2005年02月02日

確定申告に思う

 確定申告の時期になった。今回の申告で制度が変わったのは配偶者特別控除の見直しで、内容は所得制限のほか、配偶者控除がある者にはこれが適用されなくなった。そのため対象者は38万円分だけ課税所得金額が増える。年金のほかに所得があると税金を払う人もでてくるが、これによる影響はさほど大きくはないだろう。

 

 しかし今年度からは、高齢者を対象とした

仝的年金等控除額の縮小∀掲者控除の廃止が予定され、年金生活者にとっては相当な負担となる。そこで配偶者特別控除の見直しを含めて、来年の確定申告ではどうなるかを、次のような条件で試算してみよう

 

    65歳以上で年金受給額は年額300万円

    他に収入がなく妻は65歳以下の専業主婦

    公的年金控除は、現在の65歳未満の基準により計算

    国民健保料は、居住地域と固定資産税納付額によって異なるが、ここでは介護保険料込みで年額22

    生命保険料控除2.5万、損害保険料控除3,000円、その他控除なし

 

その結果、今年の申告では辛うじて課税されなかったのが、来年の申告では、所得面での「公的年金等控除」の縮小と、「老年者控除(50万)」の廃止で、課税所得は867,000円となり、所得税額は86,700となる。年金額がこれより多かったり、「公的年金等控除」縮小の巾がこれより大きかったり、他に所得のある場合には10万円以上の負担増となることが予想される。

 

2月5日発行の「週刊東洋経済」では、「万骨枯る改革なき大増税というテーマを取り上げているが、大増税路線はまず声の弱い高齢者をターゲットとし、今後は一般を対象とした定率減税の縮小・廃止、低所得者を対象とした所得税適用税率引き下げ各種所得控除の見直し、そして消費税率の引き上げが予定項目となっている。

 

景気動向との兼ね合いで問題視されているのが定率減税問題で、すでに06年1月から減税幅の半分を縮小することは決まったが、07年に廃止できるかは景気情勢による。しかし基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げ財源との関連もあるので、いずれは廃止が決定されるだろう。

 

また個人にとって深刻なのは各種所得控除の見直しで、扶養控除配偶者控除のほか給与所得控除社会保険料控除などが対象となっている。そして最大の課題は消費税率の引き上げだ。小泉首相は「任期中は消費税を上げない」と公約しているが、任期切れの0610月以降は一気に増税論議が沸き上がる可能性が高い。

 

10年後の国家財政赤字は278兆円と予測されるが、それを消費税率に換算すると21

になるという。このような数字は別にしても2ケタやむなしの論議が広がり始めている。しかしこの問題は政権の存立にも関わる問題だけに国民に納得のいく説明がどうしても必要となるだろう。

 

小泉首相は郵政民営化を最大の課題として改革を唱えてきたが、果たして一般庶民のために何をしてきたのだろうか。国民の求めている年金、景気、行財政改革問題には殆ど手をつけていない。国民生活に直接打撃を及ぼす大増税路線に踏み込む前に、まず国民の納得のいく税金の使い方をして貰いたい。

 

民間よりも優遇されている公務員の構造改革(リストラ、給与制度の抜本改革)、特殊法人の合理化議員年金の廃止公務員年金の厚生年金との一本化などは遅々として進まず、その他社会保険庁に見るような税金の無駄遣いは目に余るものがある。

 

経済ジャーナリストの内橋克人氏は、NHKラジオ朝の「ビジネス展望」で、1989年から99年までの10年間に法人税は40%から30%に下がり、10年間で160兆円が企業を潤した。反面われわれ預金者の預金金利引き下げによる逸失額は140兆円にのぼり、銀行に移転したと述べていた。

 

 このような現状を見る時、一般庶民の将来の希望に繋がる方向が全く見えてこない。とくに老後生活の安定については、医療・介護について財政面からの後退が囁かれていることもあり、いろいろな形での自衛策が必要だろう。「元気に百歳」クラブとしても、これらのことを頭に置いて活動を展開していくことが求められる。



この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/po1867em/13512410
この記事へのコメント
 確定申告の時期を迎えて、熊谷さんの「確定申告に思う」はグッドタイミングですね。早速小生も重い腰を上げて、申告用紙に向かい深刻な状況と対面しようと決意しました。
 NHKで予算審議を傍聴していますが、相も変わらず不毛な議論、足の引っ張り合いに終始しており、国会議員のレベルの低さにうんざりします。国民の公僕という意識などまるでない輩が多く、失望します。
 国や行政に任せていたら、ついにこのような3流国になってしまったのは、いつの世でも無関心派の大人のせいだと反省せざるを得ません。大人といえば、現役組は仕事と家庭のやりくりで、多くは期待できません。定年した60歳以上の者を大人と呼びませんか。今こそ時間があり、経験豊かな大人が立ち上がり世の中をリードすべきと思います。さしずめ熊谷さんにリード役をお願いしたいのですが、いかが。
Posted by 鈴木将夫 at 2005年02月03日 03:39
80才台の2人に遅れてはならず、と、目下blogに挑戦中。なかなか上手くゆかないので、頭を
冷やし一休みのため、確定申告に行ってきまた。

 今年から変ったのは『配偶者特別控除』の38万円が認められなくなった(配偶者の所得が38万円以下の場合)。来年からは老年者控除の50万円も認められなくなる、とか。控除できる医療費などの領収書をキチンと集めておくなどの防衛策を講ずることが必要ですね、と言われました。
Posted by 賀田 恭弘 at 2005年02月03日 08:58
 鈴木さん、賀田さんコメントありがとうございました。

 今年はじめて国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」を利用してパソコンで作成してみました。これは自分で作成したもののチェックでしたが、画面の指示に従って割にスムースにできました。「配偶者特別控除」が適用されないこともこれでわかりました。HPアドレス
   http://www.nta.go.jp/

 しかしこの現実にはわれわれがもっと声をあげなければと痛感していますので、鈴木さんの呼びかけには真剣に対応したいと考えます。(賀田さんも同感だと思いますが)


Posted by 熊谷 眞 at 2005年02月03日 12:05
熊谷様

リレートークいつも興味く読ませて頂いてます。
即、時流を得た内容で、そのライティングパワーと共にいつも
感心しております。
戦後60年、私もホローコストに関する書物や映画はいろいろ読んだり見たりしましたが、何年たってもこの悪夢は人々の記憶から消え去る事はないでしょう。
確定申告は私も毎年提出してますが、だんだん控除が少なくなるのは淋しいものです。
私の方は投稿したいと思いつつ、写真はどう入れようかと考えたりして、なかなか投稿までいたりません。
Posted by 中澤映子 at 2005年02月06日 16:07