みどりの緑陰日記

香港で始めたプレイルームどんぐりから数えて28年、子ども達に絵本や児童書を手渡し続けてきました。保育士養成の場で仕事をしたこともありますが、今は図書館にかかわる仕事をしています。絵本や児童書のこと、文庫活動のことなどを綴っています♪

2019年07月

バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』@子どもの本研究会

7月15日(月・海の日) 14:00〜@子どもの本の家ちゅりっぷ(我が家)


絵本研究会・ファンタジー研究会が2月24日に一旦最終回になった(最終回のブログ記事→こちら)あと、有志の方々が中心になって、学びの場を継続していこうと「子どもの本研究会」としてリニューアルし、6月から活動が再開しました。

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第1回目の6月の会は、残念ながら文庫活動と重なってしまって参加できなかったのです。
そして7月の第2回は私が担当することになったので、文庫のお披露目もかねて(文庫オープンは3年前ですが、研究会仲間には来る機会のない方もいたので)我が家で開催しました。


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そんなに広くないダイニングに家中から集めた椅子14脚をずらり。


朝から大掃除をして、椅子を並べてみなさんがいらっしゃるのを待ちました。






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今回のテーマは、私が決めてよいと言われ、悩んでいた時にお世話役の方に「たとえば一番好きな絵本って何かしら?」と聞かれて、咄嗟に答えたのがバージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』でした。


ちいさいおうち縦

記憶を辿れば、まだ4歳だったころに、岩波子どもの本の1冊として縦書き判型の『ちいさなおうち』を母に何度も何度も読んでもらったこと。


1954年に出版された岩波子どもの本の『ちいさいおうち』は、本来横書きのものを無理やり縦書きにするために逆版で作られていました。




今、手元には縦書きの『ちいさなおうち』はないのですが、ネットの情報からどんな文章だったかを知ることが出来ました。(→「青蓮亭日記」古道具屋「ロータス・ブルー」のブログ


そこでまずは石井桃子さんの翻訳についての比較をしてみました。


ちいさいおうち
ばーじにあ・りー・ばーとん
岩波書店
1965-12-16





ちいさいおうち (岩波の子どもの本)
バージニア・リー・バートン
岩波書店
1954-04-15






1965年に原作と同じ判型で出版された『ちいさいおうち』大型本と、1981年改版の岩波子どもの本『ちいさいおうち』

少しずつ訳が変っていて、タイポグラフィという文字の配置もそれぞれ変化していました。そのことをツイートすると、岩波書店児童書編集部の方から返信ツイートがありました。

曰く、「それぞれの版が異なっているのではないかと思います。大型絵本は2001年に石井桃子先生が訳文を見直して改訳決定版としていますが、その時に「岩波子どもの本」と訳文をそろえています。」(2019/7/11)


それを受けて、2012年出版の改版58刷の『ちいさいおうち』を図書館で借りてきて、4つの訳文を比べてみました。

石井桃子さんの翻訳については、竹内美紀さんの『石井桃子の翻訳はなぜ子どもをひきつけるのか』(ミネルヴァ書房 2014)が参考になりました。





その上で、自分が子ども時代に読んでもらった時の気持ちになって、もう一度『ちいさいおうち』を読み直してみました。
64814121_2339168429498747_2131414444473843712_nなぜ何度も母に「もう一回読んで!」とお願いしていたのか、何が幼かった私の心を惹きつけたのか・・・そう思うと、以下の5つの点が思い浮かびました。


1)ちいさいおうちの擬人化・・・窓がつぶらな瞳に見えて、自分の想いをちいさいおうちに重ねることができたこと
2)時間の経過がわかること・・・太陽の動き、月の満ち欠け、自然の変化、四季の移ろい、開発されていく町の変化など、絵を読むことでその変化を感じることができたこと
3)人々の暮らしがわかる・・・「大草原のちいさな家」のような、西部開拓時代のアメリカの暮らしが手に取るようにわかったり、親子の生活が描かれていて、家族の会話が聞こえて来そうだったこと
4)自己の再発見・・・誰からも顧みられなくなっても、いつかまた見出してもらえるという希望を感じたこと
5)回復・・・そしてふたたび初めにあったのと同じ場所へ戻っていくちいさいおうちの姿を見て、安心感を感じたこと


あの時代に、行き過ぎた開発による公害問題などにも言及しているこの作品は、親になって再び出会って、多くの示唆に富んでいるものだと驚嘆したものでしたが、子ども時代はそうした背景にはあまり意識せずに、ただただちいさいおうちになりきって、安心していたんだなあと思います。

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そんなことに加えて、バージニア・リー・バートンが生きた時代などについても、昨年の「バージニア・リー・バートン展」の図録や、伝記などを用いて1時間ほどお話ししました。




ヴァージニア・リー・バートンの世界: 『ちいさいおうち』『せいめいのれきし』の作者
小学館
2018-03-14







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そのあとは、ティータイム。14人が最近気になっている子どもの本について話したり、今やっている活動について報告したり・・・


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そのどれもが、興味深いものばかりでした。


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みなさんが持ち寄ったお菓子もどれも美味しくて




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あっという間に17時になってしまったほど、楽しい時間となりました。

遠くまで足を運んでくださったみなさま、ありがとうございました。





7月の文庫にて…

7月13日(土)10:00〜16:00

7月は後半に入院することになっていたので、7月の文庫活動は13日の1回限り。
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この日の午前中には、大事なお客様が3名いらしてくださいました。


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雑誌「日本児童文学2019年7・8月号」の特集「感動物語の罠」に、「「母」を葬るために―のぶみ『ママがおばけになっちゃった!』を読む」という論文を書かれた藤木さんと、絵本学会でジェンダーの視点で絵本の研究をされている宮下さん、お二人は研究者で大学の教員をされています。そして日本児童文学者協会事務局の野澤さん。

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藤木さんが、この論文を書かれる際に私のブログ記事やそこに書き込まれたコメントなどを読んで参考にしてくださったというのです。

それはこちらの記事(→再び、違和感のある絵本を問う)です。




『ママがおばけになっちゃった!』は夫が亡くなった直後に出版された絵本で、小さな子ども向けの絵本としては「親の死」をあまりにも軽視していて許しがたかったので、すごい勢いで書いた記事でした。

その後、のぶみ氏は何度も炎上していてダイヤモンドオンラインの記事では、私もインタビューに答えました。(→こちら



藤木さんは、彼の作品の持つ問題点を「感傷の前景化が隠蔽するもの」として、丁寧に分析されているので、ぜひこの論考を多くの人に読んでほしいなと思います。


秋に、この論考をもとに2つのイベントを藤木さんと一緒に開催することになり、この日は一緒にコメンテーターになってくださるという宮下さんと共に打合せをしました。日程など、詳細が決まったら、SNSでも大々的に告知したいと思っています。どうぞお楽しみに!


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この時期、東京は記録的な長雨と梅雨寒でした。それでも、文庫では夏の絵本を集めて展示。

早く夏空、戻ってこないかな〜という気持ちをこめて・・・





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新刊本も展示・・・



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なかなか迫力があるのが『ヒキガエルがいく』(パク・ジョンチェ/作 広松由希子/訳 岩波書店)




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そして画伯降臨^^ホワイトボードいっぱいに思いっきり描いてくれる常連のKくん。この思いっきりっていうところがすごく大事。



次の文庫開催は、8月17日(土)に開催します。(8月も1回のみの開催です)

初めての歌舞伎…歌舞伎教室へ

7月6日(土) 11:00〜 @国立劇場

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絵本友達のたかりょんにお誘いいただいて、絵本友達4人で歌舞伎を見て来ました。(←画像は、半蔵門駅のタイル壁画)

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恥ずかしながら、劇場で歌舞伎を見るのは、実は初めてです。


母方の祖母が歌舞伎好きで、祖母のうちへいくと、TVの歌舞伎中継を一緒に観ていたのですが、私自身は劇場で見たことはなかったのです。




両親を東京に呼び寄せていた期間に、ふたりを一度歌舞伎観劇に連れて行きたいと思っていたのに、これも実現できないままでした。


今回、お誘いいただいたのは「歌舞伎鑑賞教室」、これは公式サイトによると「国立劇場では、主としIMG_7342て若い世代の皆様に日本の伝統芸能に親しんでいただくことを目的として、文化庁・地方公共団体等のご支援のもと、毎年、歌舞伎・文楽鑑賞教室を上演しています。開場翌年の1967年(昭和42年)の開始以来、学生・生徒をはじめとする多くの方に鑑賞していただき、これまでの累計入場者数は650万人を超えています。」と、書かれていてこの日も前庭には多くの修学旅行生がたくさんいました。

また、イヤフォンガイドを使えば英語で詳しい解説を聞けるので(→こちら)多くの外国人観光客や、留学生の団体客もたくさんでした。

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演目は、「菅原伝授手習鑑―車引き―」と「棒しばり」(→公式サイト)でした。






実演の前に、歌舞伎教室が行われ、歌舞伎の歴史や、舞台の設え、鑑賞の仕方、隈取の意味など詳しく教えていただけました。これは若い世代や、海外の方々にとっては嬉しいことですよね。

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そして、本来劇場内は撮影禁止なのですが、教室の最後の1分間だけの撮影タイム。「#歌舞伎みたよ」で呟いてね!SNS発信してね!ということ♪


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←右上に、撮影可能な残り時間が表示されてました^^

一斉に、会場中が沸き立ってスマホで写メっていました。



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歌舞伎のゆったりなリズム、大仰なせりふ回し、立ち回り、どれも見どころのある演目でした。


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この日は朝から夏の着物を着てお出かけしました。4人で一緒に記念撮影〜




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鑑賞後は有楽町に移動して遅めのランチをとり、みんなで銀座教文館ナルニア国へ。
モンゴルからご夫妻で来日し、たくさんの絵本を作っていらっしゃるイチンノロブ・ガンバートルさんと、バーサンスレン・ボロルマーの『トヤのひっこし』原画展を見て、解散しました。




6月〜7月、駆け抜けました

7月28日(日)

私事ですが・・・って、私のブログだから当たり前ですね

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7月22日から甲状腺癌全摘出手術のために入院していました。

24日に手術し、その後経過も順調で、本日午前中に退院しました。




当初、診断された左葉の直径1センチ強の悪性腫瘍以外にも、中心部にも右葉にも悪性腫瘍が出来ていて、しかも裏側の筋肉にも浸潤していたとのこと。周囲のリンパ節への転移もあって、その辺りをすべて郭清したと、主治医の説明を受けています。(告知された時のブログ記事→こちら


術後1週間は、退院後も自宅で安静にしている予定です。そんなわけで10日以上、仕事を休む予定で、そのために6月、7月は仕事がとても忙しく過ごしました。


外部からの講演の依頼なども、入院前に終わらせておこうというわけです。



6月は8日に千代田区で「パパのための絵本講座」(→こちら62456872_2373189306335342_5152847521151713280_n
12日は江戸川区でわらべうた講座・・・



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そして24日、25日は足立区での「読み語り講座基本編」(連続2回)。
1日目は、絵本を読む意味、ボランティアをする姿勢について、2日目は発達段階に合わせた選書についてお話ししました。




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28日は北区で小学校などで読み聞かせのボランティア活動をしているグループの研修でした。



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そして、7月4日(木)には、友人で東洋大学准教授の竹内美紀さんが受け持つ司書教諭課程の授業で2コマ、ゲストスピーカーを務めさせていただきました。


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自分の息子たちより若い子達に、「読書ってほんとうに必要か」考える時間を持ってほしいと思って組み立てた授業でした。

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グループディスカッションも取り入れてみましたが、活発な意見の交換も行われていました。

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私も、学生たちの疑問に答えられるように先行研究をいくつか準備し、データを示すことができるように準備しました。



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「読書」って、本来は個人的な嗜好で、誰かに強制されてするものではない。ただ、学校での読書は、単に文学作品を読むことだけではなく、さまざまな分野の学びをバックアップし、知りたいことを文献を使って調べるということも含まれることを伝えました。


そして今、本を読むという環境が減ってきている中で、学校図書館がどのような役割を担うべきなのか、そこで働く学校司書の仕事の内容、そして学校司書と教師を仲立ちし、教育カリキュラムの中に「読書」を位置づける司書教諭の役割についても、言及しました。


最後に、「学童期にどんな本と出合うべきか」という視点で、『ゲド戦記』についての話もしました。

4限目、5限目で疲れが達する時間にも関わらず、学生のみなさんが集中して聞いてくれて、とても嬉しかったです。


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東洋大学正門近くのイタリアンで、お疲れ様会を美紀さんにしていただいたのですが、この日はとっても蒸し暑かったこともあって、ワインではなくイタリアンビール、モレッティをいただきました♪

これがまた、ほんとうに爽やかで美味しかったのです。


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こうした外部での仕事以外にも、10日間のお休みをいただくために、いろいろ段取りしておくべき仕事がありました。仕事で作成しているサイト「本のこまど」の更新準備など、ギリギリまで忙しかったのですが、それも何とかこなしての療養生活です。



あと数日、家でのんびりしながらも、仕事の準備もしていこうと思います。

妖怪の絵本いろいろ

6月29日(土) 13:00〜 @あーちゃんハウス

小雨がしとしと降っていましたが、えいや〜と自転車で西新宿高層ビルのちょい手前、住所では渋谷区本町(このあたり、新宿と中野と渋谷の3つの区境です)にあるあーちゃんハウスまで行ってきました。


3月16日以来の、「かたりba絵本」の会でした。夏に入る前だからと、みんなで決めたテーマは「妖怪」


私は、赤羽末吉の『ひょうたんめん』と、イギリス昔話『いたずらおばけ』を持参。

ひょうたんめん
神沢 利子
復刊ドットコム
2017-11-25












あとになって、『めっきらもっきら どおんどん』を持っていけばよかった〜と、取りこぼしたことを反省〜


めっきらもっきら どおんどん (こどものとも傑作集)
長谷川 摂子
福音館書店
1990-03-15


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みなさんが紹介してくださった絵本は、どれも知らなかったものばかり。


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妖怪・・・といえども、子どもの本はどこかユーモアもあって怖くはないけれど



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それでも子どもたちが、「怖い本読んで〜」とリクエストしてくる、その想いについても考えてみました。



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子どもって、生まれてまだ数年〜10年ちょっと。
胎児を生と死との間をさまよう存在だと考えて、そこに近いからこそ、怖いもの見たさに、向こうの世界を見たくなるのかな・・・


ゾッとすることで、体温を下げる働きがあるって、なにかの番組で見たような・・・


今年の夏は、そもそも梅雨寒が長くて、ゾッとしたいと思わないほどですが、それでもあちこちの図書館で「怖いおはなし会」が計画されているとのこと。


そこでどんな絵本が読まれるか、あちこち探ってみたくなりました。
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さて、かたりba絵本の会の楽しみは、主宰のあーちゃんがテーマにちなんだお菓子を提供してくださること。会費がほぼお菓子代になって、会場費が無くなっちゃうのではと思うほど。
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今回のケーキは、妖怪というよりは、爽やかフルーツのケーキでした。

当初、トトロのシュークリームの予定が、食べてみたらシューが固くて、取りやめて、夏らしい爽やかな果物でセレクトしたそうです。



私が選んだのはマンゴーパフェ生のマンゴーたっぷりでした。

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お隣さんの選んだチェリーパフェも見た目も可愛らしくて、美味しそうでした。






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