8月15日 午後

国立新美術館で9月5日まで開催中の「ワシントン ナショナル・ギャラリー展」に行ってきました。 お盆休みの真っ盛り。会場は予想通り混んでいましたが・・・こちらもゆっくりできる時間ががあるので、時間をかけて83点の絵を鑑賞し尽くしてきました110815_144758(実はこの日の夕食は娘達が作ってくれることになっていて急いで帰宅する必要がなかったのです(*'-'*)

日本にも明治から大正時代の富豪のコレクションを展示した私立美術館はたくさんあるのですが・・・〈私が中でも好きなのは根津美術館、出光美術館、サントリー美術館、山種美術館、松岡美術館、静嘉堂文庫美術館などなど〉・・・ワシントンナショナル・ギャラリーは、19世紀末から20世紀にかけて銀行家、実業家として財を成し、合衆国財務長官、イギリス大使を歴任したアンドリュー・メロンが生涯をかけて収集したコレクションと美術館設立のための資金を連邦政府に寄贈して、建てられた美術館なのです。
鉄道パンフ

そういえば、家族が住むL.A.郊外のPasadenaにある、ノートン・サイモン美術館は、まさにそんな私立美術館で、しっかり名まえが冠されていますが、アンドリュー・メロンは、寄贈の条件に美術館に自分の名前を冠さないことを申し出、自分の志に賛同した人からの寄贈を受け付けること、ただし寄贈を受ける基準は自分のコレクションのレベルを維持することであったということ。

ワシントンナショナル・ギャラリーが所蔵する12世紀から現代に至るまでの西洋美術コレクション約12万点は、すべてアンドリュー・メロンとその志に賛同した一般市民から国への寄贈によるものだけというのが、驚きです。

図録の巻頭には「アメリカ国民が創った奇跡のコレクション」と記されていますが、今年70周年を迎え大規模改修をするために、印象派・ポスト印象派の傑作から84点も貸出が可能になったという、今回の「ワシントンナショナル・ギャラリー展」は類稀なる美術展なのです。

特にクールベやコローらバルビゾン派や写実主義を導入部とし、印象派の先駆者といわれるブーダンやマネを経て、モネ、ルノワール、ピサロ、ドガ、カサットら印象派に至り、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラらのポスト印象派らの傑作の数々。ナショナル・ギャラリーの心臓部といえる作品群、しかも美術館の顔といえる常設作品を今回9点も貸し出している。今まで5点以上同時に貸し出すことがなかったというのですから・・・それだけでも「これを見ずに、印象派は語れない」とは、まさに一堂に見る機会は、ワシントンDCに行かない限り無いチャンス。時間が取れれば、もう一度行きたいくらいです(*゚▽゚*)

「1印象派登場まで」のコーナーで目がとまったのは、ジャン=バティスト=カミーユ・コローの《うなぎを獲る人々》、ギュスターヴ・クールベ《ルー川の洞窟》、そしてアンリ・ファンタン=ラトゥールの《皿の上の3つの桃》でした。
うなぎを獲る人々
ルー川の洞窟
皿の上の3つの桃
「2印象派」のコーナーでは、クロード・モネの《ヴィトゥイユの画家の庭》、そしてピエール=オーギュスト・ルノワールの《踊り子》。

「3紙の上の印象派」では、油彩画ではなく素描、パステル画、エッチングやリトグラフ、水彩画などの作品が展示されていて、これもまた新鮮な驚きでした。

特にメアリー・カサットの作品群は、日本の浮世絵に感動した彼女が試みた多色刷りの版画。《浴女》、《入浴》、《果物狩り》は、構図といい色使いといい、浮世絵と対比してみても面白い作品群でした。

「4ポスト印象派以降」では、やはりフィンセント・ファン・ゴッホに目が行きました。
パンフレットにもなっているゴッホの《自画像》、そしてゴッホの最後の作品になるのだろうか、《薔薇》は見るものを惹きつける力がありました。1890年5月、ゴッホはこの白い薔薇を描いた後にサン=レミを発ちオーヴェル=シュル=オワーズの新しい住まいに引っ越す時には、絵の具が乾かずこの作品をサン=レミのアトリエに残してきたのだという・・・それが乾いて新しい住まいに届いたのが6月末。その絵が届いたちょうど1カ月後にゴッホは自ら命を絶ったというのですから。
ゴッホパンフ
ゴッホが1889年5月に度重なる鬱状態と、突飛な行動の末、自分の左耳を切り取るという事件を起こしてアルルを離れて1年。プロヴァンスにあるサン=レミでの約1年は自信を取り戻し、白い薔薇の花のかぐわしい香りが画面いっぱいにあふれるかのように描ききっているこの1枚は図録によると、「むしろ薔薇は、春のもたらす肥沃とよろこびに溢れる自然の目覚めに対する賛美以外のなにものでもなく、フィンセントの満足した精神状態をそのままあらわしたもののようにみえる。画家の溢れんばかりの喜びは、その色彩の配置と筆づかいのうちにもあきらかである。」

それなのに、これを最後の1枚にしてしまった天才画家の想い・・・たった10年という画家としての活躍期間を思い・・・しばらくその絵の前で逡巡したのでした。

bara

さて、ゆっくりと絵を堪能した後は、twitter大人絵本会の皆さんの間で話題になっているウェスト青山ガーデンのホットケーキを!と、今回初めて乃木坂経由で国立新美術館に訪れ、帰りも乃木坂の駅の近くのウェスト青山ガーデンへ。

110815_171505「ぐりとぐら」をテーマにした大人絵本会以来、ずっと話題になり続けている、美味しく焼けたホットケーキを、こちらも堪能してきました。フレッシュハーブティーも爽やかで、展覧会の余韻を楽しみながら図録を手にして、ゆったりとアフタヌーンティーを楽しんできました。