2007年09月06日
お題第一弾
文章修行家さんに40の短文描写お題http://cistus.blog4.fc2.com/をやっていました。描写とモノローグと抽象的な文章の違いなんてわからんちん。おらー書きたいもの書くだー、ということで、とりあえず10個、順番はバラバラですが載せてみます。反論上等。(?)
24 悲しみ 扉をあけると、ずっと以前に死んだはずの父が若々しい母の肩を抱いてこちらに笑いかけていた。空想と見分けがつかなくなるほどに古い記憶。
21 神秘 占い女は朝起きるとすぐに緑と金色のアイシャドーで己が双眸を永遠の神秘のかたちに象り、安物のサテンを纏って焼け跡のバラックへと急ぐ。
38 別れ 女のわななく唇のような春の風に目眩を感じて、男は背後の刑務所を振り返った。ここの所長は、彼を再び迎え入れてくれるほど寛大だろうか。
09 おとな 目を閉じると、手の中に刺さるように硬い羽の感触を感じた。天使よ、ぼくはきみを、あまりにも長く地上にとどまらせ過ぎたのだろうか。
15 信仰 ありふれた女の顔をした聖母。剥げかけた青いタイル。うすぐらい部屋の片隅の、写真の横にただよう風の姿をした天使と名前のない幽霊。
14 手紙 不運な一日は出し忘れた手紙を思わず読んでしまうことからはじまる。古い悲しみの棘が心に不快な、どうにもならない戸惑いをひきおこす。
34 今昔 他に乗客のいない路面電車に乗って光あかるい坂を昇っていると、記憶の中の光景が鮮明に眼前に蘇ってきて、いまがいつかを忘れてしまった。
39 欲 嫌っていたはずの悪趣味さをそこはかとなくただよわせた、若い君の横顔を思い出す。テラスに凭れかかって、夜に溺れるふりをしていたっけ。
27 芝居 舞台の書き割りのそれのような月が浜辺を真珠色に照らしていて、どこかひとを落ち着かせないお人よしがその光景を褒め上げた。
17 初体験 阿片の夢をむさぼる老人の男根に敬虔な女たちが手を置いていた。地上において性交を禁じられた、聖別された巨大な男根を崇めて豊穣を祈る。
とりあえずこの10個は書きやすかったが、書きにくいばかり残ったなあ。怒りとか卒業とか浪漫とか私に縁のないものばかり……。