理屋:ふね屋を開くことになった太一郎。引っ越して間もなく、12才になる一人娘のおりんが生死をさまようような大病を患う。熱が下がったとき、おりんには他の者には見えないものが見えるようになっていた。
 「お化けさん」が出てくるお話ですが、ちっとも怖くない。むしろほのぼのとしたお話でした。玄之介、おみつ、お梅、おどろ髪…それぞれに魅力的でした。しかし気になるのは、その後のふね屋…果たしてこの騒動の後に、料理屋としてやっていけるのかしら?

あかんべえ
宮部みゆき
PHP研究所 2002-03-16


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2001年08月25日

「R.P.G.」宮部みゆき

 杉並区新倉町の住宅地の一画で刺殺された男性の遺体が見つかる。所田良介48歳。妻と高校生の娘との三人家族。その3日前女子大生:今井直子が絞殺されるという事件があり、二つの事件をつなぐ遺留品が見つかるが、捜査の進展はない。所田はネット上で疑似家族の父親を演じていた。
 事件を担当する刑事の武上悦郎は『模倣犯』、石津ちか子は『クロス・ファイア』の登場人物。宮部さんご自身があとがきで「前者と後者は、かなり異なった世界設定ですので、二人の“共演”には、若干の抵抗がありました」と書かれています。私は石津ちか子の方はすっかり忘れていたので、あまり違和感はなかったです。
 ラストでこのタイトルの意味するところが明らかにされます。

R.P.G.
宮部 みゆき
集英社 2001-08


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2001年07月05日

「ステップファザー・ステップ」宮部みゆき

 俺は職業的な泥棒。ある夜落雷のため忍び込もうとした家の屋根から落ち、その隣の家の双子:宗野直と哲に介抱される。双子の両親はそれぞれが駆け落ちして家を出ていた。彼らは俺に、父親役を依頼した。連作短編。 ステップファザー・ステップ/トラブル・トラベラー/ワンナイト・スタンド/ヘルター・スケルター/ロンリー・ハート/ハンド・クーラー/ミルキー・ウェイ
 小5の娘たちが「すっごくおもしろかった」と気に入っていたので再読しました。内容をすっかり忘れていたので、新鮮な気持ちで読めました。脇役の‘柳瀬の親父’とか‘画聖’がいい味出してます。灘尾礼子先生へのほのかな思慕も気になるし…。講談社文庫の解説(「メイキング・オブ宮部みゆき」新保博久)によると、「同じメンバーを登場させて、いつか長編を書くつもりです」という宮部さんの言葉が紹介されています。でもまだ書かれてないんですよね。是非書いて欲しいな。

ステップファザー・ステップ
宮部 みゆき
講談社 1996-07


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2001年04月04日

「模倣犯」宮部みゆき

 1996年9月12日。高校生の塚田真一は犬の散歩途中の大川公園でゴミ箱に捨てられた紙袋から人間の手を見つける。同じ日、豆腐屋を営んでいる72才の有馬義男は、大川公園のニュース速報を見た娘の真智子から、その手の持ち主が行方不明になっている孫娘の鞠子ではないかという、電話を受ける。
 上下巻合わせて1400頁(3551枚とのこと)の大作。しかし冗長という感じは少しも受けませんでした。事件の被害者・被疑者とその家族、そして警察や報道関係者らの生き様がリアルに描き出されています。それだけにあまりにも切ない場面がいくつもありました。登場人物の一人一人が縦糸横糸となり織り上げられた一幅のタペストリーを見るようです。

模倣犯〈上〉 模倣犯〈下〉

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2000年09月09日

「あやし 〜怪〜」宮部みゆき

 お江戸の商家を舞台にした奇談短編集。 居眠り心中/影牢/布団部屋/梅の雨降る/安達家の鬼/女の首/時雨鬼/灰神楽/蜆塚 の9編。
 ちょっぴり背筋がひやっとするようなお話たち。お江戸の人々の生活をのぞきみたような気分になれます。ほのぼのしたかぼちゃの神様の「女の首」が好き。「蜆塚」は怖い。

あやし
宮部 みゆき
角川書店 2003-04


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2000年06月30日

「ぼんくら」宮部みゆき

 深川北町の一角にある鉄瓶長屋。八百屋の太助が何者かに殺された事件に端を発し、差配人の久兵衛が姿を消し、次々と店子が引っ越していく。同心の井筒平四郎は鉄瓶長屋に次々と起こる事件に、何かつながりがあることに感じ、甥の弓之介らとともに真相を探ろうとする。
 宮部みゆきさんはやっぱりいい。安心して読めます。連作短編集かと思いきや、ひとつの大きなお話になっていました。のほほん同心の平四郎、人情深い煮売屋のお徳、超美形で計測魔の弓之介(でも重大な弱みあり)etc、人間味溢れる魅力的な登場人物たちが、生き生きと動き回っています。

ぼんくら〈上〉 ぼんくら〈下〉

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1998年11月04日

「クロスファイア 上・下」宮部みゆき

ラストで泣いてしまいました。
パイロキネシスを持つ青木淳子が主人公。パイロキネシスは漢字で書くと“念力放火能力”。何の反省も罪悪感もなく凶悪な犯罪を繰り返す少年たちを、自らの力で“処刑”していく孤独な主人公、淳子。
宮部さんの作品には“超能力・異能力”がよく出てきます。「龍は眠る」「蒲生邸」「震える岩」「天狗風」など。

クロスファイア(上)

「クロスファイア 上・下」宮部みゆき 光文社文庫

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