ポンコツとうさんの「カメラの写真」

被写体として集めたカメラをご紹介します。

写真を撮るのがカメラですが、被写体としてのカメラを集めております。カメラやレンズの性能は他のブログなどでご覧いただくとして、個人的な思い入れや感想を、つれづれなるままにしたためてまいります。紹介するカメラやレンズのほとんどが「捨て値」ともいえる価格で入手したものですが、中には巷間「名機」と言われているものもあります。ご興味をもたれましたら、ちょっとお立ち寄りください。

第374回目はコダック・イージーシェアP850の登場です。

ストロボの開閉部分が壊れていたので110円で手に入りましたが、そこ以外はなんの問題もありません。ストロボカバーを手で押さえておけばストロボ撮影もできます。レンズはシュナイダー・クロイツナッハのバリオゴンというのが付いてて、写りはなかなか良いと思いますが、パナソニックLUMIX FZ7とペンタックス*ist DSがメインカメラのponkotsutousanにとって、特別なカメラではありません。小さいながらも妙にマッシブなデザインで、好きな人にとっては魅力的なデザインだと思います。ズームのレンジは135フォーマット換算で36-432mm。1/2.5型で510万画素のCCDを搭載してて、手振れ補正機構もついています。200511月の発売ですが、このころのこの手のコンデジとしては標準的なスペックなのだろうと思います。

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小型ながら曲線の豊かな、むかし風に云うなら「トランジスタグラマー」なボディ。
さて昨今写真を始めたようなビギナーからすると「シュナイダーのレンズを付けたコダック」ということなら、ドイツコダック(ナーゲル社)のレチナとかを思い浮かべるかもしれませんね。ドイツカメラの黄金期に売られていたスプリングカメラの傑作機。ponkotsutousanもレチナは2台(レチナⅢCとレチナⅡ)持っています。ⅢCについては広角・望遠のコンバージョンレンズまで持っています。最近のカメラについていけないベテランさんは、レチナという名前ぐらいは知っていないと、昨今写真を始めたばかりの人にも笑われますから、この際しっかり覚えておきましょうね。
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432÷36は? ソロバンやってる人でないとすぐに出てこないかもしれませんが、きっちり12です。
で、このカメラの出自を調べてみたんですが、日本国内ではあまりたくさん売れなかったみたいで、詳しいことが分かりませんん。発売間もない頃に出たインプレッション記事が今でもネットに残ってて、カメラそのものについて知りたい人はその記事を読んでくだされば「ああ、なるほどそういうカメラなのね」と得心してもらえると思います。しかしponkotsutousan的には、そんな甘っちょろい詮索で済むはずがありません。このカメラの秘密がどこにあるのかを知るまでは、ヘビのように食らいついて離しませんからねええ。

さてその秘密は…というか手掛かりはボディの底にありました。ポイントは二つ。まず一つ目はMade in Chinaであること。時代的には珍しくはありませんが、他の製品ではときどきMadeではなくAssembledという表示を見ることがあります。パーツを外国から輸入して組み立てだけやってる…みたいな。このP850はしっかりと中国製です。今では世界最高峰のスマートフォンを製造する国ですが、2005年当時には、すでにこのレベルのカメラを作る実力があったんですね。大したもんです。そして二つ目はDesigned in Japan for Eastman Kodak Companey Rochester, NY14650となっていること。なんだドイツの設計じゃないんだ…。となると当然「どこが設計したのか?」という詮索をしたくなるというものです。まず富士フイルムやコニカ(2003年からはコニカミノルタ)は昔から不倶戴天の商売敵だからありえない。オリンパスやニコンもかぶる製品が多そうだ…。しかしこんなところで捜索を中止するわけにはいかないので、過去の取り調べ調書を漁ってみたところ、重要な記述を見つけました! それは…しかし残念、紙数が尽きた。正解は次の回で! 

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アメリカと中国は仲がいいのか悪いのか?
…というのも人をバカにした話なので、ヒントをひとつ。設計をしたと思われるメーカーの頭文字は「C」です。「キヤノン?」ブッブー不正解! そんな子供でも分かるような答えでは、拙ブログについていけませんよマジで。「じゃあコシナ?」いいところを突いてますね。ponkotsutousanも一度はそう思いましたけどね。でも違います。ほかにCのつくメーカーはというと…。「カシオ?」それもありそうですね。でもカシオのコンデジでこの手のタイプは見たことがありません。ううむ…なんか自分の見解にも不安を感じてきたなあ。でも周辺事情を考えると、やはりココしかないと思うんだよね。

答えは「チノン」。なんでチノンなのかというと、1997年に経営不振からコダックの傘下に入っているから。このことは第353回目のチノン・ベラミのところで書いたから、拙ブログをちゃんと読んでる人なら気づいたかもしれませんね。あらためてチノンの沿革を調べてみたら、やっぱりEasy Share Systemの開発をやっていました。こうなると「Designed in Japan」という記述が、どうしても納得いかない! ちゃんと「Designed by Chinon」としてもらいたいものだ。でも8mmムービーカメラならいざしらず、チノンのコンデジなんか誰も知らないだろうしなあ。だれも知らないんだったらDesigned in Japanのほうがまだマシってことか…。富岡やコシナのレンズが素人さんの話題にのぼるようになったのも、そんなに昔のことではないしねえ。

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なかなかいい感じのリアビュー。外部ストロボも付けられるし1ボタン1機能で使いやすい。ジョイスティックの造りも本格的でけっこう高級感があります。

レンズもたぶんシュナイダー・クロイツナッハのライセンス品なんでしょうね。だってこのカメラ自体がMade in Chinaだから。バリオゴンはローライ用、ハッセルブラッド用、アルパ用にもその名を冠したレンズがあったし、なにしろスーパー・アンギュロン作ってるメーカーのレンズですからね。名前だけでも偉そうなのはいいです。で、中国のどこのメーカーが作っていたんだろう? と思って調べたんだけれども、こちらは分からなかった。Made in でなくAssembled inとなっていたら、ドイツ製の可能性もわずかにあるんだけどなあ。ま、よく写るからドイツ製でも中国製でもいいんだけどね。ライカのお墨付きをもらったレンズや、ツアイスのライセンス品をありがたがるような連中が多いわが国なので、シュナイダー・クロイツナッハのレンズを搭載した本機も、もっとべつの「売り方」ってもんがあったんじゃなかろうかっていう気がします。また、名前はChinon Auto Zoomで「実はSchneider Kreutznachなんだよね」なんていうのもマニア心をくすぐりそうな気がするんですけど、やっぱりそれじゃ売れないですかね。

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第373回目はヤシカ・フラッシュ-O-セットの登場です。

フラッシュ-O-セットには2代あって本機はその2代目になります。下の写真のように測光用のセレン光電池はサークルアイ方式なんですが、初代ではファインダーの対物レンズわきにぶつぶつのセレン光電池があって、そこが千本格子みたいなカバーで覆われているようです。本稿を書くにあたりネットで画像検索したら初代の画像が出てきたんですが、リンホフみたいな昔のヤシカのバッジがついてたりして、コンベンショナルな(=あか抜けない)デザインの本機より所有欲がくすぐられます。が、それでもこのサークルアイ方式というのは、いかにも昔のカメラらしくて、ponkotsutousanは好きです。おまけに60年ちかく前のカメラなのに、いまだにメーターは動くしシャッターも切れるというのはスゴイと思います。シャッターはビハインドシャッターなので、裏ぶたを開けるとシャッター羽根が丸見えです。

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意外とヤシカっぽくないデザイン。レンズの銘板を隠したらどこのメーカーのカメラか分からないかも…。
2代目にはまったく同じ仕様の輸出用もあるんですが、ついでに売っていた国内用にはシリアルナンバーの前にFⅡという記号が付きます。このレンズは数あるヤシノンブランドのレンズの中でも所謂「神レンズ」の一つとされてて、ちょっと写真に詳しいひとならほとんど全員が知っているはずです…というようなことはありませんが、たぶん富岡が作っていたのだろうと思います。ただ、レンズの銘板にはヤシノン40mmと刻まれているのに、なぜかF値は刻まれていません。オリンパスペンのような口径の小さなレンズの銘板にすら刻まれているというのに…。で、てっきりトップカバーのシリアルナンバーの前に付いている「FⅡ」というのがこのレンズの明るさだと思っていたんですけど、じつはF4なんだそうです。思っていたのより1段も遅くて、もうガックリです。もう済んでしまったことなので仕方がありませんが、今なら景品表示法云うところの不当表示に当たるのではないかなんて思ったりしもします。でもまあこんなこと言い出したら、じゃあニコンのF2とかF3はなんなんだということになりますから、このお話はここまででお開きにします。

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拡大するとシリアルナンバーの前にFⅡと刻まれているのが分かります。ヤシカFⅡというネーミングの方がカッコいいと思います。シャッターボタンみたいなのは閃光電球を外すためのボタンで、アクセサリーシューもありX接点もあるので多灯撮影もできるんじゃないかと思います。

このカメラでもっとも特徴的なのは、フラッシュガンが内蔵されているところです。第208回のコダック・スターマイト、第233回のフォトクローム、第369回のリコマチック126に続く、第4のフラッシュガン内蔵カメラというわけですね。いずれも名だたる珍カメなので、我ながらすごいなあと思う…()。ここまできたらコニカEEマチック・デラックスFも探してみるか? で、使う閃光電球はAG-1なんですけど、なにしろ小っちゃくてかわいい! 青いAG-1Bなんかだとさらにかわいい! それをこのいかついフラッシュ-O-セットに付けようというんですから、じつに味わい深いものがあります。もちろん閃光電球ですから、使い終わったら外さないと次が付けられません。ではどうするのかというと、普通のシャッターボタンの位置にあるボタンを押すと、ぽろっと電球が外れます。シャッターボタンはレンズわきにあるのがそれなんですね。なので「はいチーズ!」なんて、いつものところにあるボタンを押しても、閃光電球がぽろっと外れるだけ。そこでその様子を見て、写される側の連中が「なんでやねん!」とドッときたときにすかさずシャッターを切れば、たいへん良い表情の写真を撮ることができると思います。2度も3度もウケるとは思いませんが…。

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レンズのわきにあるボタンでシャッターを切ります。

でもまあこのカメラの作られた1962年当時、やっぱりフラッシュガンを持ち歩くのは面倒なことだったんでしょうね。だからこんなカメラが作られたんだと思います。それでもこういうカメラが一般化しなかったのは、カメラがまだまだ「写真好き」「カメラ好き」のごく一部の人たち用で、そういう人たちにとってフラッシュガン内蔵というのはあまり魅力がなかったんでしょう。むしろフラッシュなんかつかわなくても写る、明るいレンズのほうがいい…みたいな。ところが、いまでも高級一眼レフカメラに高級レンズや大型ストロボを付けて、イキってるおっさんがずいぶんとたくさんいます。しかしそうしたカメラもレンズもストロボも、いまどきの若者をビビらすにはまったく無力といってよく、中国製もしくは韓国製の最高級スマートフォンに、圧倒的なアドバンテージをとられているということぐらいは覚えておきましょうね。ponkotsutousanのような「一眼レフカメラに内蔵ストロボはマスト」という人間ですら、とっくの昔に少数派になってるんですから。

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巨大なバッテリーケースのフタ。500円硬貨より二回りは大きい。装填される電池の銘柄は分かりませんが15Vのものが使われます。

2番目と4番目の写真をご覧になると分かると思いますが、本機にはピント合わせをするリングがありません。そう、パンフォーカス機なんですコレ。見た目はもろにレンジファインダー機みたいですけどね。また本機にはシャッタースピードの設定用リングもありません。絞りはオートですけどシャッタースピードは1/60秒の固定なんです。で、鏡胴には2つのリングがあるんですけど、ひとつはASA(ISO)感度の設定用で、もう一つは閃光電球を焚くときの絞りの開閉用となっています。まだ「フラッシュマチック? なにそれ?」という時代だったんでしょうね。けど、裏ぶたにはちゃんと参考用の一覧表(すぐ下の写真)があって、たとえばASA100のフィルムでAG-1Bを使う場合、数字の6に合わせておくと4m、4に合わせると2mまで照射できるということが分かります。こういう表示の仕方は分かりやすくて親切だと思います。

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ASAは200までと素朴ですが「誰でも簡単にフラッシュ撮影ができる」というところがこのカメラの魅力です。
「単速でパンフォーカス」なんてスペックでは食指が動かないというおっさんも多いと思いますが、素人は素人らしくおとなしくこうしたカメラを使うのが一番いいんです。「ずぶの素人がフラッシュ撮影をするのに特化したカメラ」というわけで、ピッカリコニカ同様「思想のあるカメラ」と云っていいんじゃないでしょうか。こういうカメラはやはり持ってて楽しいです。使ったらもっと楽しいと思うんですけど、やっぱ閃光電球を付けたり外したりはめんどくせえな…たぶん。ピッカリコニカがどれほど革命的だったかは今さら言うまでもありませんが、それでもピッカリコニカの5年も前に、こうしたカメラを出していたヤシカの先見性は立派なものだと思います。

1月29日投稿の号外「バイク日本昔ばなし(HY戦争と昌子のバイク)」に、スズキ・ユーディーミニのCMソング「いい日になりそう」の画像を追加掲載しました。下のタグをクリックしてご覧ください。

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