5月12日(日) 午前

10日の夕方から学生時代を過ごした福岡へ・・・5年ぶりの恩師との再会・・・
時系列からいくと、12日(日)の武雄図書館訪問の前に書きたいこと、いっぱいあるんだけど、先に武雄図書館訪問記を書き残します。

私が行くって伝えたら、多くの人が「感想を聞かせて!」って、反応があり、期待して待っている人がいるでしょうから、先に武雄図書館のこと、書き記します。


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image (83)日曜日の朝、博多駅8時34分発特急みどり3号に乗って武雄温泉駅へ。切符は大野城に住む友人Rさんが、同行する友人Yさんの分と一緒に取ってくれていました。

特急みどりはのどかな田園地帯を走って1時間6分ほどで武雄温泉駅へ。大学2年生の時に一緒にルームシェアしていた友人が、武雄の出身で学生時代遊びに行ったことのある場所ですが、なんといってもあれから30年、駅もすっかり変わってしまい、 こんなんだったっけ?という印象。30年前の武雄温泉駅はもう少し活気があって駅前のお店も賑わっていたような・・・

image (71)駅は自動改札ではなく、それだけで田舎に来たな〜という印象。駅前にもバス停などの公共交通機関はなく、タクシーが一台停まっているだけ。

30年前の駅前のイメージとずいぶん違っています。image (72)すっかり人が居なくなってしまったような感じがしました。

事前での下調べでは図書館まで歩いても15分ほど。ただ地理勘がないのでタクシーで武雄図書館へ。

駅から図書館までの道は、広いけれど日曜日の午前中人っ子一人いない。う〜ん。武雄ってこんなに人いなかったっけ?30年前の印象とはかなり違っていることに戸惑いつつ、ほんの5分ほどで武雄図書館へ。タクシー代基本料金650円也。

image (73)ネットや代官山蔦屋書店で購入した本で見ていた図書館の外観は、想像していた以上に美しく、周りの自然と溶け込んでいました。

玄関前で、案内をしてくださるという教育委員会のNさんにご挨拶をして中へ。(館内は撮影禁止でした。ここで載せている画像はネット上で公開されていたニュース映像です)

中に入ってまず圧倒されるのが、吹き抜け2階の天井まで聳える書架。武雄図書館1
そして、図書館に来たというよりは、六本木など都内の大型書店に来た印象が・・・

というのも、図書館に入ってすぐは蔦屋書店の目的外使用のスペース。平積みの書籍や雑誌が積まれた販売スペース(マガジンストリート)とスタバでくつろいでいる方々が目に飛び込んでくるのです。カウンターは入り口近くにはなく自動貸し出し機があるのみ。1か月以上たって市民はその使用方法に慣れて来たのか?自動貸し出し機近くには図書館スタッフはいませんでした。

わが社が受託する図書館では、カウンターは図書館の入り口近くにあり、入館する人たちに声をかけ、さりげなく利用者のニーズをはかったりするのですが、そういう声かけはなく、スタバスタッフの声がこだまするのみ。
スタバ周辺にはBGMも流れていました。う〜〜ん。図書館というよりは、お洒落なブックカフェのイメージ。

もちろん直前に立ち寄った代官山蔦屋書店とは、全然違う印象。それは、スタッフの絶対的な数。代官山蔦屋書店ではカウンターごとにコンシェルジュが複数いて、気軽に声をかけることができたし、商品である本やCDについて丁寧な解説を受けることができたこと。
書架をずっとNさんに案内していただいたのですが、フロアーワークをしているスタッフさんを見かけることはなかったのです。そのせいか、これはNさんにも直接お伝えしましたが、書架の乱れがひどい。う〜〜〜〜ん、書架がこんなに乱れてしまっているのは、図書館としては致命的なのではないかしら?児童書コーナーでは、まったく違う分類の本が別の場所に入っていました。
Nさんいわく、4月は想定以上の来館者や外部からの見学者、メディア取材があって、書架整理まで正直言って手が回ってないとのこと。また休館日も館内整理日もないので、集中的に書架整理する時間も取れていないのだそうです。

武雄図書館では分館がないので、他館への配送がないのかもしれないけれど、この書架の状態では、リクエストの本をすぐに見つけることはかなり困難なのではと思ってしまいました。もちろんICタグで管理されているということなので、館内にあるかどうかはわかると思うのですが・・・違う場所に混配された場合でもICタグでその本を見つけることができるのか、それを質問しそびれてしまいました。

1階の手前のスペースの半分近くが、いわゆる武雄市とCCCとが「目的外使用」の契約をしたスペース。ここでの本の売り上げ、スタバの売り上げによって、CCCが投入した図書館改装費等の回収をするということは、明確に公表されているので、それが新しい図書館経営の形であることも理解できるのですが、どうしても「図書館に来た」というよりは、蔦屋書店に来たという感じしかしなかったのが正直な気持ち。

ただ、人口5万の地方の町にとって、六本木か代官山かというようなお洒落な空間は魅力的でしょう。田舎に居ながらにして都会の風を感じることができる。たとえば直営図書館時代には107タイトルだった雑誌が、600タイトルの雑誌を手に取ることができる・・・といっても、それは売り物としてなのですが。
それでも、地方にいたら絶対に知ることのできなかった情報にアクセスすることができる・・・市内の書店では600もの雑誌を置くことができなかったでしょうから、目に飛び込んでくる雑誌販売スペースの煌びやかさには目を見張ります。

さて、日曜日の午前中、1時間弱書架を案内してもらっている間にフロアーワークしているスタッフをほとんど見かけなかった・・・どこにいるかというと、1階中ほど奥、2階へあがる階段の手前のカウンターに数名、入り口入ってすぐ左手の利用者カード作成デスクに2名。
あとはスタバのスタッフと雑誌販売コーナーにいたスタッフでした。そのスタッフの方々が同じユニフォームで仕事をしているので、たとえば図書館の本について尋ねる場合、誰に声をかけていいか、少し迷ってしまいそうです。

児童コーナーにレファレンスカウンターはあるのですが、スタッフはおらず返却された本がカウンター脇のブックトラックに積みあがっていました。

児童書コーナーは図書館の一番奥にあります。靴を脱いでくつろげるスペースの周りに絵本が置いてあり、おはなし会などは衝立をたててそこで行われているとのこと。しかし、すぐ手前までマガジンストリートとカフェでくつろぐ人たちのざわめく声が・・・できればおはなし会は、子どもたちにそのような喧騒からまったく切り離して、おはなしの世界に集中できるようにしてほしいと思いました。ボランティアの方々が毎週おはなし会を開いているとのことですが、子どもたちが集中できる環境では残念ながらありませんでした。

児童書の蔵書構成を中心に書架を見て回ったのですが、児童の基本図書と呼ばれるロングセラーはきちんと揃っていました。ただ調べ学習に使える知識の本が、それに比べると少ないと思いました。「20万冊の知に出会える場所」という武雄図書館の9つのコンセプトうちの一番目。それをほんとうに実現させるためには、子どもたちが、知りたいと思うことをすぐに調べることのできるレファレンスブックおよび知識の本をもう少し手厚く揃えてほしいと思いました。

その一方で斬新な書架設計には目を見張りました。NDCに囚われない分類で、マガジンストリートに面した書架武雄図書館3に物販用の本を並べ、その書架を一辺とする箱型に並べた書架の、他の三辺と箱の内側には同じ分野の図書館の蔵書を並べる。箱の内側に出たり、入ったり、そのたびにどんな本に出会えるのか、少しわくわくします。

その斬新な書架配置は、面白いとは思うのですが、図書館司書としてはスタッフからの死角が出来てしまうのではないか?という危惧も感じました。

それは2階に案内していただいたときに、払しょくされるのですが・・・箱型書架は天井がなく、そのまま吹き抜けになっており、2階の1階に面したところが、ずっとキャレル席になっており、そこからは丸見えだからです。

ニュースの画像などでみる大きな吹き抜けのあるスペースは、スタバのBGMや、カフェでくつろいでおしゃべりする人たちのざわめきの聞こえる、いわゆる「賑やかな図書館」です。Nさんの説明では、カフェやその周辺の閲覧席では、飲み物片手に本を読むだけでなく、午前中はご婦人たちが会合をしていたり、夕方以降は勤務帰りの男性たちが集まって話をしていたり、とコミュニティを形成しているとのこと。過疎化に悩む町にとっては、昼間、あるいは夜に市民が集まることができるスペースがある。しかも安心して。その横には「20万冊の知」。「人の交流が活発になった」とNさんもおっしゃったように、活気が生まれているという利点はあるようです。

その一方で以前閉架書庫だった1階奥のスペースと、2階の奥のスペースは、BGMも届かない、本来の図書館のような静寂な部分もきちんと確保されていました。2階の学習室にはレファレンスツールや学習参考書が置かれていて、大勢の高校生が勉強をしていました。今まで図書館に足を運ばなかった子たちも図書館に足を運んでいる・・・まずはここから始まるといってもいいでしょう。
市民の利用率をあげていく、そういう意味では話題性の高い図書館は成功しているといえます。

5月1日には入館者数10万人越え。昨年の4月1か月間の利用者の5倍。貸出冊数は2.2倍。ここの差は、市外・県外からの見学者が多いということを示しているのでしょう。1年後にどれくらいの来館者がいるか、その時にならないと真価は計れないのかもしれません。また学校支援やブックスタートなど児童サービス業務はそのままCCCのスタッフに引き継がれているとのことですが、館内で見る限り、児童サービスが具体的にどう行われているか、具体的には見えてきていないので(絵本作家など外部から講師を読んでの子ども向けイベントは行われているようですがルーティンでの地道な活動が児童サービスには何よりも大切)、そこは館内が落ち着いてから、スタッフがどのように動いていくのか、ぜひもう一度訪れて確認してみたいと思いました。

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スタバの飲み物をもって、外のテラス席へ・・・というのが人気なのか、どこも満席。
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武雄図書館の前にはひっきりなしに車が・・・


image (80)駐車場は満杯。この駐車場の奥にもうひとつ駐車場がありますが、そっちも満杯でした。
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→その一方で武雄温泉駅前の目抜き通りは、道のど真ん中まで行って写真が撮れるほど、車さえ来ない・・・
この差はなんだろう。そのこともきちんと考えていく必要があるのかもしれません。
報告その1終わり♪