みどりの緑陰日記

香港で始めたプレイルームどんぐりから数えて30年、子ども達に絵本や児童書を手渡し続けてきました。絵本や児童書のこと、文庫活動のことなどを綴っています♪

2017年08月

今だから読みたい『明日の平和をさがす本』対談へ

8月10日(木)19:00〜 @神保町ブックカフェ


『明日の平和をさがす本―戦争と平和を考える絵本からYAまで300』は、昨年秋に出版されました。

編著者はJBBYの活動などでお世話になっているさくまゆみこさん(この度会長に就任されました)に、宇野和美さん、大阪にある国際児童文学館の土居安子さん、西山利佳さん、野上暁さん。

今回のトークイベントは、そのうちのさくまゆみこさんと宇野和美さんの対談で、司会は野上さん。編集に携わったフリーの編集者細江幸世さんも、会場には西山さんもいらっしゃるという豪華な布陣でのイベントでした。

司会の野上さんは、ご自身の編著書『わたしが子どものころ戦争があった 児童文学者が語る現代史』(理論社 2015)を取り上げ、子どものころに戦争を体験した子どもの本の作家たちが、その反省から児童文学の世界で子どもたちに戦争は二度と繰り返してはいけないと平和の尊さを伝えてきたのに、今の日本の現実は秘密保護法から始まって安保関連法、そしてこの夏に決まったテロ等準備罪法案(共謀罪)など戦争に向かっているような動きがあることへの危機感を訴えられました。

そして野上さんが書かれた「はじめに」を声に出して読まれました。「日本は、1945年8月15日に、アメリカやイギリスなどの連合国を敵に回した戦争に負けて以来、一度も戦争をしていません。310万人ともいわれる、尊い犠牲者を出した反省から、憲法で戦争をしないと決めたからです。その後、世界の国々と友好関係を築き、平和が続いてきたことで経済も発展し、戦後の荒廃から立ち直り豊かな暮らしが実現できました。ところが、それから70年以上もたつと、戦争の悲惨な記憶がうすれ、近隣の国々を侵略したことへの反省もなく、憲法の精神をないがしろにして、戦争ができる国に替えようとする力が強まってきています。世界の各地で、いまも戦争や紛争が起こっていますから、いつまた日本がそれにかかわらないとも限りません。子どもの本に関わる私たちは、将来にわたって戦争の悲劇を子どもたちに味わわせることを断じて避けたいと願います。」(p3)

戦後は、被害者意識の強い反戦児童文学が多く出ていたが、ここにきて被害者目線だけではない、さまざまな視点からの戦争と平和を考える子どもの本が出てきたこともあり、2000年以降に出版された戦争と平和がテーマの本(800冊前後)の中から300冊に絞って紹介したと、この度の『明日の平和をさがす本』の意義を語ってくださいました。

その後、宇野和美さん、さくまゆみこさんがそれぞれこの本の特徴や、編集で力を入れたことなどと共に、特にお勧めする本を数冊ずつ紹介してくださいました。本の紹介は1冊につき1ページずつ、書いてあります。ぜひこの本を購入して(借りるのではなく、この本は座右に置いて活用してほしい)、読んでみてください。書名のあとに、ページを記しておきます。

宇野さんが取り上げたのは・・・
『ぼくは、チューズデー 介助犬チューズデーのいちにち』ルイス・カルロス・モンタルバン+ブレット・ウィッター/文 ダン・ディオン/写真 おびかゆうこ/訳 ほるぷ出版 (p78)
ぼくは、チューズデー
ルイス・カルロス モンタルバン
ほるぷ出版
2015-05-22





『八月の光』朽木祥/作 偕成社 2012 その後、出版社が小学館に移行 (p177)
八月の光
朽木 祥
偕成社
2012-06-21

今年6月に出版された小学館版には小学館文庫で2編追加されたのに加えて、さらに2編書下ろしが追加されており、全部で7編の短編集になっているとのことです。
『戦争といのちと聖路加国際病院ものがたり』日野原重明/著 小学館 2015 (p181)

今年7月18日に105歳で亡くなられた日野原先生の作品です。



『ミスターオレンジ』トゥルース・マティ/作 野坂悦子/訳 平澤朋子/絵 朔北社 2015 (p158)
ミスターオレンジ
トゥルース マティ
朔北社
2016-10





『日ざかり村に戦争がくる』ファン・ファリアス/作 宇野和美/訳 船越千秋/画 福音館書店 2013  (p117)
日ざかり村に戦争がくる (世界傑作童話シリーズ)
フアン・ファリアス
福音館書店
2013-09-15





『ちっちゃいさん』イソール/作 宇野和美/訳 講談社 2016
ちっちゃいさん
イソール
講談社
2016-04-21

この絵本はリストには入っていませんが、まさにこのような無垢な子どもたちが、真っ先に傷つくのが戦争なんだということで、トークの中で宇野さんが翻訳した絵本が紹介されました。

『太陽と月の大地』コンチャ・ロペス₌ナルバエス/作 松本里美/イラスト 宇野和美/訳 福音館書店 2017
太陽と月の大地 (世界傑作童話シリーズ)
コンチャ・ロペス=ナルバエス
福音館書店
2017-04-15

こちらもリスト作成の後に出版されたため、リストには入っていません。でも混迷を深めているイスラムとEU諸国との軋轢の背景にある歴史的事実をもとに美しい愛と友情の物語になっています。→(詳しい感想はこちら


さくまゆみこさんが取り上げたのは・・・
『ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?―ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」』アレン・ネルソン/著 講談社文庫 講談社 2003 (p183)


『平和の種をまく ボスニアの少女エミナ』大塚敦子/写真・文 岩崎書店 2006 (p218)



『さがしています』アーサー・ビナード/作 岡倉禎志/写真 童心社 2012 (p79)
さがしています (単行本絵本)
アーサー・ビナード
童心社
2012-07-20



『ドームがたり』アーサー・ビナード/文 スズキコージ/絵 玉川大学出版部 2017
ドームがたり (未来への記憶)
アーサー・ビナード
玉川大学出版部
2017-03-11

こちらの絵本も、リスト作成が終わった後に出版されたため、リストには入っていません。『さがしています』のアーサー・ビナードさんの新しい作品として一緒に紹介されました。


『ヒットラーのむすめ』ジャッキー・フレンチ/作 さくまゆみこ/訳 鈴木出版 2004 (p178)

加害者側の視点から考える作品として紹介されました。日本には被害者目線の絵本はたくさんあるけれど、かつて日本軍が東南アジアでやったことに触れる作品はないということにも目を向けさせられました。今年の夏は、NHKスペシャルで「731部隊の真実〜エリート医学者と人体実験〜」(2017年8月13日放送)と、「戦慄の記録 インパール」(2017年8月15日放送)を放映し、8月6日放送の「原爆死〜ヒロシマ 72年目の真実」と合わせて、戦争の悲惨さを丁寧にあぶり出していました。特に「731部隊の真実」では、ロシアで見つかった資料をもとに、右側の人々がでっち上げだと言い続けてきた捕虜を丸太と称して生きたまま人体実験をしていた証言とともに、日本軍がどれほどの残忍な行為をしてきたかが、白日の下に晒されました。これまで、そのことを知ろうとすると「自虐史観」だと言われてきましたが、敗戦の事実をきちんと総括できていないことに、今の政治に見る混乱を感じます。海外の児童文学が、特にドイツではきちんとナチスの暴挙を加害者として見つめて総括した歴史を背景に、こうした厚みを持ったものが出ていることに、感服します。

『ブルンディバール』トニー・クシュナー/再話 モーリス・センダック/絵 さくまゆみこ/訳 徳間書店 2009 (p147)
ブルンディバール
トニー・クシュナー
徳間書店
2009-11-19




『おとうさんのちず』ユリ・シュルヴィッツ/作 さくまゆみこ/訳 あすなろ書房 2009 (p148)
おとうさんのちず
ユリ シュルヴィッツ
あすなろ書房
2009-05-01

この2冊はユダヤ系である作者の経験に基づいたもの。

『路上のストライカー』マイケル・ウィリアムズ/作 さくまゆみこ/訳 岩波書店 2013 (p65)
路上のストライカー (STAMP BOOKS)
マイケル・ウィリアムズ
岩波書店
2013-12-21

内戦のジンバブエと、民族差別がはびこる南アフリカを舞台にした作品。ホームレスのサッカーワールドカップに出場することになった孤児デオの姿はYA世代に訴える力があるはず。

『オシムからの旅』木村元彦/著 理論社 2010 (p192)
オシムからの旅 (よりみちパン!セ)
木村 元彦
理論社
2010-02-25

2006年〜2007年サッカー日本代表を率いたオシム監督と、1994年から2001年まで名古屋グランパスエイトに所属していたストイコヴィッチ選手の出身地ユーゴスラヴィアでの紛争を描いた作品。

これらの作品が紹介された後、細江さんからこのリストの特徴についてのおはなしがありました。
それぞれの作品を1ページで紹介しているのですが、タイトルの上に「フィクション」「ノンフィクション」「絵本」「読物」「写真絵本」など本の形態が表示され、タイトルの下には、時代背景、キーワードが挙げられていること。そのキーワードは「友だち」「おとうさん」「おかあさん」「おじいさん」「牛」「ネズミ」「報道写真家」「「カエル」「ロバ」「王様」など、戦争や平和と直接関係ないものもたくさんあり、ブックトークなどの際に「戦争と平和」とは違うアプローチで子どもたちに紹介できるようになっているのです。

また対象年齢は、発芽〜双葉〜葉っぱが数枚〜木というマークを用いて表示してあります。

第1章 戦争ってなんだろう?
第2章 生きるための冒険
第3章 声なきものたちの戦争
第4章 子どもたちの体験
第5章 絵のちから 音楽のきぼう
第6章 伝える人 語りつぐ意志
第7章 勇気ある決断 未来への思い
第8章 平和をつくるために

以上の8つのテーマで分類し、子どもの視野を広げ、別の視点から平和について考えてもらえるようにしているということ。
巻末には、資料編として「本の舞台となった地域MAP日本編、世界編」「本の舞台となった時代 年表」そして「索引」があり、図書館司書さんや学校司書さんには、ほんとうに使いやすい作りになっています。そして表紙画は、細江さんのお連れ合いの絵本作家いとうひろしさんが描いていらして、手に取りやすい親しみやすい装丁になっています。ここには、「平和」を前面に出して編集したという意図もあるようです。

またコラム記事も1章から6章の間に6つあり、そこも読みごたえがあります。

会場にいらした西山利佳さんからは、「どういう人にどのように活用してもらうのか、読者対象について検討した」というお話もいただきました。このリストには『この世界の片隅に』(p200)など漫画も取り入れているのは、多くの子どもたちに手に取ってほしいという願いも込められているようです。


また『灰色の地平線のかなたに』(p159)では、強制労働収容所に連行されていく途中で絵を描くリナの姿を描いているけれど、「絵のちから 音楽のきぼう」の章では、戦争中も芸術が人々の生きる希望となっていたことを知ってほしかったからだと、お話しくださいました。
灰色の地平線のかなたに
ルータ・セペティス
岩波書店
2012-01-26


紹介文を書いているのは総勢26名。みなさん、子どもの本の執筆、翻訳、編集、出版に携わっていたり、さまざまな場所で子どもたちに本を手渡す活動をされています。そのおひとりおひとりが、日本が72年前の敗戦の歴史を忘れて再び戦争が出来るように突き進んでいる今の政治状況に危機感を抱き、今こそこのリストを活用してほしいと願っていらっしゃいます。
ぜひこのリストを購入して、手元に置いてください。ご家庭に1冊あってもよいと思います。

紹介されている300冊の中には未読の本もたくさんありました。まずは未読のものをひとつひとつ拾って読んでいこうと思っています。

教文館ナルニア国夜のブックトークへ

8月も終わろうとしているけれど・・・8月にあったことを遡って記しておこうと思います。

8月9日(水)18:30〜19:30 @銀座・教文館ナルニア国

今年1月からの半年間、つまり上半期に出版された子どもの本の中からおすすめの本をレビューする拡大版ブックトークに参加してきました。

私も仕事で新刊情報を書くために(→こちら)、毎月教文館ナルニア国と、クレヨンハウスで月に1万〜2万円分の児童書を購入して読んでいます。時々代官山蔦屋書店でも大人買いするので、月々の本代は結構な額になっています。でも、今の私にとって自分の身銭を切って子どもの本を買うというところに矜持があります。

書評を書く方々は、それなりに著名だと出版時点で献本という形で出版社から本を寄贈していただくそうです。でも、タダでもらっちゃうと悪くは書けない。

いや、ただね、一介の本好きにしか過ぎないので、買って読むは当たり前なのです。買うのはだから好きだなって思える本。でも、新刊情報を仕事で作成しているサイトで発信するようになったので、これまでは自分で手を出さなかったものにも、触手を広げています。

いろいろ読んでみないと、そして読み比べてみないと、それぞれの良さはわからないもの。そんな中で、思った以上に良かったって思える出会いもありますからね♡

なので、半期に一度の教文館ナルニア国のこのブックレビューも、ほとんど休まずに参加しています。とにかくナルニア国の選書担当の方々のその選書眼を信頼しているのです。「子どもに本を手渡すその先の世界」を思い描きながら、本を選んでいるお二人の姿勢にいつも学ばせてもらっています。

この日、紹介してくださった中で、私もよかった!って思っているのは以下の3冊。
1冊目は『太陽と月の大地』。宇野和美さんの翻訳で、スペインでは長く読み継がれている本が、この度日本で出版されました。

太陽と月の大地 (世界傑作童話シリーズ)
コンチャ・ロペス=ナルバエス
福音館書店
2017-04-15

私が仕事で書いている文章を引っ張ってきますね。
〈世界史を学習した人は、記憶のどこかに「レコンキスタ」(国土回復運動)や「グラナダの陥落」という言葉が残っているのではないでしょうか。611年に興ったイスラム国家ウマイヤ朝は、710年にジブラルタル海峡を越えてイベリア半島に進出しました。それから1492年のグラナダ陥落までイスラム勢力(ナスル朝)による支配が現在のスペイン南部で続くことになります。この物語はグラナダ陥落後のグラナダを舞台にして、16世紀のキリスト教徒とイスラム教徒との確執のはざまで育まれた友情と引き裂かれていく運命について描いています。当時、イスラム教徒は強制的にキリスト教に改宗させられ「モスリコ」と呼ばれていました。その後アラビア語の使用や生活様式の禁止令も出て、徹底的な同化政策が行われていたようです。この物語の中心人物はモスリコの老人ディアス。彼らの家族はアルベーニャ伯爵家に仕えていました。ディアスと、前当主ドン・ゴンサロは、主と使用人という関係というよりは、少年時代から一緒に過ごしてきた親友のような存在でした。この関係は息子の代になっても続くと思っていたのですが、アラビア語禁止令が出たことによって変化していきます。ディアゴの孫のミゲルは山賊となってイスラム教徒の反乱に参加していくのです。物語は、民族、宗教に引き裂かれる人々の、しかし同じ人間同士として理解することもできるんだというメッセージをも含んでいます。キリスト教徒とイスラム教徒の軋轢の歴史は、今も続いています。テロとその影響で難民になって他国へと逃れていく姿は、16世紀の物語としてではなく、今まさに中東とEU諸国で起きていることと重なります。この本は1984年にスペインで出版されIBBY(国際児童図書評議会)のオナーリスト、そしてヘルマン・サンチェス・ルイペレス財団(*)による「20世紀のスペインの100冊」にも選ばれて、長く読み継がれているということです。スペイン留学中にこの本に出会ったという宇野和美さんによる翻訳は、とても読みやすく、言葉が心に沁みわたってきます。世界史を学ぶYA世代に、ぜひ手渡したい1冊です。
*この財団についての説明は、宇野和美さんのブログ「訳者の言いわけ」に詳細に書かれています。→こちら
 
2冊目は、アメリカの絵本作家ワンダ・ガアグが翻訳したグリム童話をさらに松岡享子さんが訳した『グリムのむかしばなし』。こちらも、仕事で紹介した文章を貼り付けておきます。



〈『100まんびきのねこ』(石井桃子/訳 福音館書店 1961)などの絵本があるワンダ・ガアグは、幼少期におとなが昔話を語ってくれるのが大好きだったそうです。ある時「ヘンデルとグレーテル」に挿絵を描いていて、子ども時代に昔話に夢中になっていたことを思い出し、ドイツ語でグリムの昔話を読み込み、また昔話の精神について深く掘り下げます。そうした昔話の研究をベースに、ガアグは子どもたちにその魅力を存分に味わえるようにと英訳します。そのテキストを、このたび松岡享子さんが翻訳しました。訳者あとがきに「今回、翻訳を引き受けることになって(中略)実に幸運でした。改めて、ガアグのグリムのおもしろさ、たのしさに魅了される貴重な体験になったからです。文章は軽やかで勢いがあり、頭韻を多用した音の響きは、ほんとうに耳に快く、声に出して読んでいると、ひとりでにリズムと抑揚がついてきます。」(p174)と記しています。さまざまな訳で触れているグリムの昔話ですが、ガアグの訳、そしてそれを活かした松岡享子さんの訳で、改めて味わってみてほしいと思います。きっと、訳者あとがきに記された意味がすとんと理解できることでしょう。〉


そして、この夏私が一番好きだった1冊がこちら。『ガラスの封筒と海と』。とても静かで、それでいて力強いメッセージをこの本からもらいました。

ガラスの封筒と海と
アレックス・シアラー
求龍堂
2017-06-23

仕事で書いた紹介文→〈トムは小さな海辺の町に住む少年です。今、トムが夢中になっているのは瓶の中に手紙を詰めて海に流すこと。海流に乗ってどこか遠くの島にでも辿り着き、誰かがそれを読んでくれるのを楽しみにしています。実は、大型貨物船の乗組員だったトムの父親は一年前の嵐の中で、船もろとも転覆して行方不明です。周囲の人はもう絶望的だと考えていました。トムは父親を奪った海に向かって、ガラスの封筒に入れて手紙を流すのです。ところがある日、海の底のデイヴィ・ジョーンズ監獄にいるというテッド・ボーンズから返事が来るのです。ちょっとミステリアスな展開に、惹きつけられていきます。読後は爽やか。夏にふさわしい1冊といえるでしょう。小学校高学年から中学生向けです。〉


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この日は、終了後にお友達の月夜さん(guguさんとも呼ばれている^^)と待ち合わせをして、軽く1杯。ガス灯通りにあるパエリアが美味しい銀座エスペロへ行ってきました。

8月26日〜27日に茅野へ一緒に行くので「あずさ回数券」を手渡しがてら、ほんのちょっとの息抜きタイムでした。

パエリア、美味しかった

2017イタリア・ボローニャ国際絵本原画展へ

8月6日(日)

この日、広島の原爆投下から72年。朝からNHKで平和記念式典を見ました。弟から、この日の広島は騒然としていると聞かされていたのです。

平和記念式典は厳かな雰囲気で執り行われていますが、周辺では旗を掲げた活動家が声をあげ、その対面でこれまた大声で恫喝する右翼たちがいて、あの日熱線に焼かれていった人々の死を静かに追悼する雰囲気ではないということでした。

それでもテレビの向こうの広島は青空が広がり、整然と式が行われていました。広島市長のまっすぐ前を向いて語りかける、静かでいて力強い平和宣言と、視線を原稿から一度も上げないまま、まったく被爆者の気持ちに寄り添わないスピーチをした首相との対比が明確でした。

2017ボローニャ2東京はどんより蒸し暑い一日でした。

午後は、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展を見るために、車を出して板橋区立美術館まで行ってきました。実際には車だと30分もかからない距離です。

この辺り、自転車で走ったこともある!と、ナビを使わずに走ったら・・・完全にアウト。そうだよね、自転車で入れる道も自動車だと進入できないところも多いわけで、しかももう何年も前の記憶で走ることの無謀さを体験。一方通行のボローニャ2017道に入り込んで住宅街の中で抜けられなくなるということを2回も繰り返してやっと到着。ほっ。

美術館前まで来たら駐車場がない!で、またぐるぐる。
美術館前の月極駐車場でソフトクリーム屋さんをやっているおじさんに頼み込2017ボローニャんで、30分だけならって許可をいただき、大急ぎで展示を見てきました。

東京のボローニャ国際絵本原画展のフライヤーやチケットは、Sアトリエ所属の廣川美知子さんのイラストです。このフライヤーには、イタリア・ボローニャの展示会場と、板橋区立美術館の両方が描かれています。

淡いブルーの中にピンク色が映えるポップカルチャー的な雰囲気が、今の絵本を巡る状況を映し出しているのかもしれません。年々、がらりと変わっていろんな雰囲気を見せるこのボローニャ。そこがまた魅力なのですね。
(ここ3年、板橋区立美術館には足を運べてなかったです。前回のボローニャ国際絵本原画展の記事は→こちら2014年)(2013年は→こちら)(2012年は→こちら)(2011年は→こちら

ソフトクリーム屋のおじさんが「ゆっくりでいいよ」とは言ってくれたものの、やはり申し訳なくてほんとうに大急ぎで2つの展示会場を巡りました。

今年、私が注目したのはイランのイラストレーターたちの活躍でした。それから韓国の若手もクオリティ高い作品を描いているなあという感じ。子どものための絵というよりも、イラストレーターが世界的に活躍の場を得るための登竜門的な感じがあって、よりアーティスティックで、多様な作品が増えているなあと思いました。
2017灯篭流し
夜は、弟から届いたヒロシマの灯篭流しの画像を見ながら、原爆投下の事実を描いた番組「原爆死〜ヒロシマ 72年目の真実」を見ました。

原爆投下で発せられた4000度とも言われる熱線で、一瞬にして血液が沸騰して蒸発し、真皮がべろりと剥けたのだということが、実験からも証明されていました。今は、原爆資料館から撤去されているということですが、私が学生時代に資料館で見た焼けただれた皮膚をべろりと振袖のように垂らして歩く人々を表現した人形たち・・・あれは決して大げさなものではなく、ほんとうにそうだったんだと、番組を見て思いました。hirosima灯篭流し

また放射能の影響は、とくに内部被ばくによって何年も影響が残ったことなど、これまで公表されてこなかった資料をもとに番組では明らかにしていました。

こんなことが二度とあってはならないと、強く思いました。

豊かな語りの世界〜アフリカのジョン・キラカさん

8月5日(土) 14:00〜@青山 東京ウィメンズプラザホール


大阪国際児童文学振興財団の招聘で来日されたタンザニアのストーリーテラーで絵本作家のジョン・キラカさん。今年7月に、西村書店からタンザニアの昔話絵本『ごちそうの木』(さくまゆみこ/翻訳)も出版されたところです。この絵本はタンザニア南西部のフィバ族の語りが元になっているそうです。

ごちそうの木 タンザニアのむかしばなし
西村書店
2017-07-24




東京では、所属しているJBBYと、アフリカ子どもの本プロジェクトが主催して、「タンザニアの絵本作家キラカさんがやってくる!」として、二日間「ミニレクチャーとキラカ氏ワークショップ」(8月4日(金)10:00〜16:00@青山学院女子短期大学)と「キラカ氏講演会 アフリカの豊かな語りと絵本づくり」(8月5日(土)18:00〜20:00@東京ウィメンズプラザホール 聞き手:さくまゆみこ氏)というイベントが行われました。

私は5日の講演会に先立って開催された「アフリカを楽しむ子どもの本展」(14:00〜17:20 @東京20604471_1427912173957715_3842830336313454103_nウィメンズプラザホール)と、夜の講演会のお手伝いをしました。

ジョン・キラカさんは1966年タンザニア生まれのスレンダーなおじさんでした。(50歳!)

20621108_1427912183957714_1957767650696081366_n前日、青短でワークショップをこなし、この日の午前中は国分寺市の殿ヶ谷戸庭園でおばあさんの知恵袋主催の語りの会(→こちら)を済ませて、15時半ごろ駆け付けてこられたキラカさん。連日のイベントの疲れも見せずに白い歯でにこやかに笑いかけながら、会場準備をする一人一人に挨拶をされ、そのお人柄にいっぺんに惹きつけられました。20622334_1427912180624381_1115110840603628250_n

「アフリカを楽しむ子どもの本展」では、先日のワークショップでキラカさんが描いた絵も展示されていました。
ティンガティンガ派と呼ばれる画家チャウガンカから学んだという絵は、色も鮮やか。見たままを忠実に写生するのではなく、画家の頭の中で創造されたイメージで描いていく、画家のイメージで膨らませて描くのが、ティンガティンガ絵画の特徴なのだとか。

実際にはないデコレーションが盛り込まれています。キラカさんの描く絵はおはなしに合わせて描いているそうで、たとえば『ごちそうの木』でも動物たちが、今の子どもたちの生活に合わせて衣服を着ていたりと現代的です。

キラカさんが生活してた村では、大人たちは農業に狩猟、漁業などをして生計を立てています。子どもたちは自分で身近にあるもの(ビニール袋など)でボールを作って外遊びをしたり、木登りをしたり、バオと呼ばれるボードゲームをしたりして過ごします。
夜になると、キラカさんはおばあさんから昔話をたくさん聞いて過ごしたそうです。

どんどん生活が便利になってきて、家庭の中で昔話を聞くということが急速に減っていることに気がつき、キラカさんはタンザニアをはじめとして近隣のアフリカに伝わる再話するようになります。

今は、内戦などで両親を亡くした孤児たちが、自分自身でお話を作って、それを絵に描くプログラムを作り、支援しているそうです。そうした孤児たちが作った絵本が、スウェーデンで3つの言語(英語、スワヒリ語、スウェーデン語)で出版されているそうです。

直接、孤児を助けるのではなく、子どもたちが持っている才能を引き出し、彼らが自分の技術や才能で食べていけるような支援にしたいということでした。

講演の中では、アートンという出版社から出ていた絵本『いちばんのなかよし』(さくまゆみこ訳 現在絶版 アマゾンなどで古本は手に入ります)を、キラカさんが身振り手振りを加えながら、表情豊かに語ってくださいました。

その言葉の響きはとても面白かったです。『いちばんのなかよし』は、2005年にボローニャ国際児童図書店ニューホライズン部門でラガッツイ賞を受賞しています。どこかが再版してくれないかなぁ〜

講演の中では、カリンバの生演奏もありました。演奏者は普段は編集をしているというリキ佐藤さんでした。
この日は、前日まで涼しかったのに、蒸し暑く、サウナの中にいるようでしたが、子どもの本展にも、講演会にもたくさんの方が集まってくださいました。
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そうそう、この日の午前中にはクレヨンハウスにも寄ってきました。7月末の子どもの本研究会全国大会の記念講演で落合恵子さんが「クレヨンハウスではひまわりが満開です」っておっしゃっていた通り、満開のひまわりが迎えてくれました。
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新刊本のチェックをし、にしまきかやこさんの「わたしのワンピース」の原画を再び見て(教文館ウェンライトホールでの展覧会でも2回見ましたが♪)20620751_1427840450631554_5404466978983629996_n


13時に東京ウィメンズプラザに準備のために集合するので、その前に青山オーバルビル1FにあるFICO AND POMUM JUICEによって、スムージーでエナジーチャージしました。

20604312_1427840453964887_652066397510098102_nここのスムージー、すごく濃厚で、これだけでお腹いっぱいになりました。私が頼んだのは「アサイーソイ」でした。

おかげで、午後の子どもの本展の準備、そして講演会終了まで駆け抜けることができました♪

その後の文庫活動

6月は10日(土)に、7月は1日(土)と22日(土)に、そして8月は19日(土)に文庫を開催しました。細々とですが、なんとか順調に文庫活動を続けています。

20170610文庫といっても、充分なことが出来ているわけではありません。6月は両親の介護でばたばたとしてしまい、そのうえ3日と17日は、私が講師を務める連続絵本講座(C区Y図書館)、そして24日はB区の小学校での保護者向け講演会の仕事が入っていて、10日、1回きりの開催でした。

この日は、雨の絵本をたっぷり紹介しました。小学校1年生の女の子は、いつもはお母さんと来るのですが、この日はおばあちゃまと。おばあちゃまは絵本を読むのに慣IMG_6683れていなかったみたいで、私が、文庫にいる2時間ちかく何冊も何冊も求められるままに絵本を読んであげました。こんなにたっぷり絵本を読んであげたのも久しぶり。

長女が5歳の時に、敗血症になりかかって一晩中痛みに耐えながらも「お母さんが絵本を読んでくれたら我慢できる」というので、一晩で30冊以上読んであげた日のことを思い出しました。
20170701文庫2
7月1日は、世田谷美術館でのエリック・カール展にちなんで、文庫にあるエリック・カールの絵本を全部並べてみました。また、いつもの常連さんたちのほかに遠来の友(茅野在住のしっぽさん)も文庫に来てくれました。出張の翌日に、東陽町でバージニア・リー・バートン展を見た後に、我が家まで足を延ばしてくれました。
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ちょうどこの日がしっぽさんのお誕生日だったこともあって、共通の友人たちもお祝いに駆けつけて、文庫終了後にみんなでワインでお祝いもしました(おめでと〜〜〜♪)
20170701誕生日会
7月22日は、夏休みに入って最初の文庫の日。夏休みの読書感想文の課題はどれがいいかな〜と本を探す小学生の常連さん。いろいろ悩んで選んでいきました。

たくさんある本の中からお気に入りの1冊がみつかるといいな

20170819文庫8月は、イベントのお手伝いなどがあったので、19日1回のみの開催となりました。

終戦記念日はおわっていましたが、戦争と平和を考えるための本を何冊か用意しました。この日も常連さんたち、6組の方が午前、午後それぞれ来てくださいました。

松屋銀座で開催中の「おさるのジョージ展」に合わせて、「おさるのジョージ」絵本も並べてみました。
20170819文庫2
また、スープ作家の友人薫さんが、自宅の書架を整理して、お子さんと一緒に読んだという思い入れのある絵本などを寄贈するために、さいたまから車で訪ねてきてくださいました。文庫になかった本もたくさんありました。装備をし20170819薫さんの本て貸し出しが出来るようにしますね。
(←薫さんが届けてくださった本!数十冊)

さて、両親を広島に送って2階の和室が空きました。もともとはその部屋を文庫部屋にしようと床の間を絵本架にしていました。

1周年の10月に向けて、1階と2階の書架を見直し、1階は小さい子とママのコーナー、廊下はYA向け読み物コーナー、2階を幼児〜小学生向けの絵本の部屋にしたいなと思っています。まだ両親が置いていった古い家具が残っていたり、障子やふすま紙がくたびれています。

秋に向けて障子などの張替と、書架の移動をしたいなって思っています。といっても、秋も土日に図書館イベント(わらべうた講座や絵本講座)の依頼が入っていて、その間を縫って広島へも両親に会いに行くのでどこまで可能か・・・書架移動の時はまたSOSを友人たちにしなきゃいけないかな。

秋に向けて少しずつ設計して行こうと思っています。どうぞお楽しみに♪

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