2006年01月25日

スタンドアップ4

 standup
 男であることが嫌になっちゃう映画である。出てくる男はクズばかり。頭が悪いうえに腕力まである始末の悪い生き物、それ即ち男なのです、ってとこだろうか。セクシャルハラスメントという単語が日本にも浸透して久しいが、その言葉のもつ本当の意味での深刻さを、我々男は今まで理解していただろうか。閉鎖された空間で女が男に恐怖を覚えるとき、その延長にはレイプというまぎれもない究極の性差別が存在する。それは決して大げさではない。その事を今一度肝に銘じるべきだろう。

 追い詰められ、遂に法廷闘争を挑むジョージー(シャーリーズ・セロン)に、父親は冷淡である。家族のために闘うジョージーに対し、最愛の息子は全く理解を示さない。それどころか、誤解から生じる近隣住民の無礼な誹謗中傷を真に受け、母親を理不尽にも攻撃する始末。そして会社側の執拗なまでの嫌がらせ。人間とはこれほどの孤独に耐えうる生き物なのだろうか。
人気blogランキング





sup2わたくしごとだが、僕が小学生だった頃に家族で住んでいたマンションが、手抜き工事による欠陥住宅だった。4棟200戸程のその物件は大手私鉄会社のO急社による建物であったが、再三に亘る抗議はすべて無視され、激しい気性の僕の母親はなんと大企業のO急社を相手取り訴訟を起し、七年かけて和解を勝ち取った。今ほど住民訴訟が一般的でなかった時代である。この七年は僕ら家族にとって壮絶な戦いの日々だった。なにしろ訴訟を起した当時小学生だった僕は、裁判が終わった頃には高校生。この間O急社の凄まじい嫌がらせは延々続き、そのいやらしさと狡猾さは映画に出てくる炭鉱会社そのものだった。
 マンションの自治会組織は完全にO急社の支配化に置かれ、僕ら家族を誹謗中傷する怪文書が自治会によりばら撒かれるという、今考えれば異常な事態が日常的に行われていた。自治会主催の子供会やクリスマス会、花火大会には我が家の兄弟だけが招待されず、僕らと遊ぶなと親から命令されていた子供も一人や二人じゃなかった。この時ばかりは世の全ての大人を恨んだものである(ちなみにその自治会は外部の共産党員で牛耳られていて、係争中も陰湿な嫌がらせが絶えなかった。今でも母親は共産党を蛇蝎のごとく嫌っている)。
 
 映画の中で、近所の噂や誹謗中傷を真に受けた長男が母親のジョージーを責めるシーンがあるが、現実における僕達兄弟も同じだった。そして父親も。一時的ではあったにせよ、僕ら家族の無理解がどれだけ母親を苦しめたであろうかと、今になって思うのである。ジョージーがとった理論上正当であるはずの社会的選択が、理不尽な反作用として彼女に襲いかかる様を見るにつけ、僕はかつての自分の姿をそこにだぶらせ、絶望的になるのだ。

 法廷内の描写が若干駆け足気味であっさりしすぎの感はあるが、全体に見ごたえのある骨太な作品。社会性のあるテーマだが陰にこもらず、力強く爽やかな仕上がりとなっている。R−15作品。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/ponta20032003/50351767
この記事へのトラックバック
暴力夫から逃げ出し、子供を育てるために鉱山で働くことになったジョージー。しかし鉱山の世界は男の世界。そこに女が入ることによって男達の卑劣な嫌がらせが始まる。。。 性別差別のような気もしますがこういう世界って男女問わず虐めってありそう。小さな世界で作ら...
映画館「スタンドアップ」【☆ 163の映画の感想 ☆】at 2006年01月26日 08:57
 80年代の半ば ミネソタ州の鉱山に採用された女性労働者たちが労働状況の改善を巡って会社を相手取り訴えを起こす物語。みてから読む?映画の原作さんによれば原作の「集団訴訟(Cl
『スタンドアップ』【flicks review blog II】at 2006年01月26日 22:51
14日からはじまった映画ラッシュ。「プライドと偏見」からすっかり更新できなかったのは・・娘が高熱で倒れていたからです。まいった。映画がたまってしまいました。本日より3本連続で観る予定です。 まず「スタントアップ」。 シングルマザーのジョージー(シャーリー...
5 スタンドアップ【毎週水曜日にMOVIE!】at 2006年01月26日 22:54
私は一人でも立ち上がる
スタンドアップ North Country  【みつばちシネマ】at 2006年01月27日 01:15
タイトル:スタンドアップ(原題:NORTH_COUNTRY) ジャンル:社会派ヒューマンドラマ/2005年/124分 映画館:MOVIX京都2(180席) 鑑賞日時:2006年1月15日(日),13:10〜 60人初日 私の満足度:80%(新年いきなり高得点)  オススメ度:80% この映画、予告編があまりによかっ...
スタンドアップ 「モンスター」に続く大当たりのシャーリズ・セロン 新年からいい涙を流しました。【もっきぃの映画館でみよう】at 2006年01月27日 07:09
      向かっていくものが大きな組織であればあるほど、それらを相手に裁判で闘うことはとてつもなく多くのエネルギーを必要とされる。 ましてや、女性が一人で・・・。 ジョージー(シャーリーズ・セロン)という人を見ていて、つくづく“不運な女(ひと)”だと...
スタンドアップ【UkiUkiれいんぼーデイ】at 2006年01月27日 09:14
火曜日は、映画の『スタンドアップ』を観て来ました。 原題は『NORTH COUNTRY』やけど、邦題の『スタンドアップ』っていいねぇ。まさにこの映画のキーワード! 夫の暴力から子供をつれて逃げ出した主人公のジョージーが、故郷に戻り、父と同じ鉱山で働くことに。自分の力で...
スタンドアップ【としちゃんの暇な一日】at 2006年01月27日 10:18
立ち上がる・・・裁判を勝ち取る為というより、自分の中にあった男性への恐怖と偏見から立ち上がり再生していく物語 この物語は実話を元にしているだけあって非常に女性には共感しやすい作品かな。現在の男性でここまでセクハラすると、逆に立場が悪く肩身の狭い思いを強い...
スタンドアップ【シャーロットの涙】at 2006年01月29日 16:54
北米の鉄鉱採掘がメインの街であった実話を基にした映画です。 前に炭鉱・鉱山が出てくる映画って何となくタイプが似てると書きましたけど (「リトル・ダンサー」「遠い空の向こうに」「ブラス!」等など) どの作品も仕事がどんどん無くなっていくネガティブな炭...
スタンドアップ【It's a Wonderful Life】at 2006年01月29日 19:33
原題はNORTH COUNTRYなのですが、 邦題は「スタンドアップ」。 炭坑で成り立っている町の寂しい風景が 最低限の生活という 原題の雰囲気をだしていますが、 邦題も主人公の心情と状況を表現していて、 なかなかいいですよね。 後半には、台詞としてもよくでてきます...
「スタンドアップ」【おたすけシュー】at 2006年01月29日 21:17
この作品は実話をベースに作られてるのですね。 私も学生時代から軽いセクハラとは縁が切れなかったので・・・ 中盤からラストにかけては主役のジョージーに思いっきり感情移入して??
【スタンドアップ】【映画deブログ】at 2006年01月30日 16:56
2005年 アメリカ 公開日:2006/01/14 劇場鑑賞06/01/01   スタンドアップ 監 督 : ニキ・カーロ 脚 本 : ...
『スタンドアップ』【異国映画館】at 2006年01月30日 17:34
ダメ、ゼッタイ。 セクハラ、カッコワルイ。 そんな映画でした      スタンドアップ公式サイト ストーリーは・・・ 夫のDVから逃れるために実家に帰ってきたジョージー 自分の力で自分と子供を養って生きていきたくて 炭鉱で働き始めると 男たちの...
スタンドアップ【そこで馬が走るかぎり】at 2006年01月30日 21:38
『スタンドアップ』 ---North Country--- 2005年(アメリカ) 監督:ニキ・カーロン 出演:シャーリーズ・セロン、フランシス・マクドーマンド、ショーン・ビーン、 シシー・スペイセク、ウディ・ハレルソン、リチャード・ジェンキンズ   1989年、夫の暴力に耐えかねて両...
スタンドアップ【こんな映画見ました〜】at 2006年01月31日 13:09
公式サイト ワーナー・マイカル・シネマズ、公開3日目初回です。 うーーぬ、、初回と言えど、ワタシを含めて5人足らずとは・・・ それも全員男だし、、何故??
「スタンドアップ」【Puff's Cinema Cafe Diary】at 2006年02月05日 15:03
この記事へのコメント
TBありがとうございました。
こちらの実話も心に迫るものがありました。
私もどちらかというと間違ったことを許せず、保険会社とけんかしたりいろんなことやらかしてますが、まだ壁にぶつかるまでの大きなことはしておりません。
お母様もご家族も、そのそれぞれの立場でいろんな思いがあったことでしょう。
正しいことはきついことでもありますね。
映画より、心に残ってしまいました。
Posted by foo at 2006年01月26日 22:57
4
はじめまして。TBこちらも貼らせていただきますね。それにしても、ご家族は大変な体験をされたのですね。感情移入はひとしおだったのではないかと思います。私は同じ女性の立場から考えさせられました。私も気になりましたが、勝訴までが早すぎるきらいは有りましたね。では、また伺いますね。
Posted by meg at 2006年01月27日 01:06
TBありがとうございます。

ご自身の話しと重なって、色々考えさせられました。
大きなものに立ち向かう勇気と力・・・お母さんすごいですね。
お母さんの事を誇りに思ってるでしょ!

ついつい世間の目とか、自分より強いものに対して、正当であっても声をなかなかあげられない現実。でも声をあげていかないと、今回の姉歯事件のように、もっと大きな問題となって自分たちに跳ね返ってくるんですよね。
Posted by としちゃん at 2006年01月27日 10:16
TBありがとうございました。
ご自身も大変な経験をされたのですね。
私なんかが感じるより、ずっと身につまされる思いで御覧になったのでしょうね。

私も良い映画だと思いました。
私には13歳の娘がいますが、見せたくないシーンもあります。
それぞれの感じ方だとは思いますが、まったく問題ないとは言えませんね。。
Posted by suga_m at 2006年01月27日 14:59
かきこみありがとうございます。
個人的なことなんで、どうかなと思ったのですが、
映画を見ながらいろんな記憶が思い出されて、それ抜きで映画の感想を書くことができない状態だったので、
そのまんま書きました。
R-15指定については、ご指摘のとおり、たしかに指定されるだけの場面がありましたね。軽率でした。
Posted by ponta at 2006年01月27日 21:05
TBありがとうございました。
まさに原題の意味が見て取れますね。狭い環境下での(組織というものの)中では誰しも弱者です。
今この作品をが見た事でご家族への愛情もまた再確認できたのでしょうか…
映画は自分へ少なからずリンクするものです。感じ方はそれぞれですが、私にもとても意味があったように思っています。
Posted by charlotte at 2006年01月29日 17:02
こんにちは。
こちらからもTBさせていただきました。
映画でも色々考えさせられましたが、
書かれている子供の時のお話にはびっくりしました。
逞しいお母様ですね〜!
映画を観た後、
最後に残るものは肉親の愛情なんだなって思いました。
お母様を大切にしてくださいね。
Posted by akemi at 2006年01月29日 21:26
はじめまして、TBありがとうございます。
pontaさんの経験談を拝見して、じーんとしました・・
この映画も、当時あの鉱山で働いていた女性たちはもっと酷い状況だったのではないかと想像します。
ジョージーや、お母様のような先人たちが立ち上がったからこそ
今の時代があるのでしょうね。
この邦題スタンドアップ は本当の意味ではまっていると思います。また宜しくお願いします。
Posted by mei at 2006年01月30日 00:01
コメントありがとうございました。
トラバしてないこと、すっかり忘れてました。

男の人はどう思ってみるのかなぁと思っていたので、ここでいろいろな人たちの感想を見せていただきました。
(女性が多いようですが)
また映画のコメを見せてもらいに遊びにきますね。
ありがとうございます。

また次の機会があれば、トラバできるようにしたので、よろしくお願いしますね。
Posted by しおっち at 2006年01月30日 17:03
TBありがとうございます。
感想読ませて頂きました。
お母さまのお話、それ自体が映画になりそうではないですか!
いまは、欠陥マンションが大きく取り立たされていますが、
その実績、講演できそうですよね・・・。

こちらもTBさせて下さいね。
Posted by 小米花 at 2006年01月31日 13:07
<その実績、講演できそうですよね・・・。

講演もしてましたね、そういえば…
うちのお袋はこの時期テレビやラジオにも出てましたから…
そういえば本も2冊出したような…
僕も一冊買わされましたからね。
Posted by ponta at 2006年02月01日 09:13