■ 書籍情報

傾聴の心理学: PCAをまなぶ:カウンセリング/フォーカシング/エンカウンター・グループ   【傾聴の心理学: PCAをまなぶ:カウンセリング/フォーカシング/エンカウンター・グループ】(#2810)

  坂中 正義 (著, 編集), 田村 隆一, 松本 剛, 岡村 達也 (著)
  価格: ¥2,484 (税込)
  創元社(2017/9/20)

 本書は、「人間尊重というありようを探求し続けている心理学」である人間性心理学のなかで、“傾聴”の重要性を主張してきた「パーソンセンタード・アプローチPCA」について解説するものです。
 プロローグでは、「“傾聴”を支える『一致』『無条件の積極的関心』『共感的理解』といったあり方を明確化し、そのあり方から対人援助論や人間関係論を展開・実践したのがロジャーズであり、パーソンセンタード・アプローチPCA」だと述べています。
 第1章「パーソンセンタード・アプローチとは」では、「パーソンセンタード・アプローチPCAは、人間や人間関係の援助に関するある視点・仮設に依拠した実践」を指すとした上で、「PCAのなかに、心理療法・カウンセリングといった実践も含まれ」るが、それにとどまらず、社会問題や国際的緊張・紛争などの集団が抱える葛藤も対象としていると述べています。
 そしてロジャーズの実践の展開・発展について、
(1)非指示的カウンセリング
(2)クライエント中心療法
(3)パーソンセンタード・アプローチ
の3点を挙げています。
 また、パーソンセンタード・アプローチは、ロジャーズがカウンセリング・心理療法のフィールドで発展させてきた、「人間はそもそも実現傾向を持っている。それはある種の人間関係(人間尊重の姿勢が貫かれた関係)でよりよく発揮される」とする「基本仮説」に貫かれていると述べた上で、「ある種の人間関係」について、
(1)2人の人間が心理的な接触をもっていること。
(2)第1の人(クライアントと呼ぶことにする)は「不一致」な状態にあり、傷つきやすく、不安な状態にあること。
(3)第2の人(セラピストと呼ぶことにする)は、この関係のなかで“一致”しており、統合していること。
(4)セラピストは、クライエントに対して“無条件の積極的関心”を体験していること。
(5)セラピストは、クライエントの内的照合枠に対する“共感的理解“を体験しており、この体験をクライエントに伝えようと努めていること。
(6)セラピストの体験している“共感的理解”と“無条件の積極的関心”が、最低限度クライエントに伝わっていること。
の「6つの条件」を挙げています。
 第2章「パーソンセンタード・カウンセリング」では、「《自己概念》は経験(体験)を眺めるレンズやフィルターの機能」を果たすとして、「自己概念と矛盾しない経験は、そのまま知覚され」るが、「自己概念と矛盾する経験は、そのまま知覚され」ず、「そもそも矛盾する体験は、近くすらされないこと」もあると述べています。
 また、「ロジャーズはカウンセリングの効果として『洞察の達成』をあげて」いるとして、「なかでも〈自己受容〉は重要な側面」だと述べています。
 第3章「体験過程理論とフォーカシング」では、「適切な象徴化が生じるときには、〈フェルトセンス〉と呼ばれる感覚に注意を向けています。フェルトセンスfelt senseとは、まだはっきりとは言葉にならない、あいまいで、何かの意味を含んだような、からだで感じられる感覚です」と述べています。
 そして、「ロジャーズのいう“一致”は、『自分のフェルトセンスを尊重し、そこから発せられる言葉や態度が、自らのフェルトセンスと矛盾していないこと』」だと述べています。
 第4章「エンカウンター・グループ」では、エンカウンター・グループEGについて、「経験の過程を通して、個人の成長個人間のコミュニケーション及び対人関係の発展と改善の促進を強調する集中的グループ経験」だと述べています。
 そして、「カウンセリングでは、カウンセラーはあくまでカウンセラーであり、クライエントになったりしません」が、「EGでは、ファシリテーターもメンバーの一員であり、メンバーになろうとします」と述べています。
 本書は、パーソンセンタード・アプローチの入門書です。


■ 個人的な視点から

 “傾聴”という言葉は今ではすっかりいろいろな場面で聴く言葉ですが、カウンセリングの世界では歴史や経緯があっての言葉だということです。


■ どんな人にオススメ?

・人の話を聴きたい人。