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2007年04月26日

「鹿男あをによし」万城目学

あをによし奈良の都の…という歌があるように、「あをによし」は奈良にかかる枕詞。奈良が舞台のお話です。

「神経衰弱」という言葉が出てきます。これから連想するのはトランプと夏目漱石。でも「きみは神経衰弱だから」という文脈からは当然後者の漱石の印象が頭の中で広がってきます。
そんな感じで読み進めていくと、漱石の『坊っちゃん』をなぞったような展開に。遊んでるなぁ、マキメ…ってな気持ちになってきます。(そして108頁のばあさんの言葉に大笑い)
しかし『坊っちゃん』のパロディだけでは終わらない。奈良と言えば、歴史と鹿。地名を織り込みながら、歴史や伝説や妄想の世界に誘ってくれます。マイシカ、ポッキー、かりんとう兄弟。愉快愉快。私の好きなものがいろいろ入っていて、楽しい読書のひとときでした。
好きなものの一つは奈良。数回観光で訪れました。だから結構地名から情景を思い浮かべることが出来ました。奈良公園、春日大社、飛鳥の高松塚古墳や石舞台 etc. 知っているところが出てくるととても嬉しい。

鹿男あをによし ★★★★_
帯より
「さあ、神無月だ……出番だよ、先生」
二学期限定で奈良の女子高に赴任した28歳の「おれ」。
ちょっぴり神経質な彼に下された、空前絶後の救国指令!?


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2007年01月31日

「Talkingアスカ」松村栄子

4つの中短編。
「悩める女王様」…4年1組の女王様サヤカと小間使いのミキちゃん。モテるのはどっち?
「Talkingアスカ」…あたし:大沢アスカはしゃべり続ける。学校のこと、兄のこと、将来のこと。受話器の向こうで聞いているのはマミ。
「窓」…わたしは予備校の教室の窓からいつも見ていた。病院の屋上の彼の姿を。
「高級な人間」…小学生の時、タツヤくんに言われた言葉を、マユミは29歳の今まで引きずっていた。

表題作の「Talkingアスカ」は一人芝居でも見ているような気分になりました。
アスカがとめどなくしゃべる言葉によって、学校や友達の様子、そして受話器の向こう側にいるマミのことも少しずつ分かってきます。またアスカ自身の変化もその話し言葉に表れています。

Talkingアスカ ★★★__


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2006年11月16日

「鴨川ホルモー」万城目学

まず、タイトルに引っかかります。ホルモーって何? そう思ったが最後、釣り上げられてしまうのです。それもこの物語の語り手である安倍のいうように、「罠」なのかもしれません。

ホルモーとは何ぞや。
「はじめに」で簡単に説明されてはいるものの、それだけではうまくイメージすることはできません。
安倍が勧誘されたいかにも怪しげな京大青竜会。いったい何をするサークル? 訝しく思いつつも登場人物達がホルモーに絡め取られてゆくように、読者もまた物語の世界に足を踏み入れてゆくのです。

楽しい本でした。
あり得ないのだけれど、京都という土地なら現実にあり得そうに思えてきます。地名がたくさん出てきます。私が分かるのは清水寺と比叡山と琵琶湖ぐらい。京都に住んでいる人なら、ここに出てくる土地やお祭りをちゃんとイメージできるんだろうな。映像化されたものを見てみたい気もしました。

鴨川ホルモー ★★★☆
内容(「MARC」データベースより)
謎のサークル京大青竜会に入った安倍を待ち構えていた「ホルモー」とは? 恋に、戦に、チョンマゲに、若者たちは闊歩して、魑魅魍魎は跋扈する。京都の街に巻き起こる、疾風怒濤の狂乱絵巻。前代未聞の娯楽大作、ここにあり!


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2006年09月15日

「ようちゃんの夜」前川梓

ようちゃんの夜 ★★★
第1回ダ・ヴィンチ文学賞大賞受賞作。
嫌いじゃないけれど、大好きにはなれない。
読んでいて、もどかしく、気恥ずかしくなってしまう。
「少女」の心からは遠ざかってしまったということかしら。

内容(「MARC」データベースより)
今年の始まりからあの夏の夜にかけて、私はようちゃんの隣で過ごしていた、と思う-。繊細で濃密で、そして時に残酷な10代の女の子たちのヒリヒリとした日常を、詩的な表現で鮮やかに描き出す。


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2005年06月30日

「輝く日の宮」丸谷才一

輝く日の宮 女子大の専任講師を勤め、十九世紀の日本文学を研究している杉安佐子はバツイチの独身。元禄文学学会では芭蕉についての報告をし、日本の幽霊シンポジウムで源氏物語に「輝く日の宮」の巻があったと主張する。
 1987年から約十年間の安佐子の日本文学研究の取り組みを、「水のアクア」の長良豊かとの恋愛を絡めながら描いている。

 奥の細道は義経を偲ぶ旅だっのではとか、源氏物語の成立過程とか、遣唐使の土産は黄金よりも紙が喜ばれたとか、他にも古典の基礎知識のようなもの(それすら私は知らないくて新鮮だったわけですが)が随所にちりばめられ、なかなか興味深かったです。
 学会の講演形式だったり、シンポジウムは戯曲っぽかったり、手紙文があったりと表現形式もいろいろ変化します。

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2002年08月10日

「ふたりのイーダ」松谷みよ子

 8月。九州に取材に行く母。直樹とゆう子はその間、母の実家である花浦の祖父母の家で過ごすことになった。直樹がおじいさんの家を抜け出し、おほりのそばに佇んでいるとき、不思議な光景を目にする。小さな幼児用の木のいすが、コトリ、コトリと歩いていく。「イナイ、イナイ」と言いながら。
 8月に読むのに、ふさわしい一冊。広島の原爆がテーマとなっています。小6の娘たちも読みました。今年5月に修学旅行で広島に行き、総合学習でも原爆についていろいろと学習したこともあり、とてもいいタイミングで読めたと思います。
ふたりのイーダ
松谷 みよ子
講談社 1976-01


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2001年08月17日

「光る夏−たつひこ」マオアキラ

 昭和31年3月。中学3年を前にした夏休みに、わたしたちの中学のグランドにもとみやたつひこが現れた。小学6年生の3学期に転校してきて、高校で野球をするために松山の中学に進学したたつひこ。
 この本を読むのに、夏休みのこの時期は最適でした。広島-原爆について考える一助となるお話です。
光る夏 - たつひこ
マオ アキラ
童心社 1993-07


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2001年07月03日

「千里眼 運命の暗示」松岡圭祐

 メフィスト・コンサルティングの囚われの身となった岬美由紀。嵯峨敏也と刑事の蒲生誠は、美由紀を救出すべく、猿島へ向かう。中国からのミサイル発射は秒読みに入っていた。
 『ミドリの猿』の続編。『千里眼』シリーズの完結編になります。劇画やアクション映画を見ているような感じ。前作から間が開いてしまったので、思い出しにくい所もあったけれどなんとかお話が終わって一安心。胸に残るものはあまりなかったけれど、楽しむだけの荒唐無稽なお話というのも、たまには良いものです。
千里眼 運命の暗示
松岡 圭祐
小学館 2001-11


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2001年03月20日

「詩人の夢」松村栄子

 書記の町で暮らすようになって5年、砂漠は開放され、聞く神の《光る箱》からは新たな生命:神の子が生まれた。ジェセル・シェプシは詩人になって砂漠を旅することに憧れ、《最初の書記》の日記を訳すことととひきかえにそれを許される。シェプシ18才の時に、天から石が降る。世界は動乱を迎えようとしていた。
 前作の『紫の砂漠』よりも、SF色が色濃く出ているという印象です。SF音痴のわたしにも、《光る箱》《光の剣》《光の矢》が何を意味するのかはだいたい解り、SFとしても楽しめました。でもやはりシェプシの<真実の恋>の物語として受け止めた方が、わたしにはしっくりします。映像でも見てみたいと思うお話でした。
詩人の夢
松村 栄子
角川春樹事務所 2001-02


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2001年01月21日

「生誕」松村栄子

 桑名丞、20才。父母、弟の4人家族。コンピュータ学院卒業後、地元の電化店に就職。趣味はテレビを見ること。幼い頃から無口でとらえどころのない子どもだった。遠い記憶があった。いつもぼくのそばにいた<彼>。
 “双子”というのは、魂の喪失感をあらわすのに、よく使われるようです。
生誕
松村 栄子
朝日新聞社 1999-03


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2001年01月18日

「紫の砂漠」松村栄子

 紫の砂漠のその世界では、人間は生まれたときには性別がない。<真実の恋>に出会ったときはじめて、<生む性>と<守る性>に分化する。塩の村で生まれたシェプシは普通のひとのような、ピンと尖った耳を持たない。丸い耳のシェプシは岩場の上から砂漠を見るのが好きだった。
 紫の砂漠の描写の美しいこと! シェプシの知りたいと願うひたむきさ、<真実の恋>への憧れ、そして別れの切なさ。きれいなものが目一杯詰まった物語でした。
紫の砂漠
松村 栄子
角川春樹事務所 2000-10


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2000年06月05日

「千里眼 ミドリの猿」松岡圭祐

 倉石精神科からの帰り、高校生の須田知美は路地で白い服の女に出会う。それ以来奇妙なことが次々に起こり、混乱する知美。そんな彼女の前に嵯峨敏也と名乗る男が現れる。一方、内閣官房直属の首席精神衛生官として、ジフタリア共和国の視察に同行した岬美由紀は、そこで事件を起こす。
三部作ということです。「催眠」の嵯峨敏也、「千里眼」の岬美由紀が登場するので、これが第三部かと思いきや、「千里眼」「ミドリの猿」次作で三部のようです。中途半端な終わり方なので、次が気になる。「千里眼」の後半もなんじゃこりゃ…という感じだったのですが、なんじゃこりゃ度はますますupしています。
千里眼 ミドリの猿
松岡 圭祐
小学館 2001-03


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2000年03月09日

「聖夜のおくりもの 双子のママ奮闘記」正岡美香

 平成7年12月24日の夕刻、待ちに待った双子の誕生。2380gの和樹と1806gの瑞己。双子の育児に慌ただしく日々が過ぎていく中、二人の発達の違いが気になってくる。瑞己は生後9ヶ月で受けた検査で、医師に告げられる。「運動・精神両面の発達遅滞。歩くのは早くても2才過ぎ」と。それから2年後、瑞己ははじめて自分の足で歩く。
 100ページちょっとの本ですが、妊娠・出産から4歳の現在までの和樹くん、瑞己くんの様子が母親の視線で書かれています。告知されたときの気持ちの揺れや、瑞己くんの小さな前進に喜ぶお母さんの気持ちが伝わってきます。
聖夜(イヴ)のおくりもの 双子のママ奮闘記
正岡 美香
郁朋社 2000-01


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1999年09月22日

「千里眼」松岡圭祐

 恒星天球教の信者が米軍横須賀基地のミサイル制御室に侵入し、制御コンピューターを操作してミサイルの照準を首相官邸にロックした。解除用の暗証番号が分からない。それを探るために東京晴海医科大学付属病院カウンセリング科の友里佐知子および岬美由紀が招かれる。
 前作の「催眠」よりもスケールが大きく、ハラハラしながらおもしろく読めた。「カウンセリング」についての蘊蓄がくどいのが、難。著者が臨床心理士ということで、「カウンセリング」への世間一般の偏見や誤解を解きたいという気持ちのあらわれかな?
千里眼
松岡 圭祐
小学館 2000-03


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1999年08月20日

「催眠」松岡圭祐

 偽催眠術師:実相寺則之を訪れた入絵由香は、突然自分は宇宙人アンドリアだと叫び始める。店への売り込みに来たと察した実相寺は、由香にチャネリングの店を手配する。その店に<東京カウンセリング心理センター・催眠療法科>に勤務する嵯峨敏也が訪れる。
著者自身が臨床心理士ということで、なかなか興味深く読めた。ただ、本書の中の「自閉的な傾向」という言葉の使い方に、違和感をおぼえた。
催眠 Hypnosis
松岡 圭祐
小学館 1999-04


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1998年11月06日

「モモちゃんとアカネちゃんの本」松谷みよ子

ちいさいモモちゃん モモちゃんとプー モモちゃんとアカネちゃん 
ちいさいアカネちゃん アカネちゃんとお客さんのパパ アカネちゃんのなみだの海

著者のあとがきによると、モモちゃんのお話が初めて世に出されたのが1961年11月。そして最終巻の「アカネちゃんのなみだの海」が上梓されたのが1992年4月。なんと30年かかって、ようやく完結したシリーズです。赤ちゃんだったモモちゃんが最終章では中学生に。ほのぼのとしたエピソードとともに、戦争・離婚・父の死といった重いテーマがやさしい語り口で描かれています。
 様々なエピソードに、「母」である私には思い当たることもたくさんありました。「お母さんのための本」と評した人がいるのも納得できます。私が特に感情移入できたのは、くつしたの双子「タッタちゃんとタアタちゃん」。双子という設定も私が惹かれた一因でしょうが、入学前まで子供たちが大切にし、私の育児のパートナーでもあった「毛布」とがオーバーラップしたからです。


ちいさいモモちゃん
松谷 みよ子

モモちゃんとプー モモちゃんとアカネちゃん ちいさいアカネちゃん アカネちゃんとお客さんのパパ アカネちゃんのなみだの海

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講談社

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