2004年11月27日
両用科 両用の黙示録その2
257 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:40:45ID:???
しかも、髪とメイクが悪趣味ド派手。
見たところは、ほとんど田舎のピンサロ嬢。
どこからどう見ても、<防女・オブ・ザ・イヤー>のピチピチギャルには見えない。
マイク片手に、アイドル気どりで観客席に手をふるこの女。
もはや説明は不要であろう。
水陸両用教官室きっての鬼教官にして、海自きっての水中戦闘員。
鬼日下ズゴックであった。
「みんな、ありがとー!!9×年度<防女・オブ・ザ・イヤー>の鬼日下・え・つ・こ・でーす!!」
さっきまでの熱気はどこへやら。
ズゴックの出現に、会場の興奮は、一気に盛り下がっていった。
けたたましいダンスミュージックだけが空しく響く会場。
このうえなく白けた情景であった。
おそらく、本人はまったく予想していなかったのであろう。
ズゴックの顔は、愛想笑いのまま凍りついていた。
もっとも予想していないと言えば、それは観客たちも同じコト。
それどころか発狂ギリギリまで、期待が高められていたのだ。
観客たちの失意は、ズゴック以上であったろう。
「ヒドすぎる…ずっと前から、楽しみにしていたのに…」
「コンナのあんまりだ…。」
「いくらタダだからと言っても…限度というモノがあるよ…。」
うなだれる観客たち。
だが、失意のあとにやってくるのは、行きドコロの無い憤怒である。
ガッカリ感が大きかった分だけ、怒りも大きい。
群集心理の常として、怒りは何の前ぶれも無くバクハツした。
しかも、髪とメイクが悪趣味ド派手。
見たところは、ほとんど田舎のピンサロ嬢。
どこからどう見ても、<防女・オブ・ザ・イヤー>のピチピチギャルには見えない。
マイク片手に、アイドル気どりで観客席に手をふるこの女。
もはや説明は不要であろう。
水陸両用教官室きっての鬼教官にして、海自きっての水中戦闘員。
鬼日下ズゴックであった。
「みんな、ありがとー!!9×年度<防女・オブ・ザ・イヤー>の鬼日下・え・つ・こ・でーす!!」
さっきまでの熱気はどこへやら。
ズゴックの出現に、会場の興奮は、一気に盛り下がっていった。
けたたましいダンスミュージックだけが空しく響く会場。
このうえなく白けた情景であった。
おそらく、本人はまったく予想していなかったのであろう。
ズゴックの顔は、愛想笑いのまま凍りついていた。
もっとも予想していないと言えば、それは観客たちも同じコト。
それどころか発狂ギリギリまで、期待が高められていたのだ。
観客たちの失意は、ズゴック以上であったろう。
「ヒドすぎる…ずっと前から、楽しみにしていたのに…」
「コンナのあんまりだ…。」
「いくらタダだからと言っても…限度というモノがあるよ…。」
うなだれる観客たち。
だが、失意のあとにやってくるのは、行きドコロの無い憤怒である。
ガッカリ感が大きかった分だけ、怒りも大きい。
群集心理の常として、怒りは何の前ぶれも無くバクハツした。
258 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:42:35ID:???
「ババア!!テメエ俺らをナメてんのかー!?」
「コラーっ!!年増は帰れーっ!!」
「田沢ちゃんを出せーっ!!田沢ちゃんをーっ!!」
「消えろ、ババアーっ!!」
「MINIMIでズタズタにすっぞっ!!」
容赦のない罵声の一斉射撃。
さいしょはズゴックも、こわばった笑みを浮かべながら、罵声に耐えていた。
「これから悦子、歌いますねぇ〜」などと、無謀なイヴェント進行を試みていた。
が、観客席から空き缶やゴミが投げ込まれるようになっては、もはや事態は収拾不能だ。
運悪く、飛んできたジュース缶のひとつが、ズゴックの顔面を直撃した。
「ぐげっ」
狙いすましたようなクリティカル・ヒット。
のぞけるズゴックに、残酷なヤジが追い討ちをかけた。
「ざまーみやがれ、貧乳ババアっ!!」
この口撃は、空き缶いじょうに効果的で残酷だった。
地面にヒザをついたズゴックの拳が、ギュッとかたくにぎりしめられた。
「だいじょうぶですか、鬼日下3尉!!」
と、せっかく心配して駆けよってきた警務隊員を、ズゴックは裏拳イッパツで撃沈。
奪い取った携帯警棒をシャキーンと伸ばすと、怒れる群衆にむかってメンチをきった。
「ワシの美乳に文句のあるヤツは、前にでろっ!!」
天地を震わすようなズゴックの怒声。
だが、群集心理もあっただろう、たまりにたまった任務のストレスもあったろう。
裏切られた観衆は、この程度ではビクともしない。
それどころか、皆いきりたって、ズゴックのいるステージに、ズカズカと迫ってきた。
259 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:45:13ID:???
「文句ドコロのハナシじゃねえんだ、このクソババア!!」
「なんだ、ナニ調子コイとるんじゃ、年増貧乳のクセに!!」
「テメエ、陸自をナメてんのか!?その程度のボディじゃ納得できねーんだよ!!」
「ババア、ふんじばって、強盗街道に捨ててやる!!」
ステージ周辺にピケットをはっていたハズの警務班は、すでに退散ずみ。
もはや、ズゴックと観衆のあいだを隔てるものは、何も無い。
「ほほう、陸自のボウヤたちにも、少しは骨が入っているのもおるのか…」
ズゴックは凄みのある笑顔を浮かべた。
「よかろう…気合いれてかかってきやがれ!!」
けっきょく、これが戦闘開始の合図となった。
*************
展開される陸自派遣隊員たちとズゴックの乱闘。
ちぎっては投げ、投げてはちぎり。
さすがはズゴック、特殊戦のエキスパートであり、生来のゴロマキ屋である。
大勢の陸自隊員たちを相手に孤軍奮闘、大立ち回りを演じていた。
しかし衆寡敵せず。
形勢はいささか、ズゴックに不利であった。
そんな乱闘騒ぎを、ハタで我関せずと見守るのは桃と富樫。
二人ともタバコの煙をくゆらせながら、高みの見物ときめこんでいた。
「ほう、ズゴックもなかなかやるじゃねえか。
百対対一でも、そんなには負けてねえ。
やっぱりあの野郎、人間じゃねーな。」
260 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:46:03ID:???
ズゴックの奮戦に、桃は感心したようにつぶやいた。
しかし、富樫は根が善人だけあって、少々心配そうな様子だった。
「でも桃よ、ズゴックの野郎、かなり押され気味だぜ。
あ〜あ、せっかくの田沢の衣装なんか、ボロボロになっちまったな。
中身も相当ボロボロになってきるけどな…オッ、また一発顔面にはいったな…。」
「田沢はかわいそうなコトをしたが、まぁ、いい機会だな。
ズゴックにはいいクスリになるだろうよ。」
不関旗をあげる桃に、富樫はややイラだちを感じた。
「じゃあ、このままほっておくのか?」
「そういうワケにもいくめえ。」
桃はタバコを地面に投げ捨てた。
「ズゴックがボコられようと、殺されようと、俺には関係ねえな。
だが陸自にナメられんのも、シャクなハナシだ。
オイ富樫、何か得物をもってきたか?」
「あたりまえだ。」
261 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:48:03ID:???
そう言いながら富樫が、どこからともなく取り出してきたのは、携帯警棒。
刻印こそ削りとられているが、まぎれもなく、海自の正式装備品だ。
いっけん頼りないが、使いようによっては、ひじょうに有効な非致死性兵器である。
いっぽう桃はといえば、傍らのバッグから愛用の木刀を取り出していた。
二人は、準備をおえると、意を決したように、互いの目をみつめあった。
「だがなあ桃、スカートってのは、どうもイカンな。
こういうときは、下のほうが気になっちまって、どうにも動きにくいぜ。」
「浴衣に比べれば、まだマシさ。コイツは前がはだけるからな。
次回は下にスパッツでもはいてくるさ。」
ニヤリを笑う、桃と富樫。
しかるのち、ふたりはゆっくりと乱闘現場へと歩を進めていった。
***************
「日本軍宿営地、地獄となる」
というのは、翌日のサマワ地元の見出し。
重軽傷者51名は、部隊の任務遂行にとって、とうてい耐え難い損害であった。
翌週、「治安情勢の悪化」を理由に、政府はイラク派遣計画の見直しを発表した。
*********
おしまい。
「ババア!!テメエ俺らをナメてんのかー!?」
「コラーっ!!年増は帰れーっ!!」
「田沢ちゃんを出せーっ!!田沢ちゃんをーっ!!」
「消えろ、ババアーっ!!」
「MINIMIでズタズタにすっぞっ!!」
容赦のない罵声の一斉射撃。
さいしょはズゴックも、こわばった笑みを浮かべながら、罵声に耐えていた。
「これから悦子、歌いますねぇ〜」などと、無謀なイヴェント進行を試みていた。
が、観客席から空き缶やゴミが投げ込まれるようになっては、もはや事態は収拾不能だ。
運悪く、飛んできたジュース缶のひとつが、ズゴックの顔面を直撃した。
「ぐげっ」
狙いすましたようなクリティカル・ヒット。
のぞけるズゴックに、残酷なヤジが追い討ちをかけた。
「ざまーみやがれ、貧乳ババアっ!!」
この口撃は、空き缶いじょうに効果的で残酷だった。
地面にヒザをついたズゴックの拳が、ギュッとかたくにぎりしめられた。
「だいじょうぶですか、鬼日下3尉!!」
と、せっかく心配して駆けよってきた警務隊員を、ズゴックは裏拳イッパツで撃沈。
奪い取った携帯警棒をシャキーンと伸ばすと、怒れる群衆にむかってメンチをきった。
「ワシの美乳に文句のあるヤツは、前にでろっ!!」
天地を震わすようなズゴックの怒声。
だが、群集心理もあっただろう、たまりにたまった任務のストレスもあったろう。
裏切られた観衆は、この程度ではビクともしない。
それどころか、皆いきりたって、ズゴックのいるステージに、ズカズカと迫ってきた。
259 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:45:13ID:???
「文句ドコロのハナシじゃねえんだ、このクソババア!!」
「なんだ、ナニ調子コイとるんじゃ、年増貧乳のクセに!!」
「テメエ、陸自をナメてんのか!?その程度のボディじゃ納得できねーんだよ!!」
「ババア、ふんじばって、強盗街道に捨ててやる!!」
ステージ周辺にピケットをはっていたハズの警務班は、すでに退散ずみ。
もはや、ズゴックと観衆のあいだを隔てるものは、何も無い。
「ほほう、陸自のボウヤたちにも、少しは骨が入っているのもおるのか…」
ズゴックは凄みのある笑顔を浮かべた。
「よかろう…気合いれてかかってきやがれ!!」
けっきょく、これが戦闘開始の合図となった。
*************
展開される陸自派遣隊員たちとズゴックの乱闘。
ちぎっては投げ、投げてはちぎり。
さすがはズゴック、特殊戦のエキスパートであり、生来のゴロマキ屋である。
大勢の陸自隊員たちを相手に孤軍奮闘、大立ち回りを演じていた。
しかし衆寡敵せず。
形勢はいささか、ズゴックに不利であった。
そんな乱闘騒ぎを、ハタで我関せずと見守るのは桃と富樫。
二人ともタバコの煙をくゆらせながら、高みの見物ときめこんでいた。
「ほう、ズゴックもなかなかやるじゃねえか。
百対対一でも、そんなには負けてねえ。
やっぱりあの野郎、人間じゃねーな。」
260 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:46:03ID:???
ズゴックの奮戦に、桃は感心したようにつぶやいた。
しかし、富樫は根が善人だけあって、少々心配そうな様子だった。
「でも桃よ、ズゴックの野郎、かなり押され気味だぜ。
あ〜あ、せっかくの田沢の衣装なんか、ボロボロになっちまったな。
中身も相当ボロボロになってきるけどな…オッ、また一発顔面にはいったな…。」
「田沢はかわいそうなコトをしたが、まぁ、いい機会だな。
ズゴックにはいいクスリになるだろうよ。」
不関旗をあげる桃に、富樫はややイラだちを感じた。
「じゃあ、このままほっておくのか?」
「そういうワケにもいくめえ。」
桃はタバコを地面に投げ捨てた。
「ズゴックがボコられようと、殺されようと、俺には関係ねえな。
だが陸自にナメられんのも、シャクなハナシだ。
オイ富樫、何か得物をもってきたか?」
「あたりまえだ。」
261 名前: 名無し三等兵 [sage] 投稿日: 04/11/27 04:48:03ID:???
そう言いながら富樫が、どこからともなく取り出してきたのは、携帯警棒。
刻印こそ削りとられているが、まぎれもなく、海自の正式装備品だ。
いっけん頼りないが、使いようによっては、ひじょうに有効な非致死性兵器である。
いっぽう桃はといえば、傍らのバッグから愛用の木刀を取り出していた。
二人は、準備をおえると、意を決したように、互いの目をみつめあった。
「だがなあ桃、スカートってのは、どうもイカンな。
こういうときは、下のほうが気になっちまって、どうにも動きにくいぜ。」
「浴衣に比べれば、まだマシさ。コイツは前がはだけるからな。
次回は下にスパッツでもはいてくるさ。」
ニヤリを笑う、桃と富樫。
しかるのち、ふたりはゆっくりと乱闘現場へと歩を進めていった。
***************
「日本軍宿営地、地獄となる」
というのは、翌日のサマワ地元の見出し。
重軽傷者51名は、部隊の任務遂行にとって、とうてい耐え難い損害であった。
翌週、「治安情勢の悪化」を理由に、政府はイラク派遣計画の見直しを発表した。
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おしまい。