みどりの緑陰日記

香港で始めたプレイルームどんぐりから数えて30年、子ども達に絵本や児童書を手渡し続けてきました。絵本や児童書のこと、文庫活動のことなどを綴っています♪

2014年08月

ちひろ美術館☆夏

20140817ちひろ美術館8月17日(日) 15:00〜 @ちひろ美術館・東京

自転車でちひろ美術館・東京へ。
今回は、ちひろの絵と佐藤卓さんのコラボレーション企画「いわさきちひろ×佐藤卓展」を20140817ちひろ美術館2楽しみにしていました。

佐藤卓さんは、NHK・Eテレの「にほんごであそぼう」のアートディレクター、「デザインあ」の総合指導をしている方。東京芸術大学出身のグラフィックデザイナーです。

その佐藤さんが、どのようにちひろの絵を捉えて表現するのか、とても興味津々でした。

20140817ちひろ美術館3今回、その展示は撮影可のエリアがありました。私が何かいうより、見てもらったほうが伝わるかな。

画像をクリックすると、少しだけ拡大します^^20140817ちひろ美術館21


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 ちひろの代表的な絵とのコラボレーション。その絵からどのようなインスピレーションを得て、オブジェを並べていったのか、それをいろいろ想像しながら見るのがとても楽しい展示でした。


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お盆休みに続く日曜日でしたが、みなさん遠出をしているのか、ちひろ美術館はとても空いていて、ゆったりとした午後を過ごすことが出来ました。

この後、花小金井の絵本古書専門店まで自転車で行くことにしていたので、ひさびさの甘いものに手を出してしまいました。美味しかった^^;
この展示、11月3日まで開催中です♪ 

クレヨンハウスでアーサー・ビナードさんの話を聴く

8月16日(土クレヨンハウス8月16:00〜 @クレヨンハウス

クレヨンハウス・24期子どもの本の学校の4回目の講師はアーサー・ビナードさん。
 
講演のタイトルは「日本の夏のなぞなぞ」でした。
どんななぞか?って・・・

この日、京都あたりを襲った豪雨の影響で到着が20分くらい遅れたアーサーさん。この日は広島から新幹線でいらしたのだけど、その前日までは沖縄・辺野古にいらしたのだとか。お話はそこを端緒に、広島、長崎に落とされた原爆の話へと・・・

とくに長崎に落とされたプルトニウム型原爆の投下実験が、1945年に続けられていたこと・・・長崎に落とされた原爆はその形から「ファットマン」と呼ばれているのだけれど、その同じ形の爆弾(中身は原爆ではないが)が7月20日から長崎原爆投下の後の8月14日までの間に30都市49カ所に落とされているのです。
その事実は2011年に出版された『パンプキン!模擬原爆の夏』で知ってはいたのですが・・・パンプキンとは、その「ファットマン」の形がカボチャに似て、しかもオレンジ色に塗られていたから。原子爆弾を目標物に的中させるために、何度も実験されていて、その爆弾投下でも多くの人が亡くなっているのでした。
パンプキン! 模擬原爆の夏
令丈 ヒロ子
講談社
2011-07-27

原子爆弾を開発していく過程・・・そして戦後はそれを”平和利用”するということで、原子力発電へと移行していったが、あの原子炉はそのファットマン、パンプキンの構造と同じなんだという指摘に、私の子ども時代に「夢のエネルギー 原子力」と刷り込まれてきたことに嫌悪感を抱きます。

アメリカ人でありながら、日本を愛し、日本の政府の矛盾を鋭く切り込んでいくアーサー・ビナードさん。アメリカに負けたことで、アメリカの言いなりにならざるを得ない今の状況を、アメリカ人として憂えているのです。でもアメリカのことを嫌いなわけでもない・・・

そこに見え隠れしているのは、生命の尊さよりも、経済優先、人間の膨らんでいく欲望に目が眩み、そこに利権が絡んでいっていることにあるのだと・・・
さがしています (単行本絵本)
アーサー・ビナード
童心社
2012-07-20

今年、1月にちひろ美術館でお話を聞いた時も、そのあたりを深く切り込んでいらしたけれど、今回さらによく調べていらして、その広い知識には頭が下がりました。
キンコンカンせんそう (講談社の翻訳絵本)
ジャンニ・ロダーリ
講談社
2010-08-07

ジャンニ・ロダーリの『キンコンカンせんそう』は、アーサーさんの翻訳。2010年に出ている絵本ですが、私はこれを知らなかったのですが、戦争の愚かさを、わかりやすく描いています。このふたつの国が作って争う大型の大砲の形が、広島型原爆リトルボーイ、長崎原爆のファットマンの形に描かれており、核配備の競争をしていた冷戦時代をも暗示しています。

そんな話から、また辺野古の問題に戻ってきて、ジュゴンの棲むあの美しい海を、戦闘機の発着する空港にして20140816クレヨンハウスよいのか、都心の繁華街にいる5000人が辺野古に行って反対と表明すれば、もっと多くの国民にこの自然を冒涜する暴挙への関心を持ってもらえると訴えていらっしゃいました。

アーサーさん、18時半までノンストップで熱く語りました。(予定では17時半終了)でも途中で帰る人もほとんどなく、熱心にみんな聞いていました。自分は詩人であるから、真実を見つめることで、いろんなことが見えてくる、というアーサーさん。終了後のサイン会でもまだまだ熱く語られていました。

日本人の私たちが、今のこの動き・・・特別秘密保護法、集団的自衛権、原発再稼働、辺野古沖に基地移転・・・に危機感をもって関心を持っていかないといけないと思いました。 

平塚市美術館へ

平塚8月14日(木) 11:00〜 @平塚立美術館

ブラティスラヴァ世界絵本原画展「絵本をめぐる世界の旅」を鑑賞するために、平塚市美術館まで絵本仲間のくまこさんと一緒におでかけしました。 

昨年のブラティスラヴァ世界絵本原画展では、きくちちきさんの『しろねこくろねこ』が金の平塚2りんご賞を受賞。その原画と、合わせて世界のさまざまな国の絵本原画を見るのが目的でした。
しろねこくろねこ
きくち ちき
学研教育出版
2012-02


とくに、この展覧会が始まった頃(7月20日)に開催されたワークショップ「絵本作家きくちちきさんと大きな猫を描こう」の作品もロビーに展示されているとのこと。それを見るのも、とても楽しみでした。

平塚3←これがロビーに掲げられていた大きな猫。2×6mの大きな猫です。

猫の絵の中に小さな猫がいっぱい描かれていたり、外側にもびっしり・・・猫、猫、猫(=‘x‘=)

子どもたちの歓声が聞こえてきそうな、楽しい絵に仕上がっていました。昨年、秋に茅野・今井書店で見たきくちちきさんのライブペインティングでの、伸びやかな筆使いを思い出しました。
 
絵本原画展には、世界中からたくさんの絵本の原画が出品されていましたが、きくちちきさんの原画の他に心に残ったのは荒井良二さんの『あさになったのでまどをあけますよ』でした。
あさになったのでまどをあけますよ
荒井 良二
偕成社
2011-12-02

(どんな絵が描かれているかは、ぜひ手にとってみて♪ →こちらのサイトでは2012年に行われた原画展の様子が見られます。F-ritz Art Center)

先日、板橋区立美術館でのボローニャ国際絵本原画展のことも、上橋菜穂子さんの講演録に合わせてちらりと書きましたが、この『あさになったのでまどをあけますよ』も、まさに東日本大震災のあとに描かれた絵本。

どんなに辛いことがあっても、朝は訪れる・・・明けない夜はないという思いを、この絵本はただ「あさになったのでまどをあけますよ」というフレーズの繰り返しだけで伝えてくれる。削ぎ落とされた文章と、そして豊かな表情を持つ絵が、暖かく包んでくれる・・・そんな絵本です。

優しい色使いの絵なのに、すごく力強いものを感じました。

平塚まで近いようでいて、ちょっとした小旅行でしたが、わざわざ足を運ぶだけの価値がありました。この展覧会は8月31日まで。数日で終わってしまいます。お近くの方はぜひ見に行ってくださいね^^ 

お盆休みには映画を・・・

今年のお盆休みは遠出をせず、以前働いていた図書館のおはなし会のお手伝いへ・・・

9日(土)は、幼児・小学生向けのおはなし会プログラムでしたが、直前のスコールと、お盆休みの始まりとあって参加者が想定の幼児ではなく、2歳児さん二組・・・
急遽、読む予定の本を変更しました〜

13日(水)のおはなし会は、未就園児向けのおはなし会。こちらは1歳〜2歳児向けのプログラムですが、生後4か月という赤ちゃんもいました。全部で27組!
とても賑やかなおはなし会になりました。

そんなおはなし会の合間に2つの映画を見て来ました。

20140812チョルベンまずはリンドグレーンの原作を映画化した「なまいきチョルベンと水夫さん
先日の教文館での菱木晃子さんと平澤朋子さんの対談の時に、ご案内いただいた映画です。

なんと、この映画は50年前にスウェーデンで撮られた映画。登場するのは小さな島の田舎町に住む子ども達。5,6歳の子ども達なので・・・そう、子役は今は50代半ば・・・

見ていて懐かしく思ったのは・・・自分の子ども時代とリンクしていたからなんですね。もちろん私の育った山口の田舎町と、スウェーデンの田舎町は違うんだけど、素朴な暖かさだったり、子どもたちが自由にのびのびと自然の中で遊んでいたことなど。

「ぶさかわ」って言われているチョルベンもすごくいい味出しているんだけれど、特に気に入ったのが、スキッ歯のスティーナ。スティーナが赤い頭巾をかぶって、あざらしの赤ちゃんに餌をあげに行く途中でずるがしこい漁師のおじさんと会話するところなんて、すごく素敵。スティーナが完全に赤ずきんちゃんになっていて、可愛かったです。子どもらしさ、素直で、真っ直ぐで、無邪気で・・・リンドグレーンのおはなしに出てくる、そのままの姿の子どもの姿に癒されました。

リンドグレーンの原作は、こちら!


13日は、「思い出のマーニー」

私自身は中学生の時に原作を読んでいるのですが、読み返す暇もなく、ジブリのアニメ映画「思い出のマーニ20140813思い出のマーニーー」を見たわけで・・・こんな話だったっけ?最初は、設定がぜんぜん違っているので、全然ストーリーに入っていけず。

でも途中からは、涙が止まりませんでした。
なんで、泣いちゃったんだろ。自分自身、物心ついたころに、複雑な家族構成に悩んで、生まれてこなきゃよかったのに・・・って、倦んで、イライラして、自分に自信が持てなかった、そんな頃に自分を引きもどしてくれたのかもしれない。そしてマーニーに出会うことで杏奈が、自分を許し、また養母を受け入れていく・・・その過程が、自分が自分の生まれた環境を受け入れていく葛藤と、それを越えて成長しようとしていたあの頃を思い出させたんだな・・・と思います。

すっかり原作を読んだ時の想いを忘れてしまった・・・もう一度読み直してみたいなと思いました。
 

板橋区立美術館で上橋菜穂子さんの話を聞く

8月10日(日) 14:00〜 @板橋区立美術館

午前中、東京家政大学で寺内定夫先生の講演を聞いたあと、最寄り駅の埼京線十条駅へ。駅前でランチをしておいる間に台風11号接近で風雨が激しくなってきました。

「この雨の中、帰るのは辛いな」と思った時に、「そうだ、ボローニャ国際絵本原画展の招待券がある!タクシーで板橋区立美術館へ行こう!」と、思い立ったのです。あとでよくよく地図で確認すると、十条から板橋区立美術館まで8.5kmもあって、結構な距離だったのですが、同じ板橋区内だから大した距離ではないと思ったのでした。 

20分弱で美術館に到着。すると、美術館の関係者が表に出て誰かを待っている様子。20140810板美

館内に入ってみると、14時から上橋菜穂子さんの講演会があるという掲示が!11時から整理券を配布と書いてあり、その時13時半過ぎ。「わあ!上橋菜穂子さんの講演会があるんだ!でも、もう整理券もないだろうなぁ」と思いつつも、ダメ元で係りの方に尋ねてみると・・・この荒天で整理券が余っているとのこと。座席番号102番♪

20140810板美2思いがけず上橋菜穂子さんのお話を伺うことが出来ました。

3月、ボローニャ国際ブックフェアの際にIBBYが授与するアンデルセン賞作家賞を受賞した上橋菜穂子さん。その受賞の時の様子や、上橋さん自身の子ども時代の話、文化人類学を学ぶことになった経緯などを、ユーモアも交えて話してくださいました。

そのあたりのことは、昨年秋に出版された上橋さんのエッセイ、『物語ること、生きること』に重なるところが多いので、ぜひこの本を読んでみてください♪
物語ること、生きること
上橋 菜穂子
講談社
2013-10-16

 この本には書かれていない幼少期の上橋さんのお話で印象的だったのは、ウルトラマン好きの女の子だったということ。当時、女の子向けのアニメーションとして「ひみつのアッコちゃん」や「魔法使いサリー」が人気だったのですが(同年代!)、上橋さんはウルトラマンが大好きで、初代ウルトラマンの最終回でゼットンに負けてしまった時に、泣きすぎて吐いてしまうほど、悲しくて泣いた記憶があったそうです。お母さんが、「菜穂子ちゃん、ウルトラマンは死んだんじゃないのよ。M78星雲に戻ったのよ。」と、言われて立ち直ったそうです。

もうひとつ、上橋さんが印象に残っているものが萩尾望都さんの『トーマの心臓』。当時、厳格な父親に漫画本を読むことは禁止されていたとのことですが、中1の時の友人に(カミュの『異邦人』を読むような読書家の)「漫画を読まないの?」と言われて勧められたのが『トーマの心臓』だったそうです。

トーマの自殺から始まるこの作品に衝撃を受けたというのです。この作品を読み解くためには、キリスト教の無償の愛を理解しなければならないのですが、上橋さん自身、物心ついたころから死への恐怖、死の虚しさに悩まされていたというのです。死によって、人が生きて来たことのすべてが消し去られるのなら、「生きる」ことは意味があるのか、何のために生きているのか、慟哭しても癒されない理不尽さを感じていたというのです。

そこに一筋の光を与えたくれたのが、井上靖さんの『天平の甍』。鑑真和上とその弟子たちの生き様。あるいは、ローズ・マリー・サトクリフの『太陽の戦士』。骨太で容赦ない世界が描かれ、それらの物語を読んでいくことで、「人というのは、虚しさを抱えて生きていく存在なのだ。死が訪れるその日まで歩いていく存在なのだ」と悟ったというのです。特にサトクリフの作品には、この世の中に住んでいる相容れない文化的な背景を持っている人々がいて、その深い溝に戦い争うしかないのだが、人と人として心を寄せ合うならば、その溝を越えていけることを物語っており、それに出会うことによって、死への恐怖を乗り越えることが出来たというのです。

物語には、理不尽な感情を乗り越える力がある・・・

しかしその後上橋さんはアフリカの神話に出会い、これまでの世界史が欧米の視点に偏ったものであることに気づき、その他の世界を知りたいと文化人類学を専攻したというのです。それはマジョリティではなく、マイノリティの立場から世界を見ていくということであったというのです。文化人類学のフィールドワークでアボリジニと生活を共にする中で、先入観の恐ろしさに気づいた上橋さん。人間の社会は単純な図式では描けない、一人一人の生活の中で様々なことがありうるのだと・・・そこから物語を紡ぐようになっていかれたとのこと。

「テーマ」を掲げて書くのではなく、物語を書きたい・・・人々のたどってきた人生が沁み出していくような物語を・・・それが「守り人」シリーズに、「獣の奏者」シリーズに結実していったというのです。それが、優れた翻訳者に出会うことによって、今回、日本語圏ではない人々からその成果を認められ、アンデルセン賞を受賞することが出来た・・・それが嬉しいと満面の笑みでおっしゃった上橋さん。私たち、読者にとっても日本のファンタジーが世界中で読まれるということは、最上の喜びだと感じました。

講演会では、絵本画家を目指している友人(私がある小学校で絵本講座をした時に参加してくださった方)や、図書館関係のお友達にも会いましたが、みなさんは11時の整理券配布の前に並んで待っていらしたとのこと。急に思い立って美術館へ行って、上橋さんのお話が聞けて、なんとラッキーだったことでしょう。台風接近で断念された方がきっといらしたのですね。ありがとうございました・・・

さて、ボローニャ国際絵本原画展も、見応えがありました。今回、感じたのは絵に余白が増えたということ。ボローニャ国際絵本原画展は、ここ10年毎年のように見ていますが、数年前までのグラフィックな作品が多かったのですが、今回線を大切にした作品、余白に意味のある作品が多くなっているように思いました。絵本画家を目指して勉強中の友人曰く、東日本大震災の後に描かれた作品が昨年のボローニャに出品され、それが今年こうして展示されていることにも起因しているのだとのこと。あの未曾有の天災の後、画家たちが何を第一に考えたかということが、絵本という表現にも如実に反映されていることを知った原画展でした。


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