:も

2006年12月27日

「生きてるだけで、愛。」本谷有希子

学生時代のあだ名がエキセントリック子。略してエキ子。それを自らのハンドルネームにしている主人公。まさにエキセントリック。そして気分の浮き沈みが激しい。彼女に振り回されている津奈木が哀れになってくる。
それでも、何かしら彼女に共感している自分がいます。「すごく優しくていい人達」の中でもうまくやっていけない。彼女のようにそのままを表に出したりはしないけれど。出せないけれど。
北斎の富嶽三十六景についてのくだりから、「ラスコー洞窟の壁画」に描かれた動物の話を思い出しました。全身全霊をかけて分かろうとしたからこそ見えるものがある。繋がれることがある。でもそれはとても難しい。
生きてるだけで、愛 ★★★☆_
内容(「BOOK」データベースより)
ねえ、あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ?過眠、メンヘル、二十五歳。人と人とがつながりにくい現代を生きるひとりの女の子の物語。芥川賞候補作。


pleiades91 at 23:30|この記事のURLComments(0)TrackBack(2)

2006年09月01日

「七姫幻想」森谷明子

七姫幻想 ★★★★
もっとちゃんと古典を学ばなかったことが悔やまれます。
そんな中途半端な知識の私でも、時折知っている事がでてきて、
それが嬉しかったりするのです。
衣通姫とか軽皇子とか清少納言とかその父とか。
ちゃんと文学史を知っていれば、分かる元ネタが他にもいろいろありそうです。

内容(「MARC」データベースより)
はるか昔から水辺に住み、日ごと機を織る美しい女たち。罪の匂いをまとう織女をめぐり、物語が密やかに始まる-。時代を経てなお様々に伝わる織女伝説をモチーフに、和歌を絡めながら描く7編の連作ミステリー。


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2005年06月20日

「れんげ野原のまんなかで」森谷明子

れんげ野原のまんなかで 秋庭市立秋葉図書館。今居文子はこの図書館に配属されて7ヶ月の新米職員。先輩司書は能勢と日野。ススキ野原がれんげ野原になるまでの半年間の、図書館周辺での小さな事件を描いた連作短編集。
第一話 霜降 -- 花薄、光る。図書館居残りにチャレンジする小学生たちとやけに多い落とし物。極めつけはカップラーメンが詰まったギターケース。
第二話 夏至 -- 銀杏黄葉 市内循環福祉バスの停留所となったことで、図書館の利用者が増えてきた。美雪さんもその一人。彼女が手に取った本の中に、一枚のコピーが挟まっていた。
第三話 立春 -- 雛支度 図書館の敷地の寄贈者:秋葉氏が持ってきたのは、秋葉図書館利用者の個人情報だった。
第四話 二月尽 -- 名残の雪 二月末の日曜日の大雪。帰るに帰れない文子は図書館で夜を明かすつもりだったが、近所に住む秋葉が家に泊まるようにと迎えにくる。そこで秋葉から雪女の話を聞く。
第五話 清明 -- れんげ、咲く。 ローカル情報誌に載った緑の野原の写真。秋葉図書館のまわりのれんげも花をつけ始めた。そんなある日、能勢の一人娘:あずさが図書館にやってきた。そして図書館に紛れ込んだ一冊の本『床下の小人たち』

 このblogに記録している本の7〜8割は図書館で借りたものです。2週間に一度通っています。この「れんげ野原のまんなかで」も図書館で借りました。
 謎解きや文子の淡い恋心よりも、「図書館のお仕事」を垣間見ることができたのが楽しかったです。お話の中に出てくる二つの児童書を知っていたのも嬉しかった。続きを読む

pleiades91 at 23:19|この記事のURLComments(6)TrackBack(7)

2005年06月03日

「千年の黙 異本源氏物語」森谷明子

千年の黙?異本源氏物語 長保元年。女童:あてきが仕えているのは藤原宣孝の妻で作り物語を書く方。後に紫式部と呼ばれる。あてきは右大臣:藤原道長に仕える童:岩丸と知り合う。ある日、中宮定子に従って退出した帝の猫のが行方しれずになり、宣孝もその捜索に出向くという。
 上にさぶらふ御猫 かかやく日の宮 雲隠 の3部から成る。
 第十三回鮎川哲也賞受賞作。

 「上にさぶらふ御猫」では行方不明になった猫、「かかやく日の宮」では消えた源氏物語の巻の謎を、あてき(第二部では小少将)の主人である紫式部が解き明かします。

 「源氏物語」や藤原道長の周辺の事情をもっと詳しく知っていればよかったと思いましたが、中途半端な知識の私にも十分楽しめる内容でした。(あるいは中途半端な知識だからこそかえって「知る」楽しみが味わえて良かったのかも)
 平安時代の雅な雰囲気と、「物語」を紡ぎ出す式部の悩みと決意、そしてはりめぐらされた伏線と推理。いろんな角度から楽しめたお話でした。とりわけ「かかやく日の宮」の巻の散逸についてはまるでこの本に書かれていることが真実であるかのように思えました。
 この時代に「物語を書く」ということは、現代以上に重いことだったろうと思えました。「ものを書く者は、その結果を全部引き受ける覚悟でいなかれば」という式部の言葉が印象的でした。

pleiades91 at 16:00|この記事のURLComments(4)TrackBack(1)

2001年09月29日

「ベートーヴェンな憂鬱症」森雅裕

 1800年冬、1803年春、1815年冬、1823年春。20代、30代、40代、50代のベートーヴェンが出会った事件を描いた短編集。常にジュリエッタ・グィチアルディ(ガエンベルク)の気配あり。ピアニストを台所に入れるな/マリアの涙は何故、苦い/にぎわいの季節へ/我が子に愛の夢を
 弟子:チェルニーの他、孫弟子の少年リストも登場します。「にぎわいの季節へ」が何となくつまらなく思えたのは、チェルニーが出てこないからでした。やはり娘たちが毎日弾いているチェルニーに親近感を覚えます。思わず頷いてしまったのが、次の言葉。「僕はね、先生。音楽史の上で、その作品が演奏される回数において、最多記録保持者たる作曲家を目指しているんです。人前で弾かれるかどうかは別としてね」
ベートーヴェンな憂鬱症
森 雅裕
講談社 1991-11


by G-Tools


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2001年09月14日

「モーツァルトは子守唄を歌わない」森雅裕

 1791年12月5日、モーツァルト死去。その18年後、ベートーヴェンは楽譜屋と言い争っている娘:シレーネ・フリースに出会う。彼女の父の曲を楽譜屋がモーツァルトの名で出版したというのだ。弟子のカール・ツェルニーやシューベルトも加わって、楽譜とモーツァルトの死の謎を探る。
 有栖川るいさんのマンガ(エニックス)を読み、原作である本書を探していました。ベートーヴェンは聴覚を失った気難しげな悲劇の作曲家というイメージだし、ツェルニーには生真面目な線の細いイメージがありますが、ここに登場するのはかなりそれに反する性格です。ひとことで言うなら‘漫才コンビ’。映画の『アマデウス』なんかも思い出しながら読みました。‘モーツァルトの子守唄’が彼の作曲じゃないとは知らなかった。
モーツァルトは子守唄を歌わない
森 雅裕
講談社 1988-07


by G-Tools


参考:モーツァルトは子守唄を歌わない 1 (1)有栖川 るい




pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2001年03月31日

「長安牡丹花異聞」森福都

 中国の様々な時代を舞台とした短編小説集。 長安牡丹花異聞/累卵/チーティング/殿/虞良仁膏奇譚/梨花雪
 松本清張賞を受賞した表題の「長安牡丹花異聞」は言うまでもなく、その他の物語も楽しく読めました。中国のことって、遠い昔に習った世界史とか漢文での断片的な知識しかないけれど、たま〜に聞いたことのある名前が出てくると、嬉しくなります。もっと中国史を把握してると、もっと楽しめるかな?
長安牡丹花異聞
森福 都
文芸春秋 1997-04


by G-Tools



pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2001年03月08日

「双子幻綺行 洛陽城推理譯」森福都

 中国周朝。武則天(則天武后)の治世。宮城に年若い女官と宦官が仕えていた。15才の馮香蓮(ふうこうれん)と、彼女の双子の兄:馮九郎である。才知に長けた九郎が都:洛陽で起きる事件を推理する連作短編集。 杜鵑花/蚕眠棚/氷麒麟/菊華酒/浮蟻珠/膠牙糖/昇竜門 の7話。
 中国が舞台というと、漢字が難しい、人名・地名がややこしい…と二の足を踏んでしまうのですが、美しい“双子の兄妹”となると、読まないわけにはいきません。で、大正解でした。馮香蓮・九郎兄妹のお互いを思う気持ちも、双子の親である私には気持ちいいし、他にも魅力的な人物がいっぱい。以前読んだ『後宮小説』を思わせるようなワクワクする展開でした。香蓮・九郎のその後の物語も読みたい!
双子幻綺行 洛陽城推理譚
森福 都
祥伝社 2001-02


by G-Tools

参考:後宮小説
後宮小説


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2000年11月24日

「西城秀樹のおかげです」森奈津子

 かの森奈津子氏の短編集。 西城秀樹のおかげです/哀愁の女主人、情熱の女奴隷/天国発ゴミ箱行き/悶絶!バナナワニ園!/地球娘による地球外クッキング/テーブル物語/エロチカ79 の7編。
 ううむ。これが森奈津子なのですね。衝撃というかなんというか…。めくるめく世界でした。「ワーイ・M・C・A」にかような真理が隠されていたとは…。さすれば、♪蔦のからま〜る「学生時代」なんて歌の背後にも何かありそうですわね。こちらは百合族の愛唱歌とか? 帯の瀬名秀明氏の推薦文が秀逸。「ああ、森さん、この本は凄すぎます、面白すぎます、バカバカしすぎます、病みつきになります、あっ、あっ、もう堪忍してくださいっ、後生ですから…っ!」
西城秀樹のおかげです
森 奈津子
イーストプレス 2000-06


by G-Tools


pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2000年11月22日

「あんただけ死なない」森奈津子

 四方田緋紗子28才。彼女を傷つけた恋人達はみな事故や病気で急死する。ただ一人を除いては。18才の秋也は、彼女に何かが取り憑いている何かが見えるという。
 ホラーということですが、怖くはありませんでした。店のマスターの健さんとテツの会話が笑えて好き。
あんただけ死なない
森 奈津子
角川春樹事務所 2000-11


by G-Tools



pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

2000年02月19日

「そして二人だけになった」森博嗣

 A海峡大橋のワイヤを両端で支えるアンカレイジの内部に秘密裏に建設された「バルブ」と呼ばれるシェルタ。そこでの生活実験に6人の男女が参加する。密室状態の「バルブ」で起こる殺人事件。盲目の天才物理学者・数学者:勅使河原潤の異母弟である“僕”と勅使河原の秘書:森島有佳の妹の“私”の交互の語りで、物語が進んでゆく。
 この人の作品は初めて読みました。森氏は国立某大学の工学部助教授とのこと。各章のタイトルが「動いている剛体、ならびに時計に関する交換公式の物理的意味」とか…わけわかりません状態です。物語の結末も二転三転。こういう理解の仕方でいいの? と誰かに確認したくなってしまいます。物理的なことは分からなくても、楽しめました。
そして二人だけになった
森 博嗣
講談社 2001-11


by G-Tools



pleiades91 at 00:00|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)
TrackBack People

・・・・・・・