2006年06月22日

小日向さん沼沢さん景山さんトリオのシタールの感想


2006年6月21日19:00
早稲田奉仕園スコットホールにて
出演
シタール 小日向英俊 沼沢ゆかり 景山智
タブラ 逆瀬川健治


 *****


シタールという楽器は、特徴ある歴史を持つ楽器だと思います。

それは
サワリによって音色を決定する琵琶族の楽器であること
南アジア文化圏で西のイスラム文化の影響を受けて発達した楽器であること
1960〜70年代にはカウンターカルチャーのシンボルとして、
欧米の商業音楽に迎えられた楽器であること

そのどれをとっても実に深い根があるのでしょう。

そして、自分自身のことで言えば、
上記したひとつひとつ、自分の根とはどこか違う、
しかしどこかでつながっている、
そういった楽器であるシタールを何故続けてきたのか。
それは、自分自身のアイデンティティ(自己同一性)へ対する問いかけ
なのかもしれません。

異なる文化の根を持つタヒチへと渡ったゴーギャンの作品に
「私たちはどこから来たのか 
 私たちは何者か
 私たちはどこへ行くのか」
があります。

この3つの問いかけは
答えを求めていない。
「問うこと」自体がその本質だと感じます。


シタールの演奏活動を長く続けていくことは、
内面と向き合う作業を重ねること、
そして、それによって社会参加することでしょう。

現在、私は、経済的な理由もあり、渡印してシタールを学ぶ時間はありません。

国内で、それぞれの世界を切り開いて歩まれている
シタール奏者の方々との交流を通じ、そこに励みをいただきながら、
黙々と自己の内面を見つめ、演奏を通じ社会と時間と場を共有し
自分自身の音楽を歩んでいます。


 *****


メンバーそれぞれが違った音楽体験と音楽の時間を過ごされてきた
小日向さんトリオの演奏は、
その試みの姿勢だけとっても十分評価できるものでした。

同じ師のもとで、同じスタイルで演奏するのであればシタールの合奏は組み立てやすい、
しかし、違ったスタイルのシタールの合奏は困難が多い、
これはシタール奏者チャンドラ・カントさんもおっしゃっていたのですが、
その通りだと思います。
また、そのようにして個性を尊重されてきた音楽、楽器だとも思います。

そうした自己実現の音楽であり楽器であることをふまえつつ、
他者の自己実現を受け入れるという試みの中で
作品を作るという意識が「作曲行為」であるのかも知れません。


今後益々の充実とご発展を心より願っています。


関連サイト
Raga Tala Org
Banaras Music Circle


辰野基康pohh at 12:53│トラックバック(1) 演奏会情報 |  演奏会情報

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