イチロー・オン・イチロー―Interview Special Editionイチロー・オン・イチロー―Interview Special Edition
著者:小松 成美
新潮社(2002-05)
販売元:Amazon.co.jp
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『イチロー・オン・イチロー』はイチローのインタビュー集。

2001年。メジャーリーグ一年目のシーズンを終えたイチローへのインタビューと、メジャーリーグ挑戦前のインタビューを合わせた本です。

28から29歳。プロ野球10年目。結果を出してから8年目のイチロー。
社会人なら転機に差しかかる年代です。

小さいときに読んだときにこの本のまねができたかどうかはわかりません。
今、メジャーに行ったイチローと同世代になったとき、
同世代の記録として読むと彼のバッティングを通した自分探しの軌跡と、その際に心がけたことが身にしみます。

この中でも最も参考になるのはうまくいかないときからの抜け出し方です。

インタビューワーは小松成美さん。
取材をするときはA4ノート一冊分の質問を考えるという
徹底した話の聞き手です。
(永江朗の『話を聞く技術!』でのインタビューより)

一打席ごとに勝った負けたと騒がない



一球一球に集中はするんですけど、空振りだとか三振だとかに一喜一憂はしないということが大事です。


とイチローは言います。
打てなかったときに大切なことは結果ではなく
そのピッチャーを打つための「何か」が得られればいい

と言います。「一打席ごとに勝った負けたと騒が」ず、ピッチャーとの勝負そのものと次の打席に集中するときが大切だということです。

また、結果に左右されたときのこともイチローは語ります。

メジャー1年目で20打席以上ヒットがでないときのことです。イチローとしてはきちんとボールを見て捉えられている感覚なのですが、打てないイチローに対して周りの人々が心配します。

ヒットが出ないことが重なると、周りから余計なプレッシャーがかかってくるわけじゃないですか。「スランプだ」という声も耳に入ってくる。そうなると、その打席の前の打席すべてを背負い込んでバッターボックスに入ることになるわけですよ。10打席ノーヒットで11打席目に入ると、11打席を背負うことになってしまう。そういう精神的な作用が、打てるという感覚を持っているはずの体の動きを、おかしくしてしまう可能性がある。


失敗を引きずると、次のチャンスではその失敗の回数分のプレッシャーを感じるとイチローはいいます。
一回一回を新しいものとして受け入れること。
新しい気持ちでチャレンジすることが大切だということが感じられます。

失敗は成功の母



イチローの話をインタビューを聞いて驚かされるのが、彼自身が4シーズンもの間自分のバッティングを見失っていたという話です。

それは1995~98年のこと。
イチローは1994年から7年連続で首位打者でした。当然そのときも首位打者でありつづけました。

けれども彼自身は自分のイメージどおりのバッティングができず、必死になって野球をしていたといいます。

自分の力の「半分も」出せていないと感じます。
仕事に慣れてきた人が感じるうまくいけていない感じとすこし似ています。

そんな彼の転機が1999年におきます。この年の開幕直後、イチローは絶不調に陥ります。
そして4月11日のライオンズ戦、第五打席。
イチローはかつてのトレンディエース、西崎幸広と対戦して「最悪の形」でセカンドゴロに打ち取られます。
そのセカンドゴロによってイチローは自分の打撃をつかみます。

長いですが引用します。

イチロー 失敗し続けた結果だと思うんですよ。やっぱり失敗は成功の母。あのゲーム、9回までに4打席のうち3打席凡打に終わっているのですが、自分でもどうして失敗しているのかその理由を探れないでいたんです。しかし、最後にセカンドゴロに打ち取られたときには、とてもおかしな感覚にとらわれていたんですね。ぼくの中のセオリーでは、あの5打席目は絶対にボールを捉えていたんですよ。かなり高い確率でヒットになるはずだったんです。でも、現実にはそれが単なるセカンドゴロになっている。

――イメージと現実に差が生じている

イチロー そうです。明らかに何かが間違っているわけですよ、僕はすぐに答えを探しました。ファーストに走りこんでいく短い時間に自分のイメージに描いたフォームとセカンドゴロになってしまった実際のフォームとを重ね合わせ、方程式を解くようにして。そうしたら、はっきりとした解答が見つかったんですよ。こんなにも明確な解答が見つかったのは、僕の野球生活の中ではじめてだった。


ここではあまりに多くのことが語られています。例えば
  • 成功する(ヒット)ときの自分のイメージを持つこと
  • 失敗を糧にして学ぶこと
  • チャレンジすることによって成功するための方程式ができること

などなど。このイチローの言葉をきちんと経験によって理解することができれば、技術的な失敗から立ち直ることができるように感じます。

ここですばらしいのはインタビューアーの小松さんの質問する力です。
実は、どう見ても失敗したゴロや空振りによって自分の打撃の感覚をつかんでいたという逸話は榎本喜八や前田智徳などの往年の名打者にもあるのです。

素人には分からないと考えがちの打撃感覚が言葉によってよみがえる瞬間。
特にミリ単位でのずれがいかにバッティングに影響を表すかを野球未経験の小松さんに分かるようにていねいに説明するイチローの言葉は動画と一緒に読むとわくわくします。

他にも、シーズン中は自分に関する情報を入れないことであったり、自分とは合わない上司と付き合うためのメンタルの保ち方など、本当に多くのことが勉強できます。

イチローが目の前で動いているかのように感じられるインタビュー集でした。

イチロー・オン・イチロー―Interview Special Editionイチロー・オン・イチロー―Interview Special Edition
著者:小松 成美
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千葉詩亭 第43回 7周年 2017年12月18日(日) 18:00開演

千葉県千葉市でポエトリースラムW杯に出場した大島健夫さんと
隔月第3日曜日に開催してきた朗読会、千葉詩亭、次回で7周年となります。
12月18日(日)17:30開演18:00スタート
場所は千葉駅徒歩10分 Treasure River Book Cafeとなります。
http://treasureriverbook.web.fc2.com/
料金は1ドリンク付き1000円、さらに1000円追加でフードがつきます。

今回はオープンマイク祭りとして開催します。
通常の飛び入りの朗読は5分間ですが
500円追加料金をいただくことで10分の飛び入りが可能となります。
10分パフォーマンスされたい方は予約いただけると嬉しいです。
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年4回の発行予定です。
今回はとりあげた海外の詩人はジョセフ・ミルズさん。黒人のこども二人をひきとって育てる家族の詩を4篇訳しました。
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