:み

2007年05月27日

「失われた町」三崎亜記

月ヶ瀬町、都川市、由佳、潤、和宏、茜といった、地名人名から近未来の日本が舞台と思い、読み始めました。が、これは私たちのいる世界とは全く異なった世界ですね。
人と人との繋がりやものの感じ方は日本人のそれなのですが、構築される世界は全く別のもの。
頭痛のする頭で読んだのでこの世界を理解しきれなかったのか、この世界を分かろうとしてそれが私の理解力を超えていたので頭痛が引き起こされたのか…。(町の触手にふれてしまったのか) とにかく頭痛を抱えての読書でした。

読み終わった今でも、町が消滅する意味やそれに抗おうとするシステムがよく分からないままですが、人と人の出会い、縁、それが繋がっていく、明かされていく様が心にしみました。

失われた町 ★★★☆_ 
内容(「BOOK」データベースより)
30年に一度起こる町の「消滅」。忽然と「失われる」住民たち。喪失を抱えて「日常」を生きる残された人々の悲しみ、そして願いとは。大切な誰かを失った者。帰るべき場所を失った者。「消滅」によって人生を狂わされた人々が、運命に導かれるように「失われた町」月ケ瀬に集う。消滅を食い止めることはできるのか?悲しみを乗り越えることはできるのか? 時を超えた人と人のつながりを描く。
続きを読む

pleiades91 at 23:23|この記事のURLTrackBack(0)

2007年04月21日

「死の泉」皆川博子

再読です。皆川博子さんの『死の泉』
前に読んだのは、1999年8月。
ドイツが舞台だったとか、双子が出てきたとか、カストラートとか、そういった欠片(かけら)的なことと、ただただ圧倒されて謎がいっぱい残ったというぼんやりとした印象が残っているのみでした。
というわけで、今回もほとんど初読み気分での読みました。そして読み終えてまたまた茫然。

私の場合、戦争に関する書籍はその重さからついつい敬遠してしまいがちです。この物語から「戦争の側面」知ることができたのは、たとえそれがフィクションで薄められたほんの上澄みであったとしても、積極的にそういったことを知ろうとしない私にとっては収穫でした。

死の泉 ★★★★_
内容(「BOOK」データベースより)
第二次大戦下のドイツ。私生児をみごもりナチの施設「レーベンスボルン」の産院に身をおくマルガレーテは、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウスの求婚を承諾した。が、激化する戦火のなか、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがて、この世の地獄を見ることに…。双頭の去勢歌手、古城に眠る名画、人体実験など、さまざまな題材が織りなす美と悪と愛の黙示録。吉川英治文学賞受賞の奇跡の大作。
続きを読む

pleiades91 at 21:21|この記事のURLTrackBack(0)

2007年03月24日

「スコーレNo.4」宮下奈都

可愛く自分をちゃんと主張できる妹の七葉。それに対し、平凡で不器用で自分に自信が持てない麻子。そんな麻子の少女から女性への変化が描かれています。
世界がその瞬間に変わったような中学時代の初恋、高校時代には年上の従兄に対する淡い片思い、慣れない職場と恋人とのすれ違い、初めての海外出張と新しい出会い。

自らの仕事に自信を持てないままに、夢中で靴をディスプレイする麻子、買い付けする麻子の姿をとてもまぶしく思いました。不器用な真摯さは、自分では気づかないうちに彼女の「力」となっていました。
誰かと同じ空間や場所を共有していたことを、後から気づくって素敵ですね。

スコーレNo.4 ★★★☆_
(帯より)
どうしても忘れられないもの、拘ってしまうもの、深く愛してしまうもの。そういうものこそが扉になる。日常の丹念な描写から見つめる、ひとりの女性への道のり。


pleiades91 at 10:16|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2007年02月09日

「太陽がイッパイいっぱい」三羽省吾

「マルショウ解体」は大阪下町の中堅型枠解体業者。そこで働く面々の過酷な労働や背負っている過去、仲間の絆などが生き生きと描かれています。

太陽がイッパイいっぱい ★★★__
内容(「BOOK」データベースより)
バイト先の解体現場に人生のリアリティを見出した大学生のイズミ。巨漢マッチョ坊主カンや、左官職人崩れで女性に対し赤面症の美青年クドウ、リストラサラリーマンのハカセなどと働く「マルショウ解体」の財政は逼迫し、深刻な問題が…。過酷な状況における人間の力強さをユーモラスに描いた傑作青春小説。

続きを読む

pleiades91 at 22:38|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2007年01月25日

「厭世フレーバー」三羽省吾

えんせい 【厭世】 世の中をうとましく思うこと。生きていることがつらいと思うこと。
フレーバー 【flavor】 風味。香り。おもむき。

須藤家家族構成…ケイ(圭一:次男)14歳。カナ(長女)17歳。リュウ(隆一:長男)27歳、薫(母)42歳、新造(祖父)73歳。宗之(父)46歳。そして猫の部長代理。

失職した父が失踪。母は酒浸りになって家事を放棄、一人暮らしをしていた長男が戻ってくるが、長女の帰宅は遅くなり、次男は陸上部を辞め、祖父のボケは進行……ほとんど崩壊しかけている家庭。
章ごとに語り手が替わり、家族の秘密が次々に明るみに出ます。そして姿を見せない宗之という人間像が徐々に浮かび上がってきます。
バラバラな家族は互いに心の内を見せ合うことなく、でもそれぞれ自分の中で折り合いを付け、少しずつ家族が再生されてゆく。そんな過程がとても心地よかったです。

厭世フレーバー ★★★★☆
出版社 / 著者からの内容紹介
新しい時代の家族を描く新鋭登場
突然、父親が失踪。没頭していた陸上をやめ、14歳のケイは新聞を配り始めるが──。家族という不可思議な関係を描くポップな一冊

以下、少々ネタばれ有り。続きを読む

pleiades91 at 00:38|この記事のURLComments(4)TrackBack(2)

2007年01月15日

「イレギュラー」三羽省吾

本を読んでいて、声を出して笑ってしまったのは久しぶり。楽しい本でした。
高校野球青春小説。スポコンというよりスポコメ。(スポーツコメディ。琴子ちゃん風に略してみました)

高校野球を一番熱心に見ていたのは中学時代だったかな。原選手が活躍していた頃ですね。(遠い目) だんだんと興味も薄れ、試合を見ることもなくなっていたのですが、娘たちが高校生になったことで、昨夏は久しぶりに高校野球をTV観戦しました。やはり高校野球ってドラマだなぁと、しみじみ。

そして愛校心さらには愛郷心をかき立てられるのが高校野球。蜷谷村の人たちの熱い思いが伝わってきます。
災害による仮設住宅での避難生活についても描かれていて、単に楽しいだけの話ではありません。
「ありえねー」ってご都合主義もいろいろありましたが、それでもやはり楽しくて、スカッとするお話。

イレギュラー ★★★★_
内容(「BOOK」データベースより)
村が水害にあい、グラウンドも使えず練習もままならないニナ高野球部。素質は全国レベル、態度ならメジャーレベルの剛速球投手コーキもその素質をくすぶらせ、ナンパやケンカ三昧の日々。そんなニナ高に、恰好の練習相手として目を付けたのは名門野球部K高だった。だが両校は合同練習初日に衝突する。自分の球に絶大な自身を持つコーキはK高野球部に勝負を挑むが…。ダメダメ野球部のむやみに熱い青春ストーリー登場。


以下、ネタばれ及び妄想。未読の方は、読まない方がいいでしょう。続きを読む

pleiades91 at 23:47|この記事のURLComments(4)TrackBack(4)

2006年10月14日

「気まずい二人」三谷幸喜

脚本家の三谷幸喜さんは、人見知りで上がり症。初対面の人とうち解けるのに時間がかかるタイプでだそうです。そんな彼がホストとして13人の女性と対談した様子が戯曲風に書かれています。
緊張から舞い上がっている三谷さんへのゲストのツッコミに、それぞれの人の人柄が伺えます。
回を重ねる毎に少〜しずつ対談に慣れてゆく三谷さん。(あくまでも少〜し) 
でも、緊張しまくって気まずい雰囲気漂いまくりの最初の方の対談が、読むには楽しかったです。

気まずい二人 ★★★☆

出版社/著者からの内容紹介
これは芝居か? ドキュメントか!? 初対面の素敵な女性とウソのようにスラスラと話せる秘策とは…? 脚本家・三谷幸喜が女性ゲスト13人を迎えて繰り広げる、知恵と勇気がたっぷりつまった驚異のハウツー本


pleiades91 at 14:40|この記事のURLComments(2)TrackBack(0)

2006年05月12日

「オンリー・ミー 私だけを」三谷幸喜

 脚本家:三谷幸喜の初めてのエッセイ集。『とらば〜ゆ』に1年間連載されたエッセイの他、パンフレット等に載せた文章など。

 三谷さんの映画は大好きです。でもにわかファン。「笑の大学」のDVDをレンタルして見たのが始まり。「ラヂオの時間」「みんなのいえ」「12人の優しい日本人」をTVで見たりレンタルしたり。映画館で見たのは「THE 有頂天ホテル」のみ。笑いの中にちょっとしんみりさせるものがあって、見終わったときに幸せな気分になれます。
 このエッセイ集も、「笑いあり、笑いあり、笑いあり」でした。変な人だと思いつつも、ちょこっと「そうよね〜」と相槌をうっている自分がいます。病院に行ったとき症状が軽いと申し訳ない気分とか、リクライニング・シートを倒すときのこととか。

 第一章の「こんな男に誰がした」が『とらば〜ゆ』に連載されていたのは1992~3年のようです。「振り返れば奴がいる」の頃。このドラマって、三谷さんの脚本だったんだ。小泉さんがまだ「元郵政大臣」だったり。懐かしい気分に浸れました。
  三谷さんのお芝居も観てみたいなぁ。こればかりは都会が羨ましい。

オンリー・ミー?私だけを ★★★★

pleiades91 at 10:24|この記事のURLComments(2)TrackBack(0)

2005年04月26日

「となり町戦争」三崎亜記

となり町戦争 〔広報まいさか〕に小さく載っていた【となり町との戦争のお知らせ】 
 開戦日 九月一日、終戦日 三月三十一日(予定)、開催地 町内各所。
 僕:北原修路は何ら準備もできないままに、開戦の九月一日を迎えた。しかし僕の周囲では何事も起こらず、日々を何の変わりもなく過ごしている。そんなある日、舞坂町総務課となり町戦争係より戦争特別偵察業務従事者任命の書類が届き、九月三十日にはとなり町戦争係の香西という女性から確認の電話がかかってきた。
 小説すばる新人賞受賞作。

 「となり町戦争」…となり町という語感がほのぼのしています。実際、戦争とは言うものの、戦闘シーンは全くありません。自治体行政によって地域の活性化ために計画された戦争事業。主人公を含めた一般人の目には映らない、ただ広報の戦死者の数だけが増えていく…そんな戦争が描かれています。 続きを読む

pleiades91 at 15:10|この記事のURLComments(5)TrackBack(13)

2005年03月10日

「日暮らし」宮部みゆき

日暮らし 上 日暮らし 下

宮部みゆきさんは大好きな作家さんの一人です。
ミステリー、ファンタジー、時代物…いろんなジャンルの小説を書かれていますが、ほとんどはずれがありません。
「日暮らし」は時代物。
読み始めてすぐに気づきました。これって「ぼんくら」の続編 !?
はい。宮部ファンの私ですので、「ぼんくら」も読んでいますとも。
でも、でも…もう4〜5年前のこと、内容を忘れてしまってます。
ほんのり覚えているのは、頭脳明晰で超美形の弓之助くんと、ぎっくり腰持ちの同心:平四郎さんと、驚異的な記憶力のおでこちゃんが出てきたことぐらい。
登場人物がかぶる程度ならどんな話か覚えてなくても大丈夫かなと思いましたが、前の事件を承けたお話となっていました。
あぁ、ちゃんと覚えていないことがもどかしい。
かといって「ぼんくら」を読み返す気力はない。
おでこちゃんのような記憶力があればなぁ。
あるいはムネーモシュネー(※「永遠の森」菅浩江)があれば…。

もやもやとした気分のまま読み進め、なんとか読了。
それでもそれなりに楽しめましたが、娘たちには「ぼんくら」を読んでから「日暮らし」を読んだ方が良いと助言しました。続きを読む

pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(1)

2001年02月08日

「ジャムの真昼」皆川博子

 一葉の写真、一枚の絵から呼び起こされた物語。 森の娘/夜のポーター/ジャムの真昼/おまえの部屋/水の女/光る輪/少女戴冠 の7編収載。
 西欧の薫りがする、妖艶で甘美で謎めいた雰囲気が凝縮した物語達。表題作の「ジャムの真昼」を筆頭に、物語の終わりまでいくと思わずまた最初から読み返さずにはおれなくなるような…。読書の“醍醐味”という言葉がふさわしい。それには少し毒も含まれていますが。

ジャムの真昼
皆川 博子
集英社 2000-10


by G-Tools




pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2000年02月02日

「シュナの旅」宮崎駿

 氷河がえぐった旧い谷の底の小さな王国。やせた大地。とぼしい草。悲しく貧しい人生。美しく無慈悲な自然。少年シュナはその王国を継ぐ者。行き倒れた旅人から聞いた金色の種を求めて、シュナは西を目指して旅立つ。
 チベットの民話をもとに描かれた物語だそうです。ナウシカやもののけ姫にも通じる宮崎ワールドという感じ。オールカラーで美しい。

シュナの旅
宮崎 駿
徳間書店 1983-06


by G-Tools


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

1999年08月14日

「死の泉」皆川博子

 1943年、19才のマルガレーテは未婚のまま身ごもり、ナチスによって設立された<レーベンスボルン・生命の泉>に入所する。所長クラウス・ヴェッセルマンに求婚され、フランツ、エーリヒという二人の少年を養子に迎える。そして、15年後…。
 物語中に双子の姉妹が登場する。一卵性双生児というのは、貴重な生体実験材料となる得る。双子の親としてはそういう着眼点からも読めてしまう。他、カストラート、ナチの科学者とアメリカ…etc 様々な問題について考えさせられる。最後まで謎をはらんだ構成はミステリとしても上質。

4152081147死の泉
皆川 博子
早川書房 1997-10

by G-Tools


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(3)TrackBack(1)

1999年02月06日

「天使たちのカレンダー」宮川ひろ

「天使のいる教室」の姉妹編。人形の「てっぺい」が、サトパン先生の友達のゆきこ先生のいる<のびのび学級>に、半年ほど遊びに行きます。のびのび学級の8人の子供たちは「詩」が大好き。てっぺいも大好き。
 のびのび学級のあきらくんが親学級に行くときに、人形の「てっぺい」をつれていくエピソードがあります。「人形のぼくに、なにができるわけでもないけれど、みんなの目がはんぶんぼくにむくので、少しだけ気持ちがらくになるのかもしれません。」という言葉。我が家の次女が1年生の時に学校に行けなくなったことがありましたが、どうにか行けそうな日にはよく家からぬいぐるみを一つ二つ持って行っていました。もしかしたら、同じような気持ちだったのかな・・・そんなことを思いました。

天使たちのカレンダー

「天使たちのカレンダー」宮川ひろ 童心社 

pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

「天使のいる教室」宮川ひろ

 水木哲平・・・ぼくはミズキという木でできた人形です。正子ちゃんと兄弟のようになかよく育ちました。正子ちゃんは小学校の先生になりサトパン先生と呼ばれています。ぼくは「教室わらし」になってサトパン先生の教室の様子を見ています。今年サトパン先生は1年生を受け持つことになりました。あきこちゃんという神経芽腫という子どものガンの治療を受けている子がいるクラスです。・・・というふうに人形の「てっぺい」の語りで物語は進んでいきます。
 実話をもとにして創作されたお話とのこと。児童書。

天使のいる教室

「天使のいる教室」宮川ひろ 童心社

pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

1998年12月29日

「バリアフリーをつくる」光野有次

 光野さんの名前は、一人一人に合わせた椅子作り(ハンディのある子の姿勢保持用など)のための「工房」の人として知っていた。
 本書では、寝たきりの人を起こすためのベッドや椅子、ハンディのある子もそうでない子も楽しめるスウィング(ブランコのようなもの)、バリアフリーに則った住まい、公共建築物、そして街作りと、視点がどんどん広がっていく。そして、光野さんのこういった活動の根っこにあるのは、1985年5月からの1年間スウェーデンに滞在したことにあるという。「障害は社会環境がつくるものである」「スウェーデンではたんなる身体障害者はもはやハンディキャプトとは呼ばれない。もし、いまだに彼らがそう呼ばれているならば、それはわれわれ政府の責任であり、またスウェーデン社会の責任である」と彼は語っている…日本も早く北欧並になってほしいものである。

バリアフリーをつくる
光野 有次
岩波書店 1998-08


by G-Tools


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
TrackBack People

・・・・・・・