2019年04月08日

日経新聞の記事

4月8日、日本経済新聞が第1面で「ゴーン元会長妻出国 検察の参考人聴取応じず」との見出しで、次のように報じました。

【パリ=白石透冴】日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者の妻、キャロルさんが東京地検特捜部の聴取について「危険を感じた」として応じないまま5日夜に日本を出国し、パリに到着したことがわかった。7日付の仏紙ジュルナル・ディマンシュがインタビューを報じた。

 この記事では、あたかもキャロルさんが、東京地検特捜部からの聴取を受けることについて「危険を感じた」と本人が述べているように読めます。
 しかし、記事も指摘する仏紙ジュルナル・ディマンシュのインタビューで、キャロルさんはそのようには述べていません。原文を見てみると、彼女はこのように述べています。

インタビュアー:あなたは、夫が逮捕されてから48時間後に東京を離れたのですね。なぜですか?

キャロル:私は危険を感じました。私は、夫カルロスが拘置所に勾留されるのか、すぐに出られるのかを知るために待ちました。私は、何日もの間夫と連絡を取ることができないと知り、弁護士からも言われました。その時、私は決めました。木曜の夜、私は、隣人の家のソファで眠りました。金曜日の夜、フランス大使が私を空港まで連れて行き、飛行機が離陸するまで一緒にいました。私は、映画『アルゴ』の再現であるように感じました。離陸する最後の一瞬まで、私を離陸させるのか分かりませんでした。それは非現実的でした。



この記事を見てわかるように、キャロルさんは一言も、事情聴取を求められたことについて「危険を感じた」とは述べていません。彼女は、別の機会に、夫カルロスが逮捕され、家が捜索され旅券や日記をはじめとする私物を差し押さえられた時のことを克明に語っています。彼女が、夫のカルロスが逮捕されたのを受けて「危険を感じた」と述べていることは一読して明らかです。

日経新聞の記事は、仏紙ジュルナル・ディマンシュの記事の中のキャロルさんの言葉の一部を切り抜き、不適切な形で引用した上で、あたかも彼女が事件に関与し、事情聴取を受けることを恐れて出国したかのような印象を作り出しています。このような意図的な誤った引用は、キャロルさんの名誉を毀損するだけではありません。正しい記事を読みたいと考えて新聞を購読する読者に対する冒涜であるとさえ言うべきです。
 日本経済新聞は、直ちに記事の誤りを正し、謝罪をすべきです。


plltakano at 22:33コメント(8)ゴーン事件 | 裁判報道  このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント一覧

1. Posted by ひろ   2019年04月08日 23:12
5 私も最初国外脱出というニュースを見て「逃げた」ような印象を覚えました。このタイミングでそれはまずいと。しかし実際の彼女のインタビュー記事を読んでそれは違うということがよくわかりました。ゴーンがお金だけが目当てならGMに行っていた筈なこと。功績に対しての報酬が小さかったため要望はしても応じていたこと。資金を横流ししているようで、オマーンの代理店そのものは同意していないし、自分の裁量で投資したかもしれないこと。ヨットは中古の下取りで亡くなった弁護士の遺言だったこと。など善意でやっていることが少なくないと思いました。悲しいのは日産を愛していると言っている相手から嫌われてしまったこと。それだけならいいのですが、すべてをゴーンのせいにされてしまっていること。いくら排除したくても司法取引をしてそこまで人を貶めていいのかと思います。日産という会社や車が好きなだけにいい形で収まってほしいです。ゴーンも耳を貸さなかった部分もあった。日産も合併されると疑心暗鬼になり、疑いの目ですべてを見た。そういうお互いが少し歩み寄る姿勢があれば、ここまでこじれなかったと思うのです。いたずらに争い続けては誰の得にもなりません。その意味で厳しい状況のゴーンを守ってあげてください。私も高野さんと弘中さんを側面から応援してます。
2. Posted by あまがえる   2019年04月09日 13:35
EUに住んでいます。
ゴーン氏事件に関して 事件発生当初から日本メディアの情報操作と印象操作に驚愕しています。
特に 日本人特派員は海外メディアの記事を切りとって都合の良い部分のみ伝えているように感じています。
先日は ある日本人記者がフランス新聞社2社の記事を切りとって貼りあわせて1つの記事に仕上げて 印象操作をしていました。

恐ろしいことです。 
3. Posted by 廣野秀樹   2019年04月09日 19:40
「弁護士新聞」という言葉が頭に浮かびました。
4. Posted by グッド   2019年04月10日 02:42
5 マスコミってそういうものですね。
情報は、薄い、浅い。
そのくせに、ある方向に評価を加える。
そして、読者をある方向に誘導する。
読者も悪いんですが。
5. Posted by グッド   2019年04月10日 02:45
5 いえ、例の記事は、評価を加えただけではないですね。
もっと酷いですね。
6. Posted by アメリカより(から)   2019年04月10日 22:56
本人のインタビューで話したことが「真実」とは限りません。裁判がスタートすればおのずと分かるというもの、カルロスさん、妻さん、弁護団、どれを見ても曲者ぞろいですしね。弁護士も依頼人をまもるためなら嘘も平気でいうことなど朝飯前。
7. Posted by 印象操作は罪   2019年04月11日 00:52
6のコメントはおかしい。印象操作がすりこまれている。「どれを見ても曲者ぞろい」「弁護士も依頼人をまもるためなら嘘もへいきでいうことなど朝飯前」などは自称アメリカより(から)の先験的判断。この人は他のコメントでもゴーン有罪を先験的に決めつけている。お粗末の極み。
8. Posted by アメリカより(から)   2019年04月11日 08:33
妻さんが出頭だそうですね、なにを語るのか?詳細が分かれは、ここでご披露してください。真っ黒な立場の矛盾を指摘するのが得意なわたくしですので、宜しく。

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高野隆

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