オンラインゲームの
違法すれすれのエミュレーターサーバーで遊んでいる
古いゲームであるので、同時接続人数20人前後のプレイヤーが
広大すぎる世界を行ったり来たりする
つまり広大な土地を持った 過疎の村の
俺は住人の一人である

スマホのアプリが
自分を現実から逃してくれるには
あまりにも浅はかなので
こんなところへ帰ってきてしまった

バンドを組みたいという気持と
オンラインゲームの廃人である現状は
真逆である

そういう小さな村で
セーブしつつ
我慢しつつしても
どうしても
少しずつ
俺の欲望もある ストレス発散もある 見てくれ俺をという気持もある
そして、波紋が静かに浸透するように
頭角をあらわしてしまう
その向こうには終わりがみえる

コンビニに煙草を買いに行く時
練馬の空は広く
自分は何をしているんだろう、とおもふ
だが305号室の
部屋の扉をしめて
ヘッドフォンを耳にさせば
俺は違う世界に行く
まあいまは一日12時間はこのオンラインゲームをしている

嫁さんいわく、
あなたほど あまえている
ふざけた人間はいないという

実家の母から野菜が届き
メールで父親としての自信がないと言ったら
それは丸ちゃんがかわいそうだよ
と言われたので
そういう発想はなかったから
自分は自己中心なのかもしれない

毎日、
43歳のしごとをしていない男が
オンラインゲームを12時間やりながら
自信をもつこと
自信をもって家族に接すること
そして頭のおかしな人にならないこと

困難な道ではあるが
やりがいのないタスクではない

自信とは
自己肯定であろう
自己を肯定できない人間が
どんな世界を肯定できようか
その言葉が






ウルティマ先輩が
俺と二人のときだけに言う


「みんな仲間がほしいんだよ」


過疎の村で
そういったことはありうるな
レアアイテムよりも大事なものがあるのだろう

まあそれでも俺には仲間より大事なレアアイテムがあるけれど
といったら

w

と返ってきたので嬉しかった





オンラインゲームでの俺の腰は低い
オンラインゲームに没頭する男は虚勢をはるから、それがつまらないからである

1 低い腰と
2 誠実さと
3 頑なな意思

で無理やり押し通す
すると、ほとんどの盾はとける