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2007年05月20日

「1000の小説とバックベアード」佐藤友哉

正直、よく分からない話でした。
それなのに読み終えたとき、涙がこぼれていたのは何故だろう?
小説とは何なのか、小説を読むことの意味、小説を書くことの迷い、悩み、絶望、希望……そういった小説・文学をめくる様々な事を主人公の木原とともに、そして彼の向こう側にいると思われる著者とともに、考えた時間でした。
三島由紀夫賞受賞作。

たくさんの作家の名前、書物のタイトルが並べられていました。その中で私が手にとって読んだのはほんの少しだけ。福永の名前が出てきたのはちょっと嬉しかったけど、「たけひこ」ではねぇ……。

1000の小説とバックベアード ★★★★_ 
表紙見返しより
僕は「片説家」。「小説家」と違って、純粋に「特定の個人に向けて物語を書く」仕事だ。そこにあるのは、創作とはいえないリクエストとマーケティングだけ。いや正確には「片説家」だった。四年間この仕事をしてきたが、今さっき解雇されたのだ。27歳の誕生日だというのに……。



以下、心に残った文。未読の方は読まない方がいいでしょう。
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2007年04月06日

「赤朽葉家の伝説」桜庭一樹

赤朽葉家の女たちとともに、地方から見た戦後の日本史(産業・若者文化)をたどったような気持ちになりました。万葉と私の母がほぼ同世代、毛毬は私よりも数年若く、瞳子と娘がほぼ同じということで、描かれている時代を思い浮かべやすかったです。高度経済成長、東京オリンピック、公害問題、石油ショック、核家族化、不良文化、ノストラダムス、バブルとその崩壊…etc. ♪そんな〜時代も〜あったね…って気分。
また地方からの視点ということでも、共感することがいろいろありました。
たとえばバブル期について書かれている箇所。
土地の値段は上がり、地上げ屋が暗躍した。一般の人々もローンでマンションを買い、高いブランドの服を着た。大卒者は企業から引っ張りだこであった。しかしそれは都会の話で、山陰地方はそれを、文明の利器であるテレビで見ているだけであった。紅緑村にはあまり変化がなかった。
私もバブルなんて別の世界のことだったなぁ。

万葉とみどりの奇妙な友情が良かったです。

赤朽葉家の伝説 ★★★★_
出版社 / 著者からの内容紹介
「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。 ?千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。


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2007年03月31日

「君の歌は僕の歌 Girl's Guard」桜庭一樹

元気いっぱいの空手少女と頭脳派美少女、できすぎ兄ちゃんとその友達、鉄人じーちゃん…といった面々が繰り広げるアクション&ラブコメ。
さくさくと読めました。じーちゃんが好きです。マリが19歳にしては幼すぎる気も…。
桜庭さんご自身も、極真空手をこよなく愛する武闘派作家とのこと。技の描写にキレがあるわけだ。

君の歌は僕の歌?Girl’s guard ★★★__
出版社/著者からの内容紹介
著:桜庭一樹 イラスト:ヤスダスズヒト が贈る痛快ラブ&ガールズアクションストーリー。ガールズ専門のなんでも屋"Girl's Guard"をなりゆきで開業することになったヒロイン"マリ"と、"雪野"。ワケあり風の少女"七菜子"の依頼を受けた二人は、とんでもない事件に巻き込まれていく…。


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2007年02月11日

「少女七竈と七人の可愛そうな大人」桜庭一樹

影のある長い黒髪の美少女というと、いかにもありがちな設定で、たくさんの小説の中で出会ってきたように思います。でも記憶に残っているのは本当に魅力的な少女だけ。川村七竈は、「六番目の小夜子」の沙世子、「GOTH」の森野夜らとともに、いつまでも心に残る黒髪美少女になりそうです。

このタイトルや「いんらん」なんて言葉が出てくるものだから、七竈という少女が大人の男たちを弄ぶような話かと思いましたが、違いました。彼女はむく…無垢な少女でした。その花言葉を体現したような。七竈の花言葉は「慎重」「賢明」「用心」「私と一緒にいれば安心」「怠りない心」…だそうです。

少女七竈と七人の可愛そうな大人 ★★★★_
内容(「BOOK」データベースより)
わたし、川村七竃十七歳はたいへん遺憾ながら、美しく生まれてしまった。?男たちなど滅びてしまえ。吹け、滅びの風。半身を奪われるような別れ、あきらめていた人への想い、痛みをやさしさが包み込む。

以下、引用有り。未読の方はここまで。続きを読む

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2002年08月06日

「白狐魔記 蒙古の波」斉藤洋

 85年の眠りから覚めた白狐魔丸は、仙人の勧めで鎌倉へと向かう。日蓮の処刑に出くわし、‘気’というものを知る。鎌倉でしばらく過ごした白狐魔丸は仙人と別れ、京へ。そこで六波羅探題南方、北条時輔の家来である市谷小平太に出会う。
 タイトルからも分かるように、元寇の時代の話になる。教科書で見たことのある元寇の絵を描いたのは竹崎季長という武士だったことなど、いろいろと再確認。(フビライの時の元が2回攻めてきて、台風のおかげで撃退できた…ぐらいの知識しかない私)それにしても、仙人って何者?
蒙古の波 白狐魔記
斉藤 洋
偕成社 1998-06


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2000年07月29日

「Y」佐藤正午

 秋間文夫43才。彼は8月の雨の晩、高校の同級生の北川健と名乗る男からの電話を受ける。男はかつて秋間の親友だったと言うが、名前さえ記憶に残っていない。そして三日後、北川の代理人という女性から、「物語」が綴られたフロッピーディスクを受け取る。
 18年前の列車事故。それからの18年をやり直す男の物語です。
 “時”をテーマとした話には北村薫の『スキップ』『ターン』やグリムウッドの『リプレイ』などがありますが(実際、作中に『リプレイ』が出てきます。)、それぞれ似ているようでいて、違った趣の話になっています。そしてそれぞれに心惹かれるものがあります。人の心の中にはどこかに「やりなおせたら…」という気持ちがあるからでしょうか。
Y
佐藤 正午
角川春樹事務所 2001-05


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参考:スキップ ターン

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2000年05月29日

「紅一点論 アニメ・特撮・伝記のヒロイン像」斎藤美奈子

 『ウルトラマン』『ゴレンジャー』・・・子ども向けテレビ番組には、チームの中に紅一点の女性がいた。つまり女の子が座る席は一つしか用意されていない。現実社会もまた同じ構図で。「たくさんの男性と少しの女性」で構成されている。その「紅一点」である「選ばれたヒロイン像」を、アニメ・特撮ドラマ、子ども向け伝記の中から読みとる。
 アニメ・特撮の考察の仕方、なるほどとおもしろかったです。ナイチンゲールやキュリー夫人など、「伝記」と実像のイメージの違いなども納得させられました。
紅一点論 アニメ・特撮・伝記のヒロイン像
斎藤 美奈子
筑摩書房 2001-09


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2000年03月29日

「いざ言問はむ都鳥」澤木喬

 私大の植物学科の助手を務める植物分類学者の沢木敬。彼の周辺で起こる事件を描く。「いざ言問はむ都鳥」「ゆく水にかずかくよりもはかなきは」「飛び立ちかねる鳥にしあらねば」「むすびし水のこほれるを」の4話連作短編。
 古歌から題名をとり、花が散りばめられた美しい文章。独特の雰囲気があります。
いざ言問はむ都鳥
沢木 喬
東京創元社 1997-05


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2000年03月24日

「プルトニウムと半月」沙藤一樹

 和也と咲子。そして須藤真里、成二、祐子が暮らす鉄条網に囲まれたハーフムーンは、原子炉の爆発の放射能汚染のために閉鎖された地域だった。
 双子姉妹が登場するということで購入した一冊。殺伐とした風景の中に自分だけの力で生きる、親を亡くした行き場のない子供たち。例えば震災で家族を失った子供へのフォローなどどうなっているのだろうと思わせられました。そして流石に“ホラー”文庫でした。
プルトニウムと半月
沙藤 一樹
角川書店 2000-03


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1998年10月30日

「絶対音感」最相葉月

「絶対音感」を論じていると言うよりも、近代〜現代日本クラシック音楽史・音楽教育史という感じ。もう少し私に音楽の素養があれば、面白く読めたかもしれない。私にとっては、絶対音感の世界というのは理解を超えた世界のように思えた。
興味深かったのは、「固定ド、移動ド」のこと。音名も階名も同じように「ドレミ・・・」と歌わせるのは日本特有の現象で、それが学校の音楽現場で子供たちに混乱をもたらしているのじゃないかということ。確かに、「ファに#が付いたら、ソがドになる」…とか、わけわかんなくなるわなぁ。

絶対音感

「絶対音感」最相葉月 小学館文庫

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