8月4日(木) 

うらわ美術館で8月31日まで開催中の「ブラティスラヴァ世界絵本原画展―世界の絵本がやってきた」と、板橋区立美術館で8月14日まで開催されていた「2011イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」に行ってきました。 

まずはうらわ美術館での「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」での圧巻は、2009年に金牌を取った日本の絵本『ぼくがうまれた音』近藤等則・文/智内兄助・絵 福音館書店の原画。その立体的で力強い作品は平 面になって印刷された絵本からはうかがい知ることができないほどの迫力があります。一見の価値があり!お近くの方、ぜひお時間を見つけてご覧になってくださいね〜

ぼくがうまれた音 (日本傑作絵本シリーズ)ぼくがうまれた音 (日本傑作絵本シリーズ)
著者:近藤 等則
販売元:福音館書店
(2007-03-01)





ブラティスラヴァはスロヴァキア共和国の首都。そこで1967年以降、2年に1度おこわなわれる世界最大規模の絵本原画展で2009年が22回目。その時に受賞した作品の巡回展です。

公式サイトによると「世界各国から国内選考を経て出品された原画が一堂に展示され、4日間にわたる国際審査により賞が決まります。またこの絵本原画展は、絵本としてすでに出版されていることが参加条件となっているため、世界各国の個性豊かなベテラン作家の競演を楽しむ機会となっています。本展では2009年展のグランプリをはじめとする受賞者11名と8名の日本人作家の原画作品、そして同展出品の各国の絵本を展示します。」と、あるように、どの原画もすでに絵本になって出版されており、それぞれの作品を会場で1冊1冊手にとって、ゆっくり読むことができるのです。

日本の作家の作品では・・・
ほなまた (わくわくたべものおはなしえほん)ほなまた (わくわくたべものおはなしえほん)
著者:こしだ ミカ
販売元:農山漁村文化協会
(2008-04)




『ほなまた』が一番印象的でした。秋に山にキノコ狩りに来たおじいちゃんと孫のやりとり。自然の恵みをいただきながらも、取り過ぎない。他の動物たちのことも考え「食べるぶんだけ」と、慎み深い。そんな営みを力強いタッチの絵で活き活きと描き出していました。

去年、西内ミナミさんと一緒に多古町へ行った時に、帰りの電車の中でプレゼントしていただいた絵本『とんがとぴんがのプレゼント』スズキコージ画も、原画は圧倒的でした。
とんがとぴんがのプレゼント (日本傑作絵本シリーズ)とんがとぴんがのプレゼント (日本傑作絵本シリーズ)
著者:西内 ミナミ
販売元:福音館書店
(2008-10-01)





スズキコージさんらしい自由な発想で、画面いっぱいに描き込んであるのですが、とにかく賑やかで楽しいのです。

高畠純さんの『どうするどうするあなのなか』も縦長で、おとぼけな5匹のやりとりが楽しい絵本でした。
どうする どうする あなのなか(日本傑作絵本シリーズ)どうする どうする あなのなか(日本傑作絵本シリーズ)
著者:きむら ゆういち
販売元:福音館書店
(2008-06-19)





その他には、荒井良二さんの『えほんのこども』、ささめやゆきさんの『だんまり』、あべ弘士さんの『ねこのおいしゃさん』、つかさおさむさんの『おばあのものがたり』、山口マオさんの『わにわにのおでかけ』の原画に出会うことができます。
えほんのこども (講談社の創作絵本)
えほんのこども (講談社の創作絵本)

だんまり
だんまり

ねこのおいしゃさん (ケロちゃんえほん)
ねこのおいしゃさん (ケロちゃんえほん)

おばあのものがたり
おばあのものがたり

わにわにのおでかけ (幼児絵本シリーズ)
わにわにのおでかけ (幼児絵本シリーズ)

海外の作品では、ヨースタイン・ゴルデルの『カエルの城』の細密な絵・・・絵をよく見ると色んなところに葉っぱが貼りつけてあって♪
カエルの城カエルの城
著者:ヨースタイン ゴルデル
販売元:日本放送出版協会
(1998-11)





他の海外の作品は、残念ながら日本で翻訳出版されていないのですが、どれも面白い絵本たちばかりでした。

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美術館を出ると浦和の街はスコール。激しく降る雨をついて駅に戻り、板橋区立美術館へ。
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板橋美術館は、これで「ボローニャ絵本原画展」に来るのは5回目なのですがとにかく不便なところにあるのですよね。

東武東上線の成増駅からバスで15分くらいでしょうか。
→の、美術館横の幟には「不便でゴメン×_×」とあるほど!

板橋区立美術館でのボローニャ国際絵本原画展は1981年より毎年開催されているので、何と今年で31回目。

こちらの原画展は、ブラティスラヴァ絵本原画展と違って、絵本になる前の作品を出品できるのです。イラストレーターやグラフィックデザイナーが子ども向けの作品を5枚一組にすれば、誰でも出品ができます。まだ絵本作家としてデビューをしていない作品も多く含まれ、ここで才能を見いだされて、その後いろいろな国の出版社からオファーを受けて絵本を出版する機会を得ることも多く、絵本作家への登竜門として位置づけられています。

ここ10年位の傾向は、とてもグラフィカルな作品が多いということ。その辺りが、ブラティスラヴァ絵本原画展と作品の傾向の違いを感じさせます。

まっくろくろのおばけちゃんのぼうけんまっくろくろのおばけちゃんのぼうけん
著者:デヴィッド カリ
販売元:岩崎書店
(2010-08-24)





『まくろくろのおばけちゃんのぼうけん」を描いたフィリップ・ジョルダーノの特別展示では、彼の新作『かぐや姫』の原画が展示されていたのですが、その絵はまるで映画『千と千尋の神隠し』に出てくる八百万の妖怪たちみたいで、日本の古典がこのように解釈され、描かれることに不思議な感覚を覚えました。
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『くっついた』などの赤ちゃん絵本で、今とても注目されている三浦太郎さんも、絵本作家になるきっかけは、ボローニャ絵本原画展だったと、クレヨンハウスの「子どもの本の学校」でおはなししてくださいました。→その時の記事はこちら

また先日の国際子ども図書館での「いま、子どものほんは?オランダ・ベルギーの本」講演会では、ボローニャ絵本原画展が絵本作家デビューし、絵本を売る為に、とても大切な機会になっていることを、ベルギーの絵本作家キティ・クローザーさんのお話から伺ったところでした。

2011年は世界58カ国の2836人ものイラストレーターからの応募があり、日本人19人(組)を含む76人(組)の作家が入選しています。その入選全作品が展示されており、絵本の新しい潮流を垣間見ることが出来ました。

110804_164534110804_164545美術館を出たのは、4時半過ぎ。

板橋も雨が降った後でした。

前庭の彫像の前に一匹の茶とらネコが♪
近づいても逃げず・・・思わず近寄って写真撮りました!