辰野基康のブログ

音楽会のご報告 日々の雑記などをメモしています。 メインのサイトは http://sitar.holy.jp/ ご連絡は tatsuno123@yahoo.co.jp

 インド古典曲じゃない音楽を弾いてみる

うん、三味線音楽、良いじゃないか

8月27日は、三味線演奏家早乙女和完さんの絵画の個展でのコラボ演奏でした。

横浜の風雅堂という古民家ギャラリー。街中にある、ちょっとした一息つける隠家のようなところ。

DSC_0037





和完さんとは長年の知己です。30年以上前のことです。最初、ロック三味線を演奏すると、楽器を持って訪れてくれました。ロック三味線というのは、三味線を使い、ロック(のような)音楽を演奏するということ。

詳しく話しを伺うと、彼自身は伝統的な長唄を学んでこられて、けれども、オリジナリティある演奏を作っていく必要性を痛感して試行錯誤なされている、シタールの音色を良く聴いてみたいとのことでした。


伝統ある世界に属し、伝統ある音楽を深めていくことは、とても意義あることでしょう。

ただ、それが権威つけられ硬直化して本来持っている活力を失いかねなくなれば、新たな表現の模索がはじまるのはとても自然なこと。

「権威」とか「伝統」とかで感性を硬直化させてしまい新たな試みに耳を塞ぐことは、新たに生み出される音楽の可能性を塞いでしまうことではないでしょうか。

和完さんはそんな想いを持たれてらっしゃるのでしょう。


実はこの合奏の準備として、ネットに上げられた長唄の曲などを聴いていました。もっとも、結局にわか仕込みの理解しかできなかったのですが。

 宵は待ち そして恨みて 暁の 別れの鶏と 皆人の 憎まれ口な あれ鳴くわいな 聞かせともなき 耳に手を 鐘は上野か浅草か

メリヤスもの ちょっと粋ですね。聴きながらシタールでちょっと味付け、という練習をしてみる。

歌舞伎十八番 勧進帳。義経が弁慶に叩かれるところに涙したりします。

あれ?長唄の世界、意外に面白い。


そんなにわか長唄ファンになって、和完さんとの合奏に臨みます。


三味線・和完さん タール・村崎さん シタール・辰野 という構成

音量を合せるために、全員PAを通します。

だから、聴き馴染んだ古典の長唄三味線よりは音の響きが強い感じです。

といっても、津軽の太棹三味線とはまるで違います。

やっぱり、明るく繊細な細棹三味線の響きです。時々エフェクターを通した音。

ロック三味線なのかどうか、自分ではわかりませんが、伝統的な技法も使いながら、ご自身の中にある音を表現されているような気もしました。そこには学んできた長唄の伝統の音、生きていた中で接していた様々な音楽、それらが混然と混ざり合わせることで、オリジナル音楽を作っていこう、という意欲が凄かったです。それは何十年もそれにかけてこられた人の音です。

展示されている絵も、その延長にある気がしました。

オリジナルの即興での歌、三味線とタールの伴奏、そこにシタール演奏を加えていきます。

シタールは隙間を埋めていくというようりは、音の流れに参加して、うねりを作っていくという感じでしょうか。

勧進帳「滝流し」を聴いていたのが参考になりました。

タールの村崎さんとは、タールクラブのコンサート以来、懐かしかったです。リズムを叩くというより太鼓による環境音という感じが強かったでしょうか。色々な音色があって楽しかったです。


ともあれ、ベーシックなものが違う楽器同士のコラボ的な演奏は、ともあれ音を出す人と人の関係が大事に思えます。

当たり前のことですが、相手へそして相手の音楽への敬意、リスペクトはもちろんだけれど、でも自分の音楽へのリスペクトも大事。このバランスが重要。

これは、その前の末森さんの歌のナマステ楽団とのコラボの時もとてもそうでした。

熱演だとややもすると心を閉ざし夢中になるのですが、そうではなくて、心を広げて緩やかに。正確な音程とリズムとダイナミズム、でも心と頭はヘラヘラしてユルユルで。

これって、一種の瞑想なのでしょうかね。


三味線は弦の響きに「さわり」という効果音がついていて、それはシタールのジャワリと同じ種類の効果音です。

ただ、三味線は皮が張られた胴と絹糸の弦で、シタールのような木のボディ、金属弦とは違います。

また、三味線の大きな特徴だと思うのですが、伝統的な歌唱法に合うように音色が調整され奏法が作られている気がします。

三味線は、一般に、義太夫節の太棹三味線(津軽三味線もこれ)、地歌、民謡などの中棹三味線、長唄、小唄などの細棹三味線、琉球音楽の三線などがあるらしいです。

そのどれもが微妙に音色などが違うという、とても繊細な楽器であり、音楽なのです。

DSC_0031DSC_0033


長年、シタールのジャワリの音を生で聴き続け、出し続けてきたので、ジャワリ系の音は少しづつだけれど聞き分けられるようになってきました。

だからかも知れませんが、三味線の音色はどれも素敵だし美しいものです。


うん!三味線音楽、良いじゃないか。




サーラ・オリソンテのライヴ感想(フェイスブックより)

サーラ・オリソンテのライヴ感想


10月29日土曜日は二宮のアットホームなスタジオでのライブでした。
フルートの中瀬香寿子さん
ヨガのseikoさんのワークショップとのコラボです。

前半はseikoさん指導のヨガと音楽(フルート&シタール)のコラボ
コラボ自体は数か月前にも同じスタジオでやったのですが
今回は音楽はかなり自由に音を付けていきました。
椅子に座っての呼吸法のワークショップ
これはフルートの息遣いが合うようにも感じました。




後半、インド古典音楽シタールとタンプーラの演奏
午後のラーガ Raga bhimpalasi
今回は特にタンプーラの効果を意識しました。
器楽用のタンプーラはシタールと音色がとても近いので、
丁寧に合せることで二重奏のような立体感や遠近感の効果が生まれることに気付きました。
絵画で言えば「空気遠近法」のようなものでしょうか。
小さな音、地味な音なのに、強烈な印象あるものはインパクトが大きいです。
インドでもシタール演奏でタンプーラは重要視された使われ方が少なく思うのですが、それはこの繊細で優れた楽器の音色を活かさずもったいない気がしています。


2曲目は、日本のわらべ歌をテーマにした
シタールとバスフルートの即興演奏
タンプーラも加えて「奥行」をつけました。
中瀬さんの演奏はフルートも素敵ですがバスフルートもとても良いです。
工夫して音を出されているのか、とても民族音楽的な響きを感じました。
わらべ歌がテーマでしたので、ちょっと即興的なボイスも一部に使うことで臨場感をつけました。
楽器と声の素材のコラボは良かったです。
これは深めていっても、それなりに深まる気がします。


3曲目は3コードの曲
弦楽器として3コードの響きを作るのことは興味深いです。
ギターやウクレレなどの洋楽器の弦楽器は和音を作るための構造的な工夫がされています。
シタールで出来るだけ綺麗な和音の響きを作るためには技術と練習が必要です。
シタールがアルペジオ、フルートが旋律というパターンを試しました。
けっこう自然な感じで、シタールで無理やり和音を弾いているという感じはなく演奏できた気がしています。
純正律の和音の響きとまではいかなかったのが「宿題」ですけれどね。純正律の音楽を聴き込めば純正律の響きを再現できるのでしょうか。



すべての演奏は実験的な意味合いも大きくて、
それぞれの曲に、それぞれ新しい演奏テクニックを試しました。
作品としての仕上がりになってきていたようです。
中瀬さんの優れた演奏技術や音楽性に支えられたことが大きいのですが、
自分としては割と自然に演奏が出来たように思います。

野毛山節考、その2 野毛山節変奏曲の可能性

野毛山節、再考

IMG_1481


開港したばかりの横浜で野毛の高台から、外国兵舎などの
様子を歌った歌だと前回書いたのですが。

作られた時代、文久の頃と言われているのだけれど・・
その頃、東海道の街道で今の鶴見付近で薩摩藩士によるイギリス人貿易商の殺傷事件がおこったのですね。生麦事件です。攘夷運動も盛んで、横浜も閉港させようとしたり、外国人居住区への威嚇もあったり、とか。
それで、イギリス、フランスは、居留地の外国人たちの防衛として横浜に軍隊の駐屯地を作ったわけで。

野毛の山からノーエ
野毛の山からノーエ
野毛のサイサイ
山から異人館を見れば
鉄砲かついでノーエ
鉄砲かついでノーエ
お鉄砲 サイサイ
かついで 小隊進め
駐屯地の様子をレポートしているのですね。
調べてみる前は、呑気なお座敷歌のように感じていた、「野毛の山からノーエ」

歌詞の中の鉄砲は、世界を圧倒した英国軍の当時の最新式の戦闘用のものなのでしょうね。 
横浜の開港には軍事的な緊張感があったのでしょう。


Felice Beato (British, born Italy - (Group Portrait of the Royal Marine Battalion) - Google Art Project.jpg
By Felice Beato (British, born Italy, 1832 - 1909) (1832 - 1909) – photographer (British) Details of artist on Google Art Project - 6AH-Tft17fqEFQ at Google Cultural Institute maximum zoom level, パブリック・ドメイン, Link


バー


野毛山節を、ぐちゃぐちゃに変形させたら・・



このメロディ、本来は音階が違っていたのではないかと思ってみたりします。
それがいつの間にか、12平均律に沿う形に変えられて、現在に至ったのでは と 勝手に憶測したり。
ノーエ節とか野毛節とかで
音声動画はいろいろアップされているようですね・・

もっとも作者不詳で、原曲は譜面にはなっていなくて
口伝で伝わってきている伝承曲です。
だから、どんなアレンジでもOKなわけです。

そこで、思い切り、ほとんど伝えられているメロディをほとんど変えてみたら
何とか、おぼろげにですがシタールアレンジが出来そうです。
でも、もう「野毛山節」の面影はすっかりなくなってしまいそうです。

まだ、検討中の部分も多いのですが・・

大幅にメロディを変えて、古典音楽風にして、
でもその中に、即興演奏で原曲のメロディを隠し入れるというアイデアです。

これは、面白いです。
なかなか、ワクワクします。
こういうチャレンジはうまくいったら、自分的にはすごくうれしいのです。
うけようがうけまいが です ^^
失敗したら、がっかりします(笑)
同じく、うけようがうけまいがです ^^v


当日まであれこれ検討してみて、
やっぱりアレンジが決まらないならば、他の曲を弾こうと思っています。


RSS
Archives