6月16日、17日 @鹿児島・指宿ベイテラスHOTEL&SPA 図書館問題研究会第60回全国大会

「50年後に楽しみを得たければ  木を植えよ!
100年後に楽しみを得たければ  人を育てよ!」
「教育は100年の計」
そういう理念のもと、武雄市文化施設群構想が出来、「文化の森ゾーン」に美しい図書館が建てられたのは2000年10月のこと。図書館の設計では実績のある建築事務所・佐藤総合計画が設計し、当時の佐賀県快適建築賞・特別賞を受賞したのでした。

御船山を臨み、武雄神社の参道を中心に、鍋島家の屋敷跡を文化の森ゾーンとして文化会館と図書館・歴史資料館が配されて、自然にも歴史にも考慮され計算されつくしており、子どもたちの気づきと学びが十分に保障された場所に、美しい図書館が建てられたのでした。

北側採光で、一部スリットから自然光が天井から入り、人工的な照明を使わない明るく広々とした空間。

バリアフリーなフラットで広い館内。そしてもちろん、玄関を入ってすぐのところに児童のコーナーがあり、近くにある大楠の木の祠を模したおはなしの部屋もちゃんとあったのです。

しかもおはなしの部屋の隣には、子ども用のトイレと授乳室も!
takeo-old7
← 以前の武雄図書館の見取り図です。
 左下の黄色のゾーンが児童コーナーでした。《クリックすると大きくなります)

図書館入ってすぐの・・・カウンターからも近くて目が届く場所に・・・





takeo-old6takeo-old5ベビーカーでゆったりと回れる明るい児童室

子どもが座ってゆっくり本が読めるスペースが保障されていました。布の絵本なども置いてありました。



なによりもおはなしの部屋は落ち着いて、子どもたちがおはなしの世界に集中できるように、細心の注意を払って設計された素敵な場所だったそうです。

takeo-old4
理想的な空間です・・・

そしてこのおはなし会の部屋を出てすぐのところに子ども専用の小さな便器が並んだトイレと、授乳室があり、子連れて図書館に来て、母子が安心して本を選び、おはなしを楽しみ、赤ちゃんもゆったりと過ごせたのです・・・

takeo4
それなのに・・・これらはすべて壊されてしまいました。昨年の秋以降の改装工事で・・・


私はこの5月に武雄図書館に行ってきました。その時の感想はこんな風に書いています。→武雄図書館訪問記2

この記事の中で・・・疑問点として

********************

・児童書コーナーと、物販コーナーの区別がつきにくい
児童書コーナーに行くためには、マガジンストリートを抜けなければいけない。絵本の書架のすぐ近くに販売用の絵本の平置き台があり、は絵本キャラクターの人形等が置かれている。小さな子どもたちにとっては、貸出用の本なのか、販売用の本なのか、区別がつきにくい。またおはなし会スペースは、壁などがないために、カフェのざわめきが直接伝わり、非常に集中しにくい。
武雄図書館4児童サービスコーナーの高書架は展示スペースだということだか、子どもの目線からは高すぎて、展示にはなってない。子どもは目の高さにあって、手に取れることが大事。
もし本当に児童サービスのことがわかっているのであれば、図書館を入ってすぐ左の蘭学館を児童サービスのスペースにする、あるいは入り口からまっすぐ進んだメディアホールあたりを児童サービスのスペースにしていただろうと思う。(画像は武雄市民の方からいただきました)
****************

このように書きました。児童サービスの観点でいえば、マガジンストリートを抜けないといけない児童コーナーってどうなんだろうと!おはなし会をする場所はカフェの雑音も聞こえる場所でどうなんだろうと!
なんと!なんと!それはきちんとそこにあったのです。壊されてしまったのでした!

おはなしの小部屋と子ども用のトイレの場所はスタバになってしまっているのです。トイレのための給排水設備がそこにあったのですから、すぐにスタバの設備が置けたのです。

しかもトイレは入り口にたった1か所になっており(以前は4か所あったそうです)、児童コーナーからは一番遠い場所なのです。子どもって本を読んでいるとき、ぎりぎりまでおしっこを我慢してしまう・・・だから以前はすぐそばにトイレがあったのです。それなのに・・・(今は大人用トイレ傍に1つ、授乳室も一応ありますが無機質な雰囲気です→今の館内マップ

私は、今回の全国大会第2分科会でこのことの報告を受けて、愕然としました。そして失われてしまったものの大きさに涙が溢れて止まりませんでした・・・図書館の児童サービスがこうやって破壊された!
それは単に設備的なことだけを指しているのではないのです。子どもたちがよい本に出会い、ものがたりの世界に思う存分入り込み、そういう経験の中から学んでいくのです。

そうした豊かな育ちのスペースが、商業スペースに置き換えられ、安心して子ども達だけで児童コーナーで本に出会うことができなくなってしまった・・・面出で絵本が並べばれていた広々としたスペースはなくなり、今では自分の目線よりはるかに高い壁に装飾のように絵本が面出しで並べられている・・・

しかも読みたい本が図書館の本なのか、売り物なのかも識別しにくい・・・丁寧な児童サービスは今やスタッフは書架整理が追い付かないほどの多忙さに、息を潜めている・・・

大々的な報道の陰で・・・実は図書館の児童サービスを壊していたのです。その事実を知って愕然としました。

そして、「100年の計」を立てて、武雄図書館を2000年にオープンさせた方々が、「武雄市図書館歴史資料館を学習する市民の会」を設立して、今の図書館の在り方に危惧をしめしていることに対して、バッシングまで起きているという事実。

報道は偏っています。どうぞ子どもに本を手渡している日本全国のみなさんに、児童サービスに関わっているみなさんに、図書館の児童サービスの意義と役割を、そしてそのためにどんな設えが必要なのかを・・・考えつつ、武雄図書館の今を考えてほしいと思います。

私は代官山蔦屋書店が大好きです。でもそれはコンシェルジュがいて、書架の本を手渡してくれるからです。責任をもって選書し、それを手渡してくれるからです。人が見えるサービスだから、なのです。


でも武雄図書館は雰囲気だけは代官山蔦屋書店を模していますが・・・空間配置、子どもの本の選書に関しては全く違っています。その事実をしっかりと見てほしいと思います。

在りし日の武雄図書館の様子をもっと詳しく知りたい方はこちらのリンク先をご参照ください。
佐賀県武雄市の問題について→武雄図書館改装前の旧図書館についてtakeo4

昨年秋に武雄図書館を訪問された方のブログに、いかに丁寧に司書さんが仕事をされていたかがわかります。→みききしたこと 思うこと「武雄市図書館・歴史資料館へ行ってきた。」


また、このブログに貼り付けた旧図書館の様子は、「佐賀県武雄市の問題について」のサイトおよびtwitter投稿画像からいただいてきました。


上のリンク先には、その他にも「美しい図書館はどこへ」というPDFでのまとめもあります。合わせてぜひ読んでください。(グーグルのログインが必要です)

それ以外にも、図書館がどのように変えられたかは・・・注意深く見ていくといろんなところに情報が流れています。合わせて「図書館とは何なのか?」一緒に考えてもらえるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします。