278回目はキヤノンEOS10QDの登場です。

EOSシリーズの第二世代の一番手で、1990年度のカメラグランプリ受賞機! 性能はもちろん当時の銀塩カメラの中では最高レベルのものをもっていました。EOS-1ですら装備していないストロボまで内蔵、しかも点灯するときだけポップアップするという凝った作りです(EOS750なんかと同じ)ponkotsutousan的にはサブ電子ダイヤルが付いた次作のサイレントイオス=EOS100QDの方が好きなんですが、このEOS10QDもすばらしいカメラです。で、今回ご紹介のEOS10QDは知る人ぞ知る「60ミリオンセット機」。知らない人のために60ミリオンセット機についてご説明しておきましょう。

ドクターオグラこと小倉磐夫さんの「国産カメラ開発物語(朝日選書)」によれば、キヤノンがまだ「精機光学株式会社」と名乗っていた頃、吉田五郎さんという人がライカもどきののカメラを「手作り」で作ってて、カシャパという名前のレンズまで町のレンズ屋さんでこしらえてもらっていたんだそうです(当時はそんな業者さんがあったんですね)。で「KWANON」という名前でカメラ専門誌に広告まで打ってたんですが、結局市販はされなかったようです。その後ニコンからちゃんとしたレンズを分けてもらったり作り方を教えてもらったりしながら、工業製品としてのキヤノンカメラが製造されるようになったわけですが、そのへんから数えはじめて、このEOS10QDあたりで「キヤノン」と名の付くカメラの製造総数が6000万台に到達したということのようです。吉田さんが作ったKWANONカメラから勘定してるのか、その後のカメラから勘定してるのかは分かりませんけど、KWANONカメラは売るほどの台数も揃わなかったくらいですから、どちらから勘定を始めても大勢に影響はないと思います。しかしせっかくのこの機会になにかお祝いでもということで、当時の人気機種=EOS10QDに白羽の矢を立て、特別誂えの60ミリオンセット機をこしらえたと、まあこういうわけです。下の写真のとおり色がふつうのEOS10QDと違っていたり記念のメダルが付いていたりと、こういう限定品が好きな人にとってはなかなか魅力的なカメラだったのだろうとは思いますが、そうでない人に「ここはひとつEOS10QDにしてみよう!」と思わせるほどのリキは入っていないように感じます。だって色は違ってても、それで高級感が増したというほどのこともありませんから。

それでもまあ目出度いことはたしかなので、できれば「これまでのご愛顧に感謝して、すべてのキヤノン製品を3~5割引きにて大奉仕!」とか、「記念キャンペーン期間中にEOS10QDをまとめて10台以上買ってくださったお客様には、もれなく金貼り(24K)EOS10QD1台プレゼント!」とか、「EOS10QDを買ってくださるお客様に限り、いまお持ちのカメラ、どこのメーカーのものでも1台3万円で下取りします!もちろん故障しててもOK!」とか、EOS10QD以外に5万円分のキヤノン製品が入った福袋をなんと10万円で限定1000袋!とか、客が「よぉ~し、ここはひとつキヤノンのEOS10QDにすっか!」と、つい財布のひもを緩めたくなるような対応こそが「6000万台達成記念大感謝祭!」にふさわしいキヤノンの出方ではなかったかと思います。しかしそんなことをしなくても、EOS10QDはヒット街道を驀進していたので、キヤノンも「こんだけばりばり売れてんだから、ボディの色を変えて、記念メダルのひとつでも付けてやればそれで十分だろう!」ということだったのだろうと思います。もうキヤノンのケチ! ニコンやミノルタなら喜んで大サービスするぞ!なわけないですわな。

さて第二世代のEOSではEOS100QDがイチオシのponkotsutousanですが、EOS10QDも「コイツもいいよなあ」と思う所が随所にあります。多点測距はもちろんですが、その連写スピード(5コマ)が圧巻! PB-E1を付けたEOS-1と比較してもほとんど差がないてか感覚的にはもっと速い! 中級機でコレなんですから、やっぱりキヤノンはスゴい。音もけっこう静かで、EOS-1からしたら1/3以下なかんじ。もちろんEOS100QDからすれば大きいけど、逆に緊張感が感じられてこれはこれでいいと思います。しかもキヤノンというメーカーは、今でもそうですけど下位機でも性能面では絶対に手を抜きませんから、他のメーカーとしてはたまったもんじゃなかったと思います(とくにEOS1000QDなんか血も涙もないエントリー機だと思います)PB-E1付きのEOS-1の快速も大したもんだと思いますが、このEOS10QDはブースターも付けずにふつうの顔でシレッとしてやってのけます。しかもEOS-1なんかより断然静かで軽いって、なんとも可愛げがありませんね。キヤノンのこういうところがどうしても好きになれないponkotsutousanなんですが、このEOS10QDを手にしてみれば、なぜこのカメラがヒットしたのかがよ~く分かります。しかもそれで「EOS-1なんかいらない」と思えるのかといえば、むしろ逆。やっぱり客の足元が良く見えているメーカーなんだと思います。こんなふうだからキヤノンが天下を獲るのも当然で、もしそのころのponkotsutousanが、わずかでも一眼レフに興味を持っていたら、かんたんにEOS10QDに食いつかれて、借金まみれクソまみれで火だるまになってたに違いありません

ちなみに下の写真の60ミリオン記念メダル、大きく写ってますが直径は36mmで厚さは2mm、重さは17gあります。材質は純金(24K)というのはもちろんウソで、たぶん亜鉛合金で金色のメッキがけだと思います。

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