宮部みゆき
2007年01月11日
「名もなき毒」宮部みゆき
青酸カリ入り紙パックの殺人事件、解雇した女子社員、「家」におけるそれぞれの「毒」が、私:杉村三郎を軸に編み込まれ、そしてほどけてゆきます。でも事件が解決したかに見えても、「毒」は完全に解毒されることなく、土地に家に人の心に染みこみ、影を落としているように思われました。
宮部さんの現代を舞台とした小説は、よくちょこっと「勉強になる」ことが含まれています。シックハウス症候群というのは聞いたことがあったけれど、宅地土壌汚染問題というのはこの小説で初めて知りました。
★★★☆_
宮部さんの現代を舞台とした小説は、よくちょこっと「勉強になる」ことが含まれています。シックハウス症候群というのは聞いたことがあったけれど、宅地土壌汚染問題というのはこの小説で初めて知りました。
★★★☆_
内容(「BOOK」データベースより)
どこにいたって、怖いものや汚いものには遭遇する。それが生きることだ。財閥企業で社内報を編集する杉村三郎は、トラブルを起こした女性アシスタントの身上調査のため、私立探偵・北見のもとを訪れる。そこで出会ったのは、連続無差別毒殺事件で祖父を亡くしたという女子高生だった。
2002年07月16日
2002年07月06日
2001年08月25日
「R.P.G.」宮部みゆき
杉並区新倉町の住宅地の一画で刺殺された男性の遺体が見つかる。所田良介48歳。妻と高校生の娘との三人家族。その3日前女子大生:今井直子が絞殺されるという事件があり、二つの事件をつなぐ遺留品が見つかるが、捜査の進展はない。所田はネット上で疑似家族の父親を演じていた。
事件を担当する刑事の武上悦郎は『模倣犯』、石津ちか子は『クロス・ファイア』の登場人物。宮部さんご自身があとがきで「前者と後者は、かなり異なった世界設定ですので、二人の“共演”には、若干の抵抗がありました」と書かれています。私は石津ちか子の方はすっかり忘れていたので、あまり違和感はなかったです。
ラストでこのタイトルの意味するところが明らかにされます。
事件を担当する刑事の武上悦郎は『模倣犯』、石津ちか子は『クロス・ファイア』の登場人物。宮部さんご自身があとがきで「前者と後者は、かなり異なった世界設定ですので、二人の“共演”には、若干の抵抗がありました」と書かれています。私は石津ちか子の方はすっかり忘れていたので、あまり違和感はなかったです。
ラストでこのタイトルの意味するところが明らかにされます。
R.P.G. 宮部 みゆき 集英社 2001-08 by G-Tools |
2001年07月05日
「ステップファザー・ステップ」宮部みゆき
俺は職業的な泥棒。ある夜落雷のため忍び込もうとした家の屋根から落ち、その隣の家の双子:宗野直と哲に介抱される。双子の両親はそれぞれが駆け落ちして家を出ていた。彼らは俺に、父親役を依頼した。連作短編。 ステップファザー・ステップ/トラブル・トラベラー/ワンナイト・スタンド/ヘルター・スケルター/ロンリー・ハート/ハンド・クーラー/ミルキー・ウェイ
小5の娘たちが「すっごくおもしろかった」と気に入っていたので再読しました。内容をすっかり忘れていたので、新鮮な気持ちで読めました。脇役の‘柳瀬の親父’とか‘画聖’がいい味出してます。灘尾礼子先生へのほのかな思慕も気になるし…。講談社文庫の解説(「メイキング・オブ宮部みゆき」新保博久)によると、「同じメンバーを登場させて、いつか長編を書くつもりです」という宮部さんの言葉が紹介されています。でもまだ書かれてないんですよね。是非書いて欲しいな。
小5の娘たちが「すっごくおもしろかった」と気に入っていたので再読しました。内容をすっかり忘れていたので、新鮮な気持ちで読めました。脇役の‘柳瀬の親父’とか‘画聖’がいい味出してます。灘尾礼子先生へのほのかな思慕も気になるし…。講談社文庫の解説(「メイキング・オブ宮部みゆき」新保博久)によると、「同じメンバーを登場させて、いつか長編を書くつもりです」という宮部さんの言葉が紹介されています。でもまだ書かれてないんですよね。是非書いて欲しいな。
ステップファザー・ステップ 宮部 みゆき 講談社 1996-07 by G-Tools |
2001年04月04日
「模倣犯」宮部みゆき
1996年9月12日。高校生の塚田真一は犬の散歩途中の大川公園でゴミ箱に捨てられた紙袋から人間の手を見つける。同じ日、豆腐屋を営んでいる72才の有馬義男は、大川公園のニュース速報を見た娘の真智子から、その手の持ち主が行方不明になっている孫娘の鞠子ではないかという、電話を受ける。
上下巻合わせて1400頁(3551枚とのこと)の大作。しかし冗長という感じは少しも受けませんでした。事件の被害者・被疑者とその家族、そして警察や報道関係者らの生き様がリアルに描き出されています。それだけにあまりにも切ない場面がいくつもありました。登場人物の一人一人が縦糸横糸となり織り上げられた一幅のタペストリーを見るようです。
上下巻合わせて1400頁(3551枚とのこと)の大作。しかし冗長という感じは少しも受けませんでした。事件の被害者・被疑者とその家族、そして警察や報道関係者らの生き様がリアルに描き出されています。それだけにあまりにも切ない場面がいくつもありました。登場人物の一人一人が縦糸横糸となり織り上げられた一幅のタペストリーを見るようです。