2005年04月15日

長寿世界一に思う

 世界保健機構(WHO)2005年調査報告によると、わが国の平均寿命は女性が85歳、男性が78歳、トータルでは82歳で、昨年に引き続き世界一となっている。

 

このことに関して朝日新聞朝刊の「余録」では、「社会の長寿化はまず喜ぶのが順序というものだ。それがいつの間にか少子化とからめて、あたかも文明の活力低下と表裏一体のように語られるのが情けない。それもこれもこの世界最長寿国が、他国民も羨む幸福な長寿のライフスタイルを作り上げるのに成功していないからだろう。」と指摘している。

 

 たしかに少子化については、社会保障制度維持とか、将来的な労働力不足などを懸念する風潮に乗って少子化対策が叫ばれているが、高齢化対策についてはむしろ「高齢者は恵まれている」というような論拠に基づいて、財政面からの検討が行われているのが現状である。

 

 しかし高齢者に対する環境変化を見てみると、平均寿命はこの20年で女性が約4.5年、男性が約3.4年伸びたにもかかわらず、その間にバブルがはじけ、不動産などの資産価値や預金金利は大幅に低下した。

 またデフレによる物価の下落はあったが、リストラなどの影響で雇用・所得環境は大きく変化しており、現役世代が親の面倒を見るような余裕は次第に薄れつつある。そして団塊の世代の退職時期を目前に控えて、高齢者に対する政策対応は、一段と厳しくなってきている。

 

たとえば公的年金をはじめとする社会保障制度の将来ビジョンは不透明のままである反面、高齢者世代に影響を与える増税路線がじりじりと進行しつつあり、その結果社会的な格差問題も懸念されている。

 

したがって高齢者自身もこれらの状況を十分認識しながら自助努力につとめることが必要だが、国としては郵政民営化などよりも、長寿世界一にふさわしい社会システムづくりのための構造改革を一刻も早く進めることが何よりも先決であろう。

 

 

 



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