雨が降っている。
雨は嫌いじゃない。雨降りの日に外で活動するのは嫌だなと思う
ことはあるけれど。たとえば登山とか。たとえばツーリングとか。
雨に濡れながらっていうのは動きづらいし、濡れねずみでお店に入る
ことを考えると憂鬱になるから。
そういうことを考えないですむのなら雨はむしろ好きかもしれない。

雨の日、特に夜、車が通りすぎる音を聴くと落ちついた気持ちになる。
誰かが誰かのために車を走らせている、なぜだかそんなことを想像して
しあわせな気持ちになる。晴れの日だって雨の日だって同じなのに。
雨の日の部屋は、いつもより一層、親密な空気で満たされる。
誰かに手紙を書いたり、本を読んだり、静かに妄想したりする。
何かしなきゃ、急いでしなきゃ・・と焦らなくていいと思える。
強迫観念は雨に溶けて流れて水溜りの中だ。

雨音に気づいて遅く起きた朝は、まだベッドの中で半分眠りたい。

しあわせな気持ちにさせる雨の歌。ユーミンのこの歌を聴くと、古い
りぼんか何かの漫画のイメージが浮かぶ。くらもちふさこ、とか。
くらもちふさこがどんな漫画を描いていたとか全く思い出せないけれど
でもイメージが浮かんでしまうのだ。もしかして時代が一緒なのか。
太田裕美も久保田早紀もいけれど、ちょっと悲しい。

雨にぬれながら外で活動するのは苦手なのに、あまりに雨が激しいと
もうどうでもよくなってしまう・・のを通り越してうれしくなって
しまう。小学生の頃、激しい大粒の雨の中、帰ってきた。ほんとのほんとに
激しすぎる瞬間だけ少しだけ雨宿りしたけれど、背中にじゃんじゃん水が
入って興奮した。母親に「こんなに濡れちゃったんだよー。すごい雨だった
んだよー」と自慢した記憶がある。

何年か前、高速道路をバイクで走っていた夜も大雨だった。おまけに
雷も。雷は野生の血がよび覚まされる気がして、咆えたいくらい好きだ。
けれど、さすがに生身の体で雷雨の中を走るのは怖かったから上半身を
低く屈めて走ってみたりした。近くを走っている車より低ければ安全かも
なんていう根拠のない考え。びびりながらも、「映画にしたら素敵かも。
誰か撮影してくれたらいいのに」と考えた私。天使の涙みたいに。