281回目はミノルタオートフォーカス双眼鏡の登場です。

この双眼鏡、HO某店のジャンクボックスで見つけました。そこそこきれいだったので持ち帰ったのですが、ジャンクとは名ばかりの完動品でした。しかしこの双眼鏡、ピント合わせがワンショットAFかパワーフォーカスしかないので、もしふれこみ通りの本物のジャンクだったら「双眼鏡のカタチをしたオブジェ」でしかありません。もうギャンブルもいいとこでしたから、ちゃんと動いてくれてマジ良かった

さて、双眼鏡といえばニコン、ペンタックス、ビクセン、ケンコー、オリンパスなんかが有名ですが、ミノルタも作ってたんですね。ちょっと珍しい(=売れなかったってこと?)んじゃないかと思って、今回登場させることにしました。10×25という普段使いには手ごろなレンジで、ピント合わせは前述のとおりワンショットAFとパワーフォーカス。一般的なカメラのシャッターボタンの位置にあるAFボタンを押すか、ボディの左上部にある2つのボタンを押してピント合わせを行います。ワンショットAFでは迷ったり諦めたり無反応だったりと、α7000以前のAFカメラのようなかんじででピントが合います。もう少し押し込んだらシャッターが切れそうなかんじですが、もちろんカメラではないのでピントが合うところまででおしまいです。で、そのピント。たしかにAFボタン一発でピントは合うのですが、(うまく説明できなくて申し訳ないんですが)カリッとしていないっていうか、被写界深度が深いっていうか、そんなかんじなんです(90回目に登場のニコンの双眼鏡はすばらしいです)。レンズのせいなのかAFのせいなのか分かりませんが、どうもしっくりきません。「ponkotsutousanは目が悪いから、その程度でも十分なんじゃねえの?」とおっしゃる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、目の悪い者ほどコントラストがしっかりしててくれないと困るんです。ともあれα7000を作ったメーカーのAF双眼鏡ですから、かなり期待してたのですが実際のところはイマイチなかんじでした。

また、ボディの左上部にある2つのボタンを使う電動でのマニュアルフォーカス。当時世界最高のAF性能を持つα7000を開発したミノルタにして、なぜこの双眼鏡にパワーフォーカスを付けたのかが、どうもよく分かりません。たしかに便利は便利なんですが、ピントを追い込むのにはやっぱり適していないと思うし、電池が切れたらもう本当にそれっきり、おしまいの双眼鏡なので、真面目な双眼鏡ファンはもちろん、そうでない人も「じゃあ買うか」というところまで踏み込めなかったんじゃないかと思います。

さて、同じような倍率の一般的な双眼鏡と比較すると、バッテリーケースや測距ユニットが入ってるせいか、かなり大柄なボディ。デカいわりにはデザインが良くて、通産省選定のGマークを獲ってます。しかし下の写真をご覧ください。後ろから見るとたいへん面白い表情で、まるで博多にわかのお面みたいです。黒目の部分は左右に動くので、寄り目にすることもできます。ミノルタのエンジニアは、買ってくれた客をちょっくら笑かしてやろうと考えていたのではないでしょうか。さすが大阪のメーカーだけあってあなどれないと思いました。コニカミノルタは東京に本社がありますが、もしまた双眼鏡を作るようなら「しげぞうじいさん」とか「すちこ」の顔を模して作ってほしいものです。

バブル期の光学製品なんかだとニコンF4にしてもEOS-1にしてもそうですが、ゆったり堂々とした雰囲気をもっています。性能も含めて「覇気」が感じられ、たいへん好ましい。このAF双眼鏡もじつにダイナミックなデザインで、バブル期のムードがぷんぷん漂っています。ピント合わせなんか手動でいいのに、てか手動の方がぜんぜんいいのに、わざわざ電動にしてしまうこのバブル感。シビレますねえ。使う電池も2CR5と贅沢ざんまい。もちろん当時の客はいまどきの客と違って「電池が高くて困る」なんて泣き言は一切云いません。なにしろ中小企業のサラリーマンが「次のボーナスでゴルフ会員権でも買うか」と素面で云ってたような時代でしたから。当のミノルタも飛ぶ鳥を落とす勢いでカメラを売りまくっていました。きっとこの双眼鏡の先にも光り輝く未来を夢見ていたはずです。しかしどうもこの双眼鏡同様ピントがすこし甘かったようで、ほどなくしてバブルは崩壊、ハネウェルとの訴訟にも負け、ゼロタイムオートでもミソをつけてしまいました。

しかしもしこの双眼鏡が、このデザインのままでゼロタイム思想に基づくものであったなら、べつの評価もあったのでは? というような気がします。だって「覗いた時点ですでにピントが合ってる」「あちこちパンしてもその先々でちゃんとピントが合う」「一人のプレイヤーを同じ画角でピントを合わせたまま追い続けられる」なんて、ある意味双眼鏡の理想ではないでしょうか? ponkotsutousan的にはもう絶対に欲しいし、今ならそんな双眼鏡も簡単に作れると思います。コニカミノルタ製でなくてもいいので、ゼロタイム思想の双眼鏡があったらなあなんて思います。

P1090466P1090469P1090468