7月21日(月) 14:00〜 @銀座・教文館ニルス

福音館書店から2012年〜2013年にかけて出版された童話『ニルスが出会った物語』シリーズの原画展に併せて翻訳者の菱木晃子さんと平澤朋子さんの対談講演会がありました。

菱木晃子さんの講演は、2007年に福音館書店古典童話シリーズ『ニルスの不思議な旅』が出版された時に、クレヨンハウスでお話を伺い、教文館ナルニア国では『ステフィとネッリの物語』シリーズが出たときにも、お話を伺いました。

ところで平澤さんの絵は、JBBY主催の被災地支援「あしたの本プロジェクト」のチャリティー原画展で、
落札しました。私の大好きな画風なのです。

このシリーズは、古典童話の『ニルスの不思議な旅』が上下巻とも分厚く、よほど本に親しんでいる子でないと、本の分厚さにひるんでしまう、内容はとても面白いのに、それは惜しい。ということで、多くの子どもたちにニルスの物語を知って読んでほしい、と願い、長い物語の中から6つのエピソードに絞って絵童話として出版することになったのだそうです。ノーベル文学賞作家のセルマ・ラーゲルレーヴは、スウェーデンでは紙幣になっているほどポピュラー。この作品は、子どもたちに自分の国の歴史や地理を学んで欲しいと、補助教材として書かれたのだとか。だから物語のあちこちにスウェーデンの昔話や伝説、実際にあったことなどが織り込まれ、壮大な旅物語、そしていたずらっ子だったゆえに身体を小さくされたニルス少年の成長譚として、高い評価を得ている作品です。
ニルス3ニルス2





この本を作るためにお二人でスウェーデンへ取材旅行に行かれたのだとか。その旅のエピソードはすごく面白かったです。あるときはストックホルムの街並み、特に「破風」を見て回ったり(はふはふはふと、言いながら回ってた)、次は納屋ばかり見て回ったり、森林限界線を見て回ったりと、物語の世界を子どもたちにわかりやすく伝えるために、また日本とは違う風土や景色を想像しやすくするための挿絵wを、と苦心されたことがよく伝わってきました。実際に絵に描いたあとも、編集長をはじめ数人のチーム・ニルスで、絵にダメ出しを出したりと、実に平澤さんは何度も何度も絵を描き直されていました。

もちろん、『ニルスの不思議な旅』上下巻を読んでほしいというのが、翻訳の菱木さんや福音館書店の編集の方々の想いなのですが、そのためにも手に取りやすい絵童話を敢えて作ったことの背景には、ラーゲルレーヴの物語が、エピソードごとに切り離しても十分面白く、子どもたちの興味を惹きつける力があると信じてのことだったようです。そして、ひとつひとつの物語を読んで、本編を通して読んでみようと思う子どもたちがひとりでも多くいてほしいという願いも感じられました。

だからこそ、妥協をしない話し合いと、描き直しが行われたのだと思います。講演会会場には、福音館書店のM編集長(先日のほろ酔い絵本会にも来てくださいました♡)や、若き編集者たちチーム・ニルスの方々もいらっしゃいました。 その思い入れの強さが伝わってきた対談でした。ニルス4

対談には、手作りのスウェーデン・ニルスの旅マップも用意されていて、どのような地域が舞台になっていて、そこはどのような風土なのか、どんな建物が多いのかなど、丁寧に対比しながら語ってくださったのも、とてもわかりやすかったです♪

このように丁寧に作られた童話・・・そしてこの絵童話を読むことで、古典童話を読んでみようとする子どもたちが増えるといいなと思います。